目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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今回から登場人物の思考は()で描写します。


17:敗北者のその後

<視点:黙雷悟>

 

 

……おかしいな。イタチさんに最後っ屁をかましたあたりまでは記憶があるんだが、現状を把握できない。出来ないというか、目が開かない。それどころから身体に力が全く入らない……。

 

最後の記憶も何だか視点が二つあるみたいな、説明しようもない違和感がある感じで混乱している。

 

今、俺はうつぶせで倒れている。多分場所はうちは居住区から移動していないはず。

 

意識だけがあり、辛うじて周囲に対して感知能力を働かせるのが限界だ。今はそれしかしていない。

 

サスケやイタチさんがどうなったかが気になる……。イタチさんを敵呼ばわりするのは、正直自分の立場的にしょうがないと思っていたけど言ってて自分で傷ついた。……将来、どこかの場面で謝ろう。

 

そんな状況の変化が起きない場所で長考してぶっ倒れている俺に、近づく人物の気配を感知する。

 

知らない気配は俺のすぐそばまで来て座り込んで俺に触れる。

 

「……うちはの子どもではないようだが、辛うじて生きているようだな。どうしてこのような場所に」

 

全く声にも気配にも心当たりはないが、多分木の葉の忍びか?助けてもらえるかもしれない、良かった。

 

なんて安心していたら

 

「悪いがこのまま永遠に眠ってもらおう。うちは以外の死体があると面倒が起きるからな」

 

とその忍びが言い、スチャッとクナイを取り出す気配を感じた。

 

 

……アッやばいやつだこれ!!多分木の葉の忍びだけど暗部、それも『根』とかの詳しくないけどやべえ方の奴じゃん!

 

イタチさんがクーデターを阻止して一族を壊滅させたことを確認しにきたのか。木の葉の上層部はサスケの保護を確かイタチさんと約束してはずだし、この人がそうか。絶賛死にかけの俺に止めをさそうとしているが。

 

危機を感じて俺は体を動かそうとするがピクリとも動かない。八門遁甲の第三生門を無理矢理解放した反動だろう。自分の体なのにまるで夢を見ているように『体』を感じない。

 

どうにかしようともがいているつもりだが、身体にはもがきが一切反映されない。

 

「せめてこのまま安らかに眠れ……」

 

そう忍びが言いクナイを振りかぶる。

 

(こんな……こんな死に方……嫌だ……誰か、誰か助けて!……マr)

 

俺の思考を遮るように衝撃が走る。

 

 

 

 

 

「ドゴンッ」鈍い音が響く。俺が思っていた衝撃とは全然違った衝撃は俺の首や心臓ではなく地面を揺らした。

 

俺の感知能力が暗部の忍び以外の『何か』を捉える。その『何か』は上空から落ちてきたようで着地の衝撃であたりが揺れ、振動が響く。明らかにサイズ的に巨大なそれはチャクラをほとんど感じさせない、つまりは何かしらの忍術で出来た無機物であることが分かった。

 

目が開かない以上わからないが巨大な岩か何かか。その岩はおかしなことにズシン、ズシンとまるで二足歩行で歩いているかのような衝撃を発生させている。

 

 

「なっ何者だ!貴様!」

 

暗部の忍びが明らかに動揺した様子で問う。その問いから二足歩行をする岩のような何かは『人物』のようだ。全身が岩のようで、かなりの巨体だ。軽く3メートルはあるかもしれない。そんな岩の人物は俺のすぐそばに降り立ち、暗部の忍びは距離を取っている。幸い命拾いしたようだが……まだわからない。この岩の人物が味方とも限らない。

 

 

「いや……その姿、貴様はあの!?」

暗部の忍びが岩に心当たりがあるようで、驚愕を口にした瞬間。

 

 

俺の隣で地面が爆ぜた。

 

それと同時に暗部の忍びが鈍い轟音を響かせ、吹き飛ばされる。そのまま家屋に突っ込んだのだろう。家々を貫通する音が大きく響く。

 

轟音の後静けさが漂う……。

 

何が起きたのか。見てはいないが単純に、ただ単純に岩の人物が暗部の忍びに近づいて打撃を加えたのだろう。あり得ないほどのスピードで。

 

音と衝撃の大きさから、あの暗部の忍びはただではすまないだろう。

 

静けさの中、取りあえずの命の危機が去って一安心した俺は……どうにもできない。まだ体が動かないのだ。

 

するとその岩の人物が声を上げる。

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

声というよりは獣の唸り声。正確には咆哮か。もっと言えば生物の声ではない。正しくは岩が摩擦で擦れあう音だ。

 

明らかに異質な咆哮をあげた岩の人物は、周囲の家屋をなぎ倒し始める。

 

……まともじゃない。異常性を発揮し、暴れる岩の人物は周囲を破壊しながらどんどん俺に近づいてくる。多分俺のことは目に入っていないのだろう。どんどん、どんどん近づいてくる。

 

 

俺のすぐそばに拳を振り下ろした岩の人物は再度腕を振り上げる。その腕を振り下ろす先にいるのは……俺だ。

 

 

俺は再度『死』を覚悟する。

 

 

……もういやだ。そう諦めた俺に声が届く。

 

 

 

「ダァイナミック、エントリーーーーー!!」

 

暑苦しい声と共に豪速で気配が飛び込んでくる。先の二人と違い、声も気配も知っているあの人だ。

 

その人物、ガイさんは岩の人物を蹴りで吹き飛ばし、俺との距離を取らせる。

 

 

「全くぅ、状況は最悪だな!!」

 

ガイさんはそういうと構えを取る。この場にガイさんが来ていることに驚く俺だが、安心感がどっと押し寄せてくる。今は涙はでないが、正常な状態なら大泣きも過言ではないくらいに泣いていただろう。

 

「君はこういうことに首をつっこ……気を失っているのか……」

 

俺に説教しようとしたガイさんだが、俺の状態に気が付くとすぐに目の前にいる岩の人物に注意を向ける。

 

「ふうー。さあてどうするかぁ!正直『アレ』を止めるのはちとキツイぞ!!」

 

すると爆発音の後、岩の人物が先ほど暗部の忍びを吹き飛ばした打撃を繰り出す。

 

「第六・景門、開!!」

 

その打撃を、八門遁甲を発動させたガイさんが受け止める。

 

受け止めた際の余りの衝撃に、ガイさんの足から伝わる力が周囲の地面にヒビを入れる。

 

後方にいる俺のためにガイさんは岩の人物の攻撃を避けられなかったのか……。今の攻防の意図を思い、俺は落ち込んだ。

 

受け止めてもダメージが入る。ガイさんが苦しそうに唸るが、受け止めた岩の人物の拳を下から蹴りで打ち上げ隙を作る。

 

「くらえい!!朝孔雀ぅ!!!」

 

その隙にガイさんの神速の拳が数百と打撃を叩き込む。その拳による打撃は空気との摩擦で発火、火遁のような熱を生み出し、岩の人物の表面の岩を砕いていく。

 

「アタタタタタタタタタタタタタ!!オゥワタア!!」

 

ガイさんは連打で相手の巨体を宙に浮かせ、止めに思いっきり溜めた炎の正拳突きを相手に繰り出し岩の人物を吹き飛ばす。

 

家屋に叩き込まれた岩の人物は岩が剥がれ、中にいる人物が少し露出したためチャクラが漏れる。俺はそれを感知し分析しようとするが

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

先ほどと同じ咆哮をあげたと思ったのもつかの間、ほぼ一瞬でガイさんの朝孔雀で壊れた岩の部分を修復したのだろう。チャクラの漏れが途切れ、さらに漏れたチャクラは地面に吸い込まれてしまった。

 

岩の人物の情報を得られず俺は舌打ちをする。……もちろん心の中でだが。体はピクリとも動かない。

 

第三生門でこの俺の状態になるのだ。現在、第六京門を発動しているガイさんのすごさを改めて感じさせられる。

 

そんなガイさんでもキツイのか

 

「くううぅぅ!やはり、厳しいかあ。全ての岩を一気に剥がさなければジリ貧だぞーう!」

 

と自分を鼓舞するかのように独り言を喋っている。……それにしても相手に対する情報をガイさんは持っているようだ。原作の人物か?

 

その後も、ガイさんは高速移動で緩急をつけた突きを繰り出し続けるも、岩の人物は怯み、吹き飛び、岩が砕け散ってもすぐに立ち上がり、ガイさんへと乱暴な攻撃を繰り返す。

 

 

ガイさんがスピードで優っているにしてもこれでは八門遁甲を使っているため、本当にジリ貧だ。

 

お互いの拳が有効打にならない乱打戦は続く。

 

「はあ……はあ……!くう!!」

 

ガイさんのスタミナが切れるのも時間の問題か。さらに不安要素がある。

 

先ほどから砕けたときに漏れるチャクラ。それが地面に吸収されていっていることに何か意図を感じる。

 

相手はガイさんでも攻めきれない土遁使いだ。何かあるのだろう。

 

するとガイさんの動きが一瞬止まる。蹴りをしようとした足が地面から隆起した岩に捕らわれ動けないようだ。

 

あれ……何かデジャブのような。いや、今俺は視界が働いていないから既視感というのもおかしいけど……。

 

そのガイさんの隙に岩の人物のアッパーが刺さる。

 

隆起した地面に捕らわれた足などお構いなしに上空に吹っ飛ばされたガイさんはかなりのダメージを受けたようだ。

 

そして、ガイさんが着地するであろう地点でチャクラの動きを感じる。

 

そのチャクラは地面を変形させ剣山のように成形する。

 

足にダメージを負い、殆ど自由落下の状態のガイさんには避けるすべが……!

 

そのままガイさんは剣山に突っ込む。

 

しかし剣山は脆くボロボロ崩れ、むしろクッションのような役割をしてガイさんを助ける。

 

「?ぐぅ、いっいったい何が?」と言いガイさんが柔らかくなった地面から顔を上げる。

 

そこにはある人物がいた。

「雷遁・地走り。地面に雷遁を流して土遁を無効化させたのよっと。全く、人を正規部隊に引き戻したと思ったらこんな事に引っ張り出して、おたくら、オレを便利屋か何かと勘違いしてなーい?」

 

「カ、カカシぃ!」ガイさんが嬉しそうに声をあげる。

 

コピー忍者、はたけカカシ。原作でも第三の主人公と言われるほどの人物だ。俺が一番好きなキャラでもある。

 

「本当、迷惑な話だ。暗部から戻ってこいだのごねてのこれだ!まあでも

 

 

仲間のためなら喜んで俺は戦うけどね!」

 

 

 

「いくぞ!」とカカシさんが言うと影分身で二人に増える。

 

「風遁・大突破!」「火遁・豪火球の術!」

 

影分身したカカシさんが風遁と火遁を織り交ぜた忍術を岩の人物にぶつける。

 

あまりの熱量にかなり離れている俺でもじりじりと熱を感じる。むしろ動けないから熱を逃がせず、普通にあちい!

 

 

余りの高温に、岩の人物は動きを止める。

 

「よし動きは止めた。いくぞ、ガイ!一撃で決める!」

 

「よおおおおし!行くぞおお!カカシィ!!」

 

同時にカカシさんとガイさんによる飛び蹴りをくらい、岩の人物は完全に無防備になる。

 

二人は並び立ち、チャクラを高める。カカシさんのチャクラの質が少し変化した。おそらく写輪眼を使っているのだろう。

 

「八門遁甲、第七・驚門開!」ガイさんが第七まで八門遁甲を開放する。流石のガイさんでも反動が大きいこの段階を使うということは本当に一撃で止めを刺すつもりのようだ。

 

ガイさんは独特な突きの構えを、カカシさんは印を結び終えると二人のチャクラが最高潮に高まる。

 

「昼虎ぁ!!!」  「雷獣追牙!」

 

ガイさんは極まった身体能力による拳圧で空気を叩き、虎のような衝撃波を発生させる。

 

カカシさんは狼のような雷獣を発生させ、岩の人物へと仕向ける。

 

二つの獣は途中で混ざり合い、より大きな獣となり対象を飲み込む。

 

俺が大きなチャクラの収縮を感じた瞬間、それは弾ける。

 

雷鳴と衝撃音。

 

正に獣の咆哮のような爆発音と共に衝撃波が辺りに及ぶ。

 

そのあまりの余波は容赦なく俺まで届き……

 

俺を転がしふき飛ばす。

 

満身創痍で体を動かせない俺はもろに衝撃を受け、意識が飛びそうになる。

 

(ひ、ひどい……)と俺が思うと

 

「あっ!!悟少年を忘れてたぁ!すまん!いま、い……く、ぞぉ……」

 

とガイさんが駆け寄ろうとして転倒した。八門遁甲の反動が来たのだろう。

 

地面に顔から滑り込んだガイさんを見てカカシさんは

 

「はあ、しまらないねえ……。」と呆れながらガイさんに肩を貸して起こす。

 

そろそろ俺も意識を保つのが限界のようだ……。

 

薄れ行く意識の中、最後に聞いた声は

 

「うん?うーんと、あれ、え?何?この状況、俺が三人も抱えて戻れっていうこと!?」

 

というカカシさんの、自身に向けた突っ込みであった。

 

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