<黙雷悟>
任務受付場にて報酬を受け取る……が。
「え? ……何か報酬の金額間違ってません? これじゃ
すると三代目が不思議そうな顔をする。
「何じゃ、説明したじゃろう。零班が別の班と合同で任務にあたる際の報酬金は里の税から別で出るとな。お主はそういう立場だともう少し自覚するといい」
係の人も間違いありませんと、念を押してくる。俺の金銭感覚が施設のお小遣いで止まってるから仕方がないが、急にこんなサラリーマン的なお給料渡されても困惑するだけだ……。
「案外、小心者の側面もあるのだなお主! ほっほっほっ!」
ウルシさんから聞いていた下忍の平均よりも多額な報酬金を懐にしまいどぎまぎしながら、俺は任務受付場を後にした。
「……うむ、経験を積み順調に強くなるがいい悟よ。あやつとの約束もあることだしの……」
~~~~~~
取りあえず俺は演習場管理棟で紅班が使用している演習場を調べそこに向かうことにした。……お金は必要分だけ持ち、残りは施設の自室に仕舞ってきた。
着けば、各々修行に励んでいるようで
「お疲れ様です。さっきぶりですが、修行に混ざらせてください」
紅さんが勿論いいわよ、と返事をしてくれたので俺は取りあえず丸太に打ち込みをしているヒナタと組手をすることに。
しばらく組手を流していると、ヒナタが小声で語りかけてくる。
「悟君……」
「ん、どうした?」
「私、もっともっと強くなりたいの。確かに誰かを傷つけるのは嫌だけど……忍者になったからには……ね?」
なるほどナルトだな。話題に一切出てないが動機が薄っすら見えているヒナタのやる気に答えようとは俺も思った。
「なら、ヒナタなりに柔拳を極めるべきだと思う。俺が思うに、白眼を使う以上経絡系への攻撃は必須だから……」
手にチャクラを纏わせて拳の攻撃範囲を広めるように提案する。日向家のチャクラを通しての経路系へのダメージは一撃必殺になりうる。なら多少威力を落としても範囲を取った方が理にかなっていると俺は思う。
二人して手にチャクラを集める方法をしばらく試行錯誤する。……すると
うっかり俺の手のひらから、螺旋のうずまくチャクラが放出される。それは風になり、辺りに旋風を起こす。
「っ!すごいね悟君。今のどうやってやったの?」
「えっいやあ、えーとそうだなあ、まずは……」
手からのチャクラ放出。渦巻く形態変化。あの螺旋丸の取っ掛かりをやって見せてしまった……。うっかりとは言え少しまずいかな。
この世界で、俺がもっとも認知している術は螺旋丸と千鳥だ。当然やってみようとはしたが上手くいっていない。というより習得する訳にはいかないと途中で気がついたのだ。
何せこの二つの術は俺の知りえないものである。……うっかりヒナタに見せてしまったけど。
辺りを見渡しても、キバやシノ、紅さんは気づいていない様子。良かったあ。
「掌にチャクラを集中させて……」
「うんうん」
取りあえずしょうがないので、ヒナタにも取っ掛かりの部分までは教えてしまうことにした。まあ一朝一夕で出来るものでもないしね。
そうしてしばらく修行を続けていると……
「少し良いか悟。以前アカデミーで組手をした際にお前に注意されたところを自分なりに改善してみたのだが。如何せん体術に関しては俺は見識が少ない、なので……」
「長い長い。わかった組手付き合うから……ヒナタ、その調子でいけば何か掴めるかもね。頑張れよ!」
シノから声をかけられ、組手をすることに。ヒナタが二人とも頑張って! とエールを送ってくれる。可愛い。
「では……こちらからいく!」
やる気十分にシノが拳打を繰り出す。なるほど、確かにアカデミーのころより随分と動きが良くなっている。彼のことは良く知らないが、真面目で努力家なのだろう。それに……
「おっと!俺が指摘していない部分まで直してるとは……感心だな!」
八門を解放せずに、柔拳の型も使わない状態のなら俺の攻撃を捌けるようになっていて感心する。
「ふっ……自分にできないことがあるなら直すべきだと誰もが思うはずだ。俺はそれを実行したにすぎない。それに俺はお前に的確に教えを受けたことで、互いに問題点を教え合うことの重要性にきd、ぐほあっ!!」
「あっごめん」
長々と喋りはじめたシノが集中力を切らし、受け止められると踏んでいた俺の拳を受けてしまう。
顎に攻撃が入っていしまい、立っていられなくなったシノを木陰で休ませる。
「不覚……」
「まあ、油断大敵ってことで……。そんなに欠点の分析ができて改善できるなら、人に教えるのも上手そうだな」
「人に……?」
「班員とかな。シノは縁の下の力持ちになれると思うよ。がんばれ」
ぽんとシノの肩を叩き、俺はその場を離れた。
俺は場の監督をしている紅さんに話しかける。
「あの~紅さんって幻術が得意な方ですよね?」
「あら、良く知っているわね。そうね、一応得意ってことで通ってるわ」
にこっと返事をしてくれる紅さんに俺は頭を下げる。
「俺に幻術を教えてください! え~と、出来れば広範囲で弱めの幻術がかけれるものが良いです!」
内容を指定していることが面白かったのか、クスクスと笑う紅さん。少ししてから
「ええ、もちろん良いわよ。貴方は幻術の才能がありそうだし、それに私の幻術が効かなったことも気になるから」
俺に幻術が効かない……? いつの間にそんなこと試して……て、あっ
「あの奇行ってそういう意味が……」
「ふふっ貴方から見たらそう見えていても仕方ないわね。そう、幻術は五感に働きかけて相手のチャクラを乱すことが肝心なの。……あなたはなぜかそのチャクラが乱れないみたいね」
面白いと笑う紅さんは俺から見たらとても美しく見える。正直タイプだから……何がとは言わないけど。
すると紅さんは、手ごろな葉っぱを二枚用意し一枚をこちらに渡す。
「広範囲って指定だと
という訳で紅さんが手本で草笛を吹く。コツは草を震わせる息にチャクラを乗せ、そのチャクラの混じった音の振動で三半規管に訴えかけてどうのこうのらしい。
試しに真似してみるが……プスーッ! と情けない音が鳴るだけで到底笛と言える音は奏でられない……。
「ふふっそれじゃあ、遠くまで音が響かないから効果が薄くなるわ。先ずは普通に草笛の練習をしましょうか」
そういう紅さんは……なぜか明後日の方向を向いている。……あれ?
「それより今日は暑いわね……。ちょっと外套でも脱いで……」
「ちょっ!!?? 何服脱ぎだして……紅さん今外套何て着てないですよ!?」
服を脱ごうとして胸を露わにする寸前の紅さんの手を掴み止めさせる。まさか……俺の幻術にかかったのか?!
俺の邪な幻術にかかった紅さんをどうにかしようと、ヒナタやキバ、シノに助けを求めるが……
全員、虚空に向かって話しかけている……。3人は俺のじゃなくて紅さんが試しに吹いたやつで幻術にかかってんのか!!
「もう……アスマ邪魔しないでよ♡……貴方も好きでしょ? 私のm
「だあああああああああああああストップストップストップぅう!!!!」
一瞬で混沌とかした演習場に俺の叫びが木霊した……
~~~~~~
「「…………」」
何とか紅さんの幻術を解き、残り3人も正常に戻したあと、演習場には俺と紅さんだけが残っていた。時間は黄昏時……。気まずい雰囲気を紅さんが払拭しようと声をかけてくる。
「ごめんなさい……油断してたわ……」
「いえ……こちらこそ……あんな変な音で幻術かけてしまって……すみません」
「3人も帰らしたことだし……今日はもう解散しましょう。零班としての今日の貴方の活躍、その……素晴らしかったわ。……それじゃあ」
いたたまれない空気に耐え兼ね紅さんは姿を消した。なんか……すみません紅さん。
正直言って良いもの見た。
俺も帰りに演習場管理棟で使用許可を取り消し、家路に着く。
色々忙しかった今日の出来事を振り返りながら歩いているとふとヒナタに言われたことを思い出した。
『悟君は何て言うのかな……。もう少し相手の気持ちを考えたりとか自分のしてることを客観的に見ることをした方が良いと思う……』
…………
ちらっと花屋が目に入る。
うーん……う~~~~~~ん……
「はーい、いらっしゃ……って貴方! 確かアカデミーでサスケ君とよく一緒にいた仮面君ね」
ああ、そうかここは
「なに? あなた見た目的に花屋に用がなさそうだけど……もしかして私目当て? ごめんなさいね、私はサスケ君一筋……」
「花屋にようがあるんで、花を選んでくれ」
そういうと意外と言った顔をするイノ……失礼な。
俺は欲しい花をイノに伝え、選んでもらった花を二輪買った。
「毎度ありがとうございました~」
ニコニコして手をふるイノ。選んだ花の花言葉の意味を思ってかニヤニヤしてやがる。関わり合い少ないけど、いつか覚えてろよ……。
~~~~~~~
日向の屋敷の前。玄関まで来て呼び鈴を鳴らす。……妙に緊張する。あ~~やっぱやめ
「はい、あら悟様どうされましたか? ヒナタ様なら今はお風呂に……」
ナツさんが出てきて対応をしてくれる。むむむっ……
「えーと、その~」
もじもじしている俺にナツさんが何かを察する。
「……どうかされましたか?」
ニコッと俺の言葉を待つナツさん。
「……えーと、ハナビにこれを……えーとこの腰布のお礼です。……ナツさんもありがとうございました」
ビニールに包まれた白いガーベラの花をナツさんに手渡す。ナツさんは尊いと言った顔でこちらを見てくる。ッ……むうっ。
「ええ、かしこまりました。確かにハナビ様にお渡ししますね」
そういって一礼してナツさんは下がっていった。…………はあ、疲れる。
~~~~~~
そして施設に帰ってきた俺は玄関の前で立ちすくむ。もう夕食時も過ぎている。……豪火球に手を突っ込む勇気は出てもこういうのには慣れてないからなあ。
もう1、2時間は立っているが踏ん切りがつかない。なんかっ! そわそわするんだもんっ!!
「何やってんだ~悟?」
後ろからウルシさんが声をかけてくる。今日はオフの日だったのだろう、酒気を帯びている。
「えっとその~何というか、本当何してんだって感じですが……」
ちらっとウルシさんが俺の手元を見てニヤニヤする。
「っ何ですか……! ニヤニヤしてえぇ……」
「いやあ? 俺は別に何も言ってないぞ~。まあお前の様子だとまるで告白前の女の子みたいだなってwww仮面がなければだがwww」
上機嫌にそういってウルシさんが玄関からワザとらしく大きな声でただいまと叫ぶ。すると……
「もう! ウルシ君、そんなに大きな声で言わなくても……ってなに? 後ろ?」
マリエさんが出てきて、ウルシさんがこちらを親指で指さす。余計な真似を……!
こちらにマリエさんが気がつくとぷくっと頬を膨らませ目線をそらしその場を離れようと……
「ッマリエさん!! 待って!!」
手に持つものを背中に隠す。マリエさんは俺に大声で呼び止められ、驚きの表情を浮かべる。
「……何かしら悟ちゃん……」
冷たい目線でこちらを見るマリエさん。俺は仮面を外す。月夜に照らされ露わになった俺の赤面にマリエさんが少し困惑する。
「えーと、その……何て言えばいいのかな……俺ってマリエさんに何時も心配かけてて……それで……」
言葉を探り探りに紡ぐ、うつむく俺の前にいつの間にかマリエさんが近づいていた。
「それで、あの時の……無神経に……マリエさんの気持ちも考えてなくて、その~」
恥ずかしくてマリエさんの顔が見れない……。言葉もでないっ……ああもう、クソぉ~~~~。
「っごめんなさいでした!!」
咄嗟にピンクのマーガレットを一輪差し出す。
無言、無音の時が過ぎる。
「悟ちゃん」
ぎゅっと、だけどそっと抱きしめられる。ッ!
「ありがとう……私もごめんね。意地になっちゃって……えへへ」
ちらっとマリエさんの横顔に光るしずくが見える。
「俺も……ホントにごめんなさい。本当は俺、マリエさんのこと、大好きで……おかあs……じゃなくてえーと何というか……」
「ふふ、それまだ言わなくてもいいわ。何時か、貴方がもっと素直になってくれた時にその言葉を改めて聞きたいの……。ねえ、悟ちゃん」
「何ですか? マリエさん」
ふとマリエさんの雰囲気が明るくなる。
「ふふふっこのお花はどうやって選んだのかしら~? 花言葉とか分かってて選んでくれたの~?」
少しからかう様に俺に問いかける。
「いや~それは……勘弁してください……」
その日は久しぶりにマリエさんと一緒の部屋で寝た。他愛のない会話を少ししてその後、二人して笑って眠りについた。
イノ「でどんな花が欲しいわけ?」
悟「一輪は真面目に頑張ってる後輩にお礼のいみを込めて……」
イノ「もう一つは?」
悟「ッ信頼してる、だ、大好きな人に……向けて……」
イノ「あらら~。こちらで選ぶけど、花言葉とか聞く?」
悟「もう何でもいいから……そういうの……よろしく……」
イノ(仮面付けてても表情丸見えじゃない♪可愛い所もあるのね)