目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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皆様も体調にはお気を付けください。


幕間~中忍試験まで~
41:新しい風


<三人称>

 

 波の国での約4週間近くの長期任務を終え、一同は木ノ葉隠れの里の大門の元までたどり着いていた。

 

 門の受付で、長期の外出による手続きを済ませたカカシ班の一同は門を抜け、少し歩いた先で後ろを振り返る。

 

「……結局あいつら、木ノ葉までついてきたのか。カカシ、あんたなにか事情は知ってたんだろ?」

 

 少しあきれた口調でサスケはカカシへと問う。門の受付場では黙雷悟と、桃地再不斬、白が書類に色々とかきこんでいる様子が見受けられる。

 

「まあね、悟からの提案で再不斬と白を木ノ葉に引き受けられないかなって話になってな。で俺が推薦状書いて、悟が一夜で里まで駆けて予めの手続きを済ませてたわけ。いやあ、悟の奴仕事が早いねえ」

 

 ニコニコした表情で悟たちを見守るカカシ。敵だった再不斬を里に招き入れることへの是非をサスケは問いたいのだが毛頭気にしていない様子であった。

 

「へえーだから悟ってば、道中疲れた様子をしてたのね。一晩で波の国と里の往復作業……。非常識ね~」

 

 悟の行動に若干引き気味のサクラがそう小言を零す。事情を把握できていないナルトは、「何となくあの二人と今後も会える」程度の認識で嬉しそうにしていた。

 

 手続きを終えた悟たちがカカシ班と合流する。そして悟は二人を紹介するように手を添えるジェスチャーをする。

 

「改めまして、こちらの顔の怖い方が鬼頭桃乃太郎(おにがしらもものたろう)で、こちらの麗しき乙女が鬼頭白雪(おにがしらしらゆき)です。……名前を間違えないようにお願いね。特にナルト」

 

 再不斬と白の里での(・・・・)名前を紹介した悟はじっと仮面の奥からナルトに視線を送る。

 

「……流石にそこは気をつけるってばよ。ってことでよろしくな! ざ……モモのおっちゃんと、白雪!」

 

 心外だとナルトは気を引き締め、再不斬と白へとニコッと笑顔を送る。

 

「ええ、改めてよろしくお願いしますねナルト君、皆さん」

 

「……ちっ。ああ、よろしくな……」  

 

 白はやわらかい笑顔で応え、再不斬は自分の悟の紹介や、ナルトがさっそく言い間違えそうになったことに不安を覚える。

 

「ってことは二人は木ノ葉の忍者になるわけ? それなら心強いわね!」

 

 強い仲間が加わるとテンションが高くなるサクラ。

 

「……いや。そう易々と抜け忍とはいえ他里の忍びを、自里の忍びとして登録する訳にはいかないはずだ。外交問題にもなるし、信用が試される忍の世界、正体がバレたらそれこそ打ち首も良い所だぞ」

 

 そのサクラの喜びを遮るようにサスケが言葉を挟む。

 

「ははは……。やっぱりそうよね?」

 

 サクラもやはり内心そこはわかっていたらしく、挙げた手をゆっくりと降ろす。

 

「ええ、僕たちはもはや忍びではありません。波の国で、ガトーらと揉めたただの一般人として任務途中のカカシ班の皆さんに保護されたという設定です。ですから、余程の緊急時以外は忍びの力は使うこともないでしょう」

 

「ふんッ。俺は白雪、あんたにリベンジをしたいと思っていたんだけどな」

 

 サスケは白と手合わせができないかもしれない事実に面白くないと鼻を鳴らす。

 

「まあ、そこは追々考えていくといいでしょーよっとサスケ。取りあえず長期の任務で疲れたでしょ、皆? 今日はもう解散ね。7班は明日は休みで明後日から任務再開だ。それでその二人のことは…悟に任せても問題ないってことで?」

 

 カカシはパンと手を鳴らし、解散を宣言する。門を過ぎたところで大人数でたむろするのはあまり良くない。カカシは霧組の今後のことを悟に確認する。

 

「はい、まあ俺からしたら所謂施設への手土産(・・・・・・・)ってところです。それではお疲れさまでした」

 

 悟も浅い礼をして、その場を離れる。悟についていくように、白も頭を下げ、再不斬も軽く手を上げその場を後にした。

 

~~~~~~

 

施設「青い鳥」

 

 中では少し普段と違って、ドタバタたと狼狽えている様子のマリエが身支度を整えていた。

 

「今日が新規職員さんの雇用日だっけウルシ君!? 私、正装どこにしまったかしら~!」

 

「……雇用は後日で今日はそのための面接だ。正装は自室にしまってあるだろ。何で掃除用具入れ漁ってるんだよ……」

 

 混乱している様子のマリエを普段着のウルシが呆れた様子で見ていた。マリエのあわってぷりから彼女がこの手の作業に慣れていない様子が見て取れる。

 

「面接面接……って何聞けばいいの!? ウルシ君!!」

 

「……いやそこは俺も知らんけど。火影様からの推薦状があるんだろ? 男女二人だろうし、よっぽど変な奴じゃなきゃ即採用決めても問題ないだろ。うちは慢性的な人手不足だしなあ~」

 

 欠伸を噛み殺すように顔をだらけさせたウルシは自室へと戻っていく。前日準備をしなくていいかと聞いた時に「大丈夫大丈夫!」と答えられ安心した自分がバカだったとウルシは反省した。彼女が行き当たりばったりな質であることを失念していたのだ。それに彼女はこういう事務手続きのようなことには単純に慣れていない。

 

「えーとっえーと~。ってあれぇ? 推薦状どこだっけ!? ある程度の個人情報載ってたはずなのに。確認しないとまずいわぁ!」

 

 施設の中をマリエの影分身が飛び交う。施設の子どもたちも、施設長のあわてた様子に我がままを我慢して自分の身支度を整えたり、自主的に片づけをするなどしている。

 

 そんな中施設のチャイムが鳴る。

 

「あれぇ!? まだ時間まで余裕……ってないわあ! もう約束のお昼じゃない! あれ、そういえばお昼ご飯の調理は!?」

 

「えっまだしてないわよ!?」

 

「誰よ、調理係!」

 

「全員で急いで面接の準備ってあなた(本体)が言ったんでしょ!」

 

 影分身と揉め始めたマリエ本体。お互いに責任を擦り付け合う醜い争いで、正装の準備や、推薦状の行方のことなど頭から抜け落ちている様だ。

 

「あの~お昼から面接を受ける予定の者ですけど、誰かいませんか?」

 

 施設の玄関から凛とした女性の声が響く。マリエは慌てながらも取りあえず影分身を消して「はーい、今行きまーす!」叫び、と忍びの身体能力を生かし、廊下を駆け壁を蹴り素早く玄関へと到着する。

 

 ガラッと玄関を引くと、そこには見た目が麗しく雪のように白く綺麗な肌をした女性と、対照的に包帯塗れの体に不釣り合いで似合っていない平服を着た強面の男性が立っていた。

 

 女性の方はマリエのあわてた様子に心配そうな表情をうっすらと浮かべる。二人を目にしたマリエは施設長として言葉を掛けようとするも混乱する頭が、言葉を捻りだせないでいた。

 

 あわあわとしているそんなマリエの様子に再不斬の陰からひょこっと姿を現し言葉を掛ける悟。

 

「……色々大丈夫ですか? マリエさん?」

 

 その悟の姿を目にしたマリエは、正に口から魂が抜け出るような表情をした。そして

 

 

「……だずげで、ざどる゛ぢゃん゛~~~~!」

 

 

 泣き出した。

 

 

 

~~~~~~

 

 

30分後

 

 

「ってことで、白雪さんと桃さんです。この人は施設で働いている下忍のウルシさんです」

 

「よろしくお願いしますね」

 

「……よろしく……頼む」

 

 仮面を外した悟はそう言い目の前のウルシへ二人を紹介する。白と再不斬はその紹介に続き、挨拶をする。今は食堂で子どもたちと一緒に席に着き昼食を食べている場面。悟たちも席に着き昼食をつまみながら軽い自己紹介をしている最中である。調理場で慌ただしく動いている悟の影分身たちを奇妙そうに見つめる再不斬。ウルシも悟の作った昼食を口にしながら、話を続ける。

 

「ああ、よろしくな。って帰ってきてそうそう色々悪いなあ悟。俺も任務で疲れてて手伝わなかったのは悪いけど、ここまでマリエがポンコツぶりを晒すのも珍しいからなあ……」

 

 施設の中では悟の影分身が数十動き回り、今朝からマリエが残していた仕事を片づけていっている。「料理の腕あげたなあ~」なんて呟きながら眠そうな顔をしているウルシに悟は苦笑いを返す。

 

「ええまあ、俺もこんなことになってるなんて意外でしたよ……。ほらマリエさんも、机を涙で濡らしてないで、俺の料理食べてくださいよホラ、波の国で少しは調理の腕上げて来たんで」

 

「…………」

 

 机にうつぶせに顔を伏せているマリエの体を悟が揺するが反応はない。ただ耳が真っ赤なので、羞恥心を感じているのは確実だろう。

 

「……思っていたよりも、活気がある場所ですね。ね、桃さん?」

 

「ああ、そうだな白雪……ん?」

 

 白が苦笑いのまま、再不斬に同意を投げかけるとそれに答えた再不斬が目線を落とす。そこでは施設の子どもが再不斬の服を引っ張っていた。

 

「おじちゃんだあれ?」

 

 そんな子どもの素朴な疑問に、ウルシは少し警戒する。「見るからに強面で、優しくなさそう」なこの男が子ども相手にどう動くか、ウルシはじっと観察をする。

 

「……」

 

 無言のまま再不斬はじっと子どもを見下ろす。そして……子どもの頭に手を置き

 

「俺は桃乃太郎というものだ。これからこの施設で厄介になる……予定だ。よろしく頼む」

 

 スッとしゃがみ目線を合わせ、はにかむ。声色は優しく、見た目も強面さが薄れている様子が見て取れる。

 

「うん! よろしく!」

 

 挨拶を済ませた子どもは満足そうに自分の席に戻り、昼食を食べ始める。その席では「どんな奴だった」とかいった話題が溢れている。

 

 

「「……」」

 

 意外だという悟とウルシの視線に気がつき、咳ばらいをして再不斬は席に着く。

 

「……なんだ?」

 

「「いや、なんでもないです」」

 

 ハモった悟とウルシの言葉に白はクスクスと笑っている。

 

「子どもは嫌いだぜぇ! ひゃっはっはっはぁ!! 的な感じだと俺は思ってたわ。ごめん」

 

 悟がスッと失礼な謝罪を入れる。悟のものまね入りの演技にウルシは少しツボにハマり顔を逸らす。再不斬は露骨に嫌そうな顔をして黙り込む。

 

「桃さんは、子どもは嫌いではないんですよ。対応は不器用ですけどね」

 

 白はしみじみとした表情でそう語る。

 

「余計なことをいうな白雪……」

 

「余計ではないですよ、この施設で採用してもらうためのアピールですっ!」

 

 再不斬の苦言を、正論でかき消す白。その様子を見た悟は

 

(何か見ててほっとする二人だなあ……)

 

 なんて呑気に思っていた。するとマリエが顔をあげる。

 

「……お二人は悟ちゃんと知り合いみたいだけど、どういった経緯で木ノ葉に来たんです?」

 

 声のトーンは低いがマリエは疑問を口にする。

 

「そうですねぇ……悟さんとは波の国で助けて頂いて。揉め事に巻き込まれて職を失った僕たちにここを紹介してくれたんです」

 

 本当に助かりました、と白は丁寧に説明する。

 

「しかし、そんな急な話でなんでまた火影様からの推薦状が……」

 

「早めに手続きした方が良いと思って、俺が班のリーダーのはたけカカシさんに推薦状を書いてもらったのを木ノ葉まで持って来て、直接三代目に手渡しました。……まさかその場でOKの判を頂けるとは思いませんでしたけどね、ははは」

 

 ウルシの疑問に悟が答える。

 

(本当、なんで許可を出したのかはわかってないのが少し不安かな。三代目はなにを思って推薦状を書いてくれたのか……)

 

 悟は心の中で疑問を浮かべるがそれはすぐに引っ込み、世間話へと思考が切り替わる。調子を取り戻してきたマリエが悟の作った料理を美味しい美味しいと褒め殺して、悟がたじたじになる様子を白と再不斬は面白いものを見るかのように眺めていた。

 

 

~~~~~

 

 午後、午前の慌ただしさが嘘のように穏やかな時間が流れる施設の中、悟は久しぶりの自室で布団を敷いてただ寝ころんでいた。特に何かをするわけでもなく、否。彼は現在何もやる気が出ない状態でいたのであった。

 

(……この感じ……何だろうか……自分で思うのも変だけど何もしたくないなあ)

 

 そうして布団でまどろんでいたところ、自室の扉がノックされて開かれる。

 

「……悟ちゃんちょっといい?」

 

「マリエさん? どうかしましたか?」

 

 ひょこっと扉から顔を覗かせるマリエが手招きをする。不思議に思いながらも悟は、マリエに従い後をつけマリエの自室まで来た。

 

「改めて何かありました? 施設の作業は殆ど終わって……」

 

 マリエの自室の扉を悟が閉めた瞬間、悟の言葉はマリエの抱擁で塞がれる。びっくりして悟は腕を緊張したように伸ばしたが、直ぐにリラックスしてダランと垂れ降ろす。

 

「やっぱり、波の国の任務。大変だったんだよね? 体力的というよりは精神的に無理してる感じがしてたわ、悟ちゃん」

 

「……わかるもんなんですね。ただそういうならマリエさんも、最近無理してたんじゃないですか? 昨日今日でそこまでマリエさんがつかれている様子になるなんて、そんなわけないでしょ?」

 

 悟は自身が帰ってきてから思っていたことを述べる。マリエは片手で抱擁しながら悟の頭を撫でるが、悟はするりと拘束から抜け出しす。

 

「……わかっちゃうかあ~。流石ね、私ある意味嬉しいわ~。悟ちゃんが疲れてるのもわかるけど、そうねぇ私も疲れてるのよだから……ていっ!」

 

 掛け声の可愛らしさに似合わないスピードと技術で悟に抱きついたマリエは悟の胸に耳を当てる。突然のことに驚く悟だが抵抗はしない。

 

「こうやって生きて帰って来てくれて私本当に嬉しいわ……」

 

 マリエは悟の心臓の鼓動を聞き心底安心したように力を抜く。その様子を見た悟は思う。

 

(マリエさんは、俺の生き死に、安否を随分と気にしてくれている様だ。それは今までのことで良く分かっている。だがその心配の仕方は正直、過剰だ。……何かしらマリエさんの過去に関連することがあるのか)

 

 ……誰かの「死」が。思えば自分はマリエの過去を良く知らないと悟は考える。

 

(……まあ俺も、転生者だとかそこら辺の事情は諸々隠しているしお互い様みたいなところはあるのか。俺はマリエさんのことが既に家族の、親同然のようにしか見れないだからこそ。……何時かお互いの事情を話し合うときがくればいいなって思ってる)

 

 悟は微笑みを浮かべ、自身の胸の位置にあるマリエの頭を撫でる。するとマリエは驚き後ろに飛びのく。

 

「……悟ちゃんに少し甘えすぎたみたい。うっかりしてたわ~」

 

 少し顔を赤らめたマリエは顔をはたき気を持ち直す。

 

「別に甘えたいなら、甘えればいいじゃないですかほら」

 

 悟は意地悪な笑みを浮かべ、手を広げる。一瞬マリエはその様子を見たとき、どこか別のものを見るような目になる。しかし直ぐに

 

「……あまり調子に乗るな」

 

 と強い口調で否定する。悟はですよね~、と手を引っ込める。

 

「……コホンッさて、悟ちゃん。実はあなたに修行をつけてあげようと思っていたの。ちょっと話がそれちゃったけど準備はいいかしら?」

 

「修行って、これまたいったい……?」

 

「ずばり尾行術よ!!」

 

 

~~~~~~

 

 

 木ノ葉の里の商店街、人の賑わう中白と再不斬はメモを片手に買い出しに出ていた。

 

「衣食住付きで、施設で働けるなんて中々の贅沢ですね桃さん」

 

「……その呼び名には慣れんな……」

 

 早速施設で住み込みで働くことになった二人は、木ノ葉の土地の場所をまず覚えるために買い出しのついでにぶらりと散歩してくるようにマリエに言われていた。

 

「しかし、あのマリエとかいう女……匂うな。確実に訳アリだと見て問題ないだろう」

 

「女性にそういう表現使うのはどうかと思いますよ。確かにそうおもいますけど、雇い主である以上変に詮索しないのが吉ですね」

 

「お前……ここ数日で言葉に遠慮がなくなってきているな」

 

「ええまあ、ナルト君たちのおかげですね。夢だけでなく、自分自身の気持ちに正直になるのも悪くはないと思いまして。桃さんもそう思いませんか?」

 

「まあ……そうだな……」

 

 そんな和やかに会話をする二人の後方で、悟とマリエは尾行をしていた。

 

『マリエさん、気配を消す方法をレクチャーしてくれるのは嬉しいんですけど、何であの二人を尾行するんですか?』

 

『私から見たらあの二人が忍びなのは筒抜けだ。だからこうやって表向きは警戒しているとアピールする訳だ。誰にとは言わないがな』

 

 小声で会話をする二人。マリエが強い口調で指摘したことに、やはりバレたかと気まずそうに顔をそらす悟。

 

『別に責めてはいない。事情があるのもわかるし、何よりもお前が連れてきた人物だ。信用には値する』

 

(何か照れる)

 

『おい油断するな、まだお前の気配の消し方は甘い。白雪の方はまだしも、桃には恐らく既にバレている』

 

『マジですか!?』

 

『まあ、相手も事情をくみ取って変なことはしないだろう。ほらターゲットが移動する。なるべく気配を消して行け』

 

『りょ、了解です』

 

 マリエの指導に悟は何とかついていく。再不斬もつけられていることに気がついても仕方ないことだと思い、見過ごした。ふと再不斬は笑みを浮かべる。

 

「どうかしましたか? 桃さん」

 

「いやなに、お前とこうして穏やかに過ごせるなんて……何というか、良い……と思ってな」

 

「ッ……桃さん急にそういうこと言わないでください。照れます……」

 

 そうして木の葉での新たな日常が時を刻み始めた。

 

 

~~~~~~

 

深夜、火影邸。

 

「しかしまあ、良く許可を出しましたね。初めに推薦状を書いた俺が言うのもあれですが」

 

 はたけカカシは膝を突き自分の意見を述べる。

 

「なあに、問題はない。元々あの施設はワシの提案でマリエのために建てたものだ。そのマリエが信頼する黙雷悟の考えなら悪い事にはならんだろう。それにカカシ、ワシはお前のことも信頼しておるしな」

 

 三代目火影猿飛ヒルゼンは座敷でゆったりとした姿勢でパイプで煙を吹かす。

 

「……あの施設……やはりそうでしたか。あの事件(・・・・)の後、三代目の動きがあったからこそマリエは」

 

「いや、よい。言うなら未然に阻止できなかったことを悔やむしかあるまい。ワシの甘さが招いたことだ……罪滅ぼしにはならないだろうが彼女らをダンゾウから守るのもワシの責務じゃ」

 

「そうですか……それで中忍試験はどうお考えで?」

 

「うむ。ダンゾウが手を出せぬよう、黙雷悟の名を広げるために少し強引な手を使うつもりじゃ。なに、他の里にも同様の仕様(・・)を使うても良いとしてある。特別処置だが通るであろう」

 

「わかりました。こちらでも悟の体勢を整えられるよう他の班と演習を組んでみましょう。彼は十分強い。下手したら俺でも足元をすくわれるかもしれないほどです。気を引き締めていきます」

 

「はっはっは、カカシよ。お主も少しは鍛えなおしたほうが良さそうか? どれワシが稽古をつけてやろう」  

 

「ハハッ……御冗談を……」

 

 

 

 

 

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