目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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42:演習ブリーフィング~1対6~

<黙雷悟>

 

 俺の朝は早い。波の国の任務から約二週間たち、生活リズムも戻り日課の任務を受けに行く前に今は朝食を食べている。

 

「相変わらず、朝は早いですね悟君」

 

 早朝で静かな食堂で白に声をかけられる。

 

「おはよう、白雪。そういう白雪も珍しく早いな」

 

「ええ、今日はマリエさんと共に火の国内にある孤児院の集会についていきますので……」

 

「へえ~……そういうマリエさんは?」

 

「今は着ていく服を選んでいるそうです。僕たちを雇っていただいた時のこともあるので、早朝から準備をしようということになったんです」

 

「ああ、納得……」

 

 白と雑談をしながら朝食を終えた俺は、食器を片付け施設を出ようと装束に身を包み玄関に立つ。

 

「おう、もう行くのか悟」

 

 再不斬が珍しく髪などを整えた姿で見送りに出てきた。

 

「白雪とのアレ(・・)は順調にいってんのか? しかし、影分身を使って暇さえあれば俺からも術を習おうなんて、中々欲深いなァお前」

 

「ああ、それなら何とか形に……。水遁はほぼ独学だったんで得意な人が来てくれて良かったですよ~♪」

 

「まあ、俺たちは里内で身分を隠しているから口頭での指導になってるが……それでもムカつくほど成長が早いぜ、お前」

 

 ふんッと鼻を再不斬は手を上げて挨拶をして準備をしに戻っていった。さて俺も任務受付場に行こう!

 

 

~~~~~~

 

「あ、悟じゃな~い。こんな所で奇遇だねェ!」

 

 任務受付場、受付開始5分前に扉の前で待っていた俺にカカシさんがウキウキで声をかけてくる。

 

「ああ、おはようございますカカシさん。……奇遇っていうには場所が限定的なような……何か用ですか?」

 

「察しが良いね~。最近また悟が任務を洗いざらいやって困るからって火影様からお前を演習に連れていくように申し付けられてね~」

 

 カカシさんはわざとらしくニコニコして語りかけてくる。露骨に怪しい……。

 

「演習……ですか? まあ、一人での修行もマンネリを感じてたのでちょうど良さそうですね」

 

 演習を楽しみに思い声の感じにわくわく感がでてしまった。咳ばらいをして誤魔化しておく。

 

「一応零班宛ての依頼扱いだから報酬金もでる。ヨシッそれじゃあ、演習場まで着いてこい」

 

「金が出るのか……。太っ腹だ、修行しながらお金も稼げるなんて……!」

 

 そんな俺の様子にカカシさんはクスクスと笑いながら、俺たちはその場を後にした。

 

~~~~~~

 

 演習場に近づけば、随分と大人数の存在を感知する。大人数と言っても8人程度だけど、忍びがここまで集まるのも珍しい。

 

「よっと、おまたせ~紅にアスマぁ。どう準備は出来てる?」

 

 カカシさんが演習場で待っていた上忍2人へと声をかける。朝早いのにご苦労様です。

 

「へえ~、そいつ例の有望株の仮面君か。カカシィ本当に今回の演習の内容はアレ(・・)で良かったのか?」

 

 俺をジロっと見ながら『猿飛アスマ』がカカシさんに返事を返す。

 

「私としては、あの内容でも悟なら問題ないと思うわ。アスマも一度彼と任務に就けばわかるはずよ」

 

 紅さんが俺に手を振りながら言う。早朝でも化粧はしっかりしていて美しい。……アスマさんがいるからか? 取りあえず邪推をやめて会釈をしておく。

 

 演習と聞いて来てみれば演習場の離れた位置でヒナタたちは既に軽い組手などしているようで、そんな雰囲気に少し気分が高揚する。楽しみだなあ。

 

 俺が表情に出ないようにわくわくしているとカカシさんが俺に向け演習の内容を説明してくれる。

 

「内容は実戦方式で行う。まあ、俺とやった鈴取りみたいなもんだ。でお前の役割は、その鈴だ」

 

「鈴?」

 

「つまり、紅班・アスマ班の下忍6人対零班のお前ってことォ。まっ頑張れ!」

 

 カカシさんがポンっと肩に手を置く。随分とニコニコしている。

 

「それまた随分と極端な……1対6なんてそうそうないですよ……まあ」

 

 それでも負ける気は微塵もないけどな。

 

 

~~~~~~

<三人称>

 

 準備を済ませた下忍6人組は各自汗を拭いたり、水分を取ったりして休息を取りながら演習のブリーフィングが始まる。

 

「つまり、この黙雷悟を抜け忍と想定して捕縛。その後悟に伝えてある合言葉を回収出来たら君たちの勝ちだ」

 

「私たち上忍は問題が起きないように、陰で見守っているわ。邪魔にも手助けにも入らないからそのつもりでね」

 

 カカシと紅が任務の説明を続ける中、六人と離れた位置にいる悟はふと彼らに目を向けるとヒナタと目が合う。

 

(おっ……ヒナタの目が本気(マジ))だ、珍しい。いつもならニコッとして手を振ってくれるのに)

 

 悟はそんな風にあまり集中していなかったのだが

 

「なお、悟は抜け忍の設定なので君たちの参謀役、シカマル君には昨日の時点で俺がこの一週間で集めた情報を手渡してある。内容は一緒に活動した際の俺が気になった点とかも含まれている。参考にしながら、各自数が多いからと油断しないようにね」

 

 カカシの発言に悟が首を振り向き、驚愕の視線を向ける。

 

「ちょっ!? それってどこまでの内容を……!」

 

「俺が見た悟の使用忍術から体術の特徴まで、選り取り見取りィ♪ つけられてること任務に集中してて気がつかなかったァ?」

 

 煽るようにニコニコの笑顔を向けるカカシに悟は仮面の下で舌打ちをする。主にカカシの尾行に気がつけなかった自分への不甲斐なさが感情のメインになっている。

 

 その時スっと手を挙げる少年が一人。髪を後ろで結んだ少年、『奈良シカマル』が発言権を求める。

 

「ちょっとイイすか? 俺たちアカデミーでそいつ、悟と一緒にいたけど手渡された書類の中身ほど化け物染みた能力はなかったはずなんすけど……内容、合ってんすか?」

 

 シカマルの発言にう~んと唸ってからカカシは返事をする。

 

「俺の予想だけど、俺の調査以上に悟はヤバい奴だと思う。つまりはその情報も当てにしすぎないようにってね!」

 

 その返事にシカマルは驚愕し、悟に視線を向け「ならもう……詰んでるようなもんじゃねえか」と小声でつぶやく。

 

「言っとくがシカマル辞退……はナシだからな」

 

「わーってますよォ、アスマ隊長。やるだけやるよ、抜け忍相手に怖いからほっときますなんて選択肢はありえないしな」

 

 アスマはシカマルの様子に注意を入れるが、シカマルは仕方ないとため息をつき一応のやる気を示す。

 

「だーいじょうぶだってシカマルぅ。こっちは6人だよ? 負けるわけないってェ!」

 

 お菓子をつまみながら、シカマルを励ます『秋道チョウジ』

 

「私も彼についてなら知ってることあるわよ! この前花を買いにうちに来て~」

 

 ウキウキと悟について語る山中イノ。二人の呑気な様子にシカマルは内心頭を抱えた。

 

 一方紅班は各自集中している様子である。

 

 悟のことを評価しているシノと実際に組手を行っていたヒナタは気合を入れている。キバは相変わらず悟に怯える赤丸を何とかなだめていた。

 

「それじゃあ、一端悟は俺に着いてきて。スタート位置に案内するから」

 

 そういって跳躍して姿を消したカカシを追いかけるように悟も姿を消す。

 

 残された下忍たちのは早速シカマルを中心とした作戦会議を始めるが…… 

 

「紅先生ェ! 赤丸はやっぱり、駄目みてぇだ。悪いけど赤丸のこと預かってくれねえか?」

 

 キバがそう申告する。赤丸は完全に悟に怯えきっており、演習どころではない様子だ。

 

「わかったわ。赤丸は私が預かる。貴方たち、健闘を祈るわね」

 

 赤丸を預かった紅が姿を消すとそれに続けてアスマも消える。

 

「相手が絶望的なのにさらにこっちの戦力ダウンか……厳しいな」

 

 めんどくせーとシカマルが愚痴をこぼす。

 

「なになに? そんなに悟の奴強いの?」

 

 とイノがシカマルの肩を持ち揺する。渋々といった感じにシカマルは悟の情報を開示する。

 

「……単純な近接戦闘能力はかなりの高水準。日向の柔拳に似た特殊な体術を使ってカウンターに重きを置いている……らしい」

 

「……それは間違ってないよ。私と組手してるから……悟君」

 

「それにえーと、忍術は全ての性質変化を扱い、基本的には殺傷能力の低い忍術を好む……と」

 

 シカマルの言葉にどよめきが走る。性質変化を全て扱えるのは相当な才能と修行を積まなければ成しえないことである。上忍ですら2つ以上扱えるものは稀なのだから。

 

「幻術に対する耐性があり、広範囲に音で幻術をかける手段をもっている……改めて説明してるとやっぱヤベー奴だな悟の野郎」

 

「でもでもこっちは6人いるんだよォ? 何とかなるよ」

 

 チョウジの励ましにシカマルは顔をしかめる。

 

「戦闘スタイルは初期は手に持った鉄棒による様子見から始まる傾向アリ。あの背中に背負ってたやつだな、今は一本だけだが少し前は二本使ってたらしい。んで、雷遁チャクラモードという高速移動形態で瞬殺を図る……と。それで駄目なら各忍術をぶつけ相手の不利を徹底的につく戦法を取る。それでも相手を倒しきれない場合……」

 

「場合……は?」

 

 話の内容に恐怖を感じ始めていたイノが恐る恐る続きを促す。自分が花屋で悟を煽ったことを後悔しながら。

 

「八門遁甲と呼ばれる身体能力を極限まで高める禁術を使うらしい……。これはあのカカシさんでもあまり確認は取れてなく、書類の補足に『本気で使われたら負け確定なのは事実だから気を付けて!』と書かれてたな。上忍のこの評価には笑うしかねえなァこれは」

 

 お手上げだと肩をすくめるシカマル。一同は暗い雰囲気に包まれる。

 

「一応書類には、悟の戦闘スタイルから考えられるつけ入る隙が書かれていた……が。情報を当てにするなって言ってたし、通用するかはわからない。だけど、まあやるしかないねえな」

 

 そう言ってシカマルは頭をかきながら昨晩考えてきた作戦を伝える。内容は一発限りの奇襲作戦である。

 

「相手が全能みたいな奴なら、こっちも各自の能力をフルに使っていくしかねえ。アカデミーで猫被ってたあの野郎の仮面を引ん剝く勢いでいくぞ!」

 

 やる気を出したシカマルの激励に各々が頷き、立ち膝の姿勢から立ち上がる。

 

 

 

 そして演習の合図を知らせる笛の音が鳴り響いた。

 

 

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