目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

45 / 121
44:懐かしき青春

<はたけカカシ>

 

 無事演習を終えた俺たちは、報告書をまとめるアスマを尻目に昼の食事についての話題を進めていた。

 

「やーや―君たちぃお疲れさん。さて演習内容に各自思うところはあるかもだけどこの後は親睦を深めるために皆で焼肉いこーってね。ま! アスマのおごりが決定してるから何ならお高い場所でもいいぞぉ!」

 

 俺の提案にチョウジ君はどうやら乗り気らしく目を輝かせている。が他のメンバーは随分と悟にボロボロにされて殆どがうなだれていて反応が鈍い。こりゃ力の差に落ち込んでる部分もあるかもね……どーも。

 

「それじゃあ皆、一度解散してからあとで集合ね。身支度を整えてから焼肉、頂きましょう」

 

 紅の柏手を合図に下忍たちは解散していく。悟とヒナタだけは残り何か会話をしているようだ。一通り話した後ヒナタは先に帰っていった。そして残った悟は俺に近づき内緒話をするように小声で語りかけてくる。

 

「……途中から気づいていましたけど、この演習。上忍の皆さん以外にも1人監視している人いましたよね?」

 

「……? 噓、俺は気づかなかったけどそれ本当?」

 

 これはのちに調べたことだが実際、この演習場に誰かが立ち入った様子はない。にもかかわらず悟は第三者の視点を感じていたらしい。

 

「……何となく心当たりがあるんですけどね。あの独特な視線(・・・・・)

 

 そういって悟は挨拶をして帰っていった。少し気になるが俺たちもそろそろ撤収するかな。

 

「あ、アスマ。俺の班の子どもたちも呼んでいい?」

 

「鬼かてめえ!!」

 

 

~~~~~~

 

「おーす! 焼肉ごちになりまぁーす!!」

 

 ナルトの大きな声を合図にゾロゾロと焼肉屋になだれ込む。演習終わりでもあるため、殆どが私服で来ていた。かくいう俺も任務服に匂いを付けたくないのでラフな格好で来ているが。

 

「ひーふーみー……12人……だと……ッ! ただでさえチョウジだけでもえらいのに……」

 

 アスマが驚愕しているが無視して足を運ぶ。紅がアスマを励ましている。お熱い感じがして少し同期としてムズムズするなぁ。

 

「カカシせんせー! どれ食べてもいーのォ?」

 

 座敷の席に着いたナルトがはしゃいでいる。まったく微笑ましいね、こりゃ。

 

 食事会は大いに盛り上がった。演習の内容に興味を持ったサスケが説明しようとするイノに詰め寄られて、それをサクラが怒って……。チョウジ君のドカ食いにシッカリ噛んで味わえと悟が言いながら、焼肉の焼き加減にケチをつけてきたりヒナタがナルトに野菜を取り分けてあげていたり。静かにシカマルとキバ、シノが先ほどの演習の反省点を話し合っていたり。

 

 賑やかな様子を一歩引いて見ていると何だか昔を思い出すな……。

 

~~~~~~

 

「カカシ約12歳」

 

 

 

『はあ? 食事会?』

 

 色々なことが起きた戦争もついには終戦を迎え木ノ葉に浮かれた雰囲気が漂う中。リンの提案に俺は珍しく変な声で聞き返した。

 

『うん……大変だった戦争も終わったけど、それでも私たちは前を向いていかないといけないでしょ? 同期の皆を集めて、明るくなれたらなーって……』

 

 ……確かに戦争は残酷だ。俺たちにも消えない傷を残していった。だからこそ……。

 

『……俺は遠慮したいね。……何だかそういうのオビトのことを思うと申し訳なくてやる気が出ないんでね……』

 

 あの戦争で失った俺の大事な……大切な友を思うと、自分がそういう幸せを享受することが酷く残酷なものに感じて俺はリンの前から姿を消す。

 

『カカシ……それは私も……』

 

 リンのつぶやきに気づかぬまま。

 

………………

…………

……

 

 

 新しく火影岩が彫られている崖の隅で一人黄昏ていると不意に声を掛けられる。

 

『やあ、カカシ。あまり……元気はなさそうだね』

 

『ミナト先生……』

 

 黄色い髪を夕日に揺らして俺の師、「波風ミナト」が寝そべっている俺の顔を覗き込んでくる。

 

『……何だか平和っていうのが落ち着かなくて……こんなことしてていいのかなって』

 

『ははは……それは贅沢な悩みだね。カカシ、平和っていうのは長く続くかわからないものなんだ。だからこそ享受できるときにめいいっぱい受け入れることを覚えた方がいいかもね』

 

『……何かの犠牲で成り立っているのに……ですか?』

 

『だからこそ、だよ。……オビトのことだね』

 

『はい……』

 

『気持ちはわかるよ……。でもそれとリンの誘いを断るのは別だ。ほら、今からでも行って来たらいいよ』

 

 そういったミナト先生は手で合図を送ると、暗部の面を付けた忍びが姿を現す。

 

『同期で集まるなら2人でいってきたらどうだい? マリエ(・・・)

 

 その忍びは暗部の面を被っているのにも関わらず、腰には無地の仮面をさげている。ミナト先生にそういわれた忍びは面を外し顔を晒す。

 

『いいんですか? 私は火影様の護衛で……』

 

『いいから! カカシもマリエももう少し気を張りすぎないことを覚えてきなさい』

 

『……承知しました』

 

 栗色の短い髪が夕日に照らされたマリエは不服そうにそう答え、俺に近づいてくる。

 

『火影命令だ、行くぞ。はたけカカシ』

 

『……俺が言うのもなんだけど、気を張るという面でこいつとは一緒にしてほしくはないですねミナト先生』 

 

 「なんだと」っとくってかかってくるマリエから逃げるように俺はリンが予約指定していた焼肉屋に向かう。正直マリエの方がスピードは速いので途中で追い抜かされ、得意げな表情を見せるアイツにカチンときてムキになってしまった。

 

 

 

 

 

『……君たちは里の未来を担う子供たちだ。大人の俺が、幸せそうにしていて欲しいって思うのはエゴかな……』

 

 次期四代目火影はそう、夕日に呟いた。

 

 

………………

…………

……

 

 

『……ふん、他愛もない。鈍っているんじゃないのか? カカシ』

 

『ゼ―ッハーッ……や、焼き肉屋に行くだけで何でこんなに疲れなきゃいけないんだ……まったく』

 

 そうして扉を開けると、リンを始めガイ、アスマ、紅が席に着いているのが目に入る。

 

(……思ったより同期って少ないな)

 

 なんて心の中で思うが、俺を見つけたリンが嬉しそうに手を振ってくる。

 

『あの席か、行くぞ』

 

『全く……』

 

 席についた俺たちは、何ともない日常会話に花を咲かせる。アスマや紅がそこそこいい雰囲気なのが鼻に着くがまあ無視だ無視。

 

 途中鶏肉しか食わないマリエの皿に牛肉を乗せてやると

 

『……牛肉は嫌いだ……』

 

 と呟きリンの皿へと横流しをしていた。リンは「仕方ないなぁ~」なんて言い代わりに食べてあげていたが、その様子が面白くて何度も牛肉や豚肉をマリエの皿に乗せているとマリエが胸ぐらを掴んできて少し場が荒れた。手が出るのが早いんだよ、まったく。

 

 そして会計の時。

 

『ん? ガイは?』

 

『あれェ? テーブルで寝てる見たいだね。起こしてくるね』

 

 俺の疑問にリンが答え、テーブルに突っ伏しているガイをリンが揺すると……

 

 

 

『青春だあああああああ!!』

 

 

 跳ね起きたガイはいきなり机をひっくり返して暴れはじめる。周囲の客や店員がどよめき、紅が驚いている様子にアスマが申し訳なさそうに口を開く。

 

『やっべぇ……あいつの飲み物に酒をふざけて混ぜたのやばかったか?』

 

『少なくとも冗談では済まないよーだよ、全く!』

 

 俺がそういってガイを止めに入るが、変則的な打撃に対して上手く近づくことができない。手をこまねいているうちに周囲にも被害が……。

 

 すると突然、ガイを巨大な岩の腕が掴み外へと引きずり出す。

 

『この大馬鹿者めぇ! 折檻だ!!!』

 

 あれは……マリエの「土遁・岩状手腕」か……。発動した後は単純なチャクラコントロールのみで動かせるから、別の忍術との組み合わせがしやすい便利な術だ。

 

 なんて解説している暇はない。俺はアスマの頭を叩き(はた)

 

『アスマ、ここはお前の奢りね』

 

 そういってリンと共にガイたちの後を追った。

 

 

 

『えっマジかよ……』

 

『アスマが悪いのよ……まったく』

 

 

 

………………

…………

……

 

 

~~~~~~

 

(あの時は結局ボコボコにされたガイが泣いているのに、絶えず攻撃を繰り返すマリエを止めるのにリンと2人で何とかしたんだっけか……)

 

 昔を思い出して少しガイを不憫に思う。一番悪いのは酒を飲ませたアスマであるのに。

 

「アスマ……」

 

「あ? なんだ、カカシ。割り勘でもしてくれるのか?」

 

「お前が悪い」

 

 そう告げて俺は追加の焼肉を注文する。アスマがうなだれているが自業自得だ。

 

 

~~~~~~

<黙雷悟>

 

 少し時間が遅くなってしまったが、アスマさんの奢りの焼肉弁当のお土産を持って施設へと帰る。

 

 夕飯時も近いぐらいまで話し込んでしまった。キバに通牙のやり方を聞いたり、シノと戦術について話したり。意外にもシカマルが一番向上心が高くて色々聞いてきたのが印象的か。チョウジがお礼を言ってきたのも意外と言えば意外。まあ、一番問題だったのは俺とヒナタの距離感が近いことをイノがはやし立ててきて、ヒナタが婚約していることを口を滑らせて言ったことだが……。ああ、もう思い出したくない。

 

「ただいまー、マリエさんいますー?」

 

 声をかければ、直ぐに顔を出してくれるマリエさん。

 

「あらーお帰りなさい。私たちも今帰ってきたところよ~」

 

 そういうマリエさんは少し疲れた表情だ。

 

「鬼さんと白雪は?」

 

「2人も緊張してたみたいで、部屋で休憩してるわ。ってそれェ……」

 

 マリエさんが俺が手に持つ物に気づく。

 

「同期と担当上忍含めて食事会に行ってきたんですよ。そしたらカカシさんが『せっかくアスマが奢ってくれるしマリエにお土産でも持ってったら?』って提案してくださったので、折角なので4人分の焼肉弁当貰ってきました。子供たちの食事の準備は俺がやっておくので、3人で食べててください。ウルシさんは今日任務でいないですよね?」

 

「あら、嬉しいわ~。がっつりしたもの食べたかったの~。ウルシ君の分は冷蔵庫に入れておけば……ってあら?」

 

「? どうしました」

 

 マリエさんが弁当を広げていると弁当に挟まれていた手紙らしきものを手に持っていた。

 

「いつの間に……何ですかそれ?」

 

「…………ふふふ、何でもないわ。さあ、悟ちゃんに甘えて食べてくるわ~」

 

 少し機嫌が良くなったマリエさんは再不斬と白の元に弁当を持って移動していった。……どうしたんだろう? 俺は疑問に思いながら影分身を十数体出して単純作業を任せて、夕飯の準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今回はちゃんと鶏肉だけにしておいてあげるよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。