<日向ヒナタ>
楽しかった皆との食事会の次の日のお昼頃。私は外に出かける支度をしていました。
「……姉様……こんなに時間からどこへ?」
「あら、ハナビおはよう。え~と今日はその、悟君が年上の班の人たちと演習をするみたいだからその見学に来ないかって言われてて……」
「ええ!? いいなぁ~私も見に行ってもい~い?」
最近のハナビは私相手だけだけど、昔みたいに甘えてくれるようになってくれている。少し嬉しく思っちゃうな。
「多分悟君は良いって言ってくれると思うけどハナビは、お父様に予定を聞いてからじゃないと……ね?」
「大丈夫! 悟さん関係のことなら父さまは大抵許してくれるから! ちょっと聞いてくる!」
はしゃぐ様にハナビは走っていった。……悟君関係かぁ。昨日のことを思い出して少し自己嫌悪に浸ってしまう私がいる……。
~~~~~~~
昨日の「焼き肉屋」にて。
「悟君、これぐらいの焼き加減で大丈夫?」
「ん? ああ、そうそう結構焼いた方が俺は好みなんだよね~」
悟君はカカシさんに取り分けられたお肉の焼き加減が気に入らないと文句をつけていたので、私が変わりに焼いてあげたお肉をお皿に乗せてあげました。その時にカカシさんが少し懐かしむ感じで悟君を見ていたのは印象的でした。
「あら~ナニナニぃ? ヒナタちゃんって人見知りだと思ってたけどこんな仮面野郎には結構慣れた様子じゃな~い。もしかして付き合ってんのぉ?」
私と悟君のやり取りを見ていたイノさんが声をかけてきました。確かに悟君は幼馴染で、気を抜ける仲、一番の友達なので……。私が返答に困って悟君の方を見るとジュースを仮面をずらして飲みながら、イノさんに露骨に嫌そうな表情をしていて……。仮面を被っていても悟君の表情はとても読みやすくて少し面白いなんて、本人には言えないかも。
「変な詮索をしないで欲しいなイノ」
そういって悟君がデコピンの動作をするとイノさんは顔を引きつらせて黙り込んでしまいます。……何かあったのかな?
「でも確かにヒナタってアカデミーのころから、ちょっとオドオドしてた印象だけど久しぶりに会うとしっかりした様子で驚いたわぁ」
サクラさんがちょこんと顔を出して声をかけてきます。ナルト君が好きな人はこのサクラさん……。いけない……そう思うとちょっと暗くなっちゃうな……。
「そうかぁ? ヒナタも悟も昔っから仲良しだよなぁ?」
ガバッとナルト君が私と悟君を抱え込むように後ろかr……だddddd
「なな、ナル……なる……トくぅんぅうん!?」
「なっ!? ちょっとナルト食事中に抱き着いて来るな……ってヒナタぁ! 落ち着け!!」
ナルト君の顔が近くに近くに近い近い……。
「わt、し私ぃ!! べ、別に普通です!」
「お、おう分かってるってばよ……。大丈夫かヒナタ顔真っ赤だぞ?」
「おいナルト良いから離れろっ!!」
ナルト君と私と悟君、さとるくんなるとくんわたし……
「べ、べつに悟君とはそういう特別なか、関係とかじゃないですぅ! えっとえっと!」
「そこ掘り返さなくていいから! ヒナタ落ち着けって!!」
「そう、ナ、なルト君!! 勘違いしないでね! 悟君はただ、私の
婚約者なだけだから!!!!
だから特別な関係とかそう……い……う……?」
あれ、私何言って……? 婚約者って特別……なんじゃ……?
冷静になって周囲を見渡すと、シーンとなって皆が私たちを見てる。キバ君がお茶を零しながら唖然とした表情d
「キャーーーー! 婚約者ァァアああ!! なにそれなにそれぇ!!!」
「ちょっとォ悟やるじゃない!! いつの間にこんなかわいい子に手ェだして!!」
イノさんがはしゃぎ始めて、サクラさんが悟君の背中をバシバシと叩いて……あわわわ……。さ、悟君からの視線が、いっ痛い……。
「なっマジかぁ!? ヒナタ!?」
「これは同じ班として祝福の言葉を送らなければな……」
キバ君シノ君……。ちょっこれは違うのぉ!! イノさん身体を揺らさないで~。
「へぇ~婚約者かぁ……。僕たちにもそういう人出来るのかなぁシカマル?」
「まあ、悟の奴の能力、実力を考えれば日向がその力を欲しがるのもわかるが……。俺たちも名家っちゃあ名家だからな、そういう話がめんどくせーけどあり得るかもなチョウジ」
「あらあら、班員に先を越されちゃったわね、ね? アスマ」
「そういう話はここではやめてくれ
パチーーーンッ!! と突然の炸裂音が鳴り響く。
続いて悟君の位置から風圧を感じて、皆が顔を向ける。指パッチンをした悟君のはあの八門遁甲のオーラを漂わせていた。悟君の近くにいたサクラさんのピンクの髪が風圧でぼさぼさに……。
「二度は言わない。これ以上この話題を出した者、折檻だ……覚悟しろ……」
「「「「「「……はい」」」」」」
本気で怒った悟君の一言で場が静まり返る。あああ、すごい怒ってる……。
「ご、ごm」
謝ろうとする私の口に悟君は人差し指を押し付け
「話題に出すな」
と一言。
うううううぅぅぅ……。
その後はぎこちなくも皆が日常の会話に花を咲かせるようになって。そ、そう言えばナルト君は、私の婚約についてどう思ってるんだろう……。
そう思った私がナルト君がサスケ君と小声で話している内容に耳を傾ける。気になっちゃうから盗み聞きするなんてはしたないけど……。
「なーなーッサスケェ」
「んだよ? ウスラトンカチ」
「婚約って結婚ってやつと何か違うのかってばよぉ?」
「……おいマジか常識だぞ? いいか、婚約は結婚の前約束のことだ。ヒナタと悟の婚約は恐らく正式な儀式n」
「へぇ~楽しそうな話題だなあ~。ナルトぉ? サスケぇ? 俺も混ぜてくれよぉ」
あっ悟君がぁ……!!
「ちょっおい待て悟! 俺はナルトに聞かれたことを答えただけでっ!」
パンッと乾いた音が響きました。……イノさんがオデコを押えながら引きつった顔でナルト君とサスケ君を見ていたのが印象深かったです……。
………………
…………
……
そして食事会も終わり、皆が家路に着いている頃にナルト君がコソッ近づいてきて
「なんつーか、おめでとっヒナタ! よくわからねーけどっ良い事なんだよな! だけど……
なんだか俺だけ仲間外れみたいでちょっと寂しいってばよ……へへへッ……」
ナルト君はそう言って……そう言って……少し元気なく帰っていきました。
その時私の胸には熱したクナイを突き立てたような痛みが走って……
~~~~~~
「姉様! ボーっとしてどうしたの?」
「えっああ、ハナビごめんね。もうそろそろ着くから……」
昨日の失態に気を落としているとハナビに心配されてしまった。食事会自体はとても楽しかったのに……。
すると私たちに声をかけてくる人が1人。
「おお、ヒナタ。それにハナビもこんにちわ」
「さ、悟さんこんにちわ! お久しぶりです!」
「……こ、こんにちわ、悟君」
……流石に気分を変えていかないとね! 昨日演習では悟君の強さを改めて痛感した。だからこそ、悟君の演習する姿を通して何か学べることがあるはず!
「そういえば、姉様も悟さんも任務はないんですか?」
「ん? ああ、今日は午前中は皆任務があったみたいだけど、各班の担当上忍に連絡が入ったとかで休憩中……のはずなんだけど
「それで悟君が、私に見学に来ないかってお誘いをしてくれたの」
「へえ~、悟さんの闘う姿私楽しみ~!」
ハナビは随分と悟君に慣れた様子。そんなハナビと悟君が雑談しながら、指定された演習場へと向かうとそこには用意された数多くの的や藁人形におびただしい数のクナイや手裏剣が突き刺さった光景が広がっていた。
「……」
奇妙な光景にハナビが絶句していると、2人組の声が聞こえてくる。
「オイ……おいおいおい聞いたかよ、今度の中忍試験……5年ぶりにルーキーが出てくるって話」
「あ~、1人ヤバい奴に心当たりありすぎてヤになるわ~。只の上忍の意地の張り合いとかだといいのに……」
「いや……ルーキーの内3人はあのカカシの部隊だっていう話だぜ」
微妙に話がかみ合ってないような話声は私たちの存在に気がつくと声をかけてきました。
「ってあら噂をすれば悟じゃない! それにハナビちゃんにヒナタも! おひさ~!」
「おいおいおいテンテン、話の途中だぜ? ってこれはこれは麗しい子猫ちゃん達が2人も「いい加減そのキモイ口調やめてよ、リーッ!」……わかりましたよォテンテン。カッコイイと思うんだけどなぁ……」
独特な口調をしていた濃い顔の人はリーというみたいで……。悟君の顔を見るとなんだか、笑いをこらえているような? どうしたんだろう……。
~~~~~~
<黙雷悟>
演習場に集合してしょっぱなから面白い者を見た……。なんてどうでもいい話題は置いておいて、俺はテンテン、リーと演習内容について話し合う。
「……という訳で第零班の黙雷悟です。って自己紹介いるか? テンテンは当然知ってるよな?」
「あら~? そうだっけェ? 顔をよく見せてくれないとよくわからないわねぇ~?」
「(無視だ無視)で、そっちが『ロック・リー』さんだね? はj「初めまして貴方があの黙雷悟君ですかっ!!!! 話はガイ先生からたくさん聞いていますっ!! 僕は弟弟子ですがそれでも、貴方に負けないよう日々努力をかs」ああよろしく……」
知ってたけど熱い、暑い、厚い、リアクションが。一応年上だから敬語で行こうかと思ったけどこれはいらんな……。
「それで演習についてなんだけど……」
で、肝心の演習の内容については単純な忍び組手で良いらしい。だがリーは最終的に八門遁甲・第3生門まで開けて組手をすると宣言してきた。マジかよ、と思えば『悟がいれば八門の扱いを誤ることもそうないだろう! それに医療忍術も扱えるようだからなっ、弟弟子として兄弟子の胸を借りてこい! リ―!!!!』というガイさんの伝言があったからだそうで。 アツい。
ガイさん本人は呼び出しがあって演習の終わりごろには来るそうだが……。
という訳で先にテンテンと組手をする前に、見学しようと隅で座り込んで話をしている姉妹の所に行き、小声でヒナタに声を掛ける。
『……昨日も演習の終わりに言ったけど、恐らく
『……うん、わかった。注意して視てるね』
「悟さん、頑張ってください!」
「おう、少なくともテンテンは余裕にけちょんけちょんにしてやるよ!」
「……聞こえてるわよ~むっつりマスクマン」
なんてことを言いあいながら組手が始まった……。
~~~~~~
「グガガガっま、まさかここまでとは……さすがは僕の兄弟子ですね……」
「……痛っ……ふう~マジで危なかったァ……でもいい経験になるな」
あれから数時間。テンテンを軽くノシ、軽く休憩を入れた後のリーとの組手は熾烈を極めた。初めから重りを外したリーの動きに対応できなかったので第1開門を開き対応したが、リーが体内門を開くたびにその追い上げはかなりのものになった。
結論から言えばリーは第3生門、俺は第5杜門まで開き組手は拮抗していた。リーの方が少ない開門で爆発的な力を得ていたのだ。だがまあ、反動は俺よりもでかいようで今目の前でのたうち回っている。……俺が言うのもなんだけど体術の化け物だな。
という訳で掌仙術でリーの八門の反動を和らげてあげているときにガイさんが現れる。
「トォーーウっ青春しているかーーーッ!! 少年少女よぉ!!」
暑苦しい登場にヒナタもハナビも苦笑いに。俺はもう数年の付き合いがあるから慣れているけど、あっハナビはリー相手にも結構嫌そうだったし顔がもう何というか露骨だ。
なんてことでガイさんが為になるようなことを総括として話しているときにヒナタに耳打ちをする。
『今日もやっぱり視線を感じたんだけど、誰かいたかわかった?』
『うん……えっとかなり離れた場所でその……ネジ兄さんが……』
……なんとくなくそうじゃないかと、思っていたけどやっぱりそうか……。しれっと演習にも来てなかったしどんな目的があるにせよ、前回と今回の演習での俺の動きを観察されていたわけだ。
もし戦うことがあるなら気を付けなければいけないなぁ~。
「悟さん! 今日の演習とてもためになりました!」
「そう? ハナビがそう思ってくれるなら張り切ったかいがあるよ」
久しぶりにハナビに会って、ハキハキと喋る様子に何というか保護欲? みたいなものを刺激される。 はあ、普通にいい子だなぁ……貴重だよな、普通にいい子。
なんて俺は思いながら今日の演習は解散した。
今日は施設に人がいない日だ。所謂孤児院間の交流とかなんとかで、職員や子どもたちは別の施設に泊りがけで出かけているからだ。
「俺とウルシさんは任務がある里に残るし、ウルシさんは里外に出てるし、つまり今日は施設に完全に1人か……」
帰路でそう呟いた俺は、思い付きで別の演習場を借りに赴く。取りあえず日が落ちるまでは1人で修行ができそうだ。
~~~~~~
日は落ち、俺は1人施設へと帰る。夕飯は一楽で済ませた。1人だと楽をしたくなるのは仕方ない。そう思い施設の前へと来ると、明かりが全くついていない普段とは異質な施設に少し心がざわつく。
……1人が寂しい……なんていまさら言わないけど……。まあ、特に家事とかやることもないし応接室でゴロゴロ暇をつぶしてさっさと寝るかな。そう思いながら玄関の扉を引き、誰もいない施設に俺のただいまと言う声が響く……。
当然返事はない。
はずだった。
……俺の気のせいかもしれないけど、ただいまといった瞬間に誰かがおかえりと返事をしたように、感じた……気がする。なぜだか背中に汗が染み出る。
今の俺は忍びとしての聴力を持ち、ちょっとやそっとの物音は聞き取れる自信がある。その俺が聞き取れるかどうかの微かな声……。
施設の子どもでもない。職員でもない。それでも懐かしいような、暖かいようなそんな異質な声……。
……少し警戒をしながら施設に踏み入る。こんなに警戒しながら施設に入るのも2歳の時ぶりか。
取りあえず、何かつまむものでも食堂に取りに……
その瞬間自分の目に熱が走る。まるで太陽を直視したような感覚と熱により一瞬怯むが別に痛みがあるわけではなかった。……この感覚は何時か、アカデミーの前でも感じたものだ。目に何か異変でも起きているのかと目をつぶり手探りで洗面所まで向かい鏡の前で目を向ける。
「目」が見えない。視界がないのではなく、鏡の中の俺は仮面を取っている、のにも関わらず目の部分だけ認識ができない。目があるはずの場所は黒いモヤみたいなものが漂い、薄っすらと目があるであろう場所に暗い山吹色の光が灯っているように見えなくもない。
(一体なんだ、どうなってる!?)
水で目を洗うが変化はなく、目の熱は引くことがない。
焦っている俺が鏡で自分の顔を凝視していると不意に背後に人の姿を見る。
金髪で整った顔の男性がいた。その人物の顔は、木ノ葉にいれば誰もが見たことのある……
四代目火影のものであった。