目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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53:仙人は訝しむ

<三人称>

 

 ある日、1人新術開発中の悟はふと思い着く。

 

(確か本来なら今頃ナルトは三忍が1人「自来也」に口寄せの修行をつけてもらっているはずじゃ……)

 

 同じく三忍と呼ばれた大蛇丸に一度完敗を喫した悟は、何か強くなるヒントは得られないかとナルトと恐らく一緒にいるはずの自来也を捜索することにした。

 

 そして数時間後。

 

「だーもう~、お前ホント才能ないのう……」

 

「うっせーてばよ! エロ仙人の教え方が悪いんじゃねーのかぁ?!」

 

 小川の近くで修行する彼らを見つけた悟は、少し離れた位置から観察することに。しかし

 

(……おいナルト、仮面野郎が近くにいるぞ)

 

(え、マジで!? つーか居るなら口寄せにチャクラ貸せよ九尾!!)

 

「どうした? 手が止まっておるぞ……ん、この気配は……?」

 

 早々に感付かれる。悟本人はそこそこのレベルの隠遁術で隠れているが、尾獣と仙人相手にはまだ実力は足りない。

 

「おーいもしかして悟いんのかー? ちょっと術のコツ教えてくれよー」

 

「おん? この気配お主の知り合いかぁ? ならさっさと出てこんか悟とやらぁ!」

 

(自来也ならともかくナルトにもばれてるのか……やっぱ俺の隠遁術精度悪いのか?)

 

 呼ばれてしまった以上話をややこしくしないためにも素直に姿を表す悟。自身の能力を疑うが今回は素直に相手が悪かった。

 

「はい、どーも黙雷悟です。様子を伺っていてすみません。あの自来也さんの指導が気になって観察させていただいていました」

 

「何じゃお主ワシのこと知っておるとは……さてはファンかぁ!!」

 

「俺が18禁小説のファンな訳あると思いますか……?」

 

「まあそれもそうだな、ガッハッハッハ!!」

 

「エロ仙人のファンとかそんなのどうでもいいんだってばよ! さとるぅー口寄せの術っつー術のコツ教えてくれってばよ~おまえなら何か知ってんだろー?」

 

「えっいやー……俺時空間忍術全般使えないから何も教えれることはないぞ……?」

 

「ちぇーマジかよ~どうすればカエル呼べんだよ~~……」

 

 ナルトの淡い期待は悟の申告で砕け散る。その悟の言葉に

 

「……ほお悟とやら、時空間忍術が使えんとはどういう訳だ?」

 

 自来也が興味を示す。

 

「言葉の通り、才能がないのかうんともすんとも……封入の術、開封の術すら使えないんですよね……何故か」

 

「それは深刻だの~。どれ試しに開封の術をやってみせろ。当然、印はわかるのォ?」

 

 自来也は悟に封入の術を仕込んだ巻物を投げ渡す。そもそも開封の術は印を結ぶ過程を省けるほど簡素な術である。わざわざそれの印を結んでまで行おうとする悟は忍びの世界でも稀な存在でもあるが……。

 

「……やっぱり出来ない……」

 

「ガッハッハッハ、まさか本当に出来んとはのォ!! しかし本当に全くうんともすんともいかんとは……はて、少し心当たりがあるような……」

 

 悟の症状に何か思い当たるふしがあるのか、自来也はブツブツと独り言を言い始める。その脇で口寄せをしようと術を繰り返すナルトの様子が気になり悟は覗き込む。

 

「ナルトぉ、今どんな感じ?」

 

「オタマジャクシしか呼べてねーんだってばよ……。九尾の赤いチャクラを使えってエロ仙人は言うけど、九尾は全然協力してくんねーし」

 

「……そう言えばお前、予選では割と九尾のチャクラ使いこなしてるように見えたけど?」

 

「あれは何か九尾は悟のこと嫌いだから力貸してくれてただけ見てーで……」

 

「なんだそれ……いや、前に気に食わんとか言われたよーな? 赤丸といい、俺って動物に嫌われるたちなのかな……」

 

 悟がしょんぼりしたその時、悟は意識が何かに吸い込まれるような錯覚を覚えた。その後悟の目の前には水路が広がりその先の檻では……

 

「ワシを犬畜生と一緒にする気かぁ小僧ぉ!!」

 

 九尾が不機嫌にしていた。突然呼び出されるかの様に九尾の目の前に立つ悟は驚きで目をぱちぱちさせる。

 

「あ~~~、ひ……久しぶり九尾……?」

 

「貴様呑気かぁ?!」

 

「何で急にナルトの精神世界なんかに……もしかして九尾が呼んだりとか?」

 

「ふん、貴様は本当にワシら(・・・)尾獣と相性が良いようだ……呼べばチャクラが直ぐに反応をしめす……が……ワシはとにかく貴様が気に食わん! ワシのチャクラで気を狂わそうとしても、どうやら既に影響を与えられぬようになっておるようだし……。 なおさら気に食わんっ!!」

 

 吠える九尾の圧を受ける悟は毅然とした態度で立っている。

 

「……確かに前に比べてプレッシャーがあまり感じられないようだし……」

 

 少しだけ悟の周りに朱いチャクラが漏れ出るがすぐに悟に吸収されてしまう。そんな悟は?を浮かべるだけであり、その様に九尾は更に機嫌を悪くする。 

 

「そんなに邪険にしないでくれよ、九尾。俺が何かしたわけでもないし……ほら、何だったら今からでも友達に」

 

「っなるかボケぇええい!! 気色悪い!! 貴様のチャクラがワシに嫌な記憶と感情を想起させるのだ!! 死ね!! さっさと存在事消え失せろぉ!!」

 

(滅茶苦茶嫌うじゃん……ちょっと傷つく……)

 

 急に呼び出されて罵詈雑言を浴びせられた悟は若干涙目になる。

 

「……うっせ、うっせ!! だったらいちいち呼ぶなバーカ!! ていうかナルトに手貸してたってマジでどんだけ俺のこと嫌ってんだよ!!」

 

 流石に一方的に言われていた悟も言い返し始める。

 

「だぁれがバカだぁ!! ナルトの野郎、ワシが力貸したのにも関わらずこんな奴に負けおってぇ……」

 

「ハンっ! かの九尾の力もその程度ってことじゃないか? 俺みたいな小僧に遅れを取るんだもんなwwww」

 

「~~っ!! 貴様ぁワシを愚弄するのか?! 許せん許せん!! ……そもそも小僧、貴様の扱う八門遁甲という術も気に食わん!! なぜ九ではない?! なぜタコ野郎の数字までしかない?!」

 

「そんなこと俺が知るか! 人間の体の構造上そうなってるだけだわ!!」

 

 お互いに言い合う内容がくだらないモノに移行し始めた辺りで、悟は気がつく。

 

「つーかここナルトの精神世界だろ。本人はどこだ! 躾がなってねーぞ!!」

 

「畜生扱いすんじゃねぇ!! あいつはまだ自力で精神世界にはこれん……ふん口では埒が明かないっ! こうなったら……ナルトぉ!!」

 

 九尾がナルトの名を呼ぶすると……

 

「あんだよ、九尾……俺ってば今修行中……って悟!?」

 

 スーッと姿を現すナルト。

 

「ああ……おっすナルト……」

 

「えっ……悟何でここにいんの……?」

 

 あまり展開のドタバタ具合に悟も少し呆れ気味になる。

 

「ナルトぉ! ワシがもう一度力を貸してやる! だから今ここでそいつを叩きのめせ!!」

 

「なりふり構わねーのな、九尾……」

 

 九尾の言葉に本格的に呆れる悟。そしてナルトはムスっとした表情をして

 

「嫌だ」

 

 と即答する。

 

「ナニ!? 貴様、ワシの言うことが聞けんのか?!」

 

「今は俺ってば強くなるために修行中なのしゅぎょーちゅう!! つーかお前なにかと悟悟うっせーんだってばよ!! 口寄せの術の修行ではチャクラ貸してくんねーのに都合のいい時ばっかホイホイ話しかけてくんな!! バーカっ!!」

 

「グッ!!?? 貴様もワシをバカ呼ばわりか!!」

 

 ナルトにバカ呼ばわりをされてこめかみをピクピクさせる九尾。

 

「俺ってばお前のつごーの良い道具じゃねーんだってばよォ!!」

 

 機嫌を悪くしたナルトの放った言葉は意外にも九尾の心に刺さり唸らせる。道具として扱われることに嫌気がさしている九尾はナルトの指摘に少し冷静さを取り戻す。

 

「……なら交換条件だナルトぉ。ワシのチャクラを少し分けてやる。その分は口寄せだのなんだの好きに使え。その見返りにお前は悟に挑め、そして無様な姿をさらさせろ! これでどうだ……?」

 

「……別に俺は悟のこと嫌いじゃねーしな」

 

 2人のやり取りを、見た悟は(九尾って、案外人間臭いんだな)と思う。

 

「いやナルト。お前、悟に嫉妬しておるだろう最近。あの小娘n「だーーーー余計なこと言うんじゃねー九尾!! その交換条件飲んでやるから黙ってろ!」

 

 九尾の指摘にナルトは叫び、交換条件を受け入れる。

 

「……つーわけで悟。ちょっち勝負だってばよ!!」

 

 そういうナルトは九尾からチャクラを受け取り、目を朱く変化させた。

 

(負の精神エネルギーを取り除いたチャクラをナルトに貸し与えているのか? ナルトがすんなり扱えてるのそれが理由か……)

 

 ナルトの様子を観察する悟は、辺りに漂う九尾のチャクラを見極める。

 

「仕方ない……じゃあ、俺は戻るからそしたら戦ってやるよ……」

 

 呆れた態度の悟はそういってナルトの精神世界から戻り現実へと意識を移す。地味にその作業をすんなり行えた自分に少し驚く。

 

 現実世界ではそこまで時間がたっておらず自来也は未だにブツブツと悟の症状の心当たりを探っていた。その自来也がふと気がつく。

 

(……ん? この感覚まさか九尾の……!?)

 

 ナルトから漏れ出る九尾のチャクラ。それを自来也が感知した瞬間。

 

 

 

 悟が八門を解放させ、ナルトの顔面を殴りぬけていた。

 

 

「ぐっぴぃ!!!!」

 

 

 奇声を上げそのまま吹き飛び、小川に突っ込んだナルトは気絶してプカッと水面に浮き出る。

 

「はい、俺の勝ち」

 

 パンパンっと手を払い勝利宣言した悟に自来也は呆然とする。

 

「……急に何しとんじゃお主……」

 

「いやあ……ケンカを売られたんで……つい……」

 

 取りあえず悟は気絶したナルトを回収する。自来也は事の意味が分からないが、取りあえず悟に危険性を感じていないのでスルーすることにした。

 

「で自来也様、心当たりがあると言ってましたけどどうなんですか?」

 

「うーむ、随分と昔のことだったからのー? 確か楼蘭とかいうとある龍脈のある土地で似た症状があったらしい……ような……」

 

「楼蘭……? 聞いたことない地名ですね」

 

「何でも時折、不思議な事を言う人物がいたらしいのう……。魂がどーだとか、次元が云々だとか」

 

「う~ん、さっぱりですね……ん?」

 

 そういえばと悟は思い出す。かつてうちはオビトと遭遇したときに彼が言っていた言葉『この世からズレている』を。

 

(……もしかして俺の魂が異世界から来たことが……原因?)

 

「心当たりでもあるのかのー?」

 

「いえ、やはりわかりませんね……」

 

 適当にはぐらかした悟は肩をすくめる。悟の反応に目を細める自来也だが、別のことが気になり追及はしないことにした。

 

「ついでに聞くが悟。お前、自然エネルギー……という言葉に聞き覚えはあるかのう?」

 

「……いえ、ありませんが?」

 

「ワシの見立てではお主随分と自然エネルギーを扱う素質があるようだが……本当に知らんのか?」

 

(少なくとも、仙術チャクラは練れておらんようだが……自然エネルギーを取り込む素質は探ろうとしなくともわかるぐらい化け物級だ……誰の手ほどきも受けておらんとは信じられんぐらいにのう)

 

「いえ、さっぱり。何か知っているのであれば是非自来也様にご教授お願いしたいものですが……」

 

「まあ、さわり程度の知識なら教えてやらんでもないのう」

 

 ナルトとは違い素直かつ態度も悪くない悟に若干気を良くした自来也は自然エネルギーについて説明をする。

 

 通常のチャクラを練る際に使われる身体エネルギー、精神エネルギーこの2つとは違い体外から取り入れられるエネルギーを自然エネルギーと言う。先の2つのエネルギーと自然エネルギーを上手く練り合わせることで仙術チャクラという極めて強力なチャクラが練られる。

 

 その簡単な説明は黙雷悟も知る知識の内ではあるが、自分にその素質があることは自来也に指摘されるまで微塵も感じていなかった。

 

(……なるほど……思い返せば心当たりありまくりだ……)

 

 自来也曰く、仙術チャクラを練れていないのでそこまで効果的には働いていないがそれでも自来也が自然に気づけるぐらいの量を常に体に取り入れているらしい。

 

「その仙術チャクラ……練るにはどのような修行をすればいいんですか?」

 

「お主ほどの素質は稀で手ほどきするのも面白そうで悪くはないと思うんだが……如何せん修行するための場所がのう……ちと面倒な場所にあるのでな」

 

 そういう自来也は巻物を取り出し広げる。

 

「口寄せ契約の巻物だ。自分の血で名前を書け。その下に片手の指全ての指紋を血で押せ」

 

「……俺は口寄せの術は使えないと思いますけど……」

 

「違う! お主は口寄せをせんでいい。契約せんとガマたちからの口寄せも出来んのだ」

 

 自来也の説明に納得した悟は嬉々として契約をすませるが、ふと気がつく。オビトの神威が効かなかった理由が彼のいう世のズレであり、それが時空間忍術が使えない理由でもあるのならば……

 

「さて……口寄せ!」

 

 自来也は術を発動させ老蛙を呼び出す。

 

「おお? 自来也ちゃん久しぶりけんのー!! 何かようあるんか?」

 

「はい、実はこの仮面の少年が……」

 

 自来也は少し丁寧な喋りで老蛙に事情を説明。

 

「確かに……普通じゃない自然エネルギーの集まりかたをしとる……よし自来也ちゃんの頼みじゃ、逆口寄せ、やってみるかのう」

 

 そう言って老蛙が煙を巻いて消えてから、しばしの沈黙が流れる。

 

「……? おかしい、直ぐにでも逆口寄せがされるはずだがぁ……」

 

 何となく予想していたことが起こり、悟は落ち込む。

 

「……あの~もしかして俺って時空間忍術が使えないだけじゃなくて、受けつけすらしないんだと思います……」

 

「まさか、そんなことが……ありえるのかのう……」

 

 そういう自来也は再度老蛙を口寄せする。呼び出した老蛙とごにょごにょと小声で相談をした自来也は、ふむと頷いて老蛙を返し一言悟に告げる。

 

「先の話はなしだ。諦めろ」

 

「え……」

 

 その言葉に硬直した悟を尻目に、自来也は気絶したナルトを抱える。

 

「まあ、お前はお前で頑張れのう。仙人の場でなければ会得は不可能だと思うが、なに……機会があれば少し手ほどきしてやらんでもない。だが今はこの馬鹿を教えることが優先なのでな。ではっ!!」

 

 そのまま姿を消した自来也のいた場所に視線を落とした悟は呟く。

 

「……ままならねぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<黙>

 

 ……この身体には仙法の素質もあったのか……いや、アイツ(・・・)が言っていたことが本当ならばむしろあって当たり前なのか。

 

 結局、今まで僕が引き出せていたのは半分の力だけだったという……。そう思うとやっぱり「雷」を呼んで正解だったとも言える。

 

 彼が扱う八門のおかげでこの身体にかけられた封印術が脆くなるのも予想より随分と早い。……本来なら後20年はかかるはずなんだけど、無茶苦茶だね……。

 

 それに……あの瞳術(・・・・)と思われる現象も……彼は何かに導かれるようにマリエさんの部屋の秘密を解いていたが一体何が見えていたのか僕にはわからなかった。

 

 まあ、原因として思い当たるのは

 

 

 

 

 ()の魂が異世界のモノであり半分穢土、半分浄土に存在していることぐらいか。時空間忍術に対する耐性もそこに原因があると見える。

 

 

 

 

 さて……僕の活動時間も残り少ない。僕の魂の摩耗具合から表に出られるのも長い目を見て数回が限度か……。

 

 

 

 今世で出来ればやりたいことは3つ。その内1つはもう少しで事が起きる。

 

 

 ……頼んだよ、雷。

 

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