テンテンちゃんと明日の約束をして別れた俺は、ある目的地に向かい歩を進める。
元は関わる気がなかったため、場所だけ調べ近づかないようにしていたが色々と事情が変わってしまった。故に今日はその地へと向かう。
正直、恐怖9割・好奇心1割だが
そんなことを考えながら緊張を外面に出さないように気を付けつつ、あーでもないこーでもないと心配事や不安に対する自分へのフォローを入れていたら目的地についていた。
「うちは一族」の居住区域。
俺だけが平穏に無味無臭に生きるなら絶対に関わらずにおきたい場所だが、決心をして宣言もしたのだ。俺の言う
ここで肝心なのは回避ではなく軽減である。もちろん回避し悲劇自体をなかったことにするのが理想だが、現実は甘くない。だから俺は3点の事件の軽減を目標にこれから、自分を鍛えていくし暗躍もする。
1つ、大蛇丸による木の葉崩しの被害軽減。
2つ、ペイン=長門による神羅天征からの里の損害の軽減。
3つ、第四次忍界大戦での・・・死傷者の軽減。
これら三つが俺の目指す目標だ。俺が覚えている原作知識はそれほど細かくはないし、内容も少ない。だからこの3点を目指して・・・どうにかする。当たって砕けろだ。
いや、砕けたくはないが・・・。
問題があるとすれば3つの事件はどれも、その場にいた人物全員が全力を尽くしても、被害が甚大であること。つまり、俺個人で動いても限界があるところだ。だからこうして
つまり、今日の目標は「うちはサスケ」と接触する前振りに来たのだ。
だが・・・
「サスケ・・・君?呼び方はどうしようか?」とつぶやく俺。
こうフレンドリー過ぎてもあれだし、素っ気ないのも問題があるよなあ。そもそもどう仲良くなっていこうかが問題である。もしも嫌われでもしたら・・・。とりあえず来ただけでアプローチも考えてないしなあ。
と居住区前で細かい所でしり込みするをする俺。仕方ない、性分だし。今日は区域を見て回る予定だけだし、そんなに急がなくても
「うちの弟に何かようかい?」
不意に声をかけられ振り向く俺。声をかけられたときに体が跳ねたし、振り向きもギギギと音が鳴ってもおかしくないくらいぎこちなかったと思う。相手は・・・
「うちはイタチ」だ。
何故だろう嫌な汗が流れる。彼の生きざまは覚えている。彼が弟のためにどれだけ自分を犠牲にするのかを。だからビビる必要なんてないはずなのに・・・。相手は恐らく10歳ぐらいの子どもだ(遥かに格上だが)。
この今の感覚を説明するなら、絶対に壊れない透明な板を挟んで銃口を向けられている、だろうか。しかし、何か返事をしないと怪しまれるぞ。いやもうすでに怪しいな。
「と・・・友達になりたいなあ・・・なんて」
「ふむ、そうか。」
気まずっ!
お互いに目を合わせてはいるが、どちらかと言えば俺が目をそらせないというのが正しい。
こうなったら、ここははぐらかして後日サスケ君とあって友達になるなり遊ぶなりして、今の件を有耶無耶にするしかない。とりあえず適当にこの場から離れて・・・。
その時「イタチ、何子どもをいじめてんだよ~?」と陽気な声がした。
イタチが「シスイか」とその声の方に振りむき「別にいじめてなどいない」と答える。
俺もそちらに目線を向けると雰囲気陽気な人物がいた。
「うちはシスイ」。俺の知識ではほとんど詳細がわからない人物。多分絶対強い。
「この子がサスケの名を口にしていたので気になってな」
とイタチが答え
「別に外であって遊んだことがあるとかじゃねえの?」
とシスイが返す。
このやり取りで俺は、後日イタチに「サスケ君に会ったことがありました。実は遊んだことあります。と説明する」作戦が使えなくなった。「今」関係を説明しなければならなくなったからだ。
切れ者二人相手に俺の演技力では歯が立たない。こうなったら・・・
「実は私、忍びを目指しててうちはの一族に興味があるんです。どんな方達か知りたいなあと思ってて、ここに来ました。」
この俺の発言に
「ほう」「へ~」と少し関心を持つ二人。
「けれど、自分は人見知りというか・・・恥ずかしがりな部分があってお面が手放せないんです。なのでうちはの誰かがおっしゃってた『3歳ぐらいのサスケ君』と友達になれたら良くうちはについて知れるんじゃないかと思って」
つまりよく知りたいけど恥ずかしいから同年代から知っていこう、そういうことだ。結局は本心を言い換えただけ。
この発言にイタチは少し考えるそぶりを見せる。一方シスイは「ちっこいのに感心だな。」と頭を撫でてきた。心地いい。
次第にわしゃわしゃと撫で方が強くなってきたシスイに「やっやめてください~」と俺が狼狽えていると、
「なるほど・・・君はどこのこかな。この時間帯にうろつくのは親御さんが心配しないか?」と声色が少し優しくなったイタチがしゃがんで俺に目線を合わせつつ質問してきた。今の時間は午後6時ぐらいか?確かに3歳の子どもが一人でうろつく時間ではない。
まだイタチに対するギクシャクした態度は解けないが「・・・中央区の孤児院『蒼い鳥』の者です」とシスイに後ろで縛った髪をグルグル回されながらなんとか答えた。
一瞬イタチが悲しそうな顔を見せたが、すぐに穏やかな顔に戻り「そうか」と答え「シスイ、俺はこの子を施設まで送っていく。直ぐに演習場に向かうから準備をしておいてくれ。」とシスイに伝えた。
それを受けシスイが「OK、早く来てくれよー」といいその場から消えた。送っていくって俺のことを?どうして?ていうかシスイの動きが早すぎて見えなかった・・・文字通り消えてるよ。
なんて考えていると。
「シスイはああ見えて実力派だ。彼の速さには俺もついていくのがやっとだからな。」と言いながら俺の前の背中を見せしゃがんだ。俺はイタチの行動の意図がわからず、少し疑問符を浮かべた。
そうすると「時間が時間だからな、サスケとはまた今度会ってくれないか?代わりといってはなんだが俺の背で『忍び』を、『うちは』を感じて見てほしい。施設まで送っていくよ。」と言われた。
俺は納得して、「ありがとうございます。ではし、失礼します」とイタチの背に乗る。その瞬間、俺は空を飛んだ。気が付けばそこらの家屋よりも高い電柱の上だ。
「す、すごい!」と俺が目を輝かせているとイタチは「しっかりつかまれ」と言い宙をかける。
俺を考慮してスピードは抑えられてはいるのだろう。けれど「忍び」の視点は俺からしたらかなりの衝撃で、心をくすぐられる。楽しい。
高い視点から見る里と夕日はとても綺麗だった・・・。
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俺の足で30分はかかるであろう施設まで、5分ともかからずついてしまった。
少し名残惜しいが施設の前で、イタチさんの背から降りる。
「イタチさんありがとうございました!とても貴重な経験でした!また今度サスケ君に会いにいきます!」
俺が興奮しながら感謝を述べるとイタチさんは微笑みながら「そうか、俺との会話に緊張していたようだけど喜んでもらえてよかった。それじゃあまた今度、会おう。サスケともどうか仲良くしてやってくれ」といって踵を返すと
「あら、イタチ君!お久しぶりね~」とマリエさんが施設の庭から顔を出しながらイタチさんに声をかけた。
「蒼鳥さん・・・お久しぶりです。」とイタチさんが返す。蒼鳥はマリエさんの苗字だ。それをイタチさんが知っているということは二人は知り合いのようだ。
イタチさんは微妙そうな顔をしているが、マリエさんは「大きくなってまあ~。随分とイケメンになって私惚れそうだわ~」なんて言ってはしゃいでいる。姪っ子にでもからんでいるようだ。
一通りマリエさんがはしゃいだ後に「それでは失礼します」と言ってイタチさんは消えた。どちらかと言えば逃げたが正しそうだが。
少しの余韻のあとマリエさんから「悟ちゃんお帰りなさい、どう?今日は楽しかった?」と聞かれた。
俺は素直に「楽しかった!」と答え、今日の出来事を語りながら施設に入る。
テンテンちゃんと仲直りをし、イタチさんの背に乗り宙を駆けた。短くまとめればこうなるが今までのこの世界での俺の経験からしたらとても色濃いものだ。
充実した時間を過ごしたおかげか、夕飯は今まで以上にとても美味しく感じ少し多めに食べてしまった。
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夕食の後、俺はマリエさんの部屋を訪ねた。扉をノックすると中から「どうぞ~」と声がしたので扉を開け中に入る。
昨日、もとい今朝ぶりにマリエさんの部屋に来た俺は、部屋の隅の机で書類に眼鏡をつけて目を通していたマリエさんを目にする。
瞬間、俺の背後にマリエさんが回り込んできたのには驚いた。俺が背後にいるマリエさんを驚いた様子で見ていると、マリエさんも少し驚いているようだった。
「悟ちゃん、今の私の動きは見えてた?」と聞かれたので「なんとか・・・」と答えた。するとマリエさんは俺の体をペタペタと触り始めた。
「ふむ、今日一日激しい動きはしていないようだけど・・・」とつぶやき、俺の目をのぞきこもうとする。
「・・・悟ちゃんお面とってもらえない?」「わかりました。」とりあえず素直にしたがった。
ある程度されるがままだったが、しばらくしてマリエさんが口を開く。
「今日一日ゆっくりしてただけとは思えないぐらいに、体調が良くなっているわね・・・。悟ちゃん自分の体に違和感はない?」と聞かれた。
違和感?「テンテンちゃんとお昼寝した後ぐらいからお腹あたりが少し暖かいぐらいですかね?」と答えた。
するとマリエさんは「なるほど~。いい傾向ね!」と言い、少し嬉しそうだ。
俺の理解が追い付いていないことを察したマリエさんは説明をし始めた。
「その温かい感触はチャクラの流れがよくなってきている証拠ね。チャクラは大体お腹あたりで練られるものなのよ。流れが良くなっているおかげで、随分と顔色も良くなっているし、さっきの私の動きを見切ることもできたようね。」
俺は「俺はあまりチャクラを練っているつもりとかはないんですが・・・」と答える。自覚はないのだ。こう、チャクラには何というかポーズを決めて踏ん張って捻出するものというイメージがある。
マリエさんは「チャクラを練ること自体は人間は無意識に行っているものなのよ。ただ忍術を使うとき、戦闘時にその量を調節できるのが忍者なの。」と俺の疑問に答える。
「ただ」とマリエさんが言い「ただ?」と俺が聞き返す。「悟ちゃんはどうやら普通の人より自己治癒力が少し高いみたいね。普通なら今の状態まで復帰するのにもう少しかかると思ってわ~」
おお!?それは俺の長所ってことではないか!この世界に来てやっと自分に誇れることができそうだ。と俺が嬉しそうにしている様子を見てマリエさんは「ただ」と言う。
「えっただってなにか問題でもあるんですか!?」と俺があわてて聞くと「べっ別に問題はないのよ?ただ私は感知タイプ、つまりチャクラの知覚に関してアプローチの手段がある人ではないから、その~、治癒能力の由来が分からないのよ~」とマリエさんは申し訳なさそうに答える。
まあ別に由来とかは今の俺にとってはどうでもいいものだ。つまりは・・・
「俺がテンテンちゃんと鬼ごっことかで勝てなかったのは、オーバーワークで俺の体がチャクラをあまり捻出できずにいたことが問題なのか・・・」ということだ。
才能なしではなく、人並みに能力がある可能性に小躍りしてしまいそうだ。「あとメンタル面もね」とマリエさんが付け足す。
俺の嬉しそうな表情にマリエさんは少し吹きだして笑っていた。「えっなんです?」と俺が聞くと「悟ちゃんが表情豊かで、面白くて笑ってしまったわ~、ごめんね?それに私の前だと『俺』てっ言うしお面も素直に外してくれるしで昨日までのとのギャップが凄くて驚いているの~」と答えた。「マリエさん相手に警戒しても無意味だと気づきましたから、それにマリエさんは何だか・・・」ここまで言い自分の言おうとしていることが恥ずかしいことに気づきごまかしを入れる。
「まあ、とりあえず体調面が大丈夫なら“影分身の術”教えてもらっても大丈夫ってことですよね!」と俺が言うと「ばっちりよ!」とサムズアップを返された。
「影分身の前に分身の術から覚えていきましょうね~」と言われチャクラの練り方から、印のむすび方を教えてもらい今日の「忍術講座」は終了した。
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俺は自室に戻り布団の上でチャクラを練る練習をする。お腹の熱いところに集中してイメージを固め、元の世界では感じたことのない感覚に意識を集中する。イメージとしては無意識に練られるチャクラはたき火だ。このたき火に意識的に薪を入れて火を大きくする。この要領で行けばいけそうだ!こう、より熱くいい感じに~
「早く寝なさい」ドスの聞いたマリエさんの声が聞こえる。
背後の扉に恐る恐る目を向けるが開いた様子はない。いや俺が気づかなかっただけのようだ・・・。
今日はおとなしく寝よう。俺は仰向けに布団を被った。
でももうちょっとだけ・・・布団の中でチャクラを練る練習をしようとすると視線を感じた。扉に目を向ける。開いていない。
目線を戻すと、マリエさんと目が合った。とてもいい笑顔だ。よし今日は寝よう。
文の書き方を少し変更。