目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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休みがないため、書く時間が取れないなぁ……。遅れてすみません


65:交わる写輪眼

 黙雷悟は、ナルトと共に自来也に連れられ木ノ葉から少し離れた宿場町に着く。

 

「なんか怪しい街だよなぁ……」

 

「わかるぅ……(前世でも怪しい店に呼び込みとかしてる街に行ったことはあるけど……その時もナルトと同じ感想だったなぁ)」

 

 少しアダルトな街の雰囲気に子供なナルトと悟は、少し警戒の色を示している。そんな2人のことなどお構いなく自来也は受付で宿を取り声をかける。

 

「おう、ガキども今日はここに泊まるぞぉ……と、おおぁ!?」

 

 自来也は突然嬉しそうな声を上げだらしない顔になる。その様子に、目線を自来也の向ける先に合わせたナルトと悟は自来也が黒髪ロングの美人にウインクでアプローチをかけられているのがわかった。

 

 ナルトもその美人にテンションを上げている。悟も自身の好みに近いため、仮面の奥で少し顔を緩める。

 

(……そういえば、俺の好みの女性のタイプってマリエさんに知られてたんだよな……)

 

 かつて、封印の書関係の出来事で自身のお色気の術をマリエに見られていたという事実を思い出し、げんなりする悟。マリエも深くそのことを聞いてこない。……悟の背に嫌な汗が流れる。

 

 1人、隠している大人な本を見られた思春期の子どもみたいな葛藤を抱えた悟を無視し、自来也は宿のカギをナルトに押し付けその黒髪の美人についていった。

 

「ちぇ!! エロ仙人ばっか自由に何でもかんでもやっててつまらないってばよ!! おい悟、ボーとしてないでさっさと部屋行こうぜ」

 

「……え、ああ。わかった……」

 

 若干テンションが下がった2人は大人しく宿の部屋へと向かった。

 

 

~~~~~~

 

 

(……思い出したけど、ここってイタチさんとあの~……サメっぽい人……が確かナルトを攫いに来るとことだっけ……流石に何もせずにくつろいでるのは不味いか……)

 

 呑気に部屋の天井に足をくっつけ、瞑想をしている悟は同じくベッドでチャクラコントロールを鍛えるため印を組んで唸っているナルトに目を向ける。

 

「ナルト~?」

 

「あんだよ、今俺ってば集中してんの。ちょっと黙っててくれってばよ」

 

「いや、集中するなら耳栓でも貸してやろうかなって。あとついでにちょっとしたチャクラコントロールコツでも教えようかな~」

 

「マジで!? なんだよそれならさっさとコツとかいうの教えてくれってばよ!」

 

 悟の出す餌に食いついたナルトに悟は自前で持っている粘土をちぎり、ナルトの耳の穴を塞ぎながら説明をする。

 

「静かに目を閉じてジッと自分の精神の中に潜り込むんだ。……んで九尾ならなんか有意義なこと教えてくれるだろ」

 

 半分以上九尾を頼りにした悟のアドバイスを鵜呑みにしたナルトは喜び勇んで目を閉じ集中し始める。

 

(貴様……勝手にワシを教師扱いすんじゃあねえっ!!)

 

 悟の提案に納得せずに念話を飛ばしてくる九尾に悟は心の中で苦笑しつつ

 

(ナルトとお前の為だから……適当にナルトの相手しててくれ。ちょっと外でドタバタするけど、ナルトをここから動かさないでくれよ)

 

 そう九尾に頼み込んだ悟は部屋を後にする。

 

(ケッ! 人間の小僧ごときが偉そうに……)

 

(九尾~九尾~いるんだろ~? 何か悟に勝てるようになる術とか、サスケの千鳥みたいなカッコイイ奴とか教えてくれよ~)

 

 面白くないと憎まれ口を叩く九尾は、精神世界に潜ろうと頭の中でうるさく九尾を呼ぶナルトの声に鬱陶しさを感じながらも仕方なしに答えてやることにした。

 

(……なぜワシがこんなことを……はあっ……)

 

 

~~~~~~

 

「しかしまあ、あの三忍の1人自来也が子守をしているとは……全く面倒ですねぇ」

 

「……だが、どんな忍び成れど弱点はある。特にあの方は恐らく素であの手(・・・)に引っかかっているのだろうからな」

 

 朱い雲の模様を浮かべた外套を羽織る2人組は、悟たちが停まる宿の前まで来て中の様子を伺っていた。

 

「多少の時間稼ぎにしかならないと思いますけどねぇ。まあ、あまり時間は無さそうですから、早い所九尾の人柱力を……」

 

 外套を纏う大柄の男は、穏やかな口調ながらも廊下を進み自身の目的の人物を探る。

 

「……こっちだ鬼鮫。チャクラの色からして間違いなく、九尾の……っ!」

 

 対象にかなり落ち着いている様子の男はその朱き目を光らせ、漂うチャクラの色から対象の大まかな場所を割り出す。しかし何かの存在に気がついたその男は廊下を振り向く。

 

 釣られて鬼鮫と呼ばれた『干柿鬼鮫』も、朱い目を持つ『うちはイタチ』が向ける視線の先に注目する。

 

「……何となくだが……君は俺たちが来ることを予見している、そういう根拠のない自信があったが……」

 

 イタチは目に力を籠め、廊下の先に立つ男の仮面の奥の緑の目を見る。

 

「どうやらその予想は当たったようだな……黙雷悟」

 

「そうですか……良かったですね。ならそのままサッサと逃げた方が身のためですよ? 自来也さんを呼んできたので」

 

 イタチと目線をぶつけ合う悟はそう軽く言い放つ。その言葉に一瞬鬼鮫が反応するが

 

「それはフェイクだ。かの三忍自来也なら間違いなく、最初に大見得を切る。君と一緒にいない時点でまだここに自来也は来ていないのだろう」

 

 イタチが悟の嘘を看破し、一歩悟に近づく。

 

「……随分と噓が上手くなったな、黙雷悟」

 

 ほんの僅か懐かしむような雰囲気を出すイタチの様子に悟も、少しだけ肩の力を緩める。

 

「一瞬で見破っておいて……まあ、いいか。……あなた達に勝てるとは思っていないので……」

 

 悟は印を結ぶ。

 

「全力で時間稼ぎだ!」

 

 水遁・霧隠の術を使い廊下を濃霧で埋め尽くす悟。再不斬がカカシ相手にそうしたように、イタチの写輪眼を鈍らせる狙いがある。

 

 そしてそのまま、正門・雷神モードを発動させ飛雷脚でイタチ目掛けて飛び蹴りを繰り出す……が

 

「随分と器用な真似をしますねぇ」

 

 イタチの前に出た鬼鮫が、背負っていた包帯が巻かれた得物を盾にしてそれを防ぐ。

 

 攻撃を防がれたことを確認した悟は蹴りの反動で跳ね返り急いで距離を取る。

 

「おや? 随分と良い警戒をしていますね~まるで私の大刀の力を知っているかのような……なんて」

 

「時間稼ぎと言いつつ、速攻で俺を打ち取りに来る点と言い、鬼鮫の鮫肌から逃げたことと言い……相変わらず君の動きは面白い」

 

 そういうイタチは息をするよりも自然に、素速く印を結び風遁を行使して霧を晴らす。

 

「流石に霧隠れぐらいじゃ、簡単に破られるか……っ」

 

「イタチさんと私相手では、その術の効果はあまりありませんよ? さて、あまりウロチョロされてもうっとおしい……貴方はターゲットではないのでサッサと殺させてもらいましょう……」

 

 鬼鮫の放つプレッシャーに少し怯む悟。確実に格上である彼ら2人とまともにやり合えば、悟と言えどもモノの数秒の命であることは火を見るよりも明らかであった。

 

 高速で接近し、得物で押しつぶすように攻撃を仕掛けてくる鬼鮫に対して悟はより洞察力に優れる雷眼モードに切り替え、避けに徹する。

 

「へえ~随分と芸達者のようで、まるで写輪眼、白眼の洞察力を持つ者のような動き。それに体捌きは先ほどの珍獣をも思わせる節が……少しイラッとしますねぇ……」

 

 動きが荒くなった鬼鮫の大振りの攻撃を何とか避ける悟。

 

(このまま時間を稼げれば……っ!)

 

 そう思った矢先。

 

 鬼鮫の大きな体により死角になった場所から不意に手裏剣が複数飛来する。鬼鮫と距離を取るために、後ろに飛び退いた瞬間に現れ出たその手裏剣は確実に悟に命中する軌道を描く。

 

「しまっ……!?」

 

 そういう悟は咄嗟に腕で防御姿勢を取る。

 

 

 

 しかし手裏剣は金属音を響かせ、軌道が逸れることで宿の壁に刺さる。

 

 

 

 何が起きたのかと困惑する悟が鬼鮫に集中していた感知を広げれば、後ろに見知った人物の気配を感じ取ることが出来振り返る。

 

 

 

「……随分と騒がしいことになってるな……悟」

 

「……サスケっ!」

 

 

 写輪眼をその目に宿したサスケはイタチの手裏剣に手裏剣をぶつけることで悟を守ったのだ。

 

「……ウスラトンカチの野郎は無事か?」

 

「ああ、部屋に閉じ込めてる。……足止めさえできれば自来也さんが来るはずだけど」

 

 サスケの質問に悟は簡潔に答える。サスケはその目をうちはイタチに向けていた。

 

「ほう……写輪眼……1日に三つもの写輪眼を見ることになるとは……イタチさんによく似ているようですし……そうですか、あれが例の弟さんですか?」

 

「……そうだ」

 

 鬼鮫が珍しいとイタチに顔を向けるとイタチは目を伏せ気味にして簡潔に返事をする。

 

「うちは……イタチっ……!!」

 

 サスケの感情が高ぶるのを感じた悟は不味いと思い、サスケをなだめようとする。しかし

 

「っ余計なお世話だ悟……俺は一応冷静だ……っ」

 

 悟の庇うかのような動きをうっとおしいと手で遮るサスケは、イタチを見据え語りかける。

 

「あの夜……アンタは言ったな……『この俺を殺したくば憎め!』と。だが俺は、アンタに言われた通りには生きてこなかった! っアンタに対して憎しみがないわけじゃない!! だが……っ!!」

 

 ちらっと悟を見たサスケは再度鬼鮫とイタチに対して警戒の構えを取る。

 

「俺は余りにも知らないことが多い……なんたって長年かなり近くにいるこの秘密主義仮面バカのことさえも多くはまだ知らないからな……だからこそだ、俺はあんたを理解する……っ! 理解したそのうえで復讐の相手とするか……兄として許すかを俺自身が、決める!」

 

 サスケは左手にチャクラを集め、雷遁へと変換して千鳥を発動させる。

 

「……随分と甘い考えだな。それではいつまでも俺を越えることは出来ない……」

 

 サスケの言葉に挑発するかのようにイタチが返す。

 

「……かもな。俺はまだまだ弱い、だからこそ悟。力を貸せ!」

 

「ガッテンだ!!」

 

 サスケの千鳥の発動前に鬼鮫が再度突撃をかけてくる。

 

「あなたの弟さんだからと、手加減はしなくてもいいんですね?」

 

「……当然だ、ヤレ。鬼鮫」

 

「っ土遁、土流壁!」

 

 鬼鮫の圧に、悟は咄嗟に土遁で口から土を吐き廊下を土の壁で塞ぐも鬼鮫は以前包帯を解放していない大刀で綿を裂くように突き進む。

 

「っまだだ! 多重土流壁!!」

 

 距離を近づけさせないように土の壁を重ねる悟に対して、突進を止めない鬼鮫。

 

「まだまだ、術の練度が足りませんねぇ! 歯ごたえがまるでない!」

 

(っあんたが規格外に強いんでしょうが!)

 

 響く鬼鮫の声に土を吐き出して壁を作り続ける悟は心の中で悪態をつく。

 

 自身がそれなりに実力がついてきているからこそ、それよりもはるか高みにいる存在を認識できるようになっている悟はそれでも諦めずにいる。

 

 距離が近づいた瞬間、土の壁越し鬼鮫は大刀を突くように構える。

 

「捉えましたよォ!!」

 

 そして土壁を穿つ突きを放つ瞬間。

 

「っ鬼鮫、首を逸らせろ!!」

 

 イタチの声が響くと同時に、土壁の先から千鳥を放つサスケが現れる。

 

「っちぃ!!」

 

 反応が遅れた鬼鮫の頬をサスケの千鳥が削り、そのサスケが開けた穴から悟が拳を放つ。

 

「八門八卦・剛掌波!」

 

 その拳が放つ圧に鬼鮫は大刀で防ぎ対処をするものの態勢が整う前にサスケが印を結び術を発動させる。

 

「火遁!」

 

「させるか」

 

 サスケは術を放つ瞬間に、後方のイタチの印を感じ取り咄嗟に対象をイタチへと向ける。

 

「「豪火球!!」」

 

 廊下を焼き尽くさんとする火炎はしかし、サスケの方へと押し込まれている。

 

(っ鬼鮫とかいう奴事焼き尽くす気か!)

 

 サスケは同じ術であれど、そのより研ぎ澄まされた豪火球の威力に押されじりじりと後退する。その背では大刀を振り上げる鬼鮫。

 

「させるかよ! 雷遁地走り!」

 

 土流壁の先から、悟は雷遁を放ち鬼鮫の動きを止める。先ほどのサスケの千鳥同様土遁の壁を雷遁はもろともしずに突き抜ける

 

「っうっとおしい!」

 

 雷遁に痺れ吠える鬼鮫の振り上げる腕に悟は掴みかかり、八門を解放させ体重を乗せて投げ飛ばし廊下の壁にぶつける。そして

 

「お待たせ! 行くぜ風遁!」

 

 悟は押され気味のサスケのわきに立ち術を構える。

 

「大突破!!!」

 

 サスケの火遁と悟の風遁が混じり、超火力の《b》滅風焔(めっぷうほむら)の術へと昇華される。

 

「っ!」

 

 イタチはその圧に少し押されるものの、僅かに均衡した術同士のぶつかり合いは直ぐに幕を閉じる。

 

「っあぶねえ!」

 

 そう言って悟は術を止めてサスケに飛びつき廊下脇の部屋に向かって飛び退く。

 

 瞬間、先ほどまでいた場所を大刀が風を唸らせながら通り過ぎるのを目にする。

 

 飛ぶ大刀はイタチの火遁を喰らいながらも突き進む。それを術を止めたイタチは上に飛び避ける。

 

 もつれる悟とサスケは直ぐに廊下に戻り、イタチと鬼鮫に挟まれる位置にいながらも応戦をする。

 

「千鳥!」

 

「いまなら大刀がないなぁ!! 喰らいやがれ! 飛雷脚!」

 

 イタチへと突き進むサスケと、反対方向へ飛び蹴りを放つ悟。

 

 互いに接敵をした瞬間

 

 

 

 

 

 

 

「……甘いな」「甘いですねぇ」

 

 

 

 

 サスケの千鳥はイタチの写輪眼に見切られ、チャクラの纏わない上腕部を掴まれ動きを封じられる。悟の飛雷脚も同様に膝部分から腕を差し込まれ軌道を逸らされる。

 

 瞬間八門を身体強化に全振りした悟は、右腕の損傷を気にせずに大きく振る事で風圧を発生させ無理やり鬼鮫との距離を取る。

 

 しかしその悟の後方ではサスケのイタチに掴まれた腕の骨が砕かれた音が響く。

 

「ぐああああっ!!」

 

「ッサスケ……クソ!」

 

 サスケの悲鳴に悟は転がりながらも態勢を整えイタチへと足を向けるが

 

「余所見が過ぎますねぇ」

 

 鬼鮫の裏拳を背後から受け壁に叩きつけられる。

 

「がッッ……」

 

 崩れ落ちる悟に鬼鮫は語りかける。

 

「惜しいものです。イタチさんの弟さんと貴方のコンビは中々いいモノでした。私一人では少してこずってしまうかもしれませんねぇ……がしかし。こちらもツーマンセルを組んでいますのでねぇ」

 

 そういう鬼鮫は悟の首を掴み持ち上げる。

 

「っ悟! この……はなし……やがれ!」

 

「……やはり甘い」

 

 サスケの言葉に呆れたように呟くイタチは掴んだ腕を引きサスケの鳩尾に膝蹴りを放ち、うめくサスケを壁に向け投げつける。そして叩きつけたサスケの首を掴み、イタチは瞳をサスケのものと合わせる。その数秒後サスケの悲鳴が、火遁に燃える廊下に響く。

 

「……っ」

 

「……イタチさん……月詠を使いましたねぇ……そう日に何度も使うものでは……っ!」

 

 小さくうめく悟に目もくれずにイタチを見た鬼鮫は、急激に接近してきた()に突き飛ばされる。悟を離し鬼鮫はイタチのすぐ脇の壁へと叩きつけられた。

 

「っガハゴほ……クッソ……思ってたより滅茶苦茶おっせぇ……!」

 

 悟は小さく毒づきながらも、その蛙の脇に歩いて姿を現す忍びに目を向ける。

 

「この男自来也!! 女の色香にホイホイと着いてい「遅れたうえにそんな服装乱れさせた状態で出てきても威厳何てねえーんだよ、この変態仙人がぁ!!」

 

 自来也の見得に対して悟の罵倒が切りこむ。悟の知るよりもかなりべったりと『釣られた後』のような自来也の様子に命がけで戦っていた悟はかなり怒り心頭になった。

 

「おっおお、遅れてすっすまんのぅ……(大人しい奴かと思っておったが流石にキレるとおっかないのぅ)」

 

 悟の様子に慌てて自来也は廊下の床に手を突き術を発動させる。その瞬間、何かを察したイタチはサスケから手を離し壁に叩きつけられた鬼鮫の手を引き起き上がらせる。

 

「口寄せ・蝦蟇口縛りィ!」

 

 自来也の声が響くと同時に、宿の廊下の壁・床・天井がピンク色の肉のようなもので覆われる。

 

「妙木山・岩宿の大蝦蟇の食道を口寄せした。キサメ、イタチ、お前らはどーせ御尋ね者だ。このまま岩蝦蟇の餌にしてやろうかのォ!」

 

 壁から離れたイタチと鬼鮫は瞬時に逃げに徹する。その瞬間イタチは肉壁に埋もれていくサスケに何かを耳打する。

 

「イタチさん、早く引きましょう。このままでは少し厄介なことになりますよォ」

 

「分かっている、鬼鮫。こっちだ」

 

 鬼鮫は肉壁に取りこまれそうになっている大刀を力尽くで抜き取り、そのままイタチと共に走り出す。

 

「ここまでここから抜け出せた奴はおらんのォ!」

 

 自来也は肉壁にチャクラを流し、操作する。視界の外のイタチと鬼鮫を捕らえるべくチャクラを操作する自来也は何かに気づき、駆けだす。

 

「……よもや……」

 

 自来也の目先に広がる光景には、黒き炎に焼かれ大きく穴をあけ外に繋がった肉壁があった。

 

「ちぃっ……逃がしたか。まあ仕方あるまい、今はこの炎を封印するのが先決かのォ」

 

 黒い炎を巻物に封印する手順を踏んでいる自来也だがふと気がつく。

 

「……ん? 悟ゥお主随分と静かになっておるが、どうかしたかァ!?」

 

 イタチと鬼鮫を捕らえることに集中して、悟から意識を外していた自来也は心配になり炎の封印をしたのち、蝦蟇の食道の口寄せを解除する。そして

 

「……お主……何しとんじャ」

 

 床にうずくまる悟の様子に少しあきれた様子になる自来也。

 

「……俺……ぬめぬめした生物的なもの滅茶苦茶苦手で……」

 

 そういう悟は仮面を着けているにもかかわらず、ブルーな感情いっぱいな雰囲気を醸し出す。

 

(……この様子、綱手のとこのアヤツ(・・・)を見たら卒倒ものだのォ)

 

「忍びがこの程度のことでうだうだ言うなァ! サッサとサスケの介抱とナルトを回収して移動するぞぉ」

 

「……了k」

 

 悟の返事が済む前に虚ろな様子のサスケのそばにいた悟と自来也の間にクナイが通り過ぎ……

 

 

 

「ダイナミック・エントリー!」

 

 緑色の影が自来也を蹴り飛ばした。

 

 

~~~~~~~

 

 緑色の影はサスケを追って来ていたガイであった。ガイに蹴り飛ばされた自来也は酷く不機嫌になりながらも、悟が連れて来たナルトに一連の流れを説明する。

 

「つまり今カカシ先生もサスケも、イタチッつーサスケの兄ちゃんの術で意識がねえ状態なんだな……。なんで……そんなこと……」

 

「それは……お前の中の()を狙って……としか考えられないのォ。少なくともカカシとサスケを救うには()()()を探し出し、連れてくるしかない」

 

 そういう自来也にガイは申し訳なさそうにしながら、サスケを背負う。

 

「……自来也様、どうか綱手様を……」

 

「わかっとる。お前さんが事態をややこしくせねばもう少し早く出発できたものを……」

 

「グッ……申し訳ないです」

 

(ガイさんのかしこまる姿は珍しいな)

 

 悟は若干グロッキーになりながらも、普段のガイとは少し違う雰囲気に珍しさを感じていた。

 

「ぜってーその綱手って人連れてくるってばよ! それまで、サスケとカカシ先生のこと頼むぜ激眉先生!!!」

 

「じゃあな、ガイ。サスケの方は頼んだぞ」

 

 ナルトの様子にガイは笑みを浮かべ背に乗せたサスケを支える手とは別の手でジャケットを探る。

 

「ナルト君、君みたいにガッツのある子は好きだ! そこで俺からこれをプレゼントしよう!」

 

 その様子に悟は(あれかぁ……)と少し遠い目をする。

 

「悟もリーもこれで強くなったと言っても過言ではない……」

 

「え!? なに!? なに!?」

 

 ガイの言葉にナルトが食いつく。そのうたい文句はかなり信憑性があった。

 

「これだぁ!! 通気性・保湿性に優れ動きやすさを追求しつくした究極の――――」

 

 ガイは取り出した緑色のタイツの説明を早口で続ける。その様子に悟も自身がそれを受け取った数年前を思い出し、苦笑いを浮かべる。自来也も何か思うところがあるのか呆れた様子でいた。

 

「おお!!」

 

 ガイの説明を熱心に聞くナルト。説明の途中にリーやら悟やら、ナルト自身が強いと認めている者たちのことも話も交じり目を輝かせる。

 

(俺もこの黒いパーカーの下に、黒く染めた奴着てるからなぁ。実際に……確かに性能が良い点は否定できないが……真緑は流石にチョット俺もなぁ)

 

 悟の心の内などお構いなく、ガイはナルトにタイツを手渡し手を振りながらその場を後にした。

 

「ナルト君! 悟! 自来也様! どうかよろしく頼みます!!」

 

 ガイが見えなくなっても嬉しそうにタイツを持つナルトに自来也は顔を引きつらせて話しかける。

 

「お前……まさかそれ着て旅する気かのォ……?」

 

「似合うかなぁ……!」

 

「……流石にそのまま着るのはやめとけよ、ナルト……」

 

 ナルトの嬉しそうな顔に、悟は自身が黒く染めてインナーにしていることを教える。隣を真緑タイツを着た人物に歩いて欲しくない自来也と悟は、そのタイツは一度自来也が預かり後日染めて使う様に勧めることで折りをつけて、旅路を再開したのであった。

 

~~~~~~

 

 道中

 

「なあ、悟。サスケの兄ちゃんが狙ってんのは九喇嘛のことだろ? 何でこいつを狙ってんだ?」

 

「ああそれは……ん?」

 

 自来也の少し後ろを行く2人。ナルトが悟に声をかけるがそれを聞いた悟は、目を丸くする。

 

「え……あ……へ? ナルト九尾の名前をいつの間に……」

 

「さっき宿にいたときに教えてもらったんだよ。何か変か?」

 

「いや……イイことなんじゃないか? (……ちょっとびっくりしたけど、まあ打ち解けてるならいいことだよな……?)」

 

「でさー、九喇嘛ってば悪い奴に操られて里を襲ったらしいんだってばよ。それ聞いたら、こいつもかわいそーだなぁって思って」

 

「悪い奴……悪い奴かぁ……まあそうだよな……。それで?」

 

「で……ああそうか何で九喇嘛を狙うのかだってばよ!」

 

「……良くわからないけど、その悪い奴と同じことをしたいんじゃないのか?」

 

「ああ、なるほどぉ!」

 

 会話の区切りがついた時に、九喇嘛からの念話を受け取る悟。

 

(……貴様がワシの名を知っていること自体不思議だが、ナルトが知ったことにそこまで動揺するとは……貴様何か知っているな?)

 

(……さあ、何ノコトカナ?)

 

(ふん……そういう態度だろうと思っとったわ……。まあナルトも、弱いままではまたワシが迷惑こうむって操られるかもしれんからな。少しだけ手を貸してやることにしたまでだ)

 

(そういうことか……それじゃあナルトの事、よろしくな。九喇嘛)

 

(ナルトも貴様も、慣れ慣れしいィ! どうしてワシのことを恐れんのだ……)

 

 ぶつぶつ言いながら念話を切る九喇嘛に悟は内心(原作でナルトの相棒になった姿を知ってるからなぁ)などと思いながら、ナルトと普通に会話を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(『九尾の名前をいつの間に』……か。それはつまり悟、お前も名を知っておったということになるがのォ……。先の戦い、悟の様子を見るため割って入るのを遅らせたが、少なくとも木ノ葉の敵になる奴ではないと判断した……。 しかしまあ、あまりにも不可解な奴よのォ)

 

 道中、2人の会話に聞き耳を立てていた自来也は内心悟の存在の不気味さに考えを巡らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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