目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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74:雪姫忍法帖:エピローグ

 桜……のような花飾りが散る戴冠式。

 

 雪の国の新たな幕開けを祝うかのような壮大な式は、なんと、ドトウを打倒した当日に行われた。

 

 ドトウに虐げられてきた多くの雪の国の民たちは戴冠式を行う城の広間に集まり、城のバルコニーから姿を見せた新たな君主の姿に大きな歓声を上げる。

 

 発熱機の効果で、温暖な気候を呈していた区域はドトウの打倒を受け大きな賑わいを見せていた。

 

 歓声が止まらない中、一度手を振り眼前に広がる民たちの姿に視線を向ける風花小雪。

 

「……っ!」

 

 ふとその中で父が微笑んでいる……そんな気がした小雪は飛び切りの笑顔を民へとみせ一度、城の中へと引き上げていった。

 

~~~~~~

 

「はぁ~~~~つっっかれたぁ……」

 

 豪華な着物に身を包んだ小雪は先ほどまでの威厳のある姿から一変、城の中の一室の椅子へと座りへたり込む。

 

「ひ、姫様……行儀がわるぅございます……!」

 

 その様子に、身なりを整えた三太夫が慌てて近づき、着物が皺にならないように手で整える。

 

「三太夫!! アンタ、ドトウ倒した当日にこんな戴冠式やるなんて馬鹿じゃないの!?!? アンタの怪我も全然治ってないでしょ!!」

 

「ははぁ……いやしかし、木ノ葉の忍びの方たちに後を託したのちに我々に出来ることが思いつきませんでしたので……姫様の勝利を信じて……こう……準備だけでもと……」

 

「消極的な奴だと思ってたけど今回の出来事でアンタへの評価が変わったわぁ……行動力のあるおバカなお節介焼きってねぇ!!」

 

 フンっと鼻を鳴らした小雪に三太夫は頭をペコペコ下げて謝っていた。

 

 するとコンコンッと部屋の扉がノックされる。

 

「姫様、仮面の忍び様をお連れいたしました」

 

「どうぞ~」

 

 侍女の声に間の抜けた小雪の返事が返され扉が開く。そこには悟がいた。流石に服も着ていない戦闘直後の状態ではなく、雪の国の衣装に身を包み仮面をつけた姿であった。

 

「俺だけ呼ばれてきましたが……何か御用ですか?」

 

 かしこまった様子の悟は、その場から下がっていく侍女に頭だけで軽く礼をして部屋の中に入る。

 

「三太夫……」

 

 そう呟いた小雪は顎で三太夫に部屋から出ていくように指示する。

 

 汗をハンカチで吹きながらも三太夫は一礼をして扉を閉め部屋から出ていく。

 

 少しの無言が部屋の空気が占める。

 

「とても似合っていますよ、その衣装。流石小雪姫……」

 

 悟がお世辞を言うと鋭い目つきの小雪のガンつけが飛び少し怯む。

 

「……ぷっ……アハハハハ! 変にかしこまらなくて良いわよ……アンタ、手が動かないと下のパーティーで碌に食事も食べられないと思ってね」

 

 朗らかに笑った小雪は悟の包帯の巻かれた両腕に指をさし、部屋の机に広がる豪華な食事にそのまま指先を向ける。

 

「ほら、今は私以外いないからアンタのその仮面外して食べさせてあげるわ」

 

 椅子から立ち上がり、机の上の料理をさらに盛り付け始めた小雪に悟はぎょっとする。

 

「え゛あ゛!? そんな、いいってそんなこと……っ!!」

 

「遠慮したら、雪の国でアンタの事指名手配犯にするから」

 

 ビシッと悟にフォークの先を突きつける小雪。

 

「……横暴極まってんぞ……っ!!!」

 

 そう言いながらも悟は渋々、席へと着く。一度顔を見られている以上、下手に駄々をこねても仕方ないと持ったのだろう。

 

「そう、お姫様のいう事は聞いておくべきよ♪」

 

 機嫌を良くした小雪は悟の仮面を外し、皿の料理を悟の口へと運ぶ。

 

「……やっぱハズかし「火の国との貿易断っちゃおうかな~?」……はむっ」

 

 有無を言わさない小雪に、悟は顔を赤らめながらもフォークの先の肉を口に含んだ。

 

「どう?」

 

「美味しい……香辛料が独特かも」

 

 咀嚼しながら照れてる悟に、にっこりとした笑顔で小雪は料理を口に運び続けた。

 

 

~~~~~~

 

 城下の会場では悟を除いた木ノ葉の面々が食事を行っていた。

 

「小雪さん、綺麗だったわね!」

 

「ええそうですね、流石女優さんです。そうでなくともああいう衣装は少し憧れるもので……」

 

 サクラの言葉に白が返事をし、場は盛り上がっていた。

 

「はぁ~今回ばかりは、お前たちの成長のすごさを見せつけられて、先生、感動しちゃった」

 

 おちゃらけてそういうカカシにナルトは口の中に食事を運びながらも

 

「まあね、まあね、まあねぇ!! やっぱ俺ってば火影に成る男!! こんな任務なんてお茶の子さいさいぃ!!」

 

 そう気分を良くしてはしゃいでいた。

 

 サスケも黙々と食事をしているが、サクラがあれこれと持ってくる料理に少し参った様子を見せていた。

 

「ああでも、あの発熱機って未完成何ですって、しばらくしたらまた冬に戻るみたいよ」

 

 サクラが小雪から聞いていた情報を口に出す。それに白が答える。

 

「それでも、この国の人たちなら開発を進めてより良いものが出来ると思います。そう……いつか春の国と呼ばれるぐらいに……」

 

「……意外だ。お前って、そういうことも言うんだな、もっと感情がない奴だと……いてっ」

 

 サスケの意外だという言葉に白は無表情で机の下で蹴りを入れる。

 

「まあまあ、一件落着ってね! あとはこの国の人たちに任せて、俺たちは午後の便で火の国に帰るぞ」

 

「ええ!? もう帰っちゃうんですかカカシ先生!? もっとゆっくりしていきましょうよ~」

 

「あ・の・ねサクラ、任務は小雪さんの護衛でもあったけど、映画スタッフたちの分の護送もあるのよ。マキノ監督が気合い入って映画作りしたいって言って火の国に帰りたがってるから忍びの俺たちはそれに従うしかないの、わかったか?」

 

「は~い……」

 

 渋々と言ったようすのサクラ。カカシはたしなめるように優しく言い聞かせ、食事を終えたら帰りの準備をする様に言い聞かせた。

 

~~~~~~

 

 一方食事を終えた、悟と小雪。机の上には皿が幾重に重なっていた。

 

「アンタ、結構量を食べるのね……まあ、あんなに凄い動けるし忍びなら食べて当然なのかもね」

 

「普段は食事量は控えてるけど、まあ今回は良いかなって……」

 

 ふうっと一息ついた2人。ふと小雪が呟く。

 

「……君主かぁ……」

 

「……やっぱり不安か?」

 

「まあね、口と態度で誤魔化すのは女優の専売特許だから……正直不安よ」

 

「……」

 

「でも大丈夫よ、何てったって小さい頃の私の夢なんだから。どんなことがあっても挫けないわ」

 

「フフっそうだな」

 

 お互いに笑みを浮かべる。ふと小雪は悟の顔をまじまじと見つめる。

 

「な、なんだ?」

 

「いやぁこう見ると中性的な……いやどちらかというと女性的な顔立ちしてるわねアンタ」

 

「よく言われる」

 

「それに声も結構高いし……」

 

「それも良く言われる……なんだよ急に」

 

「いやもしアンタと共演するならどんな作品になるのか気になっちゃって」

 

 その小雪の言葉に悟は疑問符を浮かべる。

 

「共演って……小雪は女優はやめて君主になるんだろ? 何言って……」

 

「誰が止めるなんて言ったのよ?」

 

「……はあ!?」

 

「雪の国の君主も……女優も両立させるわよ、ここで諦めるなんてばかみたいじゃない?」

 

 飛び切りの笑顔の小雪に悟は、少しの間呆けてその後笑い始める。

 

「……アンタの言葉、忘れないから。悟も、あの約束忘れないでよ?」

 

「……おう」

 

 

 

 

 その後、悟は仮面を着け部屋を後にしようとする。

 

「ああ、渡し忘れるところだったわ」

 

 ふと小雪は、大きめのバッグを悟へと背負わせる。

 

「ん?」

 

「お土産よ、お土産」

 

「何か異様に重くないか……?」

 

 そのバッグの重さに違和感を覚える悟が小雪に中身を聞く。

 

「そんなに種類は多くないわよ? 私のサインの色紙、人数分でしょ? それと雪羅の核になってた鉱石の一部」

 

「ん……んんん!? とんでもないモノじゃねぇか!?」

 

「私の色紙はレアよ? そりゃ将来とんでもない価値に……」

 

「いやいやいや!? そっちも嬉しいけど、あの鉱石の一部って……」

 

「大丈夫よ、今は何の変哲もない鉱石だって三太夫たちに確認してもらったし……ほら鉄の国の侍が使ってるチャクラを通しやすいっていうアノ鉱石、それと一緒よ」

 

「一緒……ではないと思うけど……まあ、うん……それじゃあ有難くもうらうよ……」

 

 あまり納得の行っていない悟だが、無理無理小雪に持たされたそれを無下にも出来ず、そのまま港へと向かった。

 

 

 お忍びの小雪や三太夫らに見送られ、悟たちを乗せた船は火の国へと向けて出航した。

 

 出会いと別れ、そんな春の出来事のような、そんな任務は終わりを迎えたのであった。

 

 

 

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