目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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77:終末の谷の戦い

「俺から……逃げんのかっ!!」

 

 終末の谷、千手柱間の像の頭上でうずまきナルトが吠える。

 

 対岸、うちはマダラの像の頭上で背を向けるうちはサスケがその言葉に振り返る。

 

「よう、ウスラトンカチ」

 

 サスケの顔左半分は呪印の侵食が見え、瞳の色を月の如く黄色く変色させている。

 

「サクラの次は……お前か」

 

 感情のない、無表情のサスケにナルトは小さく恐怖を覚える。

 

 ナルトの知る彼の普段の表情とは違い、それは突き放すように冷たい表情だった。

 

「何で……何でだよ……サスケェ……」

 

 ナルトの脳裏に浮かぶ、第七班での任務の日々。 つまらないと言いつつも、任務でお互いムキになって畑の収穫を競ったり修行で進捗を報告し合ったり……。

 

 アカデミーから続く、奇妙で、けれど暖かい、そんな日々……

 

「何でそんな風に……お前はっ!!」

 

「俺には俺の道がある……それだけだ」

 

 つい先日、一緒に雪の国の事件を解決した仲間が……里を抜けようとしている。

 

 その余りにも不条理で理解できない今の状況にナルトは苛立ちを見せる。

 

「……シンプルに言えば、ドベのお前にもわかるか……? 俺には……お前ら木ノ葉の連中と慣れ合う時間はないってことだ」

 

 突き放すサスケの言葉に、ナルトは理解を拒絶するように頭を横に振る。

 

「チョウジやネジ……キバやめんどくさがり屋のシカマルまで……それに手術したばっかりのゲジ眉まで……みんな命懸けで……」

 

「ご苦労なこったな……そんな暇があれば里で修行の1つでもしてれば良かったものを……」

 

 サスケの言葉にナルトは目に涙を浮かべ歯ぎしりを鳴らす。

 

『最後に一番大切なことを言っておく。 サスケは俺にとっちゃ深いダチって訳でもねーし、別に好きな奴でもねぇ……けどサスケは同じ木ノ葉隠れの忍びだ! 仲間だ!! だから命がけで助ける……これが木ノ葉流だ』

 

 サスケ奪還の任に着くときのシカマルの決意を固めた言葉を思い出し、ナルトは目を見開く。

 

 ナルトに再び背を向け、歩き始めたサスケが自身に影が落ちたことに気がつく。

 

 サスケの頭上へと跳躍したナルトが叫ぶ。

 

「てめぇは木ノ葉の仲間を何だと思ってんだ!!!!」

 

 そのままサスケを地面へと叩きつけ、ナルトはサスケの顔を殴りつける。

 

 それでも口から血を流しつつも表情を変えないサスケにナルトが組み伏せたサスケの胸倉を掴み持ち上げる、すると

 

「その仲間とやらは……俺の何を知っている……?」

 

「……ッ!?」

 

 サスケがその口を開き、反論をナルトに叩きつける。

 

「うちはの惨状も……その真実も……何もかもが……里の奴らが知る由もないことだ」

 

 サスケの視線が僅かに鋭くなる。

 

「うちはが壊滅したあの夜、あの場に居た俺と……悟だけは違和感を覚えた……だからこそ、あいつは俺の無様な暴力すら受け入れ……」

 

「何言ってんだ、サスケ……?」

 

 困惑を露わにするナルトにサスケも胸倉を掴み返す。

 

「俺は……里は信用していない」

 

「っ……なんでだ!? お前も……あんなに楽しそうに……」

 

 サスケの言葉に至近距離でナルトが怒鳴り返す。 思い出が輝かしいほどに、それを否定されナルトは激高する。

 

「ああ、俺自身も……お前らとの日々を……満更でもないと、思っている」

 

 だが

 

「それだけだ……日の当たる面にばかり眼を向け続けてしまえば暗い……闇を見通すことは敵わなくなる」

 

 瞬間、サスケの頭突きがナルトの顔面を捉え怯んだ隙に蹴り飛ばされてしまう。

 

 起き上がり埃を払う仕草をし、サスケは言葉を続ける。

 

「ナルト……お前も、俺と同じはずだ」

 

「っ痛ぅ……何がだ……」

 

 サスケがナルトへと指差す。

 

「イタチが狙っていた、お前の中に宿る〈力〉……その力が木ノ葉で()()()()()()……お前自身が詳しくはなくとも知らないわけがないだろ?」

 

「っ……!」

 

 サスケの言葉に仰向けのナルトは目線だけをサスケに向け押し黙る。

 

(……)

 

 さらにナルトの中の九喇嘛もまたその言葉を聞き、瞼を伏せる。

 

「多くの者を傷つけたその力……それがもたらした影響……少なくとも、悟と出会う前のお前はそれに苦しんでいた」

 

「……うるせぇ

 

「そして、お前自身が感じたハズだ……その力さえなければ、いや〈己の意思で振るえる力〉があればと」

 

「うるせぇ!! サスケェ……お前に何が!!!!」

 

 そこでナルトは気がつく。 ……サスケの憐れむような視線に。

 

「……その力はなぜ、お前の中にある? ……なぜ里の者は皆、極秘として火影が指定したはずのその秘密を公然と知り、お前を虐げてきた?」

 

 ナルトはサスケの言葉に、言葉もなくうつむく。

 

「秘密を、闇を暴くのには闇へと進みそれを払う力が必要だ。 ……そこで仲間の力を借りたところで、己自身が弱ければ意味がない」

 

 己の左手を睨みそれを握りしめるサスケ。

 

「力そのものには、善も……悪もない。 あるのはそれがどのように振るわれるか、振るわれたか……だ」

 

 サスケの目線は再びナルトへと向けられる。

 

「俺は……俺の目的を成すための力を手に入れる……それが例え……己以外が忌み嫌う力だとしてもだ」

 

「……大蛇丸ってのは三代目を殺して、里を潰そうとして……お前の体を只の入れ物として欲しがってるだけの変態ヤローだ……そんな奴のところに何て……」

 

「だからこそ、闇を見通せる。 兄が……イタチが居るその場所を」

 

 ナルトはサスケを説得するために立ち上がる。

 

「所詮今の俺たちは何も知らない……知ることのできないただのガキだナルト。 自分の立場さえ本当の意味で理解できていない……」

 

「……そうかもしれねぇ!! だとしてもだっ!!! それはサクラちゃんを悲しませてまですることなのかよォ!?!?」

 

「………………俺の道を助けろともいうつもりもないが、邪魔をするなら……その全てが俺の敵だ……っ!」

 

 ナルトの言葉を受けたからか、呪印がサスケの首元へと収束を見せる。

 

 しかしその瞬間に放たれたサスケからの冷たい殺気にナルトは、苦虫を嚙み潰したような表情で俯き、身体を震わせる。

 

「例えお前に敵と思われてもだ……俺は……てめぇを、サスケェ!!! ぜってぇに木ノ葉に連れ戻すっ!!! 大蛇丸なんかにはやらねぇっ!!」

 

 ナルトの咆哮に合わせるように、高速で接近したサスケの不意打ちの蹴りにナルトは対岸の柱間の像へと叩きつけられる。

 

「ッがぁ!?」

 

「ならやってみろウスラトンカチっ!! てめぇが今持つ、全力でなっ!!」

 

 叫ぶサスケは額当てを着け、対立の印を構える。

 

(サスケ……俺はこんな形でお前とは戦いたくはなかったってばよ……っ!)

 

 ナルトも立ち上がり、対立の印を構える。

 

 いつか互いに戦いたいと願った2人の対立が印をもってなされる。

 

 

 

 2人の間、その空間に木ノ葉が漂い滝壺へと吸い込まれていく。

 

 思い出も、感情も……今は言葉に意味はなく

 

 忍びが語らうのはただ己が研鑽した〈力〉のみ

 

 

 

 木ノ葉が水面へと着いた瞬間、互いが己の最高峰の技を構える。

 

 ナルトは影分身と螺旋丸を

 

 サスケは千鳥を

 

 サスケは千鳥の身体活性により大きく跳躍、ナルトも影分身の烈風掌に押し出され宙へと飛び出す。

 

 

「サスケェーーーーーっ!!!」 「ナルトぉーーーーーっ!!!」

 

 

 互いの術が、力が、意思が滝の上で衝突する。

 

 術と術の衝突が発生させた衝撃が水面を削る。

 

 

 

 数秒ののちに、お互いの術の衝撃が両者を吹き飛ばす。

 

 水面へと着地したサスケは印を構える。

 

(俺の千鳥とあの螺旋丸とかいう術の威力は同等か……千鳥はチャクラ消費が激しい……ナルトとのあの術と相打ちで終わる今は、搦め手で攻める……っ!)

 

「火遁・鳳仙花!」

 

 サスケの放つ複数の火の玉はそれぞれが弧を描き、態勢を整えるナルトの元へと向かう。

 

「影分身!!」

 

 咄嗟にナルトは火の玉の数だけの影分身をだし、それらを盾にすることでサスケへと走り寄る。

 

 影分身が消えた瞬間の煙を巻き上げながら、ナルトがサスケへと殴りかかる。

 

 しかし、その攻撃の推進力をサスケは発動させた写輪眼をもってしていなし、滝壺に向けナルトを投げ飛ばす。

 

「うわっ!?」

 

 空中へと身を投げ出させたナルトに向け、追撃のためサスケが印を結びながら同じく滝壺へと跳躍する。

 

「火遁・豪火っッ!?」

 

 その瞬間サスケがナルトを視界に納める前に、ナルトの拳がサスケの視界を覆う。

 

「ガっ!?」

 

 写輪眼でいくら見切ろうが、身体が反応できないタイミングでの攻撃、サスケはナルトのアッパーカットを空中で喰らう。

 

(っ影分身に烈風掌で自身を打ち出させて、反撃に転じやがったかっ……!)

 

 ナルトの拳に怯みながらも、サスケはナルトの腕を掴んで引き込み膝蹴りを喰らわせる。

 

「グハっ……!」

  

 口から息と唾を吐き出すナルトだが、自身の額当てをサスケの額当てに思いっきりぶつけ仰け反らせる。

 

 そのままお互いに滝壺へと落ちながらの攻防を数度行い……

 

 終末の谷の2つの像の間に大きな水しぶきが上がる。

 

 数秒の静けさののちに、再度水しぶきが上がり2人が宙へと舞う。

 

 水面へと着地する両者。 サスケは呪印を解放しつつ、ナルトへと問いかける。

 

「知ってるかナルト……一流の忍び同士なら拳を一度交えただけで互いの心の内が読めちまうらしい……どうだナルト? お前に俺の本当の心の内が読めたか……?」

 

「そんなもん……わかんねぇよ……けど、だけど俺は……っ!」

 

「フッ……お前は甘いな……」

 

 サスケは容赦なく印を結び火遁を放つ。 後手に回るナルトは術を捌いた瞬間を狙われ、サスケの打撃を喰らってしまう。

 

(わかんねぇ……わかんねぇよ……サスケ)

 

 防戦一方となったナルトは徐々に意識を内へと潜らせる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワシの力が必要かナルト?」

 

 ナルトの精神世界、九喇嘛はナルトへと問いかける。

 

「……ああ」

 

 不貞腐れたようにナルトは呟く。

 

「……」

 

 その様子を少し見つめた九喇嘛は、ナルトへと渡る寸前になっていた朱いチャクラを引っ込ませる。

 

「っ……なんで!?」

 

 そのことに、つい疑問の言葉を述べるナルトに九喇嘛が語りかける。

 

「……うちはの小僧の言葉通り、ワシの力は多くの者を傷つけた」

 

「っそれは前にも聞いたってばよ! でもそれは操られて仕方なくなんだろ……? いいから今は力を……貸して――」

 

「いいや……確かに操られたの事実だ、だが……ワシは心の内でそれを楽しんでいた……」

 

「……っ!? ……そんなことは今は関係ねぇよ!! だから――」

 

 九喇嘛の語りを聞き受けたくないと首を振りナルトは力を催促するも、九喇嘛はナルトを冷たい目で見下ろす。

 

「言い方を変えさせてもらえば……ワシは貴様の師、イルカの両親を……悦び蹂躙したのだ」

 

「っ…………っク……」

 

 九喇嘛の言葉にナルトが目線を逸らし後退る。

 

「ナルト……お前は本当の()()から目を逸らしている……そうだな?」

 

「そんなこと……っ!」

 

「気づいているハズだ……そしてこうも思っているハズだっ! ワシさえ……九尾さえいなければ、自分は孤独を感じる必要がなかったとっ!!!」

 

 九喇嘛の指摘する声はだんだんと荒くなっていく。

 

「最近の……いや具体的に言おうか、貴様が螺旋丸をもってカブトを落ち倒したときに感じたハズだ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を」

 

「……っ」

 

 口を挟もうとするナルトの言葉に被せ九喇嘛の言葉が続く。

 

「そして雪の国でもそうだ、ドトウを打ち倒したときにお前は何よりも先に自身の力の強さに酔いしれていた」

 

「……」

 

「お前は未だに黙雷悟に対して、嫉妬している……イヤ、初めからか? 初めから、悟と出会ったあの公園での出来事からお前は常に先を行く悟の力に憧れ、対等と口にする奴の言葉に怒りを覚えていた」

 

「……」

 

「ワシはお前の中でずっと見てきた……お前はまだ〈力〉を持つことへの、理解と覚悟が足りん」

 

「……だったら何だって言うんだよっ!! 今は説教聞いてる場合じゃっねぇんだよォっ!!」

 

 

 

 

「本当の……〈力〉が何なのか、貴様に教えてやろう……小僧」

 

 

 

 

 その九喇嘛の言葉の瞬間、現実世界のナルトの周囲に衝撃波が発生しサスケを吹き飛ばす。

 

 ナルトの周囲に渦巻き、立ち昇る朱いチャクラ。

 

(あれが……中忍試験で悟相手に見せたと聞いていた……なるほどナルトの内なる力か)

 

 サスケは、さらなるナルトの力に期待と不安を感じ、僅かに顔をニヤつかせる。

 

「……」

 

 無言のナルトの周囲に渦巻いていたチャクラは収束を見せ、ナルトの体表を覆う。

 

(まるで雪の国でのチャクラの鎧みてぇだな……だが随分と……身に迫るプレッシャーが違う)

 

 サスケの思う感想の如く、ナルトの体表のチャクラは、まるで獣を模したかのような形状となる。

 

 目を朱く変化させ、牙をむきだすナルトは一瞬視線をサスケに向け

 

 高速で接近をする。

 

 サスケの写輪眼は辛うじてその動きを察知し、ナルトの叫びと共に繰り出した攻撃に対応する。

 

「ガぁあああ!!!」

 

(身体能力の向上したか……だが俺の写輪眼なら見切れる動きだっ)

 

 大ぶりな引っ搔くようなナルトの攻撃をすんでのところでかわすサスケ。 しかし

 

 横を通り過ぎるナルトの腕の、朱いチャクラの衣が巨大な拳を模る。

 

「なっ!?」

 

 サスケが驚愕の声を上げた瞬間、その拳が振るわれサスケを吹き飛ばす。

 

 大きく吹き飛んだサスケは水切りの如く水面を跳ね、崖へと激突する。

 

 大きく弾けた崖にめり込んだサスケは吐血する。

 

(チャクラだけで……この密度の衝撃……っ)

 

 サスケが崩れ落ち、僅かな地面へと転がると既に跳躍したナルトがサスケの上空から飛びかかっていた。

 

(避け――)

 

 反応の遅れたサスケは右腕をナルトに踏み抜かる。

 

 地面がその攻撃で大きく陥没をして見せ、流れ込んだ水がサスケを攫い水深深くまで落とし込む。

 

「ガボッ……」

 

 水流に巻き込まれ、サスケは水中から水面に居るナルトへと目を向ける。

 

(あの様子……制御出来ていないのか……)

 

 折られた右腕の痛みに耐えながらもサスケは、ナルトの様子を観察する。

 

(あれが……あのナルトかっ)

 

 獣のように暴れ狂い、周囲に拳を振るうその姿はサスケの知るナルトのモノではなかった。

 

「……っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――初めは、只の悟の腰巾着だと思っていた……イヤ違う、その前からも俺は……奴を、ナルトを知っていた。

 

    元より孤独だったお前の感情なんて、俺には少しも理解が出来ていなかった。

 

    だが俺の失った繋がりの痛み、それを痛感していると時に……ナルト……

 

    お前が1人で居る時の姿を思い出していた。

 

    互いを理解するのに……感じなければいけない痛みは同じである必要があるのか?

 

  

「っ!」

 

 水中のサスケは痛む右手を無理やり左手で補助し動きを追従させ印を結ぶ。

 

 

――――段々と強くなるお前を見て俺は焦っていた……中忍試験で悟と戦い、あの我愛羅を止めたお前を

 

    例え、お前が強くなろうが……俺には関係ないはずなのにだ。

 

    だが今ならわかる……お前は…………俺にとっての……

 

 

(雷装・千鳥……っ!)

 

 千鳥を全身へと纏い、サスケは一気に水面へと上昇する。

 

 

「っ!?」

 

 ナルトがその気配を察知するも、刹那のごとくサスケの拳がナルトを打ち抜く。

 

「おうらぁ!!!」

 

「ガっ……!」

 

 そのまま吹き飛ぶナルトに影舞葉で追従し、連続で蹴りを浴びせる。

 

 一撃一撃、纏った千鳥がナルトを被うチャクラの衣を削り痛打を与える。

 

 水面へと落下しつつも連撃をナルトへと浴びせ、着水する瞬間に、大きく体を回転させる。

 

「獅子連弾!」

 

 回転の勢いを乗せたかかと落としでナルトを水面へと叩きつける。

 

 大きく上がる水柱、しかし追撃の手を緩めないサスケは水面が衝撃で固まっている瞬間には既に動き出し、ナルトの左肩に対して千鳥の突きを繰り出し貫通させる。

 

 そのまま、すくい上げるような動作でナルトを対岸の崖へと放る。

 

 ナルトが崖の壁面にぶつかり、大きなクレーターを形成する。

 

「……ナルトぉ!!! てめぇは……そんなんで満足か!?」

 

 サスケはナルトに向け叫ぶ。

 

「力に振り回されるだけの……目的もなく、意思もないそんな状態がてめぇの望むものなのか?!?!」

 

「……うるせぇ!!」

 

 ナルトの咆哮が、ナルトの周囲の瓦礫を吹き飛ばす。

 

「何なんだよサスケェ……おめぇは何がしてぇーんだよ?!?!」

 

 正気を取り戻したナルトは右手の拳を壁面に叩きつけ憤る。

 

「俺は……俺にしか出来ないことを成す……」

 

 サスケは目を閉じ、集中する。 そして呪印を解放する。

 

 全身を覆う呪印はサスケの皮膚を浅黒く、髪を伸ばし白く染める。 呪印により、背中から拳のような羽を生やしたサスケが跳躍。

 

 それに合わせナルトも飛びかかり、空中で衝突する。

 

「その為に力を求める、この呪印のようにっ!!」

 

「力、力……ってうるせぇんだよ!! ……もう今はどうだっていい、ただサスケェ!! お前の手足を砕いてでも、里に連れ戻す!!! 俺がァ!! そうしたいから、そうするんだってばよォ!!!」

 

 背の羽で空に飛ぶサスケに水面に着地したナルトは、チャクラの衣を伸ばしサスケに向け攻撃を繰り返す。

 

「お前にとって、俺が何でもねぇーただの落ちこぼれでも、俺はぁ!! おめぇをライバルだと……兄弟みてぇな奴だって思っちまってる!! その繋がりだけは、何が何でも切らせねぇ!!」

 

「ナルト、お前は俺にとっての……()()()()()()だ。 だが、その繋がりは今は不要だ……重荷となるならば捨て行くまでだ!!」

 

 跳躍したナルトに、サスケが飛翔し勢いそのままに蹴りを放つ。

 

 衝突の勢いを互いが利用し、距離を離す。

 

 互いが終末の谷のそれぞれの像の足元に降り立ちチャクラを練る。

 

 右腕が動かないサスケと、左腕が動かないナルト。

 

 サスケは発動させたままだった雷装を左手に集中させ、呪印に染まったチャクラを加え黒き雷遁の光を左手に宿す。

 

 ナルトは右手にチャクラの衣から供給されるチャクラを回転させ、圧縮し留める。

 

「互いにリスクがある力のようだな……そろそろしまいにしよーぜ」

 

「……ッ」

 

 2人の視線がぶつかる。

 

 例え周囲に理解されなくとも、己の意思を貫き通す視線。

 

 ただひたすらに目の前の友を失いたくないという視線。

 

 

 

 

「終わりだ、ナルト」

 

「終わらせねぇーぞ、サスケェ」

 

 

 

 

 

――千鳥!!――螺旋丸!!――

 

 

 

 

    

 

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