目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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ここには誤字報告とか投票?とか色々なシステムがあるみたいですね。


8:勇気をなす術

人間は、きっかけ次第で考えもつかないほどの変化を見せる時がある。俺にとっては間違いなく、転生前の事故がそれに当たるだろう。成長と言えるかは、まだわからないが少なくとも理不尽を見過ごすことができなくなっている自分がいる。

 

夜、マリエさんの部屋で恐らく一週間後に起きるであろう事件に首を突っ込む覚悟を決めた俺とマリエさんの間で沈黙が流れる。窓からの月明りのみに照らされたこの部屋の雰囲気は重い。マリエさんからしたら、何か事情を抱えた3歳児が一週間後、里同士の平和条約の結ばれる日に影分身の術で何かをしようとしている、なんて意味不明で理解不可能な状況だろう。

 

今更ながら期限を真面目に宣言したのは正直うかつだったかも・・・。もしかしたらマリエさんは、影分身の術の習得を遅らせるよう指導するかもしれないし、一週間後外出を止められるかもしれない。・・・俺って忍びに向いてないかも。

 

そもそも、ヒナタが誘拐されるとも限らないのだ。ここが、この世界が「NARUTO」と同じ展開が起きる世界だとはまだ俺は確証できる立場ではない。もし事件が起きればおそらく今回の件が、俺がこの世界に本格的に干渉するはじめの一歩になるのかもしれないが。誘拐事件の全容は詳しく覚えていないが、たしか平和条約が結ばれたのち、日向ヒナタが誘拐され、日向ネジの父親が犯人を殺害。殺害の責任を負い、自殺。ネジがグレる。という内容だったはず。細かい所は違うかもしれないなあ・・・。

 

俺が沈黙の中、起きてもいない事件の内容を整理していると、マリエさんが口を開いた。「一週間後には影分身の術が必要になるのね?なら少し修行の時間を多めに取りましょうか。」

 

思っていた反応とは違うが、良かった、マリエさんは協力してくれるようだ。俺が安心した様子を見せたときマリエさんは、再度口を開き俺に問う「『貴方』じゃないといけないことなの?」と。俺自身も考えていた内容に対して「・・・はい」と答える。

 

この件に俺が出しゃばる必要性は皆無なんだと思っている。むしろ木の葉の忍びに依頼して警備を厚くするとかしてもらう方が事件を解決するのには現実的だろう。実力者に協力してもらうのも手だ。ただ幾つか問題がある。

 

その1事件の証拠がない。起きてない事件の証拠があるはずもなく。その1が結構決定的だが、

 

その2被害の拡大。こっちが俺が他人に任せない主な理由だ。

 

その3コネクション不足。

 

つまり現状、俺の妄言に付き合う人間、さらに言うなら実力者はいない。話を聞いてくれそうなガイさんでも、本編に絡む人に万が一があったら大きな問題だし、マリエさんに任せるのも問題外に決まっている。

 

被害の拡大とは『俺が知っている』被害からの剝離することだ。今回の件で言うなら誘拐を阻止した日向が、損をくらうのが納得がいかないのだ。それに本来関わらない人を巻き込むのはできるだけ避けたい。日向を助けても巻き込んだ人に被害が行っては元も子もない。

 

つまりほっといても解決するこの件に首を突っ込むのは完全に俺の自己満足、エゴでしかないのだ。

 

俺の返事にマリエさんは「死なないで」とはっきりと口にする。むろん死ぬ気はない。もう一度死んで、死ぬのにはこりている。ただ悲劇を見過ごせないわがままな俺がいるだけだ。

 

ただこのお節介をしなければ俺は、また後悔に溺れる自分に戻ってしまう、そんな気がするのだ。

 

「・・・いいんですか?」と俺は無神経な質問をする、いいわけがないだろう。けれど事情も聴かず止めもしないマリエさんの行動に違和感を覚えた俺はマリエさんに質問をした。マリエさんは辛そうに「貴方の選択ですもの。私がケチをつける理由はありません。それに貴方は人の痛みを、理解してあげられる人だから。・・・だからこそやらないといけないことなのよね?」と答えてくれた。

 

マリエさんは「俺」を信頼してくれている。俺の覚悟を読み取ってくれている。けれど、マリエさん自身に納得していないというか、何かを嘆いている様子に俺は理解が及ばない。ただ「はい・・・!」と強く答えて安心させてあげることしかできなかった。

 

また沈黙が流れる。不意に椅子から立ち上がるマリエさん。マリエさんに変化をして立っている俺と目線が同じになる。するとマリエさんは右手を上げる。俺がその手に目線を移したとき、急に足元をすくわれた。

 

マリエさんの足払いにより、俺の体は宙に浮き変化の術も解除される。マリエさんの身長分の高さから、落下し尻で着地した俺は「イッタい!」と声を上げる。一応このマリエさんの部屋は、土遁で補強されているらしく振動や音はあまり外には漏れない。一応シェルターの役割もあるらしい。

 

閑話休題

 

俺が立ち上がるとマリエさんは解説をし始める。

 

「この様に変化の術は衝撃に弱いわ。悟ちゃんの場合、自分の体より大きなものになるとき、本体がカバーしていない部分がより脆くなるの。今の場合、頭の位置は、変化の術の『義体』と悟ちゃんにズレはないけど、手足は悟ちゃんの本来の手足は全く届いていない。だから簡単な足払い程度でも解除されてしまうの。また、影分身の術も変化の術同様に衝撃によって解除されるわ。・・・つまり、悟ちゃんができる精いっぱいは『隙』を作ること。それも物理的な方法はリスクが高いことを忘れないでね。」

 

急なマリエさんの本格的な指導に一瞬あっけに取られるが、すぐに内容を理解し「わかりました!」と返事をいう。この日の夜からマリエさんは元の予定よりも早く、影分身の術習得のためのレクチャーをしてくれるようになった。

 

またそれに並行して俺が使える忍術。分身の術と変化の術に対して理解を深める勉強も行われた。

 

 

分身の術の原理は、自身の体の見た目をチャクラで再現しているという単純なものだ。例えるならホログラムだったり、霧に光で映像を映しているのがあげられると思う。

 

変化の術は、分身の術の延長にあたる。霧のように薄いチャクラで見た目だけを再現するだけではなく、質感をも再現する。見た目を変えられる、チャクラで出来た義手・義足を着けていると考えればわかりやすいかも。もちろん分身の術にくらべ質感を出すので、消費するチャクラ量は多い。

 

ちなみに変化の術の質感は極めれば、鉄をも再現できるとか。影分身が刀に変化して、それで本体が切りあうとかの芸当もできるようになるかもしれない。一応小物に変化する変化の術は時空間忍術に分類わけされるようだ。まあ、俺ができる変化の術は見た目の再現に精いっぱいで質感にまわすチャクラ量は少ないので脆い。そして小物に変化することもまだできない。悲しい。

 

そして、影分身の術。分身の術のように離れた位置に、全身を変化の術の要領で作った『義体』で再現するのが影分身の術だ。そして影分身の術による分身体は『意思』を持つ。チャクラには本人の『意思』が深くに宿っているらしい。印を結びチャクラが持つ、術者の『意思』を表面に出すことで、チャクラの『義体』は自分で考え行動するようになる。

 

影分身の術は『意思』を表に出しているため、分身体の経験はチャクラに強く刻まれる。だから術が解除され、本体に分身体のチャクラが戻るときに、情報や感情、疲労などがフィードバックされるのだ。ちなみに俺は勘違いしていたが、影分身の術はチャクラを完全に等分にしているわけではないようだ。敵の目の前で使ったときに、内包するチャクラ量が違うと簡単に本体を見切られてしまうから等分にしているにすぎないようだ。

 

つまり、単純作業をやらせるだけだったり強度を気にしなかったり、本体がばれても問題ない場合は分身体の数はより増やせるのだ。つまりこの施設でマリエさんが20人もの数の分身体を出せるのは、『義体』分と内包させる分のチャクラ量を低コストで済ませているからである。さしずめ安価版影分身と言ったところか。

 

術の特性を知るとなるほどと思うところはある。例えばナルトが分身の術をアカデミーの卒業試験で出来なかったのにも関わらず、印を覚えただけで影分身の術を成功させている。分身の術は、簡単な部類だがチャクラコントロールを必要とし、使うチャクラの分量が多すぎると中途半端に実体をもった『義体』ができてしまい体を支えられるずに崩れてしまうのだ。それに分身の術はチャクラの意思を引き出さないので、完全マニュアルで動かさなければならない。

 

一方で影分身の術は、極論全力投球で行使しても成功する術である。チャクラの量が多くても、分身体が増えるか、『義体』が強固になるだけ。チャクラコントロールは必要ないのだ。人並みの運動性能を持つ『義体』に本体と同じ分量のチャクラの内包量。『義体』使った分のチャクラは本体には戻らない所を考えるととんだブルジョワ忍術だ。まさにナルトのための忍術と言っても過言ではないのかもしれない。

 

結局、俺が影分身の術を使えるようになったのは木の葉と雲の平和条約が結ばれる二日前の夜だった。俺自身チャクコントロールは得意だが、量は特別多くない(むしろ3歳児なので少ないぐらい)。なので使えるクオリティの分身体は出せて1体であった。

 

そして影分身の術習得の間、俺は様々なことをしていた。テンテンちゃんと本屋に行き、忍びについて学んだりした。テンテンちゃんが憧れる忍びは伝説の三忍の一人「綱手」らしい。俺が知る限り、タイプがまるで違うので戦闘スタイルまで真似るのはよした方がいいと、時が来たら言ってあげようと思う。

 

また、ナルト君とも以前会った公園で再会し、一緒に遊んだりもした。そのとき影から様子を伺うヒナタちゃんも見つけたので割と強引に遊び仲間に入ってもらった。ヒナタちゃんを誘った理由は、何気ない会話から日向の様子をしるためだったりするが。

 

そして平和条約が結ばれる、もとい恐らく誘拐事件が起きる前日。俺はサスケ君と共に、最初に会ったときと同じく手裏剣術の練習していた。

 

俺が宣言した日に近づくに連れ、マリエさんは笑顔を見せなくなっていった。当然だろう、自分の施設の子どもが死地へと向かうつもりでいるのだ。しかも詳細は詳しく語らない。いい気分になるわけがない。

 

俺は、そんなマリエさんに対する後ろめたさから逃げるため、修行の時以外はなるべく外出していたのだ。

 

そんな俺の、不自然な様子にテンテンちゃんやナルト君にヒナタちゃんも気が付き心配をしてくれた。

 

そして「大丈夫悟?少し動きが硬いけど」とサスケ君も進行形で俺の様子に気づいた。俺は冷静に「大丈夫、少し疲れているだけだから」と答えた。なにが大丈夫なものか。俺自身決心しようともまだ、己の行いをただの蛮勇としか捉えていない自分がいるのも事実である。言ってしまえばめちゃんこ怖い。

 

そんな俺の様子に気づく別の人物がいた。その人物は俺に声を掛ける。

 

「少しサスケとの修行にこんを詰めすぎているんじゃないのか?どうだ、俺と少し歩かないか?」イタチさんである。

 

イタチさんの提案に「俺も行く!」とサスケ君が上機嫌で答えながらイタチさんに近づく。しかし、イタチさんはサスケ君のおでこを指で突いて動きを止めさせて「悪いなサスケ、悟君と話があるから、また今度だ」と言った。

 

そして俺はイタチさんに連れられ河川敷に来ている。サスケ君は少し不機嫌になっていたが「また今度」という言葉に期待を持っているようで、うれしさ半分の様子で見送ってくれた。

 

イタチさんは斜めになった地面に腰を下ろし、俺に手招きをする。隣に座れというサインか。内心なんでこんな状況になっているのか分からずひやひやしている俺は素直にイタチさんの隣に座る。するとイタチさんは会話を始めた。

 

「悟君は勇気について何か考えたことはあるかい?」と絶対3歳に聞く内容ではなかったが、俺は真剣に考え答えた。

 

「困難な出来事に挑むための心の着火剤・・・みたいなものだと、思っています。」

 

イタチさんは「そうだな、困難に立ち向かうのには勇気がいる。君はなかなか面白い言い回しを言うな。」と俺の考えに賛同を示してくれた。そして言葉をつなげ「俺は勇気は恐怖と同じものだと考えている。つまり恐怖があるとき勇気もあり、勇気もあるとき恐怖もある。表裏一体でかがみ合わせの感情だ。・・・俺は困難に立ち向かうのに勇気だけではなく、恐怖も必要だと思っている」と言った。

 

「君が・・・悟君が何を為そうとしているのか、何に緊張しているのかは俺にはわからないが、君自身そのことから逃げる気はないのだろう?」と聞かれ、この人はやはり何かと鋭いなあと思いながらうなずく。

 

「君ならきっと恐怖をわがものとし、勇気の支えにできるはずだ。だからもっと自分を信じてあげるといい、恐怖を恥じる必要はない」

 

俺は「はい!」と強く返事をする。

 

正直、俺の心構えなんて大局からしたら大した意味は持たないのかもしれない。けれど「恐怖をわがもの」にするという言葉は怖気着いた俺の心を奮起させた。恐怖は大切なことを人に思い出させてくれる。それを勇気というかがり火にくべ、心を強くする。・・・俺がやらねば。

 

恐怖の上に勇気を走らせる覚悟を決めた俺はイタチさんに感謝を述べる。「イタチさん、励ましありがとうございます。俺なりに心に向き合って頑張ってみます!」といい立ち上がる。イタチさんは「そうか」とだけいい少し満足そうな顔を見せた。俺はイタチさんに頭を下げ「用事があるのでもう帰ります、ありがとうございました!」と感謝を述べて背を向け走る。

 

その時イタチさんの方から物が飛んでくる感覚に振り返ると、どうやらイタチさんが小袋を投げたようで俺はあわててそれをキャッチする。

 

「これは?」

 

「俺からの君の勇気に対しての餞別だ。持っていくといい」

 

小袋の中身は丸薬?のようなものが入っていた。

 

「うちは特製の丸薬だ。いざというときのために口に忍ばせておけ」と言い立ち上がったイタチさんは俺に近づく。

 

俺の頭を撫でたイタチさんはその場から消えた。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

夜、俺はマリエさんの部屋でマリエさんと向き合いお互いに正座をしていた。

 

「本当に明日、、、なのね?」

「恐らくですけど、多分」

 

「平和条約が結ばれる日に悟ちゃんが、遥か格上とやらに挑まなければならないなんて私心配だわ・・・」

「ごめんなさい、マリエさん。だけど・・・」

 

「わかっているわ貴方のことは。秘密主義だろうと、無茶をしようと。ただ一つだけ・・・絶対に帰ってきて」

 

「・・・はい!」

 

俺は立ち上がり部屋を出ようと背の扉に体を向ける。その時後ろから抱き着かれた。

 

そして俺の視界を何かが覆う。

 

「私のお古だけど、狐のお面よりは素性を隠せるし、防具にもなる。持って行ってちょうだい。」

 

俺の視界を部屋にある姿見に向ける。そこには白い無地の、2つの簡素なのぞき穴だけがついた仮面を被り、簡易的な黒い装束を纏う俺と、その仮面を肩を震わせながら俺にあてがうマリエさんが映っていた。

 

「さあ、行って・・・そしてただいまって聞かせてね。そしたら私嬉しいわ」声が震えている。

 

「もちろんです。行ってきます!」

 

チャクラをコントロールし仮面を顔に定着させる。

 

そのまま振り返らず俺は部屋を走り出ていった。

 

その時背後のマリエさんがつぶやく言葉に俺は気づけなかった。

 

 

「ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・・・・」

 

 




術の原理とか空想するのはフ〇ム脳的には楽しいです
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