灰色の雲が空を覆い、降りしきる雨が火の国を濡らす。
「カカシ、無茶せんでも……」
「イヤ、俺に構うなパックン……ナルトとサスケの匂いを追ってくれ……雨が匂いを流す前にだ」
はたけカカシは、パックンらに頼み周囲の捜索を行っていた。
数刻前に別の任務から帰還した直後にカカシはサスケの里抜けを知らされる。
雪の国で万華鏡写輪眼の能力『神威』を使用したこともあり、そこからの連続の任務を終え、カカシの体力は限界を迎えつつあった。
(…………頼む、どうか最悪の結果にだけはっ)
スタミナはとうに切れ、肩で息をしているカカシにパックンが声をかける。
「……近いぞ2人だ。 匂いが薄れてはいるが間違いない、こっちだカカシ」
「ああ、行こう……」
それでもカカシは走る。 教え子たちの、変わらぬ明日を思って……
~~~~~~
終末の谷、かつてうちはマダラと千手柱間の戦いにより崖ができ、川が流れたその渓谷は、若き2人の忍びによりまた別の爪痕が残っていた。
国境沿いのこの場所の柱間の像の足元に、カカシは少年を一人見つける。
「ナルト……っ!」
雨に髪を濡らし、息を切らすカカシが仰向けに倒れるナルトを見つけかけよる。 そしてその傍らに落ちているあるものに目が行き表情を曇らせた。
「遅かったか……ッ」
「間違いない……サスケの額当てだな……」
パックンが雨に濡れ、木ノ葉のマークに横一線の傷がついた額当ての持ち主を当てる。
カカシはしゃがみ込み、意識を失っているナルトを抱える。
「間に合わなくて……済まなかったな……お前の事だ……必死だったんだろ……」
既にサスケの足取りは雨により追うことは不可能になっていた。
自身が何もできなかった不甲斐なさがカカシの胸中を煮えたぎらせるが、しかしそれでも彼らの先生として、1人の大人としてカカシは冷静に撤退の準備を進めたのであった。
(サスケ……お前は……っ)
~~~~~~
国境を越えた薄暗い森の中、木々の合間を縫い振る雨がサスケの体を冷やす。
「…………」
無言で足を引きずり、折れた右腕を支えながらもサスケは前へと足を進める。
(兄さんが俺に……何をさせたいかなんてわからない……だけど……)
『最も親しい者を殺す』ことで手に入る力を拒否しサスケは目の前の暗闇を睨む。
(俺は……俺のやり方でアンタを越える……っ!)
覚悟を心中に宿したサスケは……ふと足を止め後方を振り返る。
この世界で現状、最も自分を理解してくれているであろう友がふと現れて励ましてくれるような……そんな心の弱さをふと覗かせたその行動。
しかしそこに見慣れた仮面を見つけることは当然出来ない……
「……フッ」
そんな未練がましい自分の行動を鼻で笑い、サスケは再び闇へと向け歩みを向けたのであった。
「うちはサスケ……」
その様子を木の陰から覗く、ローブを身に纏った天音小鳥は小さく呟きそのまま姿を眩ませた。
~~~~~~
カカシがナルトを背負い、木ノ葉へと帰還する道中医療班に所属する忍び達が2人を迎える。
「カカシさん! ご無事でしたか……っ!」
「うずまきナルトの容体は?」
「サスケは……うちはサスケは……?」
カカシ本人への心配の声や、ナルトの安否を問う声が彼らから発せられる。
「どっちも……体は大丈夫だ。 だが……」
カカシは顔を横に振る。 医療班たちはそのカカシの反応、そしてその背でその事実を確認した目を覚ましていたナルトに対して顔を曇らせる。
「他の下忍たちの状況は?」
けれどカカシは感情を切り替え、この度の騒動での被害状況の把握を優先する。 それに対し、医療班たちは冷静さを取り戻し報告を開始する。
「火影様の命で、医療班が出動、既に今回の任務にあたった忍びを全員回収しました。 ……日向ネジ、秋道チョウジの二名は重体ですが……恐らく黙雷悟による応急処置があったため、油断は出来ませんが命に別状はないかと」
「何……?」
報告内容に疑問を感じたカカシの呟きに、医療班の忍びが
「どうかされましたか?」
とその内容を聞き出す。
少しの沈黙の後、カカシが口を開く。
「悟が居ただと……?!」
~~~~~~
ナルトを医療班に預け、彼を保護した状況の説明をパックンに任せたカカシ。
カカシと医療班の忍び1名は、悟と君麻呂が戦闘していたであろう森の中の開けた場所に来ていた。
「辺りに散乱する骨のような物質、血の跡などの戦闘の跡が見受けられますが……ここにこれが」
案内する医療班は、2箇所の木陰にカカシを導く。 そこにはそれぞれ悟の所持していた血の付いた仮面と、木ノ葉の額当てが落ちていた。
「間違いない……これは悟のモノだ……それで悟はどこに?」
「それが……」
口ごもる医療班は、少し間を置き口を開く。
「分かりません……」
「分かりませんって……アイツも五代目の任でここに来てたはずだ、イヤ…………そう言えば五代目は悟については何も言っていなかった……」
カカシは、綱手からサスケの里抜けの話を聞かされた時にそれにあたっていた忍び達の名を聞かされていた。
その時当然居ると思っていた悟の名がないことに疑問を持ったものの、焦っていた当時のカカシは綱手の制止を振り切り木ノ葉を飛び出していたのだ。
「……辺りの調査は?」
嫌な予感がカカシの胸を締め付ける、至って冷静に、カカシは現状の把握を優先する。
「一通り済んでいます。 激しい戦闘の跡が目立ちますが、ここで採取された血からこの場には少なくとも4名の忍びがいたことが確認できています、しかし」
「しかし……?」
「その中で、黙雷悟の登録されている血液サンプルと合致する血液はありませんでした。 確認できた血液の持ち主はロック・リーただ一人です。 それに周囲に遺体は一つも見当たらず……」
「サンプルと合致しない……? サンプルは忍者登録の時に採取された本人の血のはずだ……この仮面と言い、悟がこの場に居たのは間違いないハズだ……っ一体どうなって……?!」
混乱するカカシだが、時は待ってはくれない。 はやる気持ちを抑えながらカカシは木ノ葉の里へと帰還するのであった。
~~~~~~
木ノ葉の里では、既にシカマル、キバ、チョウジ、ネジらの治療が進められていた。
特にネジ、チョウジの二人は重傷なため長時間の治療が施された。
それぞれ綱手とシズネの先導の元、医療班らの必死の治療により結果として死者が出ることはなかった。
そして……
数回のノックの後、許可の声を聞き火影室にカカシが入室する。
そこには今回、サスケ奪還のために協力を要請した砂隠れの砂漠の我愛羅と術後勝手に飛び出したロック・リーの二名が既に待機していた。
「綱手様……黙雷悟の件ですが……」
「ああ、それもあるが……我愛羅とリーが遭遇したというの謎のくノ一についてカカシ、お前の耳にも入れておきたい」
「くノ一……?」
カカシの疑問の言葉に、我愛羅が一歩前に出て喋り始める。
「砂の忍び、我愛羅だ。 今回はサスケ奪還の力に成れず……済まなった。 今回俺とリーが遭遇した、くノ一について情報を共有しておく」
感情に余裕の無いカカシはせかすように
「大蛇丸の手の内の忍びじゃないのか?」
と疑問を口にするが我愛羅はそれを否定する。
「それは考えにくい……。 なぜなら今回、サスケが大蛇丸の元に行ったのは奴の血継限界『写輪眼』を狙ってのことだと推測される……しかし」
我愛羅が目線を綱手へと向ける。 綱手は頷き我愛羅の言葉を繋ぐ。
「そのくノ一とやらは、信じがたいことに写輪眼を有していたそうだ。 実際リーが催眠眼をくらい、我愛羅が直接目を見て確認している」
「バカな……!?」
信じられないという感想を抱くカカシ。 うちはは既に壊滅し、現状写輪眼を持つ忍びも確認されているだけで、はたけカカシ、うちはサスケ、うちはイタチの3名しかいない。
新たに女性で写輪眼を持つ忍びが居るという事実にカカシが驚愕する。
「……それでそのくノ一については?」
カカシの催促に我愛羅は答える。
「奴は名を天音小鳥と名乗っていた。 確認できたところ水遁・風遁を使い、恐らく特殊な体術に秀でていると思われる。 目的は俺とリーの排除だと言っていたが、俺たちを気絶させたにも関わらずそれ以上危害を加えてはこなかったようだ……そして」
「そして……?」
「『また会えるかも』……とも言っていた。 何を意味するかも分からないが、何かしらの目的を持った第三勢力の忍びであることは間違いないだろう」
我愛羅が説明を終えると綱手は眉間に手を当てため息をつく。
「はぁ~……っ今回の件、多くの出来事が裏で起きていると見て間違いない……ホント厄介なことをしてくれる、大蛇丸め」
綱手の愚痴に、相当参っている様子が伺えカカシが大丈夫かと口に出そうとするも手でそれを制され、綱手は再度口を開く。
「さて我愛羅、リー疲れているのに報告済まなかったな。 我愛羅は暫くはこの里でゆっくりしていくといい、無論残りの二人の連れも同様だ。 そしてリー、お前は入院だ。 手術を終えて直ぐに飛び出すとはバカ者!! そんなところはガイに似なくてもいいから、身体を休めることに集中しろ、以上だ」
その言葉に我愛羅は一礼し、リーはしゅんとして落ち込みながら火影室から退室した。
残されたカカシに綱手が重い口を開く。
「……悟の奴がサスケを追っていたことには私も気がつかなかった。 チョウジの治療の後、付き添っていたシカマルに確認したが悟当てに、マリエには一度私の元へ来るようにと伝言を残していたそうだが……」
「……悟の事です。 別のルートで事情を知り彼らの後を追ったとも考えられる……しかし」
カカシは仮面を取り出し見つめる。
「こうも行方が分からないとなると……それに現場からは悟のモノと思われる血も出なかったとか」
「ああ、全くもって不可解だな……あの小僧がちょっとやそっとのことでくたばるとは考えにくいが」
「それは俺も同感です。 しかし無事であるならば、なぜ里に戻らないのか……」
「考えられるのは二つ……意図して里に戻らない何かがあるのかそれとも、本人の意思に関係なく……」
綱手の推察にカカシが言葉を繋げる。
「誘拐された……?」
「戦闘の跡があるのにも関わらず、周囲に遺体がなかったことを考えると第三者が介入していると見て良い……そして」
「写輪眼のくノ一が……そうであると?」
「状況的に考えるとだ。 しかし目的も理由もハッキリとせず正体すら掴めない……もはや悟が生きているのか死んでいるのかすら推測もできん」
頭を抱える綱手はさらに人差し指一本立て話を続ける。
「さらにだ……頭の痛いことにもう一人消息を断っている者がいる……」
「それは……?」
「火影直属の暗部部隊の一人がサスケの里抜けの報告直前から姿を消しているようだ……三代目の頃から仕えている優秀な奴だったが……」
綱手は大きなため息をつく。
「とりあえずは以上だ。 現状、分からないことの方が多い……それに残された者のケアも怠れない。 カカシ、暫くお前にも休暇をやる、無茶をさせて悪かったな」
「いえ……ですが」
綱手の提案に心配を口にしようとするカカシだが綱手が先に口を開く。
「心配するな、しばらくは砂の三人を木ノ葉の里で運用しても良いと砂から連絡があった。 もちろん就かせられる任務に制限はあるが、優秀な奴らだ。 ……お前もゆっくり休め」
以上だと言って綱手は最後に
「あと……黙雷悟についてだが……蒼鳥マリエへの報告はまだしていない……このことについては私も正解が分からないのでな……」
そう表情を曇らせる。 カカシは部屋から退室しながらもその言葉に答える。
「それは俺から伝えます……黙っていても仕方ないですし、それに……俺は
パタンっと火影室の扉が閉められる音が静かに響く。
「……ハァ……やはり火影というものは……ままならないな……」
1人愚痴を吐いた綱手は、書類をまとめ、今回の怪我人の予後を見るために病院へと向かうのであった。
~~~~~~
カカシは重い足取りで、施設『蒼い鳥』へと向かう。
三代目がマリエへのためにと思い、増築し四代目とうずまきクシナが協力して作ったマリエの居場所。
(悟もそこに加わり、笑顔が絶えない場所になっていた……それなのに)
カカシは迷う。 綱手にはああは言ったものの、マリエに悟の事を伝えるべきかを。
カカシこそ、マリエが悟に執着するその意味を正しく理解できている一人であり、真実を知った後の彼女の動向を悪い方に何通りでも推察できてしまう。
施設の近くまで来たカカシは、遠目にその建物を眺め目を細める。
(俺は……どういう面をしてマリエに会えばいい?)
気持ちが落ち込み、カカシの目線が地面に落ちたときふいにカカシの背中が叩かれる。
「痛ぁ!?」
何事だと思えば。カカシの背後に全身緑の色の……
「ガイ……」
「どうしたぁカカシぃ! また少し前のしょげくれたお前に戻っているぞっ!」
明るい友が立っていた。 が、良く見れば声だけが明るく聞こえ、彼の眼には酷い隈が出来ている。
「ガイ、お前はまだサスケや悟の事、聞いてなかったか……」
「……っとすまん、色々あったのだな……リーの手術の成功まであちこち奔放していたのでな……二日ほど寝ていなかったのだ……」
自分が空気を読めていなかったことを自覚したガイは気を落としカカシへと謝罪する。
「ま、気にすんなって……起きてしまったことはどうしようもない……そう、俺も覚悟を決める時みたいだ」
ガイの雰囲気に中てられ、幾分か気分を持ち直したカカシはそのままガイを引き連れ施設の玄関前まで来る。
「悟について、詳しいことは分かってないが……お前とマリエは知る権利があるはずだ」
「カカシ……」
覚悟を決めたカカシがチャイムを鳴らす。
施設の中からは子どもたちの無邪気な声が聞こえる。
少し待てば、玄関が開かれる。
「はいはい~とっお? 確かアンタらはマリエの同期の……」
子供を2人背負い、ウルシが玄関から姿を現す。 直接は会話をしたことがないが、共通の人物を知っているため何となく互いを認識している間柄であった。
「はたけカカシです、こっちは友人のガイで……マリエはいますか?」
簡潔なカカシの物言いにウルシは少し考える。
(あの暑苦しい方は、よく悟と一緒にいるのを見かけてたしマスクの方も最近マリエと出かけているところを見たな……怪しい人物ではなさそうか)
「ええ、マリエならいますよ……昨日少しごたごたしてて、今は部屋で書類整理をしています。 案内しましょうか?」
そうウルシが提案するも、ウルシの足元にはさらに2人の子どもがしがみつきじゃれつく様子が見られ、カカシは少し微笑み
「いえ、お仕事の方が大変でしょう。 場所ならわかりますので、俺たちには構わず子どもたちの相手をしてあげてください」
丁寧に言葉を返す。 ウルシが申し訳ないと頭を下げながら、子どもたちを抱えて廊下から別の遊戯室へと駆けこむ様子を確認しカカシとガイは施設へと足を踏み入れる。
時間にして、昼過ぎぐらいであり、既に食事を終えた子どもたちはめいいっぱい遊び倒しているのであろう。 楽しそうにはしゃぐ声を聞きながらカカシとガイはマリエの自室前へと来る。
「……」
「カカシ、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ……」
カカシが扉をノックする。
「……っ俺だマリエ。 今時間いいか?」
カカシが扉に向け声をかけると、部屋の中で椅子から立ち上がるような音が聞こえる。
少し待てば扉が中から開けられ
「……中に入れ」
マリエは速やかにカカシとガイを部屋の中へと招き入れた。
~~~~~~
マリエの自室に入ったカカシとガイは、急須に入れられたぬるいお茶を振舞われる。
「いちいち淹れなおす時間もなくてな、すまない」
申し訳なさそうに笑うマリエは客用の椅子に座る二人に自身の椅子に座り机を挟んで向かい合う。
「忙しいとこに悪いね、マリエ」
カカシの気遣う言葉に
「たまにはいいさ……それにやっと落ち着く目途も出来た。 あと少しもすれば、私の仕事も楽になる」
フッと笑いマリエは答える。
「そうですな、マリエさんは昔から真面目で……真面目で……」
我もとガイが世間話を持ち掛けようとするも、気の重さに言葉が口からでなくなる。
その様子にマリエはため息をついて
「……悟ちゃんのことだろう? 聞かせてくれ」
声のトーンを落とす。
「……っマリエ……気がついて……」
「御託も建前も良い……サッサと言え」
カカシの言葉にマリエは本題を要求する。 鋭い目つきのマリエの圧に押され、カカシは口を開く。
「悟が……行方不明になった」
カカシの簡潔な説明に、部屋の空気が重くなる。 ガイはその言葉に目を見開き、そのままマリエへと目線を向ける。
俯き表情を見せないマリエ。
そのまま、とてつもなく長く感じる1分が過ぎた頃にマリエがため息をつく。
「……やはりな、そんな事だろうと思った」
これは困ったと、いう感じのニュアンスでそうマリエが呟く。
思っていたマリエの反応とのギャップに男二人組が驚く。
「マリエ……お前」
カカシの言葉にマリエは被せるように話し出す。
「少し、あいつにしては不自然な行動が2日前にあってな。 違和感はあったが上手く隠すようになったものだ……なるほどまた事件に巻き込まれたか、巻き込まれにいったか……」
仕方ないといった感じのマリエの言葉にカカシとガイは黙る。
「昨日の朝、目が覚めたらナルト君達が来て……何かが起きているとは察した。 その時には既に悟ちゃんの姿は施設になかった、私が知る情報は以上だ」
マリエは手を叩き、手を差し伸べ話し手の順番をカカシとガイへと譲る。
「……平気なのか?」
カカシの信じられないといった声色の言葉に、ガイも頷く。
「平気……か、そうだな。 全く持って平気ではない」
マリエは目線を落とすものの、直ぐに前を向く。
「だが、悟ちゃんのことで私がブレてしまえばこの施設の運営が揺らぐ。 私が守るべき存在は、アイツ一人だけじゃない……」
その言葉にカカシは驚愕する。
マリエは悟と言う存在に依存して精神の安定を保っていたはずだという認識がカカシにはあった。 しかし目の前の彼女は……まるで昔のように割り切った考え方をしている。
「それで、悟ちゃんは何の事件に巻き込まれてそれがどうなっているのか……部外者の私にも話せる範囲で話してくれ、カカシ」
マリエは優しい声色でカカシへと問いかける。
「あ、ああ……わかった」
動揺を隠せずにいるカカシだが、ガイとマリエに対して自分の知るうるサスケの里抜けについて語った。
~~~~~~
「なるほどな……あのサスケ君が……」
話を聞き終え、考えるような仕草を見せるマリエと、悲痛な面持ちで下を向くガイ。
「リーが病院を飛び出したと聞いたが……まさかそんなことになっていようとは……っ」
「ガイは事情を綱手様から聞く前に、根を詰めて気絶してたと聞いてたけど……体調には気をつけろよ、お互い二十代後半なんだから」
カカシの言葉に、ガイは乾いた笑いを浮かべる。
「全くだ……子どもたちを守ってやれないで……何が大人だ」
気負いするガイにマリエは言葉を掛ける。
「気にしすぎるなガイ……確かに守ってやるのも私たちの務めだが、信じて見守るのも必要なことだ」
「マリエさん……」
「私たちは私たちに出来ることをしよう、そうだろうカカシ?」
マリエの投げかけに、カカシはハッとする。
「……ああ、そうだな。 今回の事で俺たちが感情に囚われていては駄目だ、子どもたちのケアをしてあげないとな」
そういいながら椅子から立ち上がるカカシ。
「もう行くのか……?」
「ああ、長居するのも良くないってね……それじゃあマリエ、ガイ。 今度メシでも食べに行こう……落ち着いたらね」
カカシがドアノブに手を掛けると、最後にとマリエが声をかける。
「白には私から事情を伝えておく」
「ああ頼んだよ、マリエ」
カカシは音もなく、部屋から退出していった。 残ったガイも椅子から立ち上がる。
「俺も、ネジとリーの見舞いに行ってきます。 マリエさん、どうか辛くなっても一人で抱え込まずに俺たちに頼ってくださいね!! それじゃあっ!!」
空元気を見せ、部屋から慌ただしくでていった。
1人残ったマリエは、冷めたお茶をすすりため息をつく。
「……全く……悟ちゃんの奴め……」
そう呟き席を立つマリエは部屋の外へと出て廊下を歩く。
そのまま、悟の自室へと入り机の上に出されたボロボロの狐のお面を手に取る。
昨日の時点で悟の部屋に探りを入れたときにそのお面にされた細工をマリエは見つけていた。
お面を裏返せば、そこには一枚の折りたたまれた紙が張られている。
マリエがその紙を手に取り、広げると
その紙には一言だけ言葉が書かれていた。
「……ハァ……何が『信じて』だ……もう少し詳しく書かんかバカ者……」
その言葉を呟くように読み上げマリエはその紙をお面に戻し、机の引き出しの中へとしまう。
「
1人一粒の涙を落としたマリエは、悟の部屋から名残惜しそうに出ていった。
どれだけ苦しくても、どれだけ辛くても……明日は必ずくる。
時計の針は止まってはくれないのだ。