目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

85 / 121
週一更新のペースを維持したい……


4:珍獣の群れ来たり

 

 天音はサソリとカンクロウとの戦闘を尻目に先に木ノ葉と砂の間にある川の国へと向かう。

 

 その道中木陰に降り立った天音は我愛羅の体を縄で縛り上げ胸の位置に手を置く。

 

「…………よし…………っ」

 

 何かを仕込んだ様子の天音は、ふらふらと急に額に汗を浮かべ木へともたれ掛かる。

 

「クッ……仕込みはすんだ、何か思ってたより少しばかりキツイけど……後はサソリ先輩が来るまで、十分に休めるでしょ……」

 

 そう言って天音は目を閉じ、小さな寝息をかきはじめた。

 

 

~~~~~~

 

 

 サソリはカンクロウを退け、一人川の国へと進む。

 

「既に一日は移動したが……あの小娘、どこまで進んでやがる……」

 

 独り愚痴を言うサソリは進む森の中で、人影を見つける。

 

 そこには地面に倒れ伏している天音と、縛り上げられ気を失ったままの我愛羅が居た。

 

「あのカンクロウとかいう傀儡使いの毒が効いたか……? くたばっちまったなら仕方ない、俺の人傀儡のコレクションにしてやるか……」

 

 サソリが傀儡の尻尾で天音に触れようとした瞬間、尻尾が強い力で捕まれる。

 

「っ……!」

 

 気づけば天音がその尻尾の先をしっかりと掴み、目を開けているのが分かる。

 

「……寝込みを襲うなんて、サソリ先輩さいて~~~っ」

 

 ジト目になりながら起き上がる天音にサソリは

 

「てっきり傀儡の毒で死んだかと思ったが……小僧の毒も俺のほどではないが十分強力だったはず」

 

 少し驚きながら声をかける。

 

「毒……? ………………解毒しましたよ、ええ」

 

「オイ、何だその間は……っ?」

 

「そんなことより、早く移動しましょうよ……私一人ならとっくにアジトについてるのに、先輩を待っててつい寝ちゃいましたし……」

 

 話を逸らす天音にサソリは軽く睨みつけるが

 

「……まあいい……そんなに急ぎたいなら俺にも軽重岩の術を掛ければいいだろう」

 

 そう提案を出す。

 

 すると天音は目を逸らし自身の胸の前で人差し指同士で突き合い

 

「定員は私含めて二人までです……っ」

 

 申し訳なさそうにそうか弱く呟く。

 

「……つくづく面倒な小娘だな……」

 

「すみません……見習いの私じゃアジトの入り口をまだ一人で開けられないのでサソリ先輩と同行しないといけないですし、かと言って風影の身柄を置いていくわけには……」

 

「……俺と風影を軽くしろ、それでお前は歩いてこい」

 

「酷いっ!? 嫌ですよ!! それに軽重岩の術は随時かけ直さないと使ったチャクラが切れて落ちちゃいます。 術者の私無しで長距離の移動は……それに飛べない私が追手に追いつかれたらと思うと」

 

「……っはぁ……なら行くぞ」

 

 駄々をこねる天音に呆れサソリは尻尾で我愛羅を巻き取り、歩き始める。

 

「はぁい♪ 行きましょう!」

 

 テンションを元に戻した天音は、そのサソリの後をついて歩き始めた。

 

 

~~~~~~

 

 

 木ノ葉から砂の国に向けての道中。 その道すがら、木々の上を飛ぶ影が四つ。

 

「ぜってぇ……許さねぇ」

 

 金髪の少年は、歯ぎしりをして木の枝を踏み抜きながら跳ぶ。

 

「ナルト……」

 

 ピンク色の髪をした少女・春野サクラは、そんな怒りを滲ませている少年・うすまきナルトの心配をする。

 

 同じ人柱力として、自分たちをただの兵器としてしか見ていない存在にナルトは怒りを募らせていた。

 

 白髪の忍者・はたけカカシはそんなナルトの様子を見て

 

(境遇の似た我愛羅君に対するナルトの思いは、並々ならぬものだろう……少なくとも俺たちが計り知れるものではない)

 

 カカシは一日前の里での演習を思い出す。

 

 ナルトもサクラもカカシの想像を超える程、たくましく成長していた。

 

 ナルトは自来也に、サクラは綱手に修行をつけられその力は並の上忍を凌ぐほどと言っても過言ではないぐらいであった。

 

 しかし、ナルトに関してカカシは心配を胸中に抱える。

 

(演習でも感じた違和感……ナルトは、以前よりも感情の制御が危うくなっている)

 

 里を出る際の自来也との会話をカカシは思い出す。

 

(『ナルトは力への執着心が増している』っか……サスケと悟……二人がいなくなったのは自分のせいだと思い込み、修行に旅立つ前も少し荒れていたのは覚えてはいるが……)

 

 危ういナルトを良く見ているようにと自来也が自分に託したことを思い、カカシも決意を固める。

 

 そんな木ノ葉の三人と共に、砂の忍び・テマリは弟たちの心配に心中は穏やかではなかった。

 

(我愛羅……無事でいてくれ……っカンクロウも……我愛羅のために無茶をしていないといいけど……)

 

 不安をそれぞれ抱え、四人は砂へと急ぐのであった。

 

 

~~~~~~

 

 

 風影・我愛羅誘拐から約三日の時間が過ぎ、サソリと天音はアジト前の鳥居の下に立っていた。

 

「やっとついた……」

 

 愚痴を漏らす天音にサソリは一瞥もくれずに札の張られた大岩に触れる。

 

 すると大岩が上方にずれ込み、洞窟への入り口が出来た。

 

「行くぞ」

 

 サソリの言葉を受け天音はサソリについていき洞窟の中へと入る。

 

 中に入れば直ぐに大岩が閉じ、洞窟は明かりもない状態になる。 それでもサソリも天音もお構いなく歩みを進められるのは、それだけ熟達した忍びだからであろう。

 

 ふと二人の前に幻影またはホログラムと呼称できる人影が現れる。

 

『遅かったな……デイダラはどうした?』

 

 その人影はデイダラの姿が見えないことに気がつき問う。

 

「調子に乗ってヘマをやらかした……生死不明だが、恐らく死んでるだろう」

 

 サソリの報告にその人影は目を伏し

 

『そうか……惜しい男を亡くした』

 

 僅かに祈るかのように顔も伏せた。しかし直ぐに目を開ける。

 

 そのままその人影が手を着くと洞窟内に煙が充満し、巨大な人型のような石像が現れる。

 

「……うへぇ……気味悪い」

 

 天音の感想に反応する者はなく、その人影が印を結ぶ。

 

『集合しろ』

 

 その一言で、石像の上に向けられた指先に次々と幻影が現れる。

 

 そしてのままサソリも所定の指の位置に着き、その様子を天音は眺めていた。

 

『これから三日三晩はかかる。 皆本体の方にも気を配っておけ……それとゼツ、本体で一応外の見張りをしろ、天音も共に行け』

 

『ワカッテル』

 

 そのやり取りの後、洞窟の地面から顔が白と黒色、丁度真ん中半分に分かれているゼ(・)ツ(・)と呼ばれる忍びが同化しながら姿を見せる。

 

「ほら新入りちゃんいくよ」「オ前モアジトノ出入り口ヲ開ケラレルヨウニシテヤル」

 

 調子の違う声色が天音に語りかける。

 

「イエッサーっ! ゼツ先輩よろしくです♪」

 

 そんなやり取りの裏で「封印術・幻龍九封尽」が発動し石像の口元からあふれ出たチャクラの触手が我愛羅の体を包み込み、その内に秘めた守鶴を取り込み始める。

 

「大蛇丸も抜けて、デイダラも死んじゃったから少し時間がかかるかも……僕たちでその間の警戒をするよ」

 

「気ヲ抜クナヨ、新入リ」

 

 天音がゼツの誘導でアジトの大岩に触れるとそれが開く。

 

「おお、開いた♪」

 

 そのことに喜んでいる様子の天音を見て、ゼツは鼻で笑い二人してアジトの外に出る。

 

 背後で大岩が閉じると、天音は振り返り再度大岩に触れようとする。

 

「こらこら、何しようとしてるの?」「ツマランコトハスルナヨ小娘」

 

「いや……ちょっと自動ドアに感激しちゃって……ちゃんと仕事するんでそう睨まないでくださいよゼツ先輩」

 

 ゼツに叱られ、頭をポリポリとかいた天音は誤魔化すように舌を出す。

 

「しっかりしてよ? それじゃあ僕たちとは別の方角の警戒を頼んだよ」「オママゴトジャナイカラナ、暁二入レテヤッタ分シッカリト動ケ」

 

「了解です!! それじゃあ……散!」

 

 解散の合図を言い放ち天音は空へと飛び立ってアジトから離れる。

 

「……何気二今、奴ガ仕切ラナカッタカ?」「彼女は色々と読めないからね~気にしたら負けだよ」

 

 残されたゼツは少し歩きアジト前の水面から土の上へと移動する。そしてそのまま地面へと同化してその場から姿を消した。

 

 

~~~~~~

 

 

 それからさらに二日ほど時間が過ぎ…… 

 

 広範囲で感知を行うゼツはアジトに向けて進行する小隊の存在を見つける。

 

「見ツケタ」「リーダーに報告しよう……」

 

 ゼツが目を瞑ると、意識が岩穴のアジトの幻影へと移る。

 

『アジトに向けて敵が来てるみたいだよ~相当の手練れみたいだねぇ』

 

 ゼツの報告に暁のリーダーが興味を示す。

 

『……誰だそいつは?』

 

『名前はマイト・ガイっていうみたい。 暑苦しそうで近づきたくないね』

 

 ゼツのもたらした名前に、幻影の一つうちはイタチが口を開く。

 

『木ノ葉の上忍で剛拳の体術使いだ、甘く見ると……痛い目をみるぞ』

 

 鬼鮫もまた、ため息をつき

 

『ああ……あの珍獣ですか……それは厄介ですねェ』

 

 少し嫌悪感を示しながら呟く。

 

 二人からの評価の高さに思案したリーダーは提案をする。

 

『……あの術……象転の術を行う』

 

 その言葉を聞き、鬼鮫が名乗り出る。

 

『では、私が行きましょうか……その人には個人的にちょっと因縁がありましてねぇ……』

 

『いいだろう……ただし、チャクラを幾分か分けてもらう。 ゼツ、術の準備を……それと天音も共に向かわせろ』

 

 リーダーの指示にゼツは了解をし、本体が動き始める。

 

『……あのうるさい小娘ですか……まあ邪魔にならなければどうでもいいです……これでやっと』

 

 幻影の鬼鮫が目を閉じ

 

「あの時の蹴りの借りが返せそうですね」

 

 本体の鬼鮫が目を開け、少し高揚した声を発した。

 

 

~~~~~~

 

 

 木ノ葉の小隊の一つ、ガイ班が岩場の間を駆けている。

 

 砂からの要請で先に砂に向かったカカシ班よりも、木ノ葉と砂の合間にいたガイ班はより暁のアジトに近づいていた。

 

 彼らを先導するカカシの口寄せ動物忍犬・パックンはふと感ずく。

 

「っ!! ガイ誰か来るぞ」

 

 パックンの忠告を聞き、ガイ班所属の日向ネジが白眼を発動し敵の正確な位置を感知する。

 

「後ろだ!」

 

 ネジの忠告を聞き、ガイ班は後ろから迫りくるサメの背びれのように地面から突出した大刀鮫肌の突撃を避ける。

 

 鮫肌が岩場に衝突し、粉々に砕け散るとその土煙の中から大男が姿を現す。

 

 その姿にマイト・ガイが驚きを露わにする。

 

「お前は……っ!!」

 

「知っているんですか、ガイ先生!!」

 

 ガイの反応に弟子のロック・リーが確認を取ると

 

「いや、知らん!! 誰だ貴様ァ?!」

 

 ガイはそれを強く否定した。

 

「いや、その流れは知ってるって反応でしょォっ!!」

 

 班員のテンテンの突っ込みに、ネジも無言で額を手で押さえ頭を振る。

 

 会話の流れに、イラつきを見せた鬼鮫が鮫肌を地面に突き刺す。

 

「珍獣は、頭の方も獣レベルのようですねぇ……いいでしょう、獣らしく本能で思い出させてあげましょう!!」

 

 鬼鮫の言葉を合図に戦闘が始まろうとした瞬間

 

「……もう一人来るぞ!」

 

 パックンのその声と主に、鬼鮫のそばに人影が宙から降り立つ。

 

「寝てたら、ゼツ先輩にドヤされちゃったよ……ふぁ~あ……眠い……」

 

 姿を現した天音に鬼鮫がため息をつく。

 

「先輩が寝ずの封印術を行使している中で居眠りとはいい度胸ですねぇ?」

 

「……ちっ違いますって鬼鮫先輩……警戒を怠らないためにですねぇ……えへへ」

 

「結局敵を見つけたのもゼツじゃないですか、全く。 ……言い訳している暇が在ったら、あの緑のタイツ以外の三人のお相手をお願いしますよ」

 

 そういうと鬼鮫が鮫肌を地面を抉る様に引きずりながらガイ目掛けて駆けだす。

 

「私の方が人数多いし、それに緑色の奴二人いるんですけどって屁理屈は聞いてくれませんよねっ!!」

 

 同時に天音は飛び立ち、ガイと他の班員との間に降り立つ。

 

 ちょうど背後に降り立った天音に裏拳を放とうとするガイだが

 

「相手は私ですよォ!!」

 

 鬼鮫の振るう鮫肌がガイを大きく弾き飛ばし、二人はその場から離れていく。

 

 ネジ、テンテン、リーの前に降り立った天音は彼らに目線を向ける。

 

「それじゃあ、アナタたちの相手は私天音小鳥が務めさせて頂きま~す♪」

 

 わざとらしいお辞儀をする天音に、クナイを巻物から取り出したテンテンが眉をひそめる。

 

「天音小鳥……? アンタが悟を……っ!」

 

 一人駆けだそうとするテンテンの肩をリーが掴み止める。

 

「気持ちは分かります……ですが彼女があの天音小鳥であるなら、かなりの手練れのはずです。 かつてはサスケ君の奪還を邪魔し、そして今あまつさえ我愛羅君までを攫うなんて……木ノ葉の忍びとして絶対にゆるせません……だからこそチームで戦いましょう!」

 

 リーの睨みつけるような瞳に、天音はおどけるような仕草で後退する。

 

「リーに諭されるなんてね……わかったわ」

 

 深呼吸をするテンテン。

 

 その傍ら天音を白眼で観察するネジは呟く。

 

「このくノ一……先ほどの莫大なチャクラを持つ大男と違い、白眼での透視が出来ない」

 

「それってどういう……」

 

 テンテンの問いにネジは柔拳を構え答える。

 

「恐らくアノ外套にそうとう高度な結界忍術の印を仕込んでいるのだろう……白眼のピンポイントの対策の為か偶々か……とにかくやっかいな相手だ、慎重に行くぞ」

 

 ネジは合図を出すとともに、八卦空掌を天音に向け放つ。

 

「そんな牽制にあたる訳――」

 

 それを軽く避ける天音にテンテンとリーが左右から接撃する。

 

「木ノ葉旋風っ!」

 

 リーの大振りの上段蹴りをしゃがんで躱した天音にテンテン巻物から取り出した大槌を掛け声とともに振りぬく。

 

「どりゃあぁ!!」

 

 その槌と同時にリーの下段蹴りが天音にヒットし、その体を軽々と吹き飛ばし突出した岩場に叩きつける。

 

「やったか……?」

 

 その様子を見ていたネジの呟きに呼応するように、舞った土埃を手の一振りで吹き飛ばしながら天音が姿を見せる。

 

「……思ってたよりも、動きも早いし威力もデカい……やるねぇ……」

 

 ブツブツと呟く様子の天音に、三人はそれぞれの構えを取る。

 

「今のでのダメージは期待出来なさそうな様子ね……」

 

「油断しては駄目です。 彼女には幻術もあります!」

 

「それなら俺の白眼で瞬時に対処できる。 ……行け二人とも」

 

 ネジの号令に合わせ、テンテンとリーが再度駆けだす。

 

 天音はそれを確認すると、袖から金属の短い棒を取り出す。

 

「棍棒……でもリーチなら負けてないっ!」

 

 大槌を振りかぶり天音に叩きつけるテンテン。 しかし天音はその手にもつ棒を使い、大槌を逸らす。

 

 天音のすぐ隣の地面を叩きつけてしまい隙を晒したテンテンに天音が片手で掴みかかるが

 

「そうはさせませんっ!!」

 

 その行動を防ぐ様に横からリーが天音の顔面目掛け拳を放つ。 しかし

 

「そうくるってわかってるよ!!」

 

 天音はその叫びと共に、手に持つ棒の先端をリーに向け……発(・)光(・)させる。

 

「グっ……!?」

 

 突然の明るい光による目つぶしに怯んだリーに向けて天音が体を振り向かせる。

 

 そして突き出された拳の腕を巻き取る様に引き寄せ、膝蹴りで鳩尾を捕え怯んだリーの体を投げ捨てる。

 

 その後すぐにテンテンがクナイで切りかかるも天音は手に持つその棒で斬撃を受け止める。

 

「……何それ……懐(・)中(・)電(・)灯(・)っ? ……舐めてるわね」

 

 クナイを押し付けるようにギリギリと詰め寄るテンテンのその言葉に

 

「物は使いよう……ってね♪ それに懐中電灯は海外では警棒の代わりに成ったりもするし……それに私のは特別製、チャクラで――」

 

 返事をする天音。 しかしその返事の最中に、天音の顔面にテンテンの後方から打ち出されたネジの空掌が当たり大きく仰け反らせる。

 

 だが空掌は天音が腕でガードし防ぎきっていた。

 

「痛ぁい……♪」

 

 にやけながらそう呟く天音に、ネジは顔で嫌悪感を示す。

 

 その隙にテンテンは投げ飛ばされたリーの元へと向かう。

 

 ネジと相対し天音が駆けだす。

 

「ほらほらァ、貴方はそんな後方支援が好きなタイプじゃないでしょォ!?」

 

 その言葉と共にネジに接近戦を仕掛ける天音。

 

 懐中電灯を振るい、直接ネジの手に触れないように立ち回り、隙あらば目に向かって光を照らす天音の様子に

 

(このくノ一……間違いなく日向の柔拳と白眼の対策を練っている……っ!)

 

 そう勘付き、八卦掌・回天で天音を弾き飛ばし距離を取らせる。

 

 態勢を立て直したガイ班の三人は小声で対策を練る。

 

「……温存して勝てる相手ではなさそうだな」

 

 ネジの言葉に残りの二人も頷く。

 

「ガイ先生の方も戦いがどうなっているかわかりませんっ……足止めが相手の思惑なら、突き破るまでです」

 

「今回ばかりは私もリーに賛成。 あの小娘の顔面に拳叩きつけてやるわっ!」

 

 息巻く二人の様子にネジが目を閉じ、少しの沈黙の後目を見開く。

 

「……行くぞ、作戦名〈後先考えない馬鹿〉だ」

 

 ネジの真面目に発したその言葉に

 

「……何それ、に合わないね。 本当にそんな――」

 

 呆れた感じで天音が鼻で笑った瞬間

 

 その体が吹き飛び、岩肌を跳ねる。

 

 咄嗟に腕をクロスしてガードしていた天音が吹き飛びながらも態勢を整え着地する。

 

「……痛てて……まさか、リーの八門!?」

 

 こんなところでと言わんばかりの天音の言葉が言い終わった瞬間、目の前を緑色のオーラがチラつく。

  

「木ノ葉・大・旋・風!!」

 

 下段蹴りで足元をすくわれた天音の身体が宙に浮き、無防備な天音に痛烈な上段蹴りが迫る。

 

「っ軽重岩の術!」

 

 咄嗟に印を結び自分にかかる重力の影響を軽くした天音はそのまま浮上し、リーの上段蹴りの範囲から風圧で吹き飛ばされた。

 

(あの様子は第三・生門か……やっかいっいいいいいいいいィ!?)

 

 浮上した天音がリーの様子を観察していると、その身体を鎖が絞めそのまま大きく振りまわされる。

 

 その回転の中心で鎖を振り回すテンテンは常人離れした速度で腕を振るっていた。

 

(まさか……テンテンも八門を……っ!?!?)

 

 竜巻を発生させるほどのスピードで振り回された天音。 テンテンは腕に力を籠めそれ地面へと叩きつける。

 

「よいっっっっしょおおおォ!!」

 

 テンテンの掛け声とともに、地面に大きなクレーターが出来るが鎖の先には粉々に砕けた木片が散っていた。

 

「ネジっ!!」

 

 変わり身を察知したテンテンの掛け声とともにネジが走り出している。

 

 そこには地面に着地した天音がおり

 

「っオエ……無茶するねぇって!?」

 

 そこへと駆けるネジのスピードは天音の予想を超えていた。

 

「柔拳っ!!」

 

 と言いつつ、柔拳に似つかわしくない明らかに人を殺せるような速度の突きを繰り出すネジに天音は苦しそうにそれを捌く。

 

「……まさかアンタも八門使ってんの!? ……さっきの作戦名に納得いったわ、この珍獣どもめ!!」

 

「フッ……どうやら八門に詳しいようだな……だが既に貴様は俺たちの籠の中、終わりだ」

 

 そういうとネジは突然後ろに飛び退きながら空掌を放つ。 急な動きの変化を合わせたその空掌は天音の足元に着弾し、足場を崩し態勢を崩させる。

 

 直後天音がハッとして背後を向けば

 

「一人表蓮華!!」

 

 緑の旋回する弾が天音へと高速で向かっていた。 その凄まじい回転量の体当たりを放つのはリーであり

 

「さらにおまけもどうぞー!!」

 

 そのリーにテンテンが呼び出したロープ着きの忍具を絡ませ、より体当たりの威力が増す。

 

 態勢を崩した天音はそれを避けることは叶わない。

 

「土遁・拳岩の術っ!!」

 

 咄嗟に左手を岩に変え、巨大な岩の掌でその体当たりを受け止める天音。しかし

 

 そのリーの表面にある忍具が容易く岩を削り、容易にその岩の掌を貫通。

 

「っ!!!!」

 

 体当たりが着弾し、天音は大きく吹き飛ばされた。

 

 体当たりの着弾先には先ほどテンテンの作ったクレーターよりもさらに巨大なクレーター出来る。

 

 吹き飛ばされた天音は受け身も取れずに地面を跳ね、うつ伏せに地面を滑り止まった。

 

「……っ今度こそやったな」

 

 ネジは深く息を吐きながらそう呟く。

 

「ええ、やりましたねネジ!!」

 

 元気よくネジに返事するリーの様子にテンテンは八門を閉じながら

 

「……ああ~第二休門までとはいえ、私とネジにはキッツイわぁ……良く生門開いてそんなに元気そうね、リー……」

 

 だるそうに肩を回して答える。 八門の反動で筋肉痛のような痛みが彼女と、ネジを襲っているのか顔は少し引きつっている様子だ。

 

「僕は二人よりも鍛えてますからねっ!! ではガイ先生の援護に……」

 

 そがリー言って駆けだそうとした瞬間

 

 ネジが吹き飛ぶ。

 

「……え?」

 

 テンテンが驚きの声を上げた瞬間、その眼前に人影が通り過ぎテンテンもネジと同じく吹き飛ばされる。

 

 その展開を見て瞬時に第三生門を開いたリーが構える。 瞬間目の前に拳が現れてそれを受け止める。

 

「っ……あの攻撃を受けて、こんなに動けるなんて……」

 

 拳を押し付けてくるその相手、天音にリーは語りかける。

 

「いや、十分痛かった……具体的に言えば左腕が折れちゃったしねぇ……まあ、今からはちょっとだけ本気で相手してあげるよ」

 

 少し態勢を引いた天音が上段回し蹴りを繰り出す。

 

 それをしゃがんで避けたリーだが……

 

「木ノ葉旋風!!」

 

 天音の下段蹴りがリーに迫る。

 

「っ!」

 

 咄嗟に腕でガードするリーだが、その体術の威力は先ほどまでとは数段の違いを見せ軽々とリーを弾き飛ばす。

 

 その様子を起き上がりながら見ていたネジは

 

「なるほどな……白眼を透さない結界忍術はチャクラの変動で自身の術の発動を悟らせないために……そして恐らくあの金属製の腕輪と足輪、そして片目の眼鏡はチャクラによる身体強化による余(・)波(・)を体表に出さないための忍具……忍術・体術の兆しやタイミングを相手に悟らせないためのモノか」

 

 冷静に今までの天音の戦闘から今の動きを踏まえ分析、考察する。

 

 その言葉を受け天音は拍手をしようとするも、明後日の方に曲がっている左腕では出来ないことに気がつき大人しくしゃべり始める。

 

「大正解!! そう、だから私は体術も得意だし動体視力も相応に強化できる。 例えば雷遁を纏っても雷は表に出ないようにしてあるのよ……緩急をつけるためにね♪」

 

 瞬間、ネジの目の前まで高速移動してきた天音が手刀を繰り出す。

 

「っ甘いな、俺には白眼がある! そう不意打ちなんて……っ!」

 

 その動きに対してネジが腕でのガードを試みる。 すると天音は手刀の動きの最中に外套の袖から先ほどの懐中電灯を滑らせて出し、ネジのガードの上から思いっきり叩きつける。

 

 想像を超えた衝撃にネジが怯むと、天音は直線の蹴りを放ちネジを吹き飛ばす。

 

「……さて……じゃあここまで頑張ったご褒美に、面白いものを見せてあげる……♪」

 

 リーとネジを吹き飛ばした天音は折れた左腕をゴソゴソと袖の中に隠し、逆に右手に持った懐中電灯を上に掲げる。

 

 その様子を怪しみつつも、気配を消し、背後を取っていたテンテンが長い棒を構え突きを繰り出す。

 

「……よしっ!」

 

 第二休門を解放したテンテンは一足飛びで天音との距離を詰め、その背骨を突き折りにかかる。

 

 豪速の突きが天音の背に届く瞬間、その棒の先端が斜(・)め(・)に(・)切(・)れ(・)る(・)。

 

 その意味をテンテンが理解する前に、光の束のようなモノがテンテンの頭上から振り下ろされる。

 

 ――ブォオンッ

 

 と正に何の捻りもないそんな気味の悪い音聞こえたかと思えば、テンテンが居たはずの地面が裂けていた。

 

「……外したか」

 

 天音のその呟きにテンテンを抱え、転がる様に回避行動をしていたリーが疑問を口にする。

 

「……何ですかそれは!?」

 

 天音の右手に握られた懐中電灯の光が出る頭の部分からは、緑色のチャクラで出来た刀身が伸びていた。

 

 その切っ先を天音はリーへと向ける。

 

「どう、カッコいいでしょ? かつて二代目火影が使っていたとされる雷神の剣とやらを参考に作った、名付けて尾異夢・叉辺流(びーむさーべる)。 私のお気に入りだ♪」

 

 天音がリーへと一歩踏み込むと、そのチャクラで出来た光の剣を孫の手のように後ろに回す。 すると

 

 バチンッと弾けるような音が響く。

 

「っ……背後からの八卦空掌を見ずに弾いた……!?」

 

 天音の背後から空掌を放っていたネジが驚きの声を挙げるも、牽制の意味を込めて数発さらに打ち込む。

 

「無駄無駄♪」

 

 天音は右手に持つ光の剣を、その辿る軌跡が優美に映る様振り回し空掌を難なく弾く。

 

 その様子を観察していたネジは、額に汗を浮かべある事実に気がつく。

 

「……目を閉じた状態で……全てさばいただと……っ!?」

 

 そう、天音は両目を閉じた状態で立ち回っていたのだ。 視覚の無い者が似たような動きをする例を知っているネジだが、しかし

 

「死角と思われる位置からの奇襲を察知できるなら目を閉じる必要はないはず……集中しないと周囲を感知できないのか、或いはあの忍具の使用にはわざわざ目を閉じなければいけないのか?」

 

 と天音の動きに疑問を呈する。

 

 眼を閉じたままの、天音は

 

「いや別に尾異夢・叉辺流を使うのに、目を閉じる必要はないよ?」

 

 と素直に答える。

 

「単純に……そう、大体360°見ているだけだ」

 

 不敵にそう付け足した天音。 テンテンとリーがネジの元へと戻り、睨み合う両者。 ……片方は目を閉じているが。

 

「大体360°見ているって……まさか白眼?」

 

 テンテンのその発想に

 

「しかし、相手の眼はそのような兆候は見られません。 それに白眼は木ノ葉の血継限界、日向でもない彼女は嘘を言っている可能性も……」

 

 リーは信じられないと否定する。しかし

 

「……なるほど……つまりは貴様が……」

 

 そう小さく怒気を孕み呟くネジ。

 

 その様子の変化にテンテンが訝しむ。

 

「どうしたのネジ?」

 

「ヒアシ様からの報告……天音小鳥と言う名……と(・)っ(・)く(・)に(・)手(・)放(・)し(・)て(・)い(・)て(・)、今は手に持っていないと思い考えないようにしていたが……」

 

 地面を踏み抜いたネジ、その白眼の周囲の血管の隆起が激しくうねる。

 

「なるほど今……貴様が持(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)な(・)? そして、理屈は分からないがそれを使(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)……そうだな?!」

 

 ネジの責め立てるような質問に天音は

 

「……いやぁ……感が良い……親(・)の(・)眼(・)の(・)事(・)だから、熱くなるのも仕方ないのかもね♪」

 

 目を閉じたまま、舌を出す。

 

 その瞬間ネジは大きく踏み込み、天音の懐へと移動する。

 

(速い、第二休門を開けたか……)

 

 天音は手に持つチャクラの剣で切りかかるが、ネジがそれを白刃取りで受け止める。

 

「うっそォ……風遁チャクラで作った刃を受け止めるなんて……」

 

 天音の驚き出たその呟きに

 

「外套の外までは結界忍術は及ばないみたいだな。貴様のその剣のチャクラの流れ、質は見えている。 その流れを受け流すチャクラを手に纏えば受け止めるのも容易い」

 

「でもここからアンタに攻撃の手段は……」

 

「俺に出来ないことがあるなら、仲間が代わりにするまでだ」

 

 ネジは言葉を発した瞬間、頭を下げる。そのネジの頭上を、テンテンが振るう薙刀が通過し天音の顔面に迫る。

 

「まあ、そうだろうねぇ。 成長しているようで何よりだよっ!」

 

 天音はチャクラの刀身を一度しまいこみ、後方に飛び退いて薙刀を避ける。

 

「ちょっとネジ!! 一人で突っ込まないでよっ!!」

 

「突っ込みはお前の役割だからか? フッ問題ない、お(・)前(・)た(・)ち(・)な(・)ら(・)俺の動きについてこられる……そうだろう?」

 

 テンテンの抗議の言葉に、ネジは冗談を言って返す。

 

「つまり、ネジのお父さんの目を彼女が持って使用しているという訳ですね!?!? 許せません、全力で取り返しましょう!!」

 

 二人に並び立ったリーは憤慨し、気合を込める。

 

「という訳だ、天音小鳥。 今から俺たちは全力で貴様を倒しにかかる」

 

 ネジのその言葉を聞き、天音は笑顔を浮かべる。

 

「……いいねぇ……それじゃあ……」

 

 小さく呟きそして

 

「来いっ!!!」

 

 叫ぶ。

 

 瞬間駆けだすガイ班。

 

「第五杜門……開!!」

 

 真っ先に駆けだしたリーが八門を解放し、高速で殴り抜ける。

 

「見えてるよ!!」

 

 しかし天音はその拳打を水遁のチャクラで出来た濃い青の刀身の尾異夢・叉辺流で受け流す。

 

 繰り返されるリーの殴り抜ける高速の動きを全てさばききる天音。

 

 天音の頭上に跳躍したリーが腕の包帯をチャクラでコントロールして天音に向けるが、天音は火遁の赤い刀身に変えた尾異夢・叉辺流でそれを焼き切る。

 

「裏蓮華の動きを適切に対処されるとは……!?」

 

 リーは驚きを露わにしながらも、天音から離れた位置から投石を始める。

 

「リーがそんな小賢しいことするなんてねぇ!」

 

 天音はその投石を性質変化のないチャクラの水色の刀身で叩き落とす。

 

 瞬間、休門を開いたテンテンとネジが背後から天音に迫る。

 

 テンテンはチャクラを流したクナイの斬撃を、ネジは掌にチャクラを纏わせ柔拳をそれぞれ繰り出す。

 

 天音はそれに対処するために、身体活性の段階を引き上げ尾異夢・叉辺流で三方向からの攻撃を受け止め続ける。

 

 リーは杜門の能力をなるべく負担なく使う投石に集中。 三方向からの攻撃に天音は捌き切れず攻撃が掠り始める。

 

 逃げ場のない状況に天音は

 

(……あああああああああ、キッツイぃ~~~)

 

 内心焦りに焦っていたが、顔には出さないように努めていた。

 

「クッ!!」

 

 テンテンやネジ、リーもお互いの攻撃が邪魔にならないようベストの位置に攻撃を仕掛けているのにもかかわらず、完全に天音を押し切れない状況に焦りを見せ始める。

 

(一人でこの連携捌くとか、全く普通じゃないわね!!)

 

(だが僅かに押し始めている。このまま行けば)

 

(僕たちの勝利は目の前です!!)

 

 三人の息が完全にあった瞬間、天音はたまらず上に跳躍しその場から逃れる。

 

 そして

 

「印も結べないうえに上空では回避手段はない……っ! 止めだっ八卦……破山撃っ!!!」

 

 それを待っていたとばかりにネジの掌から、レーザーのごときチャクラ砲が放たれる。

 

 その攻撃は天音の持つ尾異夢・叉辺流をその手ごと大きく弾き飛ばす。

 

「痛っ……!」

 

 さらに

 

「何時だって心に……ダイナミック・エントリーィ!!!」

 

 一足、リーが落下する天音に向け渾身の飛び蹴りを放つ。

 

 杜門状態のリーの蹴りが天音の腹を穿ち、骨が砕ける鈍い音と共に大きく弾く音が響き天音を岩場へと叩きつける。

 

 天音の血を吐いた軌跡が地面へと大量にこびりつく。

 

「やりました!!」

 

 歓喜の声を挙げるリー。

 

 しかしネジは未だ警戒を解かず

 

「油断するな……っ」

 

 と柔拳を構えたままがっくりと項垂れている天音の傍まで歩み寄る。

 

 その様子をテンテンも唾を飲み見守る。

 

 天音の直ぐそばまで来たネジは、その外套をめくる。

 

「これか……」

 

 天音の腰には、機械の蓋が着いた緑色の液体に満ちたガラス瓶があり……その中には眼球が二つ浮かんでいた。

 

 ネジがその瓶に向けて手を伸ばす。 ふとその瓶の蓋に青い糸のようなモノが繋がっているのをネジは見つける。

 

 

 

 

 それがチャクラ糸であることにネジが気がつく。 それはつまり天音が意識を失くしていないことを示していた。

 

 

 

 

「土遁・心中斬首」

 

 瞬間ネジが天音の影分身に地中へと引きずり込まれ、リーがそれに反応し駆けだす。

 

「まだ生きていましたか!!」

 

 倒れていたふりをした天音は片手で印を結ぶ。

 

「雷遁・地走り!」

 

 接近するリーと地中のネジがその雷遁をまともにくらってしまい動きが鈍る。

 

 血を吐き出しながら、天音はよろよろと立ち上がる。

 

「ゴフッ……あ゛あ゛…… 私じゃなったら死んでた……よ♪」

 

 血を腕で拭いながら痺れて動けないリーへと迫る天音。

 

 咄嗟に離れた位置にいるテンテンがクナイを天音に投げつける。

 

 しかし天音は眼鏡を着けた方の眼だけを見開きそれをキャッチする。

 

「白眼も……このダメージじゃうまく使えないみたいだし……試運転であなたたちの相手をするのは間違いだったかも……最終的に信じられるのは自分の眼かな」

 

 天音はそのキャッチしたクナイを振りかぶり、四つん這いになっているリーの首元へと振り下ろす。

 

 

 しかし瞬間、天音が前方に吹き飛び地面を転がる。

 

「ガっ!?!?!」

 

 天音がうつ伏せのまま、リーの元、自分が居た位置に目を向けるとそこにはテンテンが立っていた。

 

 瞬間移動の如く後ろを取られ、思いっきり蹴り飛ばされたことに気がついた天音は地面に顔を俯かせたまま笑い声を挙げる。

 

「クックック……ああ、なるほどォ……正直あなたの事は一番舐めてたけど……フフフッ……アハハ!」

 

 不気味なその様子にテンテンはクナイを構えながら顔を引きつらせる。

 

(何コイツ……気持ち悪い……っ)

 

 すると天音は右手で支えながら体を起こす。

 

「まさか貴方が飛(・)雷(・)神(・)の(・)術(・)を使えるとはねぇ……思ってもみなかった……ああ、だけど残念、そろそろ時間みたい」

 

「……なんで私の術の正体を……それに時間?」

 

 訝しむテンテン。 その瞬間少し離れた位置で爆発音のようなモノが響くのが聞こえる。

 

「鬼鮫先輩もやられたみたいだし、私も撤収しますかね……それじゃあ、また会いましょう……テンテン」

 

 天音はいつの間にか回収していた尾異夢・叉辺流を袖にしまい、片手で印を結び宙に浮く。

 

「……っ逃がすわけ……!」

 

 天音は口元に人差し指を立て「シーッ」と言う。 テンテンがクナイの投擲をしようとした瞬間、チリチリと小さな火花が散るような音が聞こえた。

 

 ふとテンテンが振り向けば足元に小型の爆弾があり、テンテンは咄嗟に手に持つクナイをその爆弾の導線を切るために投擲する。

 

 事なきを得たテンテンが天音の方を振り向き直せば、既に天音の姿は消えていた。

 

「……何だったのアイツ……ってネジが地中に埋まったままじゃん!!」

 

 ふと緊張を解いたテンテンだが、すぐ地中と地表で雷遁の影響で痺れている班員の介抱の仕事に追われた。

 

 

 

 その様子を遥か上空から見下ろす天音は満足そうな笑みを浮かべ、暁のアジトへと飛び立っていった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

 日が落ちるころアジトの大岩が開き、外からボロボロの天音が入ってくる。

 

「随分とボロボロだねぇ」「小娘ニハ荷ガ重カッタカ?」

 

 その様子をはやし立ててくるゼツに天音は

 

「暁最ザコのゼツ先輩なら100人居ても勝てない相手三人を相手に時間稼ぎしたんですから誉めてくださいよォ」

 

 と皮肉を込めて言い返す。

 

「……言うねぇ」

 

 ゼツが眉を引くつかせる。すると

 

『まあ確かに……闘いながら少しは天音さんのことも気にしていましたがお相手は大概やるようでしたよォ……私も三割程度の力では、あの珍獣には勝てませんでしたしお互いさまということで』

 

 鬼鮫が話に割って入ってくる。

 

「さっすが鬼鮫先輩話が分かる!! 好きっ!!」

 

『遠慮します』

 

 二人の掛け合いをぶつ切りにする様にリーダーが口を開く。

 

『鬼鮫と天音が戦っている間に、別の小隊がアジトに近づいて来ていた。 ……そちらの対処はイタチに任せてある。 イタチの方が終わり次第小隊の情報を集め、封印術の仕上げにかかるぞ』

 

 話を終えたリーダーはゼツに対して

 

『象転の術に使った体の処分を任せる……恐らくイタチの方もやられるだろう……二体分残すなよ』

 

 指示を出す。

 

「了解っと……二体分消化しようと思うと時間がかかりそうだね」

 

 そういうとゼツはアジトの外へと出ていった。

 

 一人残された天音はアジトの隅へと行き、土遁で簡易的なスペースを作る。

 

「オイ……何のつもりだ」

 

 サソリがその行動に気がつき疑問を投げかける。

 

「腕とか折れちゃったんで治すんですよ……まあ、あまり治療姿とか見られたくないので目隠しのスペースです♪」

 

 そして土遁の壁に身を隠した天音。

 

「……はぁ」

 

 呆れた感じのサソリため息をつく。そしてその態度に

 

「ああ、いくら私が可愛いからって覗かないでくださいね~サソリ先輩、前に私の寝込みとか襲ってきてたし、私こわ~~いぃ~~♪」

 

 天音がうざったい声で再度声をかける。

 

「ホントうぜぇ……まさかデイダラの奴が恋しくなるなんてな」

 

『ホント五月蠅いガキだなァ殺したくなるぜ!』

 

『気の毒だなサソリ……俺なら賞金首とか関係なしに、飛弾と同じくうっかりと殺してしまいそうだ……』

 

『先ほどの私の評価を返していただきたいですねぇ』

 

『……サソリ、女性の寝込みを襲うのは感心しない』

 

『……ペイン、貴方は少し黙ってなさい……』

 

 サソリを始め、幻影に意識を持ってきている暁のメンバーから酷評を貰った天音は数時間後、アジトの中に寝息を響かせさらに顰蹙を買うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。