目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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12:捻じ曲がる運命

 木ノ葉の里、墓地の最奥に置かれた歴代火影を祀る火の像。

 

 その眼の前に、煙草をくわえた上忍が一人。

 

「……今ならアンタの言ってたことも少しわかる気がするよ、木ノ葉を離れたり……好き勝手なことばかりして悪かったな……」

 

 その上忍は一人、懺悔かそれとも心情の吐露か、呟きをその火の像へとくべる。

 

「後悔はしてねーが今は……猿飛一族に生まれたのも悪くねーと思えるぜ、アンタはちゃんと里長としての役目を果たした……」

 

 男は煙草を像へと備え、遠目に見える三代目火影の顔岩を見つめる。

 

「かっこいい……親父だったよ……」

 

 

~~~~~~

 

 

「守護忍十二士であっても……火ノ寺が壊滅……か。 なるほど天音の属する暁は化け物揃いとは比喩でもなんでもなかったか……」

 

 黒い仮面を着けた忍びは一人小高い山から、崩れ去った寺の跡地を双眼鏡で覗き呟く。

 

「確かアスマが昔……ここの奴に世話になっていたはずだが……今は九尾の人柱力を狙っているのか? ……だが奇妙なものだな」

 

 仮面の忍びは寺の跡地で血で書かれた紋様の上で腹に棒を突き刺し流血しながら何やら祈りをささげている様子の人物を眺め、仮面の下の顔を引きつらせる。

 

「連れのマスクを着けた忍びも只ものではないが、あの灰色の髪の忍びも不死の如く……天音が言っていた通りのメンバーだな。 恐らく木ノ葉には既に連絡係が走っているはず、俺も集落へと……ん?」

 

 独り言を呟く仮面の男はふと自分の肩に小鳥が乗ったことに気がつく。

 

「……重吾からの知らせか?」

 

 男は小鳥の足に結ばれた紙を回収すると、小鳥に礼を言い空へと飛ばす。

 

「………………ッ」

 

 その紙に書かれた内容に、男は仮面の下の表情を曇らせる。

 

「俺は……っ……三代目……俺に出来ることは少ないかもしれないが……」

 

 男は立ち上がりその場を去る。

 

 

 

 

「俺に出来る最善を尽くす……三代目、それが貴方を看取った俺の責務だ……っ!」

 

 

 

~~~~~~

 

 

「話はここまでだ、何か質問がある者は?」

 

 火影屋敷の屋上に多数の忍びが集まり、彼らを前に綱手が最終確認を促す。

 

 集められた忍びの一人、猿飛アスマが手を挙げ口を開く。

 

「あそこには元守護忍十二士の地陸がいるはずです、彼はどうなったんです?」

 

 アスマは綱手の傍にいる、暁により壊滅させられた火ノ寺の生き残りの伝令に質問を投げかける。

 

「……地陸様はそやつらのてにかかり……っ!」

 

 アスマの言葉に辛そうに言葉を連ねる僧侶。 アスマは信じられないといった表情を浮かべる。

 

 そのやり取りを見届けた綱手は火影として集まった部隊全体へと指令を出す。

 

「奴らの目的は……恐らくナルトだ。 知っての通り暁はかなりの手練れが集う集団、身柄の拘束が不可能であれば迷わずに抹殺しろ! 火の国へとあだなす奴らを……絶対に逃がすな…………散!!!」

 

 綱手の合図に、忍び達は各自暁の捜索のために木ノ葉の里を後にするのであった。

 

 

~~~~~~

 

 

 少し騒がしくなっている木ノ葉の里の中、平穏な時が流れる日向の屋敷。 日向ハナビは任務が無いため自室で忍具の手入れをして過ごしていた。

 

「~~~♪ ~~~~~♪」

 

 鼻歌まじりで、クナイや手裏剣の手入れを行うハナビ。 テンテンと知り合いであるためか、忍具の扱いに関しハナビはそれなりの知識を有し丁寧にそれらを扱っていた。

 

「……よしっと」

 

 手に持ったクナイを置き、ハナビは自身が普段巻いている腰布を広げる。

 

「……流石に傷が目立ってくるなぁ……結構年季が……」

 

 独り言をブツブツと呟くハナビは腰布に着けられた二つの額当ての内、傷が目立ち歪んでいる額当てを丁寧に拭き始める。

 

「姉様は任務で居ないし……父様も別の国に外交しに行ってるし、白さんは……施設が忙しそうだし……ハァ……ナツも居ない……今日何しよう……」

 

 独り言に対して手の動きは少しも鈍らず、丁寧に整備を終えたハナビが目の前の机に置いた仮面に視線を落とす。

 

「…………あの天音って人…………やっぱり……」

 

 ふとハナビは湯の国での出来事を思い出していた。

 

「思えば、あの人が回天を使った時に私のことは見えてなかったはずなのに……回天を使ってた……写輪眼でのコピーって流石に視界に入れないとできないハズだよね……」

 

 それはつまり

 

「……あの人は元々回天を知っていた……てことなのかな? 私の未熟な回天を支えるぐらいに……」

 

 ハナビは自身の掌を見つめる。

 

「あそこでの戦いで、あの天音って人の動きはとても参考になった……体の動かし方、術のタイミング……そして回天……まるで私の教師にでもなったかのような……」

 

 暁の構成員を憎からず思う自身に、思わず不純だと思いつつもハナビは再度仮面を見つめる。

 

「声も聴けず……顔も見れなかったけど……まるで……まるで……ッ」

 

 そこまでを口にしてハナビは邪念を払うかのように頭を左右に振る。

 

「ああ……いけない……()()()()()の時と同じ勘違いをしちゃ……っああ駄目だ私……ちょっと優しくされたら誰でも実は悟さんが変化してるんじゃって勘違いしたくなっちゃうなぁ……アハハ……」

 

 左右の眼に涙を浮かべたハナビは誰にも聞かれない独り言を呟く。

 

 

 

「会いたいよ、悟さん……ッ」

 

 

 

 彼女は悟の生存を信じている。 だからこそ、会えない寂しさに身を震わせるのであった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

「あああ、くっせーなぁマジで……角都のやろー良くあんな場所でベラベラと話ができるもんだ……死ななくても嫌気がさすぜ、全く」

 

 とある廃墟の前、階段で1人愚痴を漏らす男は自身の外套に着いた死体の匂いを払う仕草をする。

 

 ふと彼の背後に人影が現われた。 男は振り向きざまにその人影へと声をかける。

 

「角都、遅かったな……っ!?」

 

 男は背後にいた人影が仲間でないことに気がつく。 瞬間眼前へと迫っていた手裏剣を手もち大鎌を器用に振り回し弾くとその流れで反撃を試みるも…… 

 

「っ!?」

 

 不意に身体の制御が出来なくなり、動きが止まる。 そして

 

「遅せーよ」

 

 そんな言葉を耳にしながら大鎌を構えた男は両脇から現れた忍びに両脇腹を刺されるのであった。

 

「……」

 

 しかし

 

「ハァ……痛ってぇ……何だてめーら?」

 

 致命傷を負ったはずの男は気怠そうに、自身を襲った4人にたいしてそう言葉を投げかけるのであった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

「もう少し急げないのか、天音!!」

 

 雲より上の上空、天音小鳥は空を飛びながらも背に背負う黒い仮面の忍びに急かされていた。

 

「私だって全力で飛ばしてるよ! 全くゼツの野郎、私が暴れまわっても全然姿を見せないから初動が遅れちゃったじゃない……っ!」

 

 ゼツに対して恨みつらみを言う天音。 その背に乗る仮面の忍びは

 

「早く……早くっ」

 

 焦りの言葉を漏らす。

 

 その背の忍びの様子に天音は神妙な面持ちで語りかける。

 

「……地陸って奴の死体が運ばれる換金所の候補は4つ……そのうちの一つに飛段と角都がいる。 そこで……猿飛アスマは殺される……」

 

「ああ、何度も聴いて分かってる!! だからっ──」

 

「落ち着いてっ! ……最悪プランA……無傷で助けられないかもしれない、そうなったらプランBになる……そうなった場合……少なくともアンタか私の()()()()()をアスマに話すことになる……かもしれない……そのリスクはわかってるよね?」

 

「……ああ、そうなった時は()()どうにかする。 それが俺の……責務だ」

 

 仮面の忍びの覚悟を決めた声に天音を、心配するような顔を止めて正面を向く。

 

「……影分身に向かわせた三か所の換金所と今向かっている四か所目……どうでるか……ッ」

 

 天音は焦りに額に汗を浮かべるも高速での飛行がその汗を直ぐに吹き飛ばす。 汗が乾き体が冷える感覚をよそに天音は目的地へと急ぐのであった。

 

 

~~~~~~

 

  

 木ノ葉の里のとある民家。 長い黒髪をなびかせ、赤目の女性はベランダの花へと水を与える。

 

 手に持つジョウロから出る水の流れを注視しているその女性は自身のお腹をさする。

 

「……アスマ」

 

 

~~~~~~

 

 

 例えどんなに卓越した忍びでもいずれ死ぬ。 かつて三代目火影猿飛ヒルゼンは息子たちにそう語った。

 

 忍びの神と呼ばれた初代火影も、その弟である二代目火影もその命を散らしている。 その事実を体験しているヒルゼンの言葉は重く、アスマへと深く突き刺さった。

 

 死とは皆平等に訪れるものである、だからこそ限りある命を……里のために家族のために、燃やしささげる。

 

 次代を繋ぐ火の意思……その考え方をアスマは始めから受け入れていたわけではない。

 

 次世代をより良くするならば、今さえ良ければ自然と未来は明るいものとなる。 その考えの元、アスマは一度猿飛の名を捨てた。 

 

 自分さえ強ければ……そんなエゴの元アスマは自らの力を磨いた。 かつての友であったうちはオビトや野原リンは命を落とし、彼らを失くし心を壊したカカシとマリエを見てアスマは……言い表せない恐怖を抱いた。

 

 死へと向かう恐怖。 自分が死ぬことで周りはどうおもうのか? 自分は何を残せるのか? 力さえあれば自分だけでも死なずに…… 

 

 

 そんな思いを抱えたアスマだがそれでも、友は歩みを止めなかった。 カカシは暗部としてひたすらに任務をこなし、マリエは孤児院を営み、それぞれの道を……傷ついた心を引きずりながら前へともがき進む。

 

 

 何故彼らは前に進むのか……アスマはそれを理解していた。 それこそ次世代に希望を繋ぐ火の意思を体現するかの如く、アスマは彼らを心から尊敬していた。

 

『カカシの正規部隊配属嘆願書? それに俺もサインしろってのか? そんなことアイツが望んでいるわけでも……』

 

『お願いアスマ君……』

 

『頼むアスマ!』

 

 

 マリエも前へと進み……ガイも前へと進む……

 

 

『ねぇ……アスマ』

 

『どうした紅?』

 

『私たちも前に……そろそろ未来に進むべきじゃないかしら……確かに仲間の死は辛い……だからこそ、それをこれから忍びになり行く子たちに、その辛さをなるべく与えないためにも……』

 

『……ああ、そうなの……かもな』

 

 紅も…… 

 

 

 

 

 

 

 緊張しながらも、猿飛アスマはとある扉をノックする。 扉の先からは、あまり好きではない声が許可を出しアスマの胃を絞める。

 

 それでも自身の歩みを……進めるために。 

 

 扉の先には、自分が嫌う人物が二人いた。 それでも二人をアスマは心から尊敬していた。

 

『……親父……いや三代目、頼みがあってきた』

 

 アスマの言葉にパイプを咥えた人物は、その象徴的な赤色の笠から威厳を感じさせる瞳を覗かせる。 また静かに見守るような、暖かな瞳もアスマを黙って見つめる。

 

『……言ってみなさい』

 

 優しい声色のその言葉にアスマは……火の意思を心に宿す。

 

『俺に……カカシと同じ、担当上忍をやらせてくれ……っ!』

 

 

………………

……………

…… 

 

 

 

「やめろォ!!!!!!」

 

 悲痛な叫び声が、薄れ行くアスマの耳に届く。

 

 自身の霞む視界、死神のような大鎌を自身の腹部へと突き刺している忍びの後方、コテツとイズモがマスクをした暁の忍びの触腕に拘束されている位置からさらに離れた場所から、顔に似合わない悲痛な表情を見つけてしまうアスマ。

 

 走馬灯のように何かを思い出したアスマは……シカマルへと目線を向ける。

 

(……ああ、アイツ……あんな必死な顔で……)

 

 

 目の前の不死者は自身の腹部に向け、突き刺すように杭を振り上げる。

 

 その事象の意味を理解しているアスマは、静かに瞳を閉じた。

 

 

 

 

(俺も……何か残せたかな……親父)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水遁・大瀑布の術!!!!!」

 

 

 瞬間、周囲の空間に上方から大量の水が降り注ぐ。

 

 バケツ……風呂……いやまるでプールをひっくり返したかのようなその大量の水は、その場にいた全てを洗い流すが如く周囲を薙ぎ払う。

 

 轟音を響かせ、戦場近くの換金所すらも巻き込み崩壊させたその大量の水が引くと、木ノ葉の忍びのイズモ、コテツ、シカマルはあまりの衝撃に地面へと横たわり呻き声をあげる。

 

「っあ……ぐっ……な、何が……?」

 

 朦朧とする意識のなか、シカマルが目を開けると目前では転がるアスマの身体に医療忍術を施す何者かの姿が見えた。

 

 対して暁の二人、飛段と角都も突然の水遁に流され大きく位置をずらしたが頑丈な彼らは直ぐに地面から立ち上がり目の前の光景の意味を理解する。

 

「オイオイオイオイオイオイ!!! てめぇ……何したかわかってんのか!!?? 俺の儀式の邪魔をしやがってっっっ~~~~おいおおいおいおいおい!!!!」

 

「……っ喚くな飛段……だが確かに、何をしたのか……今何をしているのか俺たちが納得できる答えがあるんだろうな?」

 

 角都はアスマを治療するその忍びに鋭い殺気を飛ばす。

 

 

 

 

「小娘……いや、天音小鳥」

 

「……」

 

 

 

 

 角都が呼ぶ名に……天音はゆっくりと視線を向ける。

 

 

「…………ブツブツ

 

 小さく何かを呟いた様子の天音に、角都が腕を構える。

 

 

 

 

 

「先輩方、ホントばっかじゃないっすかぁああああ!!!????」

 

 天音の叫びに、飛段がビクッと驚いた表情を浮かべる。

 

「何でこの忍び殺そうとしてんのかマジ意味不明なんですけど!? こいつが何者かしってますぅ? 知ってますよねェ!!!??? 元守護忍十二士で歴代最強と呼ばれた三代目火影猿飛ヒルゼンの息子の猿飛アスマですよぉ!? ホっっント、マジでぇ!! こいつ殺して遺体にしたら3千5百万両しか!!!!  3千5百万両しかですよ!?!?!?! 換金できないんですよ!!?? 優秀な猿飛の血に、覚えている術、性質変化!!! 殺したらそれらを活かせなくなるし、バラシて売りさばけなくなる!!! やり様によっては倍にも金を手に入れられるのにっっっ!!! はぁ~~~つっかえね~~~マジ先輩方使えね~~~っすよぉ~~~!?!?!?」

 

 怒涛の天音の叫びに、ひるむ飛段。 しかし

 

「……そんな相場の倍などと法外な金額で取引できる換金所など、俺は知らん。 出まかせで──」

 

 角都は信用できないと、敵意を天音に向ける。

 

「ハァ……これだから人殺しでしか稼ぎ方の知らない脳筋は……あのですねぇ!! ──」

 

 呆れた様子の天音は、如何に自分が創意工夫をして金を稼ぎそれらを暁に納めているかの解説を始める。

 

 怒涛の展開にシカマルたちは、水遁で受けたダメージにふらつきながらも何とか立ち上がる。

 

(どうなってやがる……!?)

 

 内心何が起きているか、何も分からず混乱するシカマルだが

 

 不意にふらつく身体を誰かが支える。

 

「大丈夫、シカマル!!」

 

「っ!? ……いの!」

 

 自身の身体を支えるのが増援で駆けつけたいのであることにシカマルは僅かにだが感情を緩ませる。

 

「なぁ……向こうの雑魚に増援きてんだけどもよォ角都ぅ……」

 

「……ちぃっ……小娘、お前の言い分はわかった!! その男の身柄は譲ってやる、だからそこの羽虫たちを退けるのに協力しろ」

 

「つまり、先輩方の金使いの粗さが──ってああ、木ノ葉側に増援来てたんですか……まあ、どうとでもなりそうなんでちゃっちゃと片付けて換金の準備を──」

 

 飛段と角都の言葉に、天音が集う木ノ葉の忍びらに目を向ける。 その瞬間

 

 飛段と角都が同時に小さく舌打ちをする。

 

「……もう少し待ってくんね―かなァ……これから大虐殺ってとこなんだホント」

 

 虚空に向かってしゃべり始めた飛段。

 

「ッ! だから言ってんだろもう少し──」

 

「飛段やめろ……小娘、俺たちは一旦引く。 お前は()()()を金に換えて……そうだなお前とは連絡が取りずらい、金は()()に持ってこい」

 

 角都は苛立ちを抑えきれない様子の飛段を抑え、撤退の素振りを見せる。

 

「……小娘、もしお前が金を組織に落とさなかった場合……それがどういう意味になるか、肝に銘じておけ」

 

 その言葉を残し、角都と飛段はその場から姿を消した。

 

 残された天音は、木ノ葉の様々な部隊がそろいつつある状況に一人置いて行かれる。

 

 少なくない木ノ葉の忍びを前に、天音はアスマを肩に抱え立ち上がる。

 

「アンタ! アスマ先生を返しなさいよ!!」

 

 いののがそう叫ぶと天音は笑顔を浮かべる。 

 

「イヤだ♪」

 

 その天音が返事をすると同時に

 

 木ノ葉の忍びらの視界が暗黒に染まる。

 

「「「「!?」」」」

 

 音も、気配も、全ての感覚が突然黒に染まってしまいシカマルたちに動揺の声が走る。 しかし突然の事象になす術もなく、慌てふためくしかできない木ノ葉の忍び達。 

 

 完全に無防備となった彼らに──

 

 

 攻撃が訪れることはなかった。

 

 

 暫くし突如として視界が晴れ、全ての感覚が戻った時既に……シカマルらの前から天音小鳥と、猿飛アスマは姿を消していたのであった。

 

「おい……おい……クソっ……どうなって……やがる!? ……アスマっ……!」

 

 動揺するシカマルの呟き。 それは当然のことで、天音小鳥の先ほど述べた言葉が正しければ……アスマはその体をバラされ換金されることが決まっているからである。

 

 そして残された混乱と絶望を抱いた木ノ葉の忍びらは撤退するまでに、およそ考えれらないほどの時間を要して木ノ葉の里へと帰還を果たすことになった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

  

 ごくわずかな意識がアスマに戻る。

 

 目を開ける力もなく、ただ耳に入る音が何となく聞こえる、そんなギリギリの状態。

 

「おとう──アス──どう──傷は──命──助か──」

 

 焦っているような男の声。 ごうごうと唸る風の音がただでさえ朦朧としているアスマの認識を阻害する。

 

 しかし僅かに聞こえたその声にアスマは

 

 

 

 

 何故かとてつもない安心感を感じ、意識を手放すのであった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 とある洞窟。 尾獣を封印する像の指先に集う幻影たち。

 

「オイ……三尾の封印の前にリーダー、話がある」

 

 角都の幻影が放つ言葉に、リーダーと呼ばれた男の幻影が顔を向ける。

 

「あの天音小鳥という小娘……奴は恐らく組織の裏切り者だ」

 

「……」

 

 他のメンバーはその角都の言葉に耳を傾ける。

 

「理由を話せ」

 

 リーダーの催促に角都は口を開く。

 

「奴は俺たちの行動を邪魔した。 それも恐らく木ノ葉の忍びを助けるためだろう……」

 

「オイオイ角都! あのクソ生意気な小娘はムカつくが一応金のためだと──」

 

 珍しく飛段が角都の言葉に異議を申し立てるが

 

「……あの小娘が姿を現してから……火の国の火ノ寺で俺たちを遠くから監視していた奴の気配が現れた。 俺のストックを一つ監視に宛てていたからこそ気が付けたが、奴は独自の換金方法があるなどと大層なことをのたまったが……そんな方法があるならもっと早くに俺のやり方に異議を出すはずだ」

 

「……」

 

 角都は静かな怒りを滲ませた口調で話を続ける。

 

「だがまぁ……万が一もある。 約7千万両もの大金をあの小娘が本当に用意する場合もな」

 

「……天音小鳥はこの中で一番多くの活動資金を集めている。 有り得ない話ではない」

 

 リーダーの天音をフォローするかのような言葉に角都は幻影でも分かるぐらいに顔を歪ませて笑みを作る。

 

「ああだからだ、もしあの小娘が金を持ってきた場合は──」

 

 

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