目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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18:幼年期の約束

「侵入者だぁ!!」

 

「手の空いてるものは現場へ急げェ!!」

 

 木ノ葉の里に響く爆音と悲鳴。

 

 伝説の三忍の一人自来也の死去の知らせから、うずまきナルトが妙木山へと修行に出て少し経った頃……

 

 その日は突然やってきた。

 

 

 巨大なムカデのような口寄せ動物が暴れ出し、妙なカラクリの弾頭が里を爆撃する。

 

 そんなあまりにも突然の出来事であったが……

 

「リーと俺は敵の撃退と、あのカラクリを撃ち落しに行く。 テンテン、お前は大門から新たな侵入者が来ないよう、別の隊と共に警戒をしてくれ」

 

「オッス!! 行きましょう、ネジ! 犠牲者は一人も出させませんっ!!」

 

「オッケー! 何かあったら合図してよねぇ……飛雷神で駆けつけるからっ!」

 

 

 

 

「敵の情報が不足している以上……俺の蟲による牽制が有効のはずだ……なぜなら暁は侮れない能力を持つ者ばかりだと聞いているからな」

 

「敵の匂いは7人……俺たちから一番近い方角の奴は……こっちだっ! 行くぜェ赤丸、シノ、ヒナタっ!!」

 

「ウォンっ!!」

 

「うん……ナルト君が帰ってくるまで……絶対に誰も死なせない……っ!!!」

 

 

 

 

「チッ……まさか本当に……あちらさんから攻めてくるとはめんどくせぇ……だが」

 

「シカマルっ! 近くに敵が来てるわっ!!」

 

「行こう2人とも……アスマ先生が大好きだったこの里を……未来を守り抜くんだっ!!」

 

 

 

 

「うちはイタチが死んで……サスケ君は帰ってきていない……ナルトも修行で居ない……そんな間に……この里を壊させはしないわよっ! しゃんなろォ……っ!!」

 

「サクラ、行こう……僕たちで少しでも時間を稼げれば……必ずナルトが帰って来てくれるはずだ」

 

「そうだね……カカシ先輩も既に戦いに出ているみたいだし……新生カカシ班の腕の見せ所だ」

 

 

 

 

 木ノ葉の忍び達は、その力を持って侵入者へと立ち向かう。 誰一人殺させはしないという、共通の認識のもとに。

 

 襲撃が始まってから迅速に対応がなされ、7人の侵入者の内6人までが既に木ノ葉相手に攻めあぐねる状況となっていた。

 

 そして混乱の渦中、静かに行動する6人目・ペイン天道は現在の状況を冷静に判断していた。

 

(里上空から、畜生道を投げ込み……口寄せによる侵入で完璧な奇襲を仕掛けたにも関わらず……こうもペイン六道が押される結果になるとはな……流石は五大国最強と謳われる木ノ葉の里……そして我が師の故郷……フッ……さらに)

 

「こうも早く、俺すら見つかるとはな……見事だと褒めてやろう、写輪眼の……はたけカカシよ」

 

 天道は眼前に立ちふさがる2人の内の1人へと目線を向ける。

 

 左眼の写輪眼を見開き、完全に戦闘態勢に入ったはたけカカシは隣に並び立つエプロン姿の人物にクナイを放る。

 

「まさかお前と並び立つ日が来るとはね……良いのか?」

 

 カカシの心配するような言葉に、クナイを受け取った人物は口元に巻いた包帯を持ち上げ、首を鳴らす。

 

「良いのかもクソもあるか……この先の……うち(施設)のガキどもが避難を終えるまではなりふり構ってられるかよ……ッ」

 

 並び立つ両雄に天道は右手の掌を向け口を開く。

 

「死んだとされていたかつての鬼人がまさか生きて、木ノ葉で俺の前に立ちはだかるとはな……鬼鮫に面白い土産話が出来た」

 

「土産に出来ると思われるとはね……再不斬、ブランクがあるだろうから俺のサポートに回ってくれ」

 

「舐めるなよカカシ、生憎俺は鈍らになるほど……生易しい環境に居た訳じゃねェてとこ……見せてやるぜっ!」

 

 カカシと再不斬は、同時に同じ印を結ぶ……

 

「「水遁・水龍連弾の術っ!」」

 

 

 巨大な荒れ狂う二匹の水龍。 その様子に

 

 

「なるほど……思っていたよりも骨が折れそうだな……」

 

 天道は掲げた右手から斥力を発生させた。

 

 

 

「神羅天征……!」

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 一際大きな揺れが生じ、パラパラと埃が落ちる施設「蒼い鳥」の中で、蒼鳥マリエは黙雷悟の自室から姿を現す。

 

 そんな彼女に、日向ハナビが庭から声をかけた。

 

「マリエさんっ! 施設の子どもたちはみんな外に出ました、残っている子もいないようなので私たちも避難しましょうっ!!」

 

 白眼で取り残された子供がいないことを把握したハナビのその言葉に、マリエは

 

「……ハナビちゃんは先に行って頂戴……私はここに残るわ」

 

 そう言って庭へと降り立つ。

 

 当然そんなことを言われれば

 

「駄目ですよ……っ! 確かにここはマリエさんにとって大切な場所だとは思いますが……今は命を大切にしないと……っ!」

 

 ハナビは心配のあまり大きな声を出し、マリエの手を引く。 しかし手を引かれたマリエの身体は微動だにせず、逆にハナビがマリエに引かれ抱き着かれる形となった。

 

「ッ! ……マリエさんッ」

 

「大丈夫……死ぬ気なんてさらさらないもの……でも一人……一人だけここに帰ってくるかもしれない子がいるからね? ……私は此処に残るわ」

 

 マリエがそう言うと突き放すようにハナビを押す。

 

「ハナビちゃん……子どもたちの避難をお願いっ! ……私も後で必ず行くから」

 

「っ……絶対ですよ……っ!」

 

 ハナビは押された反動のまま振り返り、外へ向け走り出す。

 

「木ノ葉丸、待たせた!! 避難を開始するわよっ!」

 

「おお、急ぐんだコレっ!!」

 

 外で聞こえるそんなやり取りと、遠くで聞こえる戦闘音を聞きながらマリエは両手を組み祈るように瞳を閉じた。

 

 

 

 

「信じてるもの……必ずあなたは帰って来るわ……」

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 木ノ葉が襲撃を受ける光景……しかし木ノ葉の忍び達は希望を失わず抗い続ける。

 

 濃霧に囲われた天道は抗う、2人の忍びに手をこまねく。

 

(……まさかここまでとはな……まともに攻め入ることも出来ず……そして怪我人も迅速に火影の蛞蝓が治療と安全圏への離脱を行い、九尾の情報を得るどころではないか)

 

「こうなっては仕方あるまい……」

 

 天道の呟きに

 

「雷切っ!」

 

 カカシが素早く後方から奇襲をかける。 しかし

 

「ッ神羅天征!」

 

 天道を中心に発生した斥力が、カカシを吹き飛ばす。

 

「ッがァ……!」

 

 家屋に叩きつけられたカカシだが、瞬時に天道の背後には……

 

「──っ!」

 

 鬼人の必殺の一撃が迫っていた。

 

 再不斬のクナイが天道の首をつらぬこうとしたその瞬間、突如として爆発が発生しの濃霧を晴らしながら再不斬を吹き飛ばす。

 

「グッ……チッ新手かァ!?」

 

 再不斬が地面を転がりながら態勢を整え、上空を見上げると天使のように白い紙で出来た羽根を広げたくノ一が天道の傍へと舞い降りていた。

 

「ペイン、木ノ葉の連中……孤立している部隊が少ない……これじゃあまるで──」

 

 そのくノ一・小南は焦った様子で天道へと語りかける。 天道はその言葉に予想していた言葉を重ねた。

 

「間違いなくあの裏(・)切(・)者(・)の仕業だろう……自来也を助けようとしたときに、蹂躙したはずだが生きていたという事か……それはつまり、間違いなく──」

 

 そして天道は、何かを感じ取り瞼を閉じた。

 

「話をすればという所か……小南、ア(・)レ(・)をやる」

 

「っ! でもそれじゃあ貴方の負担が──」

 

 天道の言葉に、反応をした小南は言葉の最中に煙を巻き上げ姿を消す。

 

「これ以上、分散した力では事が進まない……全ては平和のため──」

 

「ごちゃごちゃとうるせぇっ!」

 

 天道へ再度切りかかった再不斬だがその斬撃は空を切る。 天道は素早く上空に向けて飛び去っていた。

 

「……おいカカシ、奴さんは一先ず撤退してったぞ」

 

 再不斬のその言葉に、家屋から這い出てきたカカシは再不斬に手を引かれて起き上がりながらも疑問符を浮かべる。

 

「おかしい……奴らにもなにか目的があって里へ襲撃を仕掛けてきたはずだ……」

 

 カカシが考える素振りをして固まったが、再不斬は構わず走り出す。

 

「俺はガキたちの様子を見てくる……てめぇも怪我人の避難誘導をサッサとしやがれ」

 

 再不斬がそう言い残すと、カカシは微妙な表情を浮かべた。

 

「……鬼人のあんな姿と言動を見ることになるとはね……」

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 木ノ葉の里の大門で、複数人の木ノ葉の忍びに囲まれている人影がいた。

 

 黒い髪、ボロボロで既に外套としての機能など微塵も感じさせないほど血に染まったぼろきれを纏い、その人物は正面に立つ尽つに目線を向けていた。

 

「アンタと会うのはこれで3回目になるかしら……前みたいに白は居ないけど……里には手出しはさせないっ!」

 

 目線を向けられている人物はテンテン。 他の忍びと共に取り囲んだその人物は、不気味なまでにテンテンに視線を向け続けていた。

 

 すると、伝令の忍びがテンテンの元へと駆け寄り耳打ちをする。

 

「……敵が皆撤退した? じゃあ、残るはあんただけのようね……天(・)音(・)小(・)鳥(・)っ!」

 

 テンテンは手に構えたクナイを持ち直し、構えを取る。 周囲を取り囲んでいる忍びらもテンテンの構えに乗っ取りそれぞれが印を結び、クナイや手裏剣を構えた。

 

 明らかにボロボロの様子で、肩で息する天音小鳥はブツブツ何かを呟いている。

 

「……ペインが引いた……このままじゃあ……でも……気絶させたら避難が……っ!」

 

 その不自然な様子で焦りの表情を見せる天音に、今までとのギャップを感じていたテンテンは口を開く。

 

「アンタたちの目的はナルトなんでしょ……っ! ブツブツ言ってないで、はっきり何か言いなさいよっ!!」

 

「……ッ」

 

 そのテンテンの言葉を受け、天音小鳥はすがるような瞳で……テンテンを再度見つめた。

 

 そして覚悟を決めた表情になった天音は……ゆっくりと右手を上げ始める。

 

 天音の行動で周囲に緊張感が走った。

 

(相手は暁だ……印を結ばせては行けないっ)

 

(強さは並大抵じゃない……タイミングを仲間と合わせて……っ!)

 

 忍び達はその天音のゆっくりと挙げている右手に視線を合わせ集中する。

 

 奴は既に迎撃できる手段があるのか? 片手を上げて何をしてくるのか……? 何かをさせる暇もなく、全員でかかれば……っ!

 

 そんな忍び達の思惑を受け、天音は人差し指と中指を建てた状態で右手を構える。 

 

 

 

 忍びならだれもが知っているその印の名は……『対立の印』

 

 

 

 神聖で伝統となっている忍び組手の始まりの合図を示すその印を天音は胸の前で構えた。

 

 それはその場にいる全員に向けて対立を示してるかのように思われ、忍び達の緊張感がさらにます。

 

 

 そんな緊迫した場面の中

 

 

 しかし天音はそのまま

 

 

 その印を口の前まで持っていき、中指を折りたたみ

 

 

 そっと

 

 

 息を吐いた。

 

 

「シーー……」

 

 

 何の意味があるのか、どういう意図があるのか、天音のその行動に忍び達は困惑の色を示す。

 

 緊迫感がピークに達し、一人の忍びが手裏剣を振りかぶった瞬間

 

「待ってっ!!!」

 

 テンテンが大声で制止をかける。

 

 突然のテンテンの声に、忍び達は怯み視線をテンテンへと集める。

 

 そのテンテンは、眼が泳ぎ、額から大量の汗を流して何かを呟いていた。

 

「……そんな……噓……だって……っ!」

 

 明らかに動揺しているテンテン。 そんなテンテンに向け天音は一言声をかけた。

 

「眼を……見てくれ」

 

 その言葉の意味をテンテンは直ぐに理解できなかった。 

 

 天音小鳥は何を言っているんだ? 対峙した時から、自分は目を逸らしていなんかいないハズだと。

 

 そう思い、動揺しているテンテンが再度しっかりと天音の眼を見た。

 

 

 

 

 そして先ほどまで、テンテンは自分が認識できていなかったことに気がつく。

 

(天音小鳥の眼の色は……黒(・)色(・)だ(・)っ(・)た(・)は(・)ず(・)……なのに……何で……っ……)

 

 敵の眼の色彩など、些細なことかもしれない。 だがテンテンはその瞳の色に驚き、混乱し……

 

 そして一つの答えを理解した。

 

 

 

 

 

──それじゃあこれは『ケンカをしない印』だね

 

 

 

 

 天音の緑色の瞳に宿る『翠色(すいしょく)の雷光』が僅かに煌めく。

 

 

 

 

「……私の合図で攻撃を仕掛けるわ」

 

 突如テンテンはそう言い、クナイをしまって巻物を広げる。

 

 その言葉に周囲の忍び達は、天音に向ける敵意を鋭く研ぎ澄ませていく。

 

 全てを悟り、テンテンは睨みつけるように天音に視線を飛ばす。

 

 それは未だに人差し指を立てたままの天音の視線とぶつかり……そして

 

 

 

 テンテンの巻物から、多量の煙が溢れ出す。

 

 

 

「行けェ!!!!!」

 

 

 

 テンテンの叫びと共に、巻物からあふれた煙は瞬時に周囲を覆いつくし周りの忍びたちの視界を潰すそして

 

「ありがとう」

 

 混乱する忍び達の声が響く煙の中、過ぎ去る人影のその呟きと共にテンテンは何かを手に受け取った。

 

 後方に雷光が走り去っていく音を聞きながら、テンテンは手の内にある筒状のそれを確認し……

 

 

 涙を流していた。

 

 

~~~~~~

 

 

 その忍びは走る……この時、この瞬間、被害を出さないためにと。

 

 数年間か、それ以上か……重ねた努力は今この時を乗り越えるために。

 

 類まれなる感知能力が、怪我人が出てはいても死者が出ていないことを知らせ、歓喜の思いを湧き上がらせる。

 

 だが、今から起きる惨事を見過ごせば確実に死人が出てしまう。

 

 それを防ぐため、忍びは木ノ葉の里を中心目掛け走る。

 

 

 途中、夕日紅を抱え走る暗部の忍びとすれ違う。 目が合い、お互いに頷き刹那のやり取りを交わしその距離は直ぐに離れていく。

 

 

 自身の身体が既にボロボロであっても、例え限界が近かろうとも。

 

 その忍びの目的はただ1つであった。

 

 

 

 木ノ葉の里の上空で天道は両手を構える。

 

「痛みなくして……人は平和を理解できない……神の裁きにより──」

 

 一部の忍びであれば、その遥か上空に佇む天道の異様なまでに高まったチャクラに気がつき始めた頃、その忍びは天道の真下まで来る。

 

 その忍びは少し離れた視線の先にある火影屋敷の上にいる人物に向け声を張り上げた。

 

「綱手さんっ全員を避難させてくださいっ!」

 

 その大声は……火影へと伝わる。

 

 そして……

 

 

 

「ここより世界に痛みを」

 

 

 

 

「絶対に……誰も……死なせないっ!!!」

 

 

 

 

神  羅  天  征

 

 

 

 音が圧縮されたかのような刹那の静けさ、世界が音を忘れたかのような時間が訪れた。

 

「土遁・岩状鎧武っ!!!!」

 

 地面から岩の巨人が天目掛け両手を突き出し這い出てくる。

 

 

 その次の瞬間、圧倒的なチャクラによって生じた力場が巨人の手とぶつかり世界は音を取りもどす。

 

 

 地面は揺れ、あり得ないほどの衝撃波が巨人の足元を伝わりそこを中心に地面が陥没し始める。

 

 

 その瞬間、木ノ葉に声が響く。

 

「全員、里の外へ避難しろォっ!!!!」

 

 到底人間が出せる声量ではないそれは、確実に木ノ葉全域へと響き渡る。

 

 岩の巨人の肩でその声を聞いたその忍びは、火影屋敷からあふれ出る蛞蝓の大群を目にしそして

 

 口から血を吐く綱手と視線が合い、お互いに頷き合った。

 

 

 

 目に見えない力場を支える岩の巨人の身体に亀裂が走る。

 

「ッ八門遁甲……第一開門・開っ!!」

 

 即座にその忍びは大量のチャクラを解放し、巨人をより強固なモノへと変貌させる。

 

 

 

 しかし力場の及ぼす斥力は急激に増大して見せ、全てを押しつぶさんとした。

 

 

 

「ッ第二……ッ第三……」

 

 忍びからあふれ出るチャクラは、全て岩の巨人へと注がれその力場を押し返そうと腕を突き上げ続ける。

 

 斥力と押し合う力巨人。 その二つが生じさせる衝撃波が周囲の建物を薙ぎ払い倒壊させ、地面に無数の亀裂を走らせる。

 

 

 ……木ノ葉病院から逃げ出し、運び出される人々。

 

 

 まだ、里には多くの人が残っていた。

 

 

 斥力は容赦なくその力を増していく。

 

「第四……第五ォ……第六っ!!」

 

 応えるように巨人もその力を増し、押し返さんとする。

 

 

 斥力の中心にいる天道……それ操る大元、暁のリーダー長門は隠れている大樹の中で焦りを感じていた。

 

「この神羅天征にここまで抗うとはな……あ(・)の(・)時(・)、念入りに殺しておくべきだったか……っ!」

 

 その呟きの後、長門は両掌を合わせた印にさらに力を籠める。

 

 

 増大する斥力はとどまることを知らないかのように岩の巨人を押しつぶそうとする。 たまらず岩の巨人を支える片足が膝から砕け一気に態勢を崩すが

 

「ッ!! 第七……驚門……開っ!!!」

 

 その忍びは青い蒸気を纏い、岩の巨人へ莫大なチャクラを送り瞬時にその膝を再生して見せ大地を踏みしめる。

 

 

 忍びは周囲を気にかける。 

 

(まだ……まだ、避難は済んでいない……っここで俺が折れるわけには行かないんだっ!!)

 

 

 

 長門もその忍びも……口から血を吐きながらも互いに譲れないモノのためにその力の全てを注ぐ。

 

 

「「うおおおおおおっ!!!」」

 

 

 互いの全力は人知を超えた衝突を生んでいた。

 

 その光景を目にした誰もが、その力のぶつかり合いの途方の無さに絶望し逃げ惑う。

 

 大蛞蝓が里中をはい回り片っ端から人々を避難させ、里の外周に向け散らばるように避難を続ける中……

 

 一つの人影がその衝突の最中、里の中心へと駆けていた。

 

 

 

 里の外周へと避難を終えた人々は巨人と斥力とのぶつかり合いを眺め……里の壊滅を悟る。

 

「これが……忍び同士の……戦いだとでも言うのか……っ」

 

 里の中で未だに忍犬と共に、民間人の避難を行っていたカカシは思わずそう呟く。

 

 

 

 そしてその衝突の……勝敗の結果が出ようとしていた。

 

 僅かに、巨人の身体にヒビが入り始めていたのだ。

 

「っ~~~~~!!!」

 

 声にならない叫びと共に、忍びは力を籠め続ける。

 

 しかし

 

 無情にも、巨人の身体は崩れていく。

 

「……あと少しィ……あと少しなんだァ……!!」

 

 巨人は態勢を崩し、膝を地面に突き……今にも押しつぶされようとしていた。

 

 

 

 

「クっ──!」

 

 

 

 

 斥力に抗えなくなったとその忍びが悟った瞬間

 

 

 

 

「土遁・岩状鎧武っ」

 

 

 

 更なる衝突音が、里中に響く。

 

 里の中心で抗う岩の巨人の隣に……新たな巨人が姿を現していた。

 

 

 

 

 2人の巨人が、斥力に最後の抵抗を見せる。

 

「……ずっと信じてた」

 

 新たに現れた岩の巨人の肩に乗る、蒼鳥マリエはそう呟く。

 

「一度も疑わなかったわ……アナタは必ず……生きて……帰ってくるってことを!」

 

 涙を零しながらも、マリエは隣に立つ岩の巨人の肩の上へと目線を向けた。 そこにいる……その忍びもまたマリエを見つめる。

 

 窮地でありながら、見つめあう2人の顔には穏やかな笑顔と涙が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

「おかえり悟ちゃん……っ!」

 

「ただいま……マリエさん」

 

 

 

 

 

 その忍び……黙雷悟は、今再び木ノ葉の地を踏みしめていた。

 

 かつて幼年期に建てた3つの目標の内の1つである『ペイン=長門による神羅天征からの里の損害の軽減』のために……

 

 

 

 

 

 

 




連続更新はここまでです。

次回更新は時間がかかりそうです。
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