◇ ◇ ◇
ダウンタウンは正にスラムと言っていいくらいゴミゴミとしていて人も物も汚れている区域だった
いや、訂正しよう、本来ダウンタウンは繁華街や都心部といった意味があるがごく一部の場所においてはスラムと変わらない有り様を見せることがある
エルドア達はそこで酒場を探してそこそこの酒を注文してから酒場のマスターに市長に会える方法を聞いてみた
(酒場のマスター)
「市長に会う方法ねえ、普通は紹介状がない限り事前予約して待つしかないんだけどね、それとも急ぎかい?」
(エルドア)
「なるべく早い方がいい」
(酒場のマスター)
「ならちょっと面白い噂があるんだけどね」
(エルドア)
「面白い噂?」
(酒場のマスター)
「えーと…、どんな噂だったかな…」
と言いながら酒場のマスターは意味ありげにエルドアの方を見ている
(賢士)
「(そういうことか)麦茶をもう一杯もらおうかの」
賢士だけは本来の体の持ち主であるレティシアのことを考えてあまり酒を飲まない方がいいと判断して麦茶を頼んでいた
(賢士)
「麦茶の代金を前払いしておくぞ」
賢士はそう言って500Gをカウンターに置く
グラス一杯の麦茶の料金にしては勿論高すぎる
つまりはこの500Gで面白い噂を売ってくれということである
マスターはその金を「どうも」と言って受け取り面白い噂について話し始めた
(酒場のマスター)
「市長の御屋敷には[レパーヌの女神]と言う見事な彫像があるのですがどうやら最近その[レパーヌの女神]が闇市のオークションにかけられているそうなんですよ」
(酒場のマスター)
「それについて最近お屋敷にお邪魔したある人から聞いたのですがお屋敷にはちゃんと女神像はあったらしいんですよ」
(カーラ)
「確かに面白いな、闇市に出てるということは本物は盗まれて屋敷に偽物を置いて誤魔化してる可能性もあるということか」
(賢士)
「なら妾達で女神像を手に入れれば」
(エルドア)
「少なくとも話しをすることは出来るだろう」
(カーラ)
「大変美味しいお酒ね、それで闇市についても何かあれば教えてもらえないかい」
カーラはそう言って少なくないお金の入った袋を
(酒場のマスター)
「闇市へいくんでしたら許可証が必要ですよ、そこにいるお客さんに認められれば売ってもらえますけどね」
(エルドア)
「(聞けるのはこんなところか)思ったより美味い酒だった」
エルドア達は席を立ってエルドアは値段よりも多めのお金を、カーラはお金の入った袋をカウンターに置いたままマスターが教えてくれた客のいる席へ移動した
(酒場の客→闇市商人)
「ほう三人か、何の用だ」
(カーラ)
「ちょっと闇市のオークションに興味があってね」
(闇市商人)
「それで」
(カーラ)
「ここで闇市の許可証を売っているそうじゃない」
(闇市商人)
「なるほど…」
闇市商人は懐からトランプを取り出すとシャッフルしてから
(闇市商人)
「この中から一枚引きな」
と言った
カーラが一枚引くと
(闇市商人)
「そのカードを数字を見ないで俺に見えるように掲げろ」
そう言いつつ闇市商人もカードを引いて数字を確認せずに額に当てて掲げた
(エルドア)
「インディアンポーカーか」
(闇市商人)
「さあ、勝負するか、降りるか?」
闇市商人が掲げてるカードはクラブの10である
(カーラ)
「勝負」
そう言ってお互いのカードを確認する
闇市商人はクラブの10でカーラはスペードのQ(クイーン)だった
(闇市商人)
「合格だ、一枚1000Gだ」
(カーラ)
「二枚もらおう」
その後闇市商人から教えてもらった場所で許可証を使い闇市オークションの会場へ入った
そこにはバニースーツを着た女性やきわどい衣装を着た生のネコ耳の女性などが給仕をしてる大人の男のいかがわしい欲望を刺激するような会場だった
そしてこの会場に来ている客でメガネやマスクを着用して素顔を隠している人も少なくない
(賢士)
(さすがに社会の闇の部分に位置するだけのことはあるのう、いかがわしいことこの上ないわ)
(賢士)
(レティラを眠らせておいて正解だったの)
(オークションのオーナー)
「さて、本日のトリを飾る一品をご紹介いたしましょう」
オークションそのものは終盤に入っていたようだ
(オーナー)
「これこそ正に美の造形、美術品の中の美術品と言える一品」
(オーナー)
「エントりーナンバー100を飾るその一品は…」
(オーナー)
「[レパーヌの女神]です!」
(オーナー)
「どうです、これほど美しい彫像はなかなかお目にかかれないでしょう」
(オーナー)
「ですがこのレパーヌの女神はオークションによる競り落としはいたしません」
オーナーのこの言葉が出ると競売客達は少しずつ席を立ち疲れた様子で会場から退場し始めた
(競売客A)
「またこれか」
(競売客B)
「オーナーも飽きないね」
(競売客C)
「こだわりというものかね」
(オーナー)
「それというのもこの[レパーヌの女神]には一つ大きな欠点があるからです」
(オーナー)
「よくご覧になればわかると思いますがこの[レパーヌの女神]は一番の特徴であるファイアストーンの
(オーナー)
「私は
(オーナー)
「そこでこの[レパーヌの女神]の目に収まるファイアストーンを用意してきた人に完成品のレパーヌの女神をお譲り…」
ここでオーナーは競売客が全て帰りエルドア達しか残っていないことに気づいた
(オーナー)
「はあ、やっぱりファイアリザードを退治してまでファイアストーンを手に入れようって人はいないのか」
(エルドア)
「そうでもないぞ」
(カーラ)
「むしろ大金を使わずにすみそうでありがたいくらいだね」
(オーナー)
「ということはファイアストーンを手に入れるつもりがあるのですか?」
(エルドア)
「この都市の市長に早く会いたいのでそれが必要なのだよ」
(オーナー)
「なるほどなるほど、私はこの女神像を修復出来ればそれで十分です」
(オーナー)
「その後でよろしければどうぞご自由にお使いください」
(賢士)
「それではファイアストーンを手に入れるためにファイアリザードに関する情報をもらえないかのう」
エルドア達はファイアリザードが群れを作っていることと群れのボスが別格の強さを持っていること
それに赤水晶を好み巨大赤水晶のある洞窟を好むこと
肝心のファイアストーンはファイアリザードのボスの爪を加工する以外に制作方法がないこと
闇市の一角のモンスターハンター御用達の区域でファイアリザードを誘き寄せるエサを買えることなどを聞き出した
(カーラ)
「なるほどね、お金で解決しようなんて輩には無理な話ね」
(エルドア)
「近い内にファイアストーンを用意出来ると思うぞ」
(オーナー)
「その時を楽しみに待っております」
闇市でファイアリザードのエサを買ってからレナード達の待つ商業区の宿屋へ戻っていった
(エルドア)
「これこれこういうことで…」
(賢士)
「かれこれそんなわけで…」
(賢士)
「登山口まで戻ってトカゲ退治をすることとなったぞ」
(レナード)
「とにかくそのファイアリザードを倒せば市長に会える可能性が出てくるんだな」
(賢士)
「それでシズナとレンの守りについて考えておったのだが」
(賢士)
「万が一攫われたとしても妾が位置を特定することで助けに行くことは出来るがの、そもそもが攫われないように、危険なことに巻き込まれないようにすることが肝心よ」
(エルドア)
「なら二人ほどシズナとレンの護衛に集中してもらって三人で戦ってもらうことにするか」
(賢士)
「戦闘はレナードとユウリとカーラの三人に任せたいがどうかの?」
(レナード)
「えっ…、俺?」
(賢士)
「人一倍経験を積んでおかねば今度黒騎士に会った時もきっと笑われるぞ」
(カーラ)
「確かにな、黒騎士にとって白騎士はライバルみたいだしな、いつまでも無様晒してるようだと嘲笑するしかないかもな」
(レナード)
「それはやだな」
(賢士)
「後は状況によってはカーラとエルドアが交代するということで」
(エルドア・カーラ)
「わかった」
仲間内での位置取りも決まってオークションのオーナーが地図に書き込んでくれた道順に従って登山口の中でも普通はいかない洞窟の中にある巨大な赤水晶のある場所までやってきた
(賢士)
「では戦闘準備にかかるかの」
賢士がシズナを中心に広範囲に防御結界を張ってる間に敵が火属性のファイアリザードだとわかってるのでカーラが護衛になりエルドアが戦闘メンバーに入る
ユウリはそれらに並行して補助魔法で仲間の強化をしている
(賢士)
「そろそろやるとするかの」
賢士が巨大水晶にお供えでもするかのようにファイアリザードのエサを置いて魔法でエサの匂いを広げる
(エルドア)
「かかったようだな」
巨大水晶のある洞窟広場のあちこちから何かの気配が出てきた
(作者)
「毎度お馴染み用語解説のコーナーだよ」
(レティシア)
「今回は闇市に入るまでのイベントをまるっと変えておるのう」
(レティラ)
「そうなの」
(作者)
「だって原作ゲームであった話しをするだけで手に入る蜂蜜をどこかの酒場で闇市の許可証と交換するなんてどこのわらしべ長者だと言いたくなるしさ」
(レティシア)
「確かにそんなにあっさり闇市に入れるようになってたまるかと言いたくなるしの」
(レティラ)
「そういうものなの?」
(作者)
「そういうものなの」
(レティシア)
「それでインディアンポーカーか、だがあれで負けておった場合はどうなっておったのだ?」
(作者)
「あれは勝ち負けが目的じゃなくて勝負を通じて人を知ることが目的だからね、負けてもお目がねに適えば許可証を売ってもらえたよ」
(レティラ)
「そうなの」
(作者)
「負けていれば割り増しになっていただろうけどね」
(レティラ)
「ええ~」
(作者)
「そのあたりはしょうがないでしょ」
(レティシア)
「それにしても酒場のマスターとのやりとりといいハードボイルドといった感じでちょっとかっこよかったのう」
(レティラ)
「なんかギャングとかマフィアとかの裏の世界っぽい感じというか」
(作者)
「本格的なものを書くつもりはないから今回だけだけどね」
(レティシア)
「少なくともレティラには合わないだろうしそれも良いかの」
(作者)
「それじゃ、次回またお会いしましょう」