◇ ◇ ◇
エサの匂いに釣られて出てきたのはレナードの胸くらいの大きさはある四足の赤いトカゲの群れだった
そして群れの中からのっそりと出てきたのは群れのトカゲよりも風格とか雰囲気といったものが桁違いにすごくてレナードよりも遥かに大きな赤いトカゲだった
群れのトカゲよりも厳つくてトゲトゲしいウロコといい纏う雰囲気といいそれがファイアリザードのボスであることはあまりにも確定的に明らかであった
(レナード)
「こ…、これがファイアストーンを持ってるファイアリザードなのか…」
(エルドア)
「どうやらそうらしいな」
(ユウリ)
「うそでしょ…」
(レナード)
「それにこの状況どうするんだよ」
(ユウリ)
「辺り一面トカゲだらけね」
(レナード)
「これって白騎士でやった方がいいんじゃないか?」
(エルドア)
「だめだ」
(レナード)
「なんでだよ」
(エルドア)
「シンナイトの強さは契約者の強さが上乗せされて決まる」
(エルドア)
「そしてシンナイトは五体ある」
(レナード)
「それがどうしたんだ」
(エルドア)
「もし黒騎士以外に敵になるシンナイトが出てきたら」
(エルドア)
「もし今のお前で1VS2になったら」
(エルドア)
「勝てると思うのか」
(レナード)
「うっ…、それは…」
(賢士)
「そうよな、黒騎士だけでも苦戦しておったし、竜相手は飛ばれたら手も足も出せなんだしの」
(エルドア)
「ましてやシズナを守れるわけもない」
(レナード)
「なんだと」
(エルドア)
「食って掛かるのはいいが考えてもみろ、古竜との戦いで黒騎士が味方でなく敵だったら勝てたと思うのか」
(レナード)
「う…、それは…(まず勝てない)」
(エルドア)
「まずお前自身が強くならねば白騎士も強くならぬ」
(エルドア)
「そして生身での強さを求めるなら日頃からのたゆまぬ鍛錬とこんなギリギリでの実践が一番効果的なのだ」
(カーラ)
「そーだぞレナード、この程度で怖気づいていては黒騎士に笑われるぞ」
(レナード)
「…、ええいやってやる、だけど群れの方はなんとかしてくれよエルドア」
(エルドア)
「わかった、なんとかしよう」
(エルドア)
「まずは全員結界に入れ」
エルドアは賢士の結界に重ねるようにもう一つ結界を張って物理と属性攻撃の両方を遮るようにした
そしてエルドアはそれとは別にファイアリザードで溢れかえる広場全体を包み込む結界を展開した
(エルドア)
「クール・クール・ヒトパース・クルサーク・ハーダザード・アスイージ・氷炎の魔王よ我が領域に
(エルドア)
「
エルドアの呪文に応えて広場を包み込む結界は目に見えて気温が下がり空気中の水分が凍りついて粉雪まで降り始めた
(ユウリ)
「わあ、きれい…」
結界に守られてる人はこんなのんきなことを言っていられるがファイアリザード達にとってはたまったものではない
ボスも含めて全てのリザード達の動きが鈍り群れの大半は命まで凍りついてしまった
(レナード)
「しかしエルドアの得意な魔法って火属性の魔法じゃなかったのか」
(エルドア)
「世の中にはあえて逆を知ることによってのみその深淵に迫ることの出来ることも多々あるのだ」
(エルドア)
「薬草学にしても薬草の知識を詰め込むばかりではある一定のところで成長が止まってしまう」
(エルドア)
「真に薬草学を修めるためにはあえて毒草の知識を知り薬へ転化することも覚えなくてはならぬ」
(エルドア)
「そして、それは魔法にも言えることよ、火の魔法を極めんと欲すれば自然と氷の魔法にも強くなるということよ」
(賢士)
「一例を上げればな、右手に火属性、左手に氷属性の魔力を込めて纏めて撃ちだす、そのまま着弾地点で撃ちだした魔法を解放することにより火属性と氷属性を反応させて水蒸気爆発を引き起こす複合属性攻撃魔法も存在するぞ」
(カーラ)
「随分と過激な魔法もあったもんだね」
(レナード)
「ほんととんでもないな、おっとまだ動いてるトカゲがいる、魔法が切れる前に止めを刺さないと」
レナードがファイアリザードに止めを刺そうと結界から一歩出たとたんに体の芯まで凍りつくような寒気に襲われた
(レナード)
「ざ……、ざ…、ざざざざ。ざむい…(ガチガチガチガチガチガチガチガチ)」
(ユウリ)
「わわ、ちょっとレナード」
(エルドア)
「外は絶対零度に近いことを忘れるなよ」
(レナード)
「ずず…ずいばぜん」
ユウリが神聖魔法でレナードの治療をする
(ユウリ)
「んー、ならこれでどうかな」
(ユウリ)
「アチアス・アチマジ・テクト・パソナル・アイスマジックバリア」
ユウリが対氷系魔法用バリアを張ってから結界の外へ出てみる
(ユウリ)
「ひゅー、さむさむ、でもこれなら何とかいけるわよ」
(レナード)
「よーし、じゃあ俺とユウリで雑魚の掃除といくか」
二人はアイスマジックバリアに守られながらエルドアの作り出した氷雪の世界へ飛び出した
レナードが力を込めてファイアリザードに剣を叩き込むが思ったほどダメージを与えることが出来ないようだ
ユウリはそれを見てリザードのつま先を狙ったり、ブレスを吐こうとしてる時を狙って口にショートソードを突っ込んで水の属性石の力で氷の槍を生み出して串刺しにしたりしている
(レナード)
「そーいや水属性の攻撃が良く効くんだったよな」
レナードは剣に冷気を纏ってもう一度ファイアリザードに剣を叩き込んだがやはりウロコに阻まれて致命傷にはいたらなかった
(レナード)
「ウロコの硬さに属性は関係なしかよ」
(ユウリ)
「だからウロコのないところを狙ってるでしょ」
そしてエルドアの魔法で動きが鈍ってるファイアリザードを数匹倒したあたりでエルドアが状況が悪化してることを告げた
(エルドア)
「おい、ボスの方をよく見てみろ、まずいことになっているぞ」
ファイアリザードのボスは絶対零度に近い世界にも関わらず体中から蒸気のようなものが吹き出し普通サイズのファイアリザードに比べて随分と動きが活発になってきている
(ユウリ)
「う…うそ、こんな寒い中で湯気出してる…」
(レナード)
「何か熱くなってきているということなのか」
(エルドア)
「おそらくではあるが、血臭に興奮しているのと仲間を殺された怒りで寒さを打ち消しているのだろう」
(レナード)
「てことはこれ以上ファイアリザードをやっつけたら…」
(賢士)
「おそらく寒さによるペナルティが完全に消えよう」
(レナード)
「先にボスを倒せってことか」
(ユウリ)
「あのボス相手に口の中を狙っても通用するかな?」
(レナード)
「なんでだ、ファイアリザードの弱点なんだろ?」
(ユウリ)
「いや、この状況で湯気出すくらいなんだから、口の中に氷の槍を叩き込んでもすぐに溶けるんじゃないかなーって」
(レナード)
「う…、ありそう」
(ユウリ)
「ならどこを狙おうか」
(レナード)
「ウロコのないところを狙えばいいんだけどな」
(ユウリ)
「ならここで」
ユウリがファイアリザードのボスの懐に飛び込んでショートソードに冷気を纏わせてボスの腹を叩き斬る
(ファイアリザード(ボス))
「キュオオオオオオオオー」
ボスにザックリとした傷がつき確実にダメージを与えたがまだ致命傷にはいたらない
(レナード)
「そうか、胸とか腹にはウロコはないんだよな」
(レナード)
「じゃあちょっと試してみるか」
(レナード)
「ユウリ、これを見といてくれ」
レナードは剣についている水の属性石に集中して力を引き出して地面に突き立てた
するとそこから何かが地面の中を進み壁にぶつかって地面から氷柱が生えてきた
(ユウリ)
「確かに面白いけどこれがどうしたの?」
(レナード)
「わからないか、リザードのボスをはさんで「いっせーのっせ」てやれば…」
(ユウリ)
「あ…、なるほど、それは面白そう」
(レナード)
「それじゃ、やるぞ」
ファイアリザードのボスはまだ寒さの影響で結構動きが鈍いのでボスの前後のポジションをとるのは難しいことではなかった
(レナード・ユウリ)
「いっせーのっせ!」
レナードとユウリが地面の中に打ち出した氷の力は地面の中を進みボスの真下でぶつかりあった
そしてぶつかりあった氷の力は特大の氷柱となって地面から生えてきてボスを串刺しにした
その後はエルドアが魔法を維持してる間に残りのファイアリザードの群れを倒すだけだった
ファイアリザード全滅後
(レナード)
「ふう、なんとか倒せたな」
(シズナ)
「お見事ですレナード」
(ユウリ)
「レナードすごいすごい」
(カーラ)
「あんたも十分すごいじゃないか、最初にウロコを避けて狙ってたしな)
(エルドア)
「確かにあれは見事なものだ」
(レン)
「レナードもユウリもすごいよ」
(賢士)
「うむ、この戦いはきっと良い経験になったであろう、それはそれとして…」
(レティシア)
「早くマーシャに連絡してどっさりのファイアリザードを渡してファイアストーンを加工してもらわないとね」
その日はマーシャに連絡を入れた後で洞窟広場で一泊し翌日やってきたマーシャの店のグリード支店回収隊と一緒にグリードに戻った
その後ファイアリザードのボスの爪からちゃんとファイアストーンに加工できるのを確認してから店の在庫にある加工済みのファイアストーンを一つくれたので加工出来るまで待つ手間が省けたことを追記しておく
(作者)
「毎度お馴染み用語解説のコーナーだよ」
(レティラ)
「今回はファイアストーンを手に入れるために火蜥蜴退治だね」
(レティシア)
「火蜥蜴と言ってもサラマンダーではないぞ」
(作者)
「当たり前だよ、サラマンダーを狩ったりしたら微熱の少女に怒られるよ」
(レティシア)
「それは置いといて、原作ゲームではあまりにもヘッポコ過ぎるお粗末なイベントであったな」
(レティラ)
「えっ、そんなにひどかったの?」
(作者)
「だってそんじゃそこらのザコトカゲを赤くしてボス補正を足しただけの存在がボスなんだよ」
(レティシア)
「確かそれではあんまりだと判断して一目でボスだとわかるほど魔改造したのであったな」
(作者)
「そうだよ、あれくらいやらないとボスとは言えない」
(レティラ)
「作者の魔改造で強くなったボスとの戦いで使ったスキルを紹介しないとね」
(レティシア)
「それが仕事だからの、まずはエルドアの凍り付いた王国だが、これはエリア全体に効果が及ぶ超広域攻撃魔法となる」
(レティシア)
「効果は結界内のエリア全てを氷点下50℃以下にまで強制冷却してエリアの属性を全て氷に変える効果を持つオリジナルスペルよ」
(作者)
「ちなみに薬草なら毒草を、火なら氷を知らないといけないという理屈は魔女っ娘ア・ラ・モード(PS2)のホルンシナリオを参考にしてるよ」
(レティシア)
「次は原作ゲームにも登場しておねアイスマジックバリアであるが、これは一属性のみ防御力を上げるというなんとも扱いにくいスキルなのでな、実際に戦闘で使用したことのあるものはおらぬであろうな(遠い目)」
(作者)
「そうだろうな、どこぞの最終幻想の魔法のように魔法抵抗アップという効果なら使いようもあるんだろうけど」
(レティシア)
「一属性だけではのう」
(レティラ)
「それはともかくとしてそろそろ時間だよ」
(作者)
「それじゃ、次回またお会いしましょう」