ダンジョンでサーヴァントに出会うのは間違ってるでしょう!?   作:夕鶴

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(´・ω・`)つとりあえず前半部分のポンコツパート


第11話の③

「■■■■■■■■■──ッ!!」

「バーサーカーてめぇふざけてんじゃあねえぞマジで!?」

 

 仲間が財布忘れたから届けに行ってたら、同行してた別の仲間に割とガチめに襲われてる件について。

 

 何を言ってるか分からないと思うが、オレだって納得してないからおあいこだな。いや、何があいこなんだよ。

 下らないこと考えて現実から逃避してたら、バーサーカーが乱射してきた矢が割と頬スレスレを掠めていく。

 

 チクショウ、なんでオレがこんな目に……!

 

 転生以来最大級の命の危機に溢れ出る涙を拭いながら、オレはこうなった経緯を思い出すのだった────。

 

 

 

回想開始(トレース・オン)

 

 

 

「バーサーカーの旦那ァ、歩くペース速いですって。こっちは二日酔い明けなんだからさぁ」

「丸一日も惰眠を貪ったのだ、むしろこれでも遅いくらいだ!」

 

 ダラダラ歩くオレの数歩先で、バーサーカーが苛々とこちらを振り返る。

 本音を言えばオレなんぞ置いていきたいだろうに、『中層以下に潜る時は二人以上で』というファミリアの掟を守る姿は律儀なもんだ。

 

「そんな焦んなくても大丈夫だって。セイバーとランサーですよ? この時期のレヴィスくらいなら軽くシメてますって」

「そういう問題ではない!」

 

 ボリュームがデカい。

 

 まぁオレには毛ほども理解できないけど、セイバーに忠誠を誓ってるバーサーカーからすれば、原作屈指の強敵との戦いに自分が居合わせないってのは、歯痒いもんなのかね。

 

 

「おのれランサー……私がキャスターに薬を盛られている隙に我が王とデートなど……! 羨ましい……!」

「そっち!?」

 

 セイバーが心配とかじゃなくてランサーへの嫉妬で急いでたのかよ!?

 

 思わずツッコんだオレに、呆れたような表情を浮かべるバーサーカー。

 おい、なんだその態度。どっちかっつうとオタクの方が呆れられること言ってるからな。

 

 

「レベル5のアイズ嬢を倒しきれず、レベル6の彼女に圧倒される程度の手合いに我が王が遅れを取るはずが無いだろう。羨ましいランサーもいることだしな……■■……本気かつ全力の私とさえ対等に戦えるあの男が……■■■■……!」

「うわー……強者視点の見下しうぜーわー……しかも拗らせてるわー……ランサーへの信頼と嫉妬のブレンドがみっともないわー……」

「黙れ清らかなる者!」

「おい待て童貞って意味かそりゃてめえ!」

 

 それ言ったら戦争だろうが……!

 

 いやいや落ち着け。流石にバーサーカーとタイマンで殴り合いは分が悪い。もとい頭が悪い。

 童貞弄りに対しては加勢してくれるセイバーと合流してからだ。そうしよう。うん。

 

 怒りを呑み込むオレの隣で、ドス黒いオーラを物理的に撒き散らしながらバーサーカーはブツブツ呟く。宝具漏れてますよ?

 

「あぁ、しかしなんとおいたわしい……酒も抜け切れぬ間にダンジョン探索など……私に一言命じてくだされば、いくらでも代わりに向かったものを……」

「いや無理でしょ。酒にキャスターの新薬混ぜられて一番ベロンベロンだったじゃねえかオタク。役に立たねぇって思ったからセイバーもランサーも置いていったんでしょ」

「……………………。

 

 

 

 ■■■■■■──────ッ!!!!」

「なんでだよ!?」

 

 バーサーカーはいきなりブチ切れた。

 

 

回想終了(トレース・オフ)

 

 

 

 ダメだ、思い出してもやっぱ納得いかねぇ!

 確かに多少キツイこと言ったけど、少なくとも十五階層から十七階層まで死の鬼ごっこを続けるほどの恨みを買った覚えはねぇ!

 

「前から思ってたけどな、アンタ本当にセイバー絡みだとIQと沸点めっちゃ低いからな! 全然理想の騎士じゃないからな!」

「Shuuuuuuuuutuppppppppp──!!」

「おい今シャラップって言ったろ! ちょっと正気に戻ってるだろ!」

「■■■■■■■■────ッ!!」

「都合悪くなったら狂化すんのズルいってセイバーも言ってたからなぁ!!」

 

 つーか『顔のない王』使って姿隠しながら逃げてんのになんで追ってこれるんだよ! あれか、精霊の加護で幸運でも強化されてんのか!? 全然危機的状況でも武功立てる戦場でもないからな!

 とはいえ、ここまでの階層でロクに冒険者と出会わず、醜聞を広げずに済んでるのは幸運だと言えるかもしれない。

 オレにはちっともありがたくないけどな!

 

 なんとか十七階層と十八階層の接続点まで辿り着いたところで、ちょうど天井からゴライアスが生えてきた。

 しめた、こいつをバーサーカーに擦りつけてその隙に逃げる……!

 どこにいるか分からんが、セイバーまで辿り着ければバーサーカーも流石に正気になるだろう。

 もしならなくても、セイバーにバーサーカーを押し付けられる。

 

 つーかなんであいつら電話(通信用魔道具)持ってってないんだよ!? 財布も忘れるし、どんだけフラフラな状態でダンジョン行ってんだっつう話だ!

 

 心の中で悪態を吐きながら、透明になってゴライアスの股を潜り抜ける。

 

「■■■■────ッ!」

『オォォォォォォオオ!』

 

 バーサーカーとゴライアスの咆哮を背に、オレはダッシュで十八階層に飛び込んだ。

 頑張れゴラちゃん! 今なら黒くなっても許す! オレの代わりにその狂犬をぶん殴ってくれ!!

 

 切なる祈りを送りながら、駆け下りた先でオレはようやく一息ついた。

 よし、後は身を隠しながらリヴィラで野宿してるセイバーのもとに辿り着きさえすればオレの勝r「■■■■■■────ッ!!」ゴラちゃああああああああんん!!

 一分も稼いでねえよ瞬殺だよつうかどんだけオレにキレてんだよごめんなさいするから見逃してくれよ!

 

 半泣きでメチャクチャに逃げたオレは、気づけば崖の上で追い詰められていた。

 

「■■■■……」

「おい待て止まれバーサーカー。悪かった。言い過ぎたな。謝りますよ。いやぁほんとすみませんねぇ!」

「Kiiiiiiiilllllllllll……!」

「あ、ダメだこれ止まる気ねえわ完全にKILLって言ってたもん! おい待てくんなってストップ!!」

「■■■────ッ!?」

 

 オレの静止を無視して飛びかかろうとしたバーサーカーが、不意に口元を押さえて咳き込む。

 

 …………ヨッシャ成功!

 

「だから止まれって言ったでしょうが、オレが逃げてるだけかと思ったかよバーサーカー! 『顔のない王』でオタクの視界から隠れた一瞬で、矢を射って毒の結界を作ってたんだよ! 詳しくはExtraをプレイするんだなハハハハハハなんで仲間同士でこんなガチバトルしなきゃいけねえんだよチクショウ!!」

 

 とにかくバーサーカーが苦しんでる隙に身を隠すんだ。

 オレの毒の解毒剤はファミリア全員が常に携帯してるから、狂化が解ければ自分で治療するだろう。

 

 しかし逃げ出そうとしたまさにその時、バーサーカーの足元がヒビ割れだした。

 

 ん? なんかごく最近見た覚えがあるヒビ割れ方だな。具体的にいうと、【怪物祭】とかで────

 

 そこまで思考が巡った時点で、地面を砕きながら食人花が現れた。

 呆気に取られるオレの目の前で、毒で悶えているバーサーカーが触手で吹っ飛ばされた────ってヤベェ、あいつもろに食らいやがった!

 

「おい、バーサーカー! 無事か!?」

 

 木々をへし折りながら吹っ飛んだバーサーカーに叫ぶ。

 と、爆発じみた勢いでそれらを吹っ飛ばしながらバーサーカーが跳躍して戻ってきた。

 おお、無事か。まぁ、食人花程度にやられるあいつじゃないか。

 ホッと安堵のため息をつくオレ。

 

 しかし、次の瞬間その息も凍りつく。

 

「Arrrrrrrcherrrrrrrrr…………!」

 

 あいつ食人花無視してめっちゃこっち睨んできてる!!

 

「いやなんでだよ今オタクぶん殴ったのあっちですよ!?」

「Pooooooisonnnnnnnnn……■■■■────ッ!!」

「あぁその前に毒使われたのが腹立ったのね自業自得じゃねえかって後ろ後ろ!!」

 

 バカやってるバーサーカーの後ろからもう一発、今度は本体の花で攻撃を仕掛ける怪物。

 しかしバーサーカーはこれを一瞥すらせずに素手で受け止めると、その首?っぽい部位に両腕をまわした。

 

「■■■■■■■■──────ッ!!!!」

『!!?!??!?!?』

 

 そのまま力任せに食人花を引き抜いたってマジかお前ぇ!?

 しかも? グルグルぶん回して? 勢いつけて? 何するつもりだ? まさかとは思うけどそれでオレを──

 

「Arrrrrrrcherrrrrrrrr────ッ!!」

『ギシャアアアアア!!?』

「ぶぐおぶぅ!?」

 

 野郎、やりやがった。

 

 食人花でぶん殴られ、宙を舞いながらオレは胸に誓う。

 キャスターが新薬作ったら、絶対あいつの晩飯にぶち込んでやると。破壊工作スキルを舐めるなよ。

 

 

「■■■■■■────ッ!!」

 

 勝ち誇ったように叫ぶ狂戦士が、いつぞやセイバーから渡された祭うちわをぶん回して周囲の毒を吹き飛ばす風で更に飛距離を伸ばしながら、オレの意識はブラックアウトした────

 

 

 

 

 ────直後に、なんかにぶち当たった衝撃で覚醒した。

 

 

 え、なんスか。もう正直お腹一杯なんですけど?

 

 超スピードからの衝突で空中を高速スピンしつつ死に物狂いで何かにしがみついて勢いを殺し、必死に着地を決めながらオレは周囲を見渡す。

 

 まず目の前、赤毛で露出度高い服装のネエちゃん。たぶんコイツにぶつかったんだな。

 次にその隣、倒れてるティオナと犬人のお嬢ちゃん。出血量がヤバい。

 そんで最後、オレがしがみついたもんの正体。荒い息で死にそうになってるレフィーヤ。

 

 

 

 …………………………。把握完了。

 

 

 

 

 何やってんだあのポンコツどもがぁ!!

 

 これアレじゃねえか! 完全にそこそこダメージ与えた上で逃げられて潜伏されたパターンのやつじゃねえか! そんでなんかのイベントが発生してアイズじゃなくてレフィーヤとティオナが行動してたけど、ダメージのせいで原作みたく正々堂々じゃなく不意打ちしてきたレヴィスにティオナがやられて、レフィーヤも間一髪だったやつじゃねえか!

 

 待て待て待て、ヤバイぞこれは。

 今のレヴィスがどんだけ体力残してるかは知らんが、正直オレ一人で勝てるかはかなり怪しいぞ。

 レベル5でバリバリに近接戦闘ビルドのアイズが真っ向勝負で負けた相手に、同じくレベル5で後方支援ビルドなオレがタイマン張るのは勝ち負け置いといても馬鹿がやることだぞマジで!!

 せめてウチのファミリアの前衛組が一人いれば楽勝なんだが──ってさっきまで居たんだよ、バリバリの前衛組(バーサーカー)が!

 

 燦然と輝くロビンフッドの幸運:Bに絶対嘘だろと叫びたくなるが今は我慢だ。

 どう嘆いてもこの場で戦えるのはオレ一人で、オレが負けたらレフィーヤもティオナも犬人の女の子も全員死ぬ。

 

 

 ダメだ。それはダメだ。

 元々死ぬはずだった人たちを守れなかっただけでも死ぬほど辛いのに。

 助かるはずだった命を死なせたら、オレが二度目の生を謳歌することなんざ許されるはずがない。

 

 

 逆転、そう、逆転の発想だ。

 

 誰がどう見ても危機的なこの状況で、オレがカッコよくレヴィスを撃退できればかなりヒーロー・ポイント高いんじゃないか?

 レフィーヤとかの口から上手いこと広まれば、他の奴らに比べてイマイチパッとしないオレのオラリオでの女性人気もうなぎ上りなんじゃないか?

 よし、そうだ、いける、今度こそモテる、頑張れアーチャー頑張れ! ロビンフッドのボディなのにモテないなんて汚名を返上しろ!

 

 必死に自分を盛り上げるオレの腕の中で、レフィーヤの目蓋が震え、焦点の定まらない瞳がオレに向けられる。

 

 よし、レフィーヤ、不本意だろうがここは一発頼む。

 助けられた女の子が、『ろびん、さん……?』みたいな、夢でも見てるような声で名前呼ばれるシチュエーション憧れだったんだ。

 セイバーがアイズにそれやってもらってるの見てから、ずっと羨ましかったんだ。

 

 はい、3、2、1、ゴー!

 

 

 

 

 

「アイズ、さん……?」

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 うん。まぁ、仕方ないわな。レフィーヤ的には、アイズが助けに来てくれるのが一番嬉しいシチュだもんな。

 

 涙を溢さないよう、表情を引き締めたオレの脳裏を過ぎる苦労の数々。

 

 同盟を組んでの遠征があれば、最前線のセイバー達より更に先に斥候に行き。

 戦闘が始まれば『顔のない王』で身を隠しつつヤバイ戦局を援護し。

 男に好意向けられるのは可哀想だからセイバーを狙う野郎どもを水面下で追い払い。

 気さくな良い人を演出するためにいつもニコニコ笑顔を浮かべ。

 

 

 

 なのにいつも女子人気はセイバーに集まる!!

 

 

 セイバーのファンを名乗る娘の中でもヤバそうなタイプを見つけては、穏便に諦めさせ!

 モジモジしたアイズが話しかけてきて何だろうなーとちょっと期待しつつ話を聞いたらセイバーの食い物の好みとか好きな色とかを聞かれ!!

 最後の手段と訪れた歓楽街では騒動を起こしてしまい怖くてもう二度と近づけねぇ!!! これはまぁ自業自得だけども!!!

 

 

 すまねぇ、ロビンフッド……! オレにはあんたの身体を使いこなせねぇ……!!

 

 そしてこんな時に限って、オレの苦労も知らずに可愛い子にチヤホヤされて『いやーすみませんね、アーチャー。私ばっかりモテちゃって!』とかヘラヘラ笑いながらほざくセイバー(ポンコツ)の顔が思い浮かぶ!

 

 

 

「人の努力を、嗤うなよ」

 

 

 

 思わずポロっと溢れちまった。

 

 悪気ねえのは知ってるけど! だから怒んねぇけど! オレが頑張んなかったらお前宛の怪文書、今の百倍くらいに増えるからな!!

 

 

 レフィーヤを横たえたオレは、後ろで何か言ってる声なんてちっとも耳に入らないまま、溢れ出る怨念に身を任せてレヴィスに斬りかかった────!

 




またかよ!って言われそうな気もしますが、文字数が長くなりそうなのと自分で読んでてポンコツ疲れを起こしたのでちょっと分割。
後半も早めに投稿します。
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