ダンジョンでサーヴァントに出会うのは間違ってるでしょう!?   作:夕鶴

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時系列:原作一巻終わった後のいつか

短編を何本かまとめて1話にするつもりでしたが、長くなって読むのが疲れたので出来上がってるものから分割投稿します。
本編以上に中身が無いので、気楽に読んでいただければ。


番外編①『ユニコーン騒動』

 どうも、セイバーもどきです。

 我々アンリマユ・ファミリアは人数的な問題で大手とは言えませんが、地道な英雄活動が実を結びそれなりに名の知られた派閥です。

 その中でも団長という最も責任重大な立場である私は何をしてるかというと……

 

 

 

「あうー、ヒマですー……」

 

 食卓前のソファでゴロゴロしながらうめき声を上げるだけのナマモノに成り果てています。

 

 いやなんかですね、最近私に謎の男性関係(笑)が発覚してそれによるストーカー被害とかがようやく落ち着いてきて、なんか疲れたなーゆっくりしたいなーって思ってソファに転がったら予想外のフィット感が演出されてですね、私はこのために生まれてきたんじゃないかと思うような運命を感じてしまった結果として真っ昼間からゴロゴロしてるんです。

 

 自分でも良くないとは思うんですよ? 

 かといって用もなく外に出て行くほどの気力も湧かず、結果としてジャージ姿(キャスター製作)でひたすらゴロゴロしてます。

 延々ゴロリよ、坊や良い子やネンネしなって感じですね。ははは。

 

「あうー、えあー」

「毎日毎日そこで寝転がられると邪魔なんですけど」

 

 ゴロゴロを続ける私にそんなことを言ってくるのは緑衣のアーチャー。

 ベーコンエッグにソーセージとトースト及びサラダ、それに紅茶という、ボヤッとしたブリティッシュイメージで続けてるモーニングセットを持ちながら、呆れと軽蔑が混ざった目で見下ろしてきます。

 

 まぁそんな目つき、ここ数日で慣れたものですがね!! 

 そんな風に開き直りながらもズリズリとスライドし、辛うじてアーチャーが座れそうなスペースは作ってあげますが。

 

 狭い……とかボヤきながら腰掛ける緑茶もどきはしかし、よく見れば顔のない王に祈りの弓という、これからダンジョン攻略にでも行けそうな完全武装の出で立ちでした。

 

「その格好は何事ですか、アーチャー? ハムハム」

「いやね、ギルドに面倒ごとを押し付けられちまいましてね、これから都市外の森で一仕事ですよ」

「都市の外とは。それはまた珍しい。モグモグ」

「なんでも珍しいモンスターが現れたらしくて、それを捕まえるためにハンターどもが森に罠を仕掛けまくったらしい。近隣の村人がその罠で怪我したらしくって、これ以上クレームが来る前に撤去してこいとさ」

「なるほど、確かにその手の話なら貴方以上の適任はいない。まぁ腕前を買われてのことです。励みなさい。パクパク」

「……つーかオタク、さっきからなにシレッと人の朝飯食ってんだよ!?」

 

 む。私の前に置いたので、食べて良いのかと……。

 

「オタクがソファほとんど占拠してるから飯置くスペースが無かったんだよ!」

「なんと。貴方に謝罪を、アーチャー。ゴックン」

「もうほぼ食い終わってんじゃねえか!」

 

 おかわりが欲しいです。

 

 アーチャーはジトっとした目で私を睨みましたが、すぐに諦めたようにハァァァァァ……という大きなため息をつきました。

 

「ったく、もう良いですよ。そんかわり、朝飯分くらいはオタクにも働いてもらうぞ」

「えー、もう少しほとぼり冷めるまでお外に行きたくないんですけど」

「黙らっしゃい騎士王(ニート)!」

 

 おま、今セイバーファンへの禁句の一つを口にしましたね!? 

 違いますから! 働きたくても見た目JCだから雇ってもらえないだけですから!! 

 

 

「本家はそうかもだけど今のアンタはただのグータラだろうが! オラ、とっとと行くぞ! ジャージ脱げ!」

 

 あ〜れ〜。

 

 

 そんな感じで都市の外まで引っ張り出された私は、せっせとトラップ解除に励んでいます。

 と言っても、地道にトラップを解体するアーチャーと違って私は、

 

「せい!」と叫びつつ飛来する矢を切り払ったり、

「はぁ!」と吼えつつトラバサミを踏み潰したり、

「てやぁ!」と猛りながら落とし穴から脱出したりと、いわゆる漢解除と呼ばれる方式を採用していますが。

 

「アーチャー、次はどこに向かいますかー?」

「あー、確か、北東エリアがまだだったな。そっち行くぞー」

「了解でーす」

 

 うーん、出かける前は億劫でしたが、いざ外に出てみると割と気が晴れますね。

 天気も良いし、ちょっとしたピクニック感覚です。トラップ? そんなもの、私のステイタスの前にはアスレチックコースよりも退屈なアトラクションです。

 

 しかしそんな風に気を抜いてると、聞き覚えのある声が。

 

「あれ、アルトリアとロビンだ。何してるのー、こんなところで」

「おや、ティオナにティオネ、アイズとレフィーヤも。それにアミッドまでいるとは何事ですか」

 

 ロキ・ファミリアの四人娘+1がお揃いでした。

 しかしいつも活力に満ち溢れているティオナが、妙に疲れ気味。一体何事でしょうか? 

 

「実は──」

 

 アミッドが言うには、この辺りにユニコーンが出没したらしく、彼女たちはその角を確保しにきたらしい。

 それだけなら第一級冒険者であるアイズ達には容易いことだが、どうにも地上では絶滅危惧種なユニコーンを傷つけずに故郷に帰したいらしく、難航中だとか。

 ちなみに我々が解除していたトラップも、このユニコーンを捕獲するためのもののようです。

 

「でも私達もユニコーンに警戒されちゃってるっぽくてさー。困っちゃってるんだ」

 

 困り果てた顔で締めくくるティオナ。

 

 うんうん。実際、私もぶった切った方が早いと思います。

 しかし、話を聞いていた緑茶もどきがアホなことを言い出しました。

 

「んじゃ、手伝ってやれよ王サマ」

「はい?」

 

 何言い出すんですかコイツ、という目で睨むと、妙にキリッとした顔を作ってるポンコツが。

 その目線の先には不安げな表情を浮かべたアミッド。

 あ、この野郎、可愛い女子(アミッド)に良いとこ見せたくてふざけたことヌカしましたね! 

 どうせ好感度稼いで親密になったらなったでヘタれる癖に!! 

 

 速攻で拒否しようとした私ですが、

 

「アルトリア、なんとか出来るの?」

「うっ!?」

 

 キラキラと目を輝かせるアイズの姿に思わずたじろいでしまう。

 そう無邪気な顔をされると、断りづらいんですが! 

 

「え! 本当に!? すごい、さすがアルトリア!」

「何か作戦があるのかしら?」

 

 私が口ごもってる間にどんどん外堀が埋まっていく。ヤバいです。

 しかもタイミング悪くユニコーンが出てきてるじゃないですか!! 

 

「おら、行ってこーい」

 

 アーチャーに背中を押されて渋々近づいていく。この野郎ブン殴ってやりましょうか。

 ……まぁアイズ達にまで期待されては仕方がない。やるだけやってみますか。

 

 

 ゆっくりと近づいていくと、体を強張らせるユニコーン。

 なるほど、かなり警戒していますね。この緊張を解くのは普通なら至難の業でしょう。ですが……

 

 振り向き逃げ出そうとしたユニコーンの機先を制し、たてがみを鷲掴みにして無理やり目を合わせる。

 気分的には『ああん? ウチのシマに入っときながら挨拶も無しとは調子乗った小僧やのぉ?』的な感情で睨み付けると、ユニコーンはビシィっと硬直して動きを止める。

 いやね、どうも(アルトリア)の竜の因子が影響してるのか、地上のモンスターくらい弱いと私が睨むだけでめちゃくちゃ怯えるんですよね。蛇に睨まれたカエル的な。

 

 そのまま軽く跳躍してユニコーンの背にまたがる。

 恐慌状態で暴れようとしますが、騎乗スキルで無理やり従えて大人しくさせました。

 これも幻想種扱いのダンジョンのモンスターにはほとんど通用しないんですが、地上のモンスターくらい弱いと以下略。

 

 完全に制御下に置いたところで、アミッド達のところに戻ります。

 アーチャーはともかく、アイズ達はポカンとしてますね。

 うぅ、正直、こういうアルトリアのスペック頼りの行いでマウント取るのは罪悪感が……。

 とりあえずそんな他人には理解されない罪悪感は表には出さず、アミッドに声をかける。

 

「さてアミッド、角は貴女に渡せば良いのですね」

「は、はい。いえ、良いのですか? この場合、所有権はアンリマユ・ファミリアにあると思うのですが……」

「元々我々への依頼はトラップの解除です。ユニコーンの対処はついでのようなものなので、気にすることはありません」

 

 スパッとエクスカリバーで切り落とした角を渡したところで、馬に乗ったリヴェリアが現れました。

 

「アイズ達の手伝いに来たのだが……ユニコーンに背を許されるとは、相変わらず大したものだな、お前は」

「いえ、それほどでも」

 

 シレッと返す私。実際、アルトリアのスペック任せでしたし。

 リヴェリアは苦笑しつつ、馬を巧みに操る。

 

「その子を群れに帰すのだろう? 先導しよう」

「感謝を、リヴェリア。それではアーチャー、貴方は先に帰っていてください。アイズ達も、また会いましょう」

 

 軽く会釈をして駆け出す私達。

 

 

 

「しかし、意外だ。あれほど想う男がいるなら、お前はてっきりもう……」

「? リヴェリア、何か言いましたか? すみません、風で聞き取れませんでした」

「……いや、何もない」

(お前の過去と愛について、私が詮索するのは無粋だろう──)

 

 

 

 

 

 

 一方、残った人たち。

 

 

「アルトリアさんは、無理だと思ってました……」

「ん? なんで?」

「そ、その、ユニコーンに近づけるのは……純潔の……アルトリアさん、恋人が……」

「あー、処女判定のことか! まぁ近づけるだけで処女ですって公言してるようなセクハラアニマルだもんな! なるほど、ウチの王サマが処女じゃないと思ってたわけだ!」

「〜〜〜〜ッ」

「レフィーヤ、顔、真っ赤だよ?」

「あー! ロビンがレフィーヤにセクハラしてるー」

「サイッテーね。ベートに匹敵するわ」

「ちょ!?」

 

 アーチャーもどき、痛恨の好感度ダウン。

 

 

 

 

 さらに一方、都市の城壁の上でたまたま外を眺めていた神々。

 

 

「お、おい、アレを見ろ!」

「んー、なんだよってアルトリアたんがユニコーンに跨ってる……だと……!?」

「ば、馬鹿な! アルトリアたんは幼妻からの未亡人と結論が出たはず!?」

「つまり正確には処女の幼き未亡人……!?」

「なんという複合属性! しかし有りか無しかで言うならば……!」

 

『有りの有りだな!!!!』

 

 

 

 後日談

 

 

「セイバー、なんかまた手紙増えてるよー? なになに、『処女懐胎したって本当ですか!?』『信じてました信じてましたイ言じてましたシンジテマシタ────』『寝取られに歪められた性癖が治りました、ありがとう!』他にもいっぱ〜い」

「ひぃぃ! アーチャー! アーチャアアアア!!!!」

 

 




とある白髪少年の耳に入ったかどうかは不明とのこと。

元ネタは、ソード・オラトリアの特典SSです。
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