IS lamentation   作:夏陽

5 / 7
時間が取れたので更新

原作キャラが死亡する演出があるのでご注意ください


 戦闘

 

 

「俺は、死神と呼ばれる傭兵。そして本名は織斑一夏だ」

 

 

 呼吸が止まるかと思った。それくらいにショックが大きかった。

 もう何がなんだかわからなくなって考えることを放棄したくなるくらいだった。

 兄貴は生きていたけど、史上最悪と呼ばれる死神と呼ばれる傭兵?

 しかも、亡国機業にいた?葵を殺したオータムが所属している組織に?

  

 なんで・・・・・

 

 どうして・・・・・

 

 織斑一夏。

 

 俺の自慢の兄貴。

 4年前行方不明になり、しばらくのあと50キロ程離れた山から本人と思わしき遺体を発見。腐敗、及び動物に襲われた後があり原型をとどめていなかったがDNA鑑定の結果本人と一致。

 死亡判定がなされる。 

 なお死亡からおそらくとも3週間は経過していたらしかった。

 

 

 死神。

 

 この時代における最強の傭兵。

 金を積めばクライアント(依頼主)を選ばず、100%依頼を完遂する。殺害だろうと、強奪だろうと確実に。その姿を見た人誰もいなく、とある女性が仲介に入るという。

 目標達成のために共闘した見方でさえ見捨てる。

 

 

 

「あぁそうだ。俺たちが本気だというのを忘れるな?その証にすでに旧文明兵器”スピリットオブマザーウィル”を向かわせた。衛星写真を取ればすぐにわかるだろう。それともう一つ小手調べにIS学園を襲撃目標とする。時刻は17時00分とさせてもらおう以上だ」

 

 再生が終わっても、いくら時間が経とうとも、誰も声を発することが出来なかったと言うのかもしれない。俺も、ショックで何も声を絞り出せないでいた。それは姉貴も同じだったみたいらしく、驚きを隠せない表情だった。

 襲撃するということが本当だというのならば、もうその2時間も時間がない。あんなキチガイ兵器を現代に蘇らせたっていうんなら、亡国機業の戦力なんて桁違いのようにしか思えない。その背後には不可能を可能にしかねない束さんがいる。

 束さんひとりで世界が負けかけたというのに。俺みたいなバカでもわかる。絶対に勝てない、勝てるはずがない。

 あいつらの兵器一つ一つにとてつもない損害ばかり出していたら戦力不足で俺たちが負ける。

 

「これが、あなたたちを呼び出した一番の理由よ。このことにより、国連が正式にここIS学園に戦力として部隊を派遣したとの連絡があったわ。あと一時間もすれば到着する。専用機持ちは国連部隊とともに亡国機業の迎撃にできれば参加。専用機持ちではないひとは自分の判断で行動しなさい。逃げるのもよし、戦うのもよし。誰も己が取った行動を貶したりしないわ。私が保証する。これは訓練ではないの。戦争よ。ひとつの間違いで命を落とすことになる」

 

 更識先輩の声は嫌になるくらいによく聞こえた。

 

「もし、戦うというなら、絶対に生き延びること。貴方たちを誰一人として失いたくないから。約束してちょうだい。逃げたくなったら、怖くなったらすぐに逃げて。自分を犠牲にしていい理由なんて一つもないわ」

 

 怖くなるくらいに。

 

 

 

 

 

16時49分。

 

 IS学園を中心とした半径50キロ範囲内における非戦闘員の避難、及び同範囲内を防衛網としての戦力配置を16時23分に完了。全方位からの進行に対応するための処置とする。

 

16時55分。

 

 最終迎撃部隊IS学園に戦闘配置完了 

 これにより亡国機業迎撃態勢の全フェーズ終了の確認。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、こんなとこにいた」

 

「・・・・・・先輩」

 

「隣、座らせてもらうわね」

 

 顔を上げた俺は頷いてまた俯く。上を向いていられなかった。

 

「もう、招集かかっているわよ?あとは千夏くんが集まれば皆揃うのに、どうしたの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 答える気力なんて残ってなかった。失礼なことだとは思うのだけれど、口が動いてくれない。

 

「まったく、シャキっとしなさい」

 

 くしゃくしゃっと頭を撫でられた。揺さぶられるままに体が動く。

 

「・・・・・・・わい、んです」

 

「ん?」

 

 コップから水が溢れるように自然と声が漏れた。

 

「・・・・怖いんです。兄貴と敵対するのが。体がすくむんです」

 

 溢れ出するのが止まらない。コップにヒビが入ったように。

 そんな俺を更識先輩は優しくそばにいてくれた。

 

「もう、何もかもが嫌になって、全部投げ出して逃げ出したくなるんです。兄貴に勝てるはずないって、根拠もないのに決めつけて。でも俺は専用機持ちだから、逃げちゃいけないって・・・・」

 

「そうね。専用機持ちは本当に辛いわ。でもね?逃げていいの。他の専用機持ちのコたちも、怖くなって迎撃部隊には加わらなかったわ。参加すると言ってくれたのは貴方たち一年の子達だけ。貴方は臆病でも何でもないの。そうやって怖くなっても戦わないとって思えるんだから、ね?貴方は、千夏くんは十分強いの。誰も攻めたりしないわ」

 

 不意に顔を上げれば、こんな俺に更識先輩は笑顔を向けてくれていた。俺を励ましてくれるかのような優しい笑み。

 

「・・・・なんで、こんなときに先輩は笑ってられるんです?」

 

「ふふっ。私だって千夏くんと同じで、すごく怖いわ」

 

「なら、どうして」

 

「どうしてって、私だって人間だもの。怖いと思うこともあるわよ?私は超人じゃないもの」

 

「なんで、なんで先輩はこんな時に笑っていられるんですか。こんな大変な時に」

 

「まったく、千夏くんは質問ばかりね?・・・・・私は折れることが出来ないから、笑うしかないの。本当だったら逃げ出したいわ。でも私は国家代表だし、それに、IS学園の生徒会長だから。みんなの

上に立っているから、折れたくても逃げたくても、そうすることは出来ない。人の上にたつっていうのは思ってる以上に大変だけど、それでもIS学園生徒会長でいるの。私が選んだ道だからね」

 

 そう言う更識先輩はひどく辛そうだった。辛いけど、それを笑顔で無理やり隠そうとしているかのようで。

 普段の姿からは想像も出来ない位弱々しい。

 

「・・・・ちょっと話しすぎちゃったね。もう5時まで10分もないや。どうするの千夏くん?戦う?」

 

 目の前に立ち上がった更識先輩の手が差し出された。

 

「俺は――――」

 

 その手をつかめば俺は亡国機業と、兄貴と敵対することになる。だが、確実に後戻りは出来なくなる。

 ずっと追い越すことのできなかった、もしかしたら今ですら足元にたどり着けてすらいないかもしれない兄貴を、ヘタをすれば俺が殺すかも知れないし、殺されるかもしれない。

 本当にそう考えるだけで、やっぱり足がすくみそうになるけど、それでも。

 

 それでも。

 

「先輩、俺戦います」

 

 俺は戦う。

 戦って、生き延びて、そして兄貴に会ってやる。そして話をつける。

 

 差し出された手を取り立ち上がる。

 

「そう。じゃあ、早く集まらないと。皆カンカンかもね?」

 

「え゛?ま、まじっすか」

 

「ホントホント。さぁ急ぐぞー、おー!」

 

「え、ちょまっ!?」

 

 言い終わるとも言えないうちにたたーっと、更識先輩は走っていってしまう。足が早いせいで結構先を行っていた。

 

「先輩おいてかないでくださいって!」

 

「やだよー。私まで怒られたくないもんねにゃはははは!それに前々から言ってるけど先輩じゃなくてたっちゃんって呼んでって言ってるでしょー?」

 

 こんちくしょう。

 これじゃあぐうの音もでない。いつも、今でも更識先輩は一枚も二枚もうわてだった。

 本当にこんな状況の時に場違いだと思うけど、やっぱり先輩らしいと思う。

 

 とりあえず、走ろう。

 

 

 

 

 

 

 襲撃予告の5時になった。

 一気にその場の空気が引き締まる。管制塔から休む暇もなく次から次へと情報が送られてくる。

 

――――超高精度レーダーの範囲内100キロメートルに敵影反応はなし。

 

 先輩と目配せする。最終迎撃部隊に配置され、無人量産型ISがいる前線に比べればまだ危険度は下がるとは言われていても、戦闘するのには変わりないために気を緩めることはない。

 突破してきた部隊を殲滅するみたいだが、規模がどれくらいかもわからな――――

 

”随分と戦力をかき集めたようだな。欲にしか能がない奴らだと思っていたが、行動は早いみたいだな”

 

 来た!

 

 突如として回線に割り込んできた声。紛れもない兄貴の、織斑一夏のに間違いない。

 

――――レーダー範囲内に高速接近する敵影確認。推定速度マッハ2.5以上

 

”無駄な策だったな。全てお見通しだ”

 

――――各機プランAの行d・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「な、なんだ?」

 

「これは・・・・」

 

 いきなりにノイズが走り、情報が届かない。聞こえるのはザーという砂嵐の音だけ。すぐに通信できるのを探したものの、オープンチャンネルは全部ダメだった。プライベートチャンネルならかろうじて生きていたけれど、コレじゃあ管制塔からのオペレートは期待できない。IS同士しか通信できない。

 しかも、100メートルも離れれば、声が届かなくなるおまけ付き。

 

「先輩、そっちは」

 

「ダメね。プライベートしか生きてないわ」

 

(やっぱりか・・・・)

 

 俺のだけダメになったというのを期待したけれど、無駄な願いに終わる。ツーマンセル行動だから闇討ちされる心配はないが、シャルや箒たちが心配だ。

 

”手始めに通信関連を潰させてもらった。どこまで持つかな?”

 

 直後、超高速接近する反応を百式が捉えた時には目の前のアリーナに何かが飛来した。

 飛来の衝撃でアリーナの地面がめくれあがり砂埃で何も見えなくなる。だけど、見えなくとも百式のレーダーは反応を示していた。敵と思わしき反応が二つ。

 

「Heavy Metals,Raidiation detect(重金属と放射線を検出)反応・・・汚染物質が漂ってるとでも言うの?千夏くんISの展開を絶対に解除しちゃダメよ」

 

「ええ、分かってますよ。百式も反応してますから」

 

 さっきまでなかった反応。飛来した何かが運び込んだと見て間違いはないはず。まだ、人体に影響を及ぼすレベルには達していないものの、この状況で展開解除をしたら終わるだろう。

 

「千夏!!」

 

 さっきの音に気づいたらしく、鈴たちが集まってきた。他の国連部隊の人たちも遅れて後ろにいる。全戦力がここに集まった、と言える。

 砂埃が晴れるとそこにあったのはアーマードコアに酷使したスカイブルーを基調とした10メートルクラスのと、赤色の7メートルクラスの機体が2機。

 誰もが黙って武器を構える。俺も雪片二型を両の手で握る。いざとあらば零落白夜をいつでも使えるようにして。

 長い沈黙の後スカイブルーの機体が動き、カメラアイが俺を捉えた。

 

”久しぶりだな、千夏”

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・兄貴」

 

”それにしても懐かしい顔ぶれだな。篠ノ之箒、鳳鈴音。4年ぶり、いや篠ノ之箒お前とは5年ぶりか。・・・・・・大きくなったな”

 

「ッ・・・・・・」

 

「一兄、今までどこに行ってたのよ?死んだくせに何を今更ノコノコと・・・・・!」

 

 鈴が離れている俺ですら分かるほどに殺気を漏らしていた。無理もないのかもしれない。兄貴が死んで一番泣いたのは俺でも姉貴でもない、鈴だった。

 本当に今すぐにでも掴みかかりそうな勢いだった。

 

”死んだくせに、か。悪いが俺は死んでなどいない。そうだったら今ここにはいない。違うか?”

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

”DNA鑑定をしなければ、身元がわからない遺体がなぜ俺だと分かった?なぜたった一ヶ月ほどで、遠く離れた山奥で見つけることができた?おかしいとは思わないか?”

 

「まさか・・・・・・」

 

”俺の死亡はどこの誰とも知らない奴らに偽装されたのさ。ISの技術を手に入れるため、だけに”

 

 胸糞が悪くなるような話だった。誰とは兄貴は言ってはいない。でも誰でも分かる、もう答えを行っているような物だった。

 

 たったそれだけのために、兄貴は・・・・・・

 

”・・・・話が過ぎたな。千夏お前がここにいるということは戦う覚悟を決めたと、判断しよう。俺を本気で止めるというなら殺せ。さもなくば、俺はお前を殺す”

 

 それと同時に兄貴はその機体を宙に浮かせた。PICを使わないブースターの出力だけを頼りに浮く。それはISの登場以来無駄だと、古い技術と蔑まれたものなのに、圧倒される。

 あんなISより遥かに重い機体なのにあそこまでできるのは、どれだけの出力があるのか想像もつかない。

 

――――敵機体にロックオンされました。回避してください。

 

「ッ!」

 

 咄嗟に射線から逃れることができたのはほとんど奇跡に近かった。すぐ横をライフルの弾がそれていく。代わりに後ろに居た無人量産型ISに被弾。たった十数発で大破に追い込まれていた。

 

”どうした?俺を止めるんだろう?”

 

「・・・・・あぁ、止めてやるさ。その訳わかんない機体から引きずり出して一発ぶん殴ってやる」

 

「千夏くん。援護するわ」

 

 勝てる保証なんて何処にもない。それを覚悟の上で兄貴に刀一本で突っ込んでゆく。更識先輩がの援護が今はすごく心強い

 

「よぉ。おれのこと、まさか忘れたとはいわねぇよな?織斑千夏」

 

「お前・・・・・」

 

 ずっと動かなかった片割れからの通信。すぐさまブーストをやめ間合いを取る。これで2対2になったけど、実質的には俺たちのほうが圧倒的に不利だ。ライフル弾十数発でISを撃破できる兄貴の機体。そして、オータムが乗っているはずの、ACらしき機体。その武装は気にはしなかったが、よくよく見れば口径がデカイ。スキャンしてみれば120ミリ口径APライフルに220ミリHEATライフル。

 戦艦なみの口径のデカさ。ISでさえただでは済まなそうにもない。

 

「フン。ほらさっさと行けよ。テメェの兄貴ぶん殴んだろ?せっかくの再会を邪魔するほど根性はねじ曲がっちゃいねーよ」

 

 どの口がほざいてやがる、と喉までせり上がった言葉を飲みこむ。正直気に食わないのは確かだが、今回ばかりはそれに甘え、すれ違っていく。

 

「さてと。悪いがお前らの相手は俺だ。こいつらと一緒に遊んでもらうぜ?」

 

 何もない空中から沢山の光の塊が現れた。その光はオータムの機体と同じものにへと変化してゆく。ざっと数えただけでも100は下らない。

 

「どれだけコイツ等をスクラップにできるかなぁ?ははははは!」

 

『U1オペレーションを開始します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”さっきまでの威勢の良さはどうした。口だけだったのか?”

 

「うっせーんだよ!!ちょっとは黙ってろ!!」

 

 叫ぶ千夏。その顔に余裕などなかった。気そらそうものなら、ISを一撃で消し飛ばしかねないグ

レネードで、気をそらさなくともISのパイパーセンサーでさえ捉えることが困難な弾速を持つライ

フルで打ち抜かれる。

 一発の被弾が命取りとなる中千夏の百式は極端に近距離に特化している分、余計に近づかなけれ

ばならず、より一層集中しなければならない。反撃する余裕などなかった。

 楯無も攻撃には参加しているが、そのすべての攻撃が緑色をした防御スクリーンに防がれ弾かれていた。

 大出力を誇るはずの荷電粒子砲でさえ、その防御スクリーンを少し減退させるのやっとで、その

少しですらすぐに回復される。射撃に回せるほどのエネルギーは残っていなかった。

 

”なぜお前は戦う?”

 

 攻撃の手を休めることなく、一夏は千夏に問いただす。それには昔の兄としての面影を感じさせた。

 

「兄貴を止めるために決まってんだろうが!!」

 

”・・・・・そんな程度の覚悟でここにいるというのか?お前は”

 

「ごちゃごちゃ煩いんだよ、アンタはそんな性格じゃなかっただろ!?」

 

”幻滅した。お前はそんな程度の覚悟で俺たちを止めるつもりか”

 

 その声に少なからず怒気が含まれていることに千夏は気づくことができずにいた。

 

「覚悟覚悟って、アンタは何を偉そうに言ってんだ!」

 

”・・・・・・俺は計画をために全てを捨てた。何もかも全部をだ。自分も、含めてな。俺はもうお前の

兄貴でもなんでも、織斑一夏でもない。ただ計画を遂行するためだけに動く人形だ。お前にそこまで

出来る覚悟がないなら、そんな覚悟もないうちは計画の邪魔などさせない。いや、無理にでも

その覚悟を持たせてやる”

 

 カメラアイが楯無の姿を捉える。

 

”更識楯無、貴様を殺す”

 

「ッ!!」

 

 楯無は千夏に気を向けている隙に準備を進めた自身のISミステリアス・レイディの大技であるミストルテインの槍を超至近距離で放つ。

 防御用に使用しているアクア・ナノマシンを一点に集中、攻性成形した小型気化爆弾4個分にすら

匹敵するエネルギー総量が防御スクリーンに直撃し大爆発が起こった。

 今の段階で可能な全力の一撃であるのには間違いない。

 

”・・・・・流石に減退しきる、か”

 

 無傷とはいかないものの、だが決して痛手にはなりえないダメージしか受けていない、一夏の

操縦するネクストの姿が。

 その最大の一撃の大部分は防御スクリーンの消滅という形で防がれていたのだった。

 

「・・・・・・・嘘、でしょ?」

 

 楯無は驚きを隠せずにいた。大技が通用しないことに加え、自身を守るはずのアクア・ナノマシン

はミストルテインの槍で使ってしまった。

 すなわち被弾が死を意味する。

 

”千夏お前はそこで見ていろ”

 

 千夏が反応する前にグレーネード弾を直接でなく地面に向け射撃。

 その爆風の強さに機体ごと千夏はアリーナの壁に激突した。ISの保護機能をもってして防げない

衝撃が千夏の意識を刈り取っていった。

 

 

 

 

ここは・・・・どこだ?

 

 なんで俺は倒れているんだよ・・・・・

 

 朦朧とした意識のせいで自分の置かれている状況が理解できない。

 体中が強く打ち付けられたように痛い。

 そんな俺を現実に連れ戻したのは更識先輩の声だった。

 

「千夏くん逃げて!!」

 

 重い頭を上げてみれば、兄貴と交戦する更識先輩の姿。ただ、そのISの特徴的なヴェールは

なかった。

 

 どうして・・・・・

 

 そんなゆうちょに考える時間をあるほど戦争は優しくなかった。

 

”千夏。恨みたければ好きなだけ恨むといい。それでも許せないというなら俺を止めに来い。

その時のお前は変わるはずだ。更識楯無、貴様は千夏の踏み台になれ”

 

「くっ!!」

 

”死ね”

 

 大爆発がおきた。それは兄貴の機体がら射出されたグレーネード弾が引き起こしたもの。爆発

の中心にあったのは更識先輩の姿。

 爆風と一緒に飛び散る赤い”何か”

 顔についたそれを拭った。装甲に走る赤い筋、そして小さな塊。

 

 

 

 

 

 

 ――――それは肉片だった。

 

  

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。