魔王少女から逃げられない英雄   作:カガト17

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今回は一誠視点からスタートです。
後、1つの作品だけ書いてると飽きそうで怖いからもしかしたらもうひとつ書くかもしてません。



逆鱗

前回を簡単に オーディンに呼び出されて冥界に来ました。

 

 

どうも兵藤一誠です。

今俺達は部長の里帰りに合わせて冥界へ来ています。

今は若手悪魔の会合まで各自修行をしています。

俺の修行の目的は禁手に至ること。

そのためサーゼクス様が頼んでくださった元龍王のタンニーンのおっさんに炎を吐かれながら追いかけまわされています。。

基礎鍛練も含めているらしい。

 

「ほう。だいぶ避けられるようになったな。」

 

「何日間追っかけまわされたと思ってんだ!!」

 

「そうか。では、火力を上げよう。」

 

「え。ちょ」

 

タンニーンのおっさんが吐く炎は、俺が安定して避けられるようになると火力が上がる。

 

もうやだーーー!!

 

そんな事を思いながら修行をしていると

 

「おー。やってる。やってる。」

 

そんな聞き覚えのある声と共に黒い龍が現れた。

 

「よー。イッセー」

 

はあ!! 何で先輩がここに!!

 

黒い龍と共に現れたのは俺の先輩の天月 紫苑先輩だった。

 

「先輩!! どうしてここに?!」

 

「いやー。オーディンのくそ爺に呼び出されて来たんだけど当の本人はまだ来てないからお前の修行の手伝いをしてやろうかなって思ってさ。」

 

「そうなんですか。」

 

あれ、なんかドライグの様子がおかしいぞ。

 

『久しぶりですね。ドライグ。タンニーン。』

 

先輩の後ろにいた黒い龍がそう言ってきた。

 

「おお。久しいな。バハムート」

 

タンニーンのおっさんはそうに答える。

 

『あ、ああ。久しぶりだな。バハムート』

 

ドライグが若干震えた声でそう言う。

 

「先輩。その後ろのドラゴンはいったい?」

 

「ああ。こいつは俺の使い魔みたいなもんだ。」

 

こんなドラゴンが使い魔とか先輩どんだけ…

 

「さっき久しぶりって言ってたけど知り合いなのかドライグ」

 

俺はドライグにそう聞くと

 

『まあ、知り合いといえば知り合いだ。』

 

ドライグがそう答えたがどこか言いずらそうだ。

 

「あ、そっか。ドライグは昔バハムートに俺様キャラで告白してフラれたんだっけ。」

 

『グフ!!!』

 

先輩が言ったことによりドライグが苦悶の声を上げる。

 

ドライグ…お前がどこか変だったのはそう言う事か。

つまり、昔告白してフラれた女が話しかけてきたからどうすればいいのか分からなくて困っていたと。

 

「後、アルビオンの方もフラれてたっけか。」

 

つまり、先輩の使い魔さんは二天龍に告白され両方断った猛者と。

 

『止めてください。紫苑。その話は恥ずかしい///』

 

「そうか。わりいな。まあ、その結果フラれた者同士で煽りあって喧嘩に発展したって話さ。」

 

「そうなんですか…ってえ。まさか、その喧嘩って…」

 

「そう。過去の二天龍討伐に至った大喧嘩さ。」

 

ホントに何やってんのお前ら!!

喧嘩の真相はフラれた者同士の煽り合いでしたって…

 

「まあ。そんな事はいいや。それよりもイッセー。

お前禁手に至りたいんだってな。」

 

「はい。俺は皆を守るためにもっと強くなりたいんです。」

 

「そうか。じゃあ、特別に禁手へ至るためのコツってやつを教えてやるよ。」

 

「本当ですか!!」

 

「ああ。本当さ。タンニーン少しこいつ借りていいか?」

 

「ああ。かまわんぞ。」

 

「さあ、お許しが出た所で始めようか。」

 

「はい!!」

 

「じゃあ、まずお前はどうやったら禁手に至れるか分かっているか?」

 

「えっと、確か劇的な変化でしたか」

 

「うーん。解答としちゃあ50点だな。

いいか、禁手ってのはいわば世界に逆らった結果生まれた神器のバグだ。」

 

「バグ…ですか?」

 

「禁手は人間が持つ感情の爆発。

もしくはその者の世界観が変化、強い決意が世界の理をねじ曲げた時神器の力を圧倒的なまでに引き出す。

その力は本来の力を逸脱し所有者の願いを叶えるための武器となる。」

 

「強い…決意…」

 

「先輩は、禁手に至った時はどんな感じだったんですか。」

 

「俺の場合は、神器が発現したときに禁手になっていたんだ。家族を殺されたくない。助けたい。

それが、そんな感情の爆発によって禁手に至っていたのさ。」

 

「そうですか。」

 

「特別に見せてやるよ。俺の禁手」

 

先輩がそう言うと右目に時計のような模様が浮かんだ。。

 

禁手(バランス・ブレイク)

 

そう言うと地面が震え始めた。

そして、先輩の姿が光に包まれ俺は咄嗟に目をつむる。

光が止み俺が目を開けると

 

「これが俺の禁手。(バランス・ブレイカー)

時を支配し厄災(タイムインペルディザスター)》」

 

先輩の姿を見ると一本の剣が握られていた。

 

「これの特徴はこの剣くらいかな。

こいつは、一度触れたものすべての時間に干渉できる。って剣な訳よ。」

 

「時間に干渉?」

 

「そうさ。例えばこうやって使ったりな。」

 

先輩がそう言うと剣を地面に突き刺した。

 

《切り離し支配せよ》

 

その瞬間世界が豹変した。

 

「なんと!!」

 

タンニーンのおっさんが驚く。

 

「おっさん何が起きてるんだ。」

 

「この男は今この地一帯の時間を切り離し支配したんだ。」

 

「今はこの地の時の支配者は俺って事。

まあ、あれを見てろ。」

 

先輩はデカイ岩を指差し言った。

 

《巻き戻せ》

 

すると、デカイ岩が一瞬で消え去った。

俺達はそれを見て固まった。

 

「あ、久しぶりすぎて調整ミスったな。

砂に戻そうと思ったのに。」

 

先輩はのんきな声でそう言った。

 

「せ、先輩。今のは…」

 

「今のは岩の時間を巻き戻したのさ。

まあ、巻き戻しすぎて無に還しちゃったけど。」

 

『相棒。気を付けろよ。

今の力は岩の時間を岩が存在する前に戻したんだ。』

 

「それって!!」

 

「まあ、人に使うには危険すぎる力だから基本的に使わないけどな。そもそも神器も使わないけどな。」

 

先輩はそう言って禁手を解除する。

 

「イッセー、自分の今やりたいことを考えろ。」

 

「今の俺の…」

 

「お前は確かにスケベで救いようのないほど無茶をするバカだが、仲間を…誰かを守りたいっていう気持ちは本物だ。

そんな、優しい男だよ。お前は。

自信を持てよ。」

 

「お前は焦りすぎなんだよ。一から考えろ。

お前は何のために力を欲すのか。

そして、何のために力を振るうのかをな。」

 

「後、これは忠告だ。絶対に忘れるな。

同じ力でも誰かを傷付けるために振るうのはただの暴力でしかない。

そして、暴力ではいつか大切なものを失うぞ。」

 

先輩はそう言ってこの場所を去っていった。

 

先輩が忠告を告げるとき目。

どこか後悔と悲しみに溢れていた。

 

「わかりました…」

 

俺は先輩の去った方を見ながらそう言葉を溢すのだった。

 

 


 

紫苑視点

 

 

あれから数十日が経過した。

そして、今日は同盟を結ぶ日だ。

 

あのくそ爺!!

結局めっちゃかかってるじゃねぇか!!

 

「やあ、久しいのう。くそ坊主。」

 

後ろからそんな声が聞こえた。

 

やっと来やがった!!

 

「そうだな。だけど、人を呼び出しておいて遅れる老害に

くそとは言われたくないな。オーディン。」

 

俺に話しかけてきたのは北欧の主神オーディンだ。

 

「で、俺を呼び出した理由は?」

 

「お主にちと頼みたいことがあっての。

きっと今日の同盟についてよく思わんものが襲撃をしてくる。

だから、その時に襲撃者を何とかして止めてほしいのじゃ。」

 

「別に俺でなくてもいいじゃないか。」

 

「後、お主に聞きたいことがあってな。

あやつとはどうなったのじゃ。」

 

「おい。黙れ。消すぞくそ爺」

 

「ほっほ。その様子じゃ対して変わっとらんようじゃの」

 

「っち。やりづらいったらありゃしねぇ。」

 

「おー。もう来てたか。オーディンの爺さん」

 

「これは、遠路はるばるよくいらして下さいました。」

 

そう言ってきたのはアザゼルとサーゼクス。

ちなみに、セラフォルーとミカエルもいる。

 

「おー。久しいの。堕天使のヤンチャ坊主にルシファーの。」

 

「どうも。お久しぶりです。オーディン様」

 

セラフォルーがオーディンに挨拶をする。

 

「いかんな。セラフォルー。

年頃の娘がそんな色気のない服では。」

 

現在のセラフォルーの服装は魔法少女の格好ではなく抹茶色の上着に黒のスカートという服装である。

 

「そうですか?では…」

 

あっちゃ~。あの爺余計なことを。

 

オーディンの言葉によってセラフォルーの服装がいつもの魔法少女の格好になった。

そして、しばらく話をしていた。

 

それにしても、今の悪魔達は俺のことを知らないので「なぜここに人間が…」という目で見てくるなぁ。

まあ、無視するけどね。

 

 

そして、時間は進みオーディンが同盟に調印しようとした時

 

「異議あり。」

 

そんな、声が聞こえた。

 

襲撃者ってあいつかよ。

 

「我こそは北欧神ロキだ。」

 

「これは珍客ですな。」

 

アザゼルがそう答える。

続いてサーゼクスがロキに言葉を投げかける。

 

「ロキ殿いかに北欧の神といえどそなたにこの場を荒らす権利はない。」

 

「我らが主神殿が我ら以外の神話体系と接触するのが我慢ならなくてな。」

 

「嘘をつくなよ。」

 

「なに?」

 

「久しぶりだな。ロキ」

 

「貴様はあのときの人間。

嘘とはいったい何が嘘だと?」

 

「我らが主神ってお前そんな事を思ってないだろ。

お前はただ単にこれから起こそうと考えているラグナロクってのが叶わなくなるのが怖いだけだろ。」

 

「貴様!! 言わせておけば!!」

 

「ほら、図星を突かれてすぐムキになる。」

 

「フェンリル!!」

 

奴がそう叫ぶと巨大な狼が現れた。

周りの奴等が騒ぎ出す。

 

「奴を噛み殺せ!!」

 

「はー。神殺しの牙ね。」

 

そんな事を言ってる間にフェンリルがすぐそこまで来ていた。

 

おや、躾がなってないな。

 

「おすわり。」

 

そんな事を言いながらフェンリルの鼻を全力で殴る。

 

「キャン!!」

 

フェンリルがそんな声を上げながら吹き飛ぶ。

 

やっぱり犬を躾るにはこれだよな。

まあ、リアルでやったら動物愛護団体に訴えられるけど。

 

「これで終わりか。ロキ。」

 

「今回の狙いは貴様ではない。」

 

ロキはそう言うと俺から視線の向きを変えオーディン達のいる方を向く。

そして、攻撃を始めた。

 

 


 

サーゼクス視線

 

今日、我々は北欧の主神オーディンを招き同盟を結ぼうとしていた。

だが、それに反対する悪神ロキによって邪魔される。

当初、フェンリルを呼び出し紫苑を襲わせるが紫苑は拳一発でフェンリルを吹き飛ばした。

しかし、ロキは今度は我々に向かって自ら攻撃を始めた。

私とアザゼルそしてオーディン殿がその攻撃を防ぐ。

が、一発を防ぎきれず後ろへ通してしまった。

 

まずい!!

 

そして、その攻撃は後ろで他の悪魔達を避難させていたセラフォルーに向かっていく。

いくら魔王と言えど神の攻撃を無防備な状態で受けたらただではすまない。

 

「セラフォルー避けろ!!」

 

セラフォルーが攻撃に気づき避けようとするが間に合わず当たってしまい後方へ吹き飛ばされる。

 

くそ!!

 

我々はセラフォルーに急いで駆け寄る。

そして、セラフォルーを見ると額から血が出ていて意識も失っているようだった。

そして、アザゼルがロキに何かを叫ぼうとした瞬間

圧倒的な力の圧力が我らがを襲う。

そして、力の発生源を探ると

 

やっぱり…

 

そこにいたのは無表情でロキを見ている紫苑がいた。

そして、紫苑はロキから視線を外しこちら側を見た。

そして、一瞬で我々は…否、セラフォルーの側までやって来た。

 

《時間よ。巻き戻れ》

 

紫苑がそう告げるとセラフォルーの体が光だし傷が癒えていく。

否、正確にはセラフォルーの時間を巻き戻しているのだ。

セラフォルーが傷つく前まで。

そして、紫苑はセラフォルーの傷が消えたのを確認するとロキの方へ向けこう告げる。

 

「お前…俺の前で何してくれてんの?」

 

あの男は逆鱗に触れたのだ。

紫苑の絶対に触れてはいけない逆鱗に…

 

 

 

 


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