転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第94話 商業ギルドのやり手から情報を得よう

「キュピー!」

 

シュゴゴゴゴッ!と派手な音を立てて<スライム的掃除機(スライスイーパー)>が帰って来た。

 

「よーしよしよし」

 

「キュピー!」

 

元気に帰って来た<スライム的掃除機(スライスイーパー)>を撫でてやる。

マリンちゃんがびっくりしている。

 

「さあマリンちゃん、回収したゴミを買い取りに出してこよう」

 

「ええ? いいんですか? お兄さんが収集してきたんですよね?」

 

「マリンちゃんの代わりに収集しただけだよ。さあ、一緒に行こうか」

 

「は、はい」

 

俺はマリンちゃんの手を引いて収集屋さんに出向いた。

 

 

 

 

 

「お、マリンお疲れ。今日もゴミを回収してきたのか?」

 

「あ、えっと・・・」

 

「そう、今日は俺がちょっと手伝ったんだけどね」

 

「キュピー!」

 

「ななな、なんだ?」

 

俺が<スライム的掃除機(スライスイーパー)>を手に持っているので、驚いているようだ。

 

「で、ゴミはどこに出せばいいんだ?」

 

「そこの計量籠に出してくれ」

 

「うーん、どれくらい回収してきたんだろ? ちょっと横に出して見るか。<スライム的掃除機(スライスイーパー)>、回収オープン」

 

「キュピー!」

 

ドドドドドッ!

 

「わあっ!」

「ななな、なんだこりゃ!」

 

凄まじい量のゴミがうず高く積まれてしまった。

さすが南地区をくまなく掃除して来ただけのことはある。

 

「こ、こんな量を買い取ったら破産しちまうよ・・・」

 

いきなり顔色が悪くなる収集屋。

 

「なんだ、しょうがないな。大体籠何杯買い取ってくれるんだ?」

 

「一日当たり10杯で勘弁してくれ・・・大銅貨1枚だ」

 

「わっ、大銅貨!すごいです」

 

俺は籠に10杯分のゴミを渡す。うーん、全然減った気がしないな。

 

「じゃあ残りはまた明日持ってくるよ」

 

そう言って残ったゴミの山を<スライム的掃除機(スライスイーパー)>に収納させる。

 

「キュピー!」

 

一瞬にしてゴミが消える。

 

「な、なんだそれ? なんだがすごい能力だな」

 

「気にしないでくれ。さあマリンちゃん教会に帰ろう」

 

「はいっ!」

 

帰るところがあるのが嬉しいのか、マリンちゃんは笑顔だった。

 

「この<スライム的掃除機(スライスイーパー)>、預けておくから、明日またあの収集屋さんへ持って行ってゴミを出してね。この子にゴミ出して~って言えば出してくれるから」

 

「キュピー!」

 

「わあっかわいい!預かってもいいんですか?」

 

「うん、しばらくだけだけどね。ゴミが無くなるまでよろしく頼むね」

 

「はいっ! スラちゃんよろしくね!」

 

「キュピー!」

 

あ~、やっぱり愛称で呼ぶと「スラちゃん」だよな・・・。

スイーパーの略で行くと「スイちゃん」だし。

どっちとってもラノベの大先生方の作品に被って来るわ。

スライムは作品多いしな。ここはもう「仕方ないっすよね!」てな感じで行くか。

マリンちゃんの呼びやすい名で行こう。

 

・・・<スライム的掃除機(スライスイーパー)>鳴き声あげてたけど、大丈夫だよな?

イメージはル〇バで作ったつもりだが、実は実家ではシャ〇プ製の「ココ〇ボ」を使用していたんだよな~。コイツ、話しかけるとしゃべるんだよ。だから、ペット的な意味で家族の一員、なんて振れ込みだった。ソッチのイメージも入っちまったかな?

問題にならなきゃいいけど。

 

 

 

マリンちゃんを教会まで連れて帰ってシスターアンリと挨拶した後、コルーナ辺境伯家へ戻る。戻りすがらヒヨコ十将軍序列第五位のヴィッカーズの報告を聞く。

 

『昨日の夕方、別々に買い出しに行った姉と妹の後を尾行して確認してまいりました』

 

「どうだった?」

 

『正直最悪ですな。姉のレムの方はかなり強引で強気な発言が多く、かといってまるで目利きが出来ていないため、おだてられて質の悪い物を高い値段で買わされています。妹の方は逆に気が弱く、強気で交渉できないためにこちらも質の悪い物を高い値段で押し付けられています』

 

「商人たちの名前は調べているか?」

 

『もちろんです』

 

「よし、では王都の中央商業ギルド本部に行くか」

 

俺は商業ギルドの本部に乗り込むことにした。

 

 

 

「いらっしゃいませ、商人登録でしょうか?それとも買い取りでしょうか?ちなみにこちらでは個人向けに品物の販売はしておりませんのであしからず」

 

ローブを羽織った姿だからか、商人に見えないのだろう、そんな対応をされてしまった。

 

「直接買いたいのだが、買いたいものは品物ではない。情報だ」

 

そう言って金貨の詰まった袋をドシャッ!とカウンターに乗せる。

 

「それに、西地区の商人の幾人かについて、こちらから情報提供もある。直接西地区の商業ギルドに行かなかったのは、商業ギルドの管理体制が分かっていないので、そのあたりの説明も聞きたくて態々本部に来たのだ」

 

少し強気な態度で交渉だ。商人って奴はあまり弱腰だと足元を見るものだ。

 

「ほう、情報を買いたい、とはね」

 

「ふ、副ギルドマスター!? どうしてカウンターに?」

 

受付嬢が驚いている。よほど副ギルドマスターが出て来ることが珍しい様だな。

 

「情報、何て珍しい言葉が聞こえてね。情報というのは自分の足で稼いで小出しにしながらそれぞれの商人たちが交換して行くものなのだが。君のように金貨を積み上げてはっきりと情報を売れ、というのはまた珍しいな、とね」

 

「こ、この大きな袋・・・金貨なんですか!?」

 

受付嬢が驚いている。

 

「そりゃ音でわかるよ・・・。大手の商人ならそれくらいの金貨のやり取りは珍しくないんだけどね・・・。君は商人じゃなくて冒険者だよね?それからすると非常に成功した優秀な冒険者君という事かな?」

 

「偶々で、優秀かどうかはわからんがね。それで? 情報はどうなんだい?」

 

「おもしろいね。私が話を聞こうか。こちらへ」

 

「ええっ!? 副ギルドマスターが直々にですか? いいのですか?」

 

よほど副ギルドマスターが直接対応するのが珍しいらしいな。

 

「いいよ。彼のような優秀な人物はこちらも繋がりを持ちたいものさ・・・。あ、リンダにお茶を入れてくれるように頼んでおいてくれ」

 

「ええっ!? リンダ統括にですか? い、いいんですか?」

 

「ああ、いいよ。私がお茶を入れてくれと言っていたと伝えてくれたまえ」

 

「は、はいっ!」

 

 

 

「さ、座ってくれたまえ」

 

指示されたソファーに座ると、かなり高級な感じが伝わってくる。さすが副ギルドマスターといったところか。

 

「私は王都バーロンの商業ギルド中央本部、副ギルドマスターのロンメルだ。よろしく頼むよ」

 

「俺は冒険者のヤーベだ。こちらこそよろしく頼む」

 

「それで? どんな情報を売ってもらいたいんだい?」

 

俺は金貨を袋から10枚取り出して積み上げる。

 

「とりあえず聞いていくから、足りないなら言ってくれ」

 

「くくっ・・・、いいね、君。面白いよ。何でも聞いてくれたまえ。実に面白い」

 

くっくと笑うロンメル。

正直底が知れない相手だな。

うまく付き合って行ければ力になってくれるだろうけど。

 

「まずは、中央本部に近いところから。手作りパンの店マンマミーヤにお客が全く入っていない件だ」

 

「ふむ、客が入らないのが商業ギルドのせいだなんて言わないでくれよ?」

 

「そりゃもちろんだよ。この店、パンの味はかなり美味い。普通に営業していれば客が入らないはずがない」

 

「うん、君の言う事は尤もだね。実はその件は私のところにも直接情報が上がって来ていてね。商業ギルドの中央支部の一部の人間が圧力をかけているようだ」

 

「そりゃずいぶんな対応だな。マンマミーヤだって王都で商売しているんだ。商業ギルドの一員だろ?」

 

俺は疑問を呈する。

 

「そりゃもちろんだけどね。あそこは奥さんが亡くなってから、商業ギルドの寄り合いに顔を出してないんだよ。それに、あの一区画を取り纏める担当にも挨拶に行って無い様でね」

 

「頑固おやじの職人とまだ成人前の娘には酷な話だね」

 

「だが、それはお店側の問題だね。ギルド側の問題ではないよ」

 

俺は溜息を吐いて頭をゴリゴリと掻く。

 

「で、その取り纏めの情報は?」

 

「精肉屋のジョンだね。同じ区画に店があるよ」

 

「ジョンの好きな物は?」

 

「ふふっ・・・甘い物が好物だと聞いたような気もするがね」

 

「そうか」

 

俺は頭に情報をインプットして対策を立てていく。

 

「他には?」

 

「商業ギルドが特段贔屓にしている貴族の中にテラエロー子爵は入っているか?」

 

ロンメルの目が一瞬鋭くなる。

 

「そりゃ貴族との取引は大口も多いし、どこの貴族も大事な取引先ではあるけれどもね」

 

「ハーカナー男爵の件でね」

 

そう言うとロンメルの顔色が一瞬変わる。

 

「そんなところに首を突っ込んでいるのかい?」

 

「いや、首を突っ込むのはこれから」

 

「これからなのかい?」

 

「まあね、まさか商業ギルドが噛んでるとは思ってはいないけどね」

 

お茶目な表情でそうロンメルに伝える。一瞬魔力を少しだけ解放して。

そしてロンメルにはその一瞬で十分だったようだ。

 

「・・・君は、本当に規格外のようだね・・・私が対応できていてよかったよ」

 

「こちらからも情報だ。西地区の定食屋ポポロで、父親が流行り病で半年前に無くなり、母親は一か月前から行方不明のようだ。今は幼い姉妹が定食屋を潰さないように奮闘中だ」

 

「ふむ・・・それは大変だとは思うが、だからと言って商業ギルドは特別扱いできないよ」

 

「そうなのか? すでにある意味特別扱いしているようだが?」

 

俺がそう言うとロンメルが少し剣呑な雰囲気になる。

 

「どういうことだい?」

 

「西地区の一部の商人が、姉妹を騙して金を巻き上げているようだ。質の悪いお茶を偽って売ったり、クズ野菜や端材を高値で押し付けたりな。騙される方が悪いって言うなら、それがこの王都の商業ギルドのやり方だと判断するが?」

 

俺も少しだけ剣呑な雰囲気で答える。

 

「ふう・・・なかなか無くならないものなんだよ。そういう馬鹿を取り締まるのも商業ギルドの役目の一つなんだがね。西地区には厳しく監査を入れよう。どうせ君のことだ、すでに商人の情報を持っているんじゃないか?教えてくれるなら仕事が早くて助かるんだがね?」

 

俺は苦笑しながらヒヨコたちが調べて来た商人の名を教える。

 

「まあ、仕事が早いのは俺も助かりますよ」

 

そう言って席を立とうとする。

 

「もういいのかい? 今の話程度なら金貨で3枚ってところかな。でも西地区の商人の情報を貰ったからね、2枚でいいよ」

 

「そう? それは助かるよ」

 

そう言って2枚を机に残し、残りを回収して席を立つ。

だが、席を立った俺にロンメルは声を掛けた。

 

「この2枚の金貨で君の情報が買えると嬉しいんだけどね? コルーナ辺境伯家の賓客で数々の英雄譚を持ちながら何故か冒険者Fランクのままのヤーベ殿?」

 

ニコニコとしながらロンメルが言う。

俺は頭を掻きながら、

 

「・・・また来ますよ。その時にでも」

 

そう伝えるのだった。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!
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