転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第99話 王都での再会を祝して朝ごはんを食べよう

俺の右腕をロックしたままずんずんと進んで行くフィレオンティーナ。

 

「どこかで朝ごはんでも食べられるといいですわねぇ」

 

きょろきょろと周りを見回しながらフィレオンティーナ。

 

『ボス、序列第十位センチネルであります。僭越ながら、朝ごはんに丁度良い店がございます』

 

「おお、見事なりセンチネルよ!早速案内を頼む!」

 

「どうしたのです?旦那様」

 

「フィレオンティーナ。俺はまだ旦那様ではないよ」

 

「あら、わたくしを迎えて頂けるお気持ちがあるだけで感激ですわ」

 

俺の苦笑に満面の笑みで答えるフィレオンティーナ。

本気で嬉しそうだよ・・・、マイッタネ。

 

「ウチのヒヨコちゃんがおススメのお店を見つけて来たみたい。そこへ行ってみようか?」

 

「お任せ致しますわ!」

 

ウキウキと組んだ腕を放さず歩いて行くフィレオンティーナ。

 

「ヒヨコのオススメって・・・」

 

馬車をゆっくり進めながらパティが頭を捻っていた。

 

 

 

『ボス、ここです』

 

裏通りに入って少し。喫茶店のようなお店の前に到着した。

 

「喫茶<水晶の庭(クリスタルガーデン)>・・・いいじゃないか」

 

俺のカンがビンビンと伝えてきている。この店はウマイ!

 

「しかしこんな朝早くからやってるんだね・・・」

 

そう言って扉を押し開ける。

 

 

チリンチリン。

 

 

扉についているベルが可愛く鳴った。

 

「いらっしゃませ!おはようございます!」

 

元気のよい声が聞こえてくる。

エプロンを付けた可愛い少女が出迎えてくれた。

 

「んっ?」

 

出迎えてくれたすごい美少女。だが、頭についているのは・・・でっかい耳?

 

「あっ、珍しいですか? 私、狐人族なんです。だから狐の耳と尻尾があるんですよ?」

 

くるんとその場で回ると、スカートの下からもふもふした尻尾が見えていた。

 

「あら、とってもかわいいのですわね!」

 

フィレオンティーナも狐の尻尾にびっくりしているようだ。

 

「ステキなお嬢さんのお名前を聞いてもいいかな?」

 

「私、リューナって言います。よろしくお願いしますね!」

 

元気に挨拶してくるリューナ。

 

「こんなステキなお嬢さんのお店に来れたことを感謝しなくてはね。朝ごはんを軽く食べたいんだが、何かオススメはあるかな?」

 

「もちろんです! どうぞこちらの席へ。今メニューお持ちしますね!」

 

そう言ってテーブルに案内してくれる。

俺にフィレオンティーナ、<五つ星(ファイブスター)>の六人で大所帯だが、大きめのテーブルに案内してもらえたので全員が座ることが出来た。

 

「こちらメニューです。朝は三つのセットがありますよ! 飲み物も下のメニューから付けられますよ」

 

笑顔の狐っ娘さんが説明してくれる。

セットのメニューは、焼き立てパンとサラダと飲み物、スープ系の物とサラダと飲み物、卵料理とサラダと飲み物のようだ。セットとは別に追加として単品で焼き立てパンやスープ、卵料理も注文できる様だ。

 

みんなの希望を聞いて注文する。追加単品もたくさん注文する。

 

「再び会えた奇跡に乾杯だ。ここは俺の奢りだ。たくさん食べてくれ」

 

「おおっ!ヤーベ殿太っ腹だな」

「いいのか?」

「ヤーベさん、悪いですよ」

 

口々に遠慮の言葉が出るが、俺は制す。

 

「せっかく王都で再会できたんだ。パーッと行こうよ」

 

そんなわけで、たくさん料理を出してもらった。

 

 

 

「おいしー!」

「このパンすごく柔らかいな!」

「このスープも絶品だよ」

 

五つ星(ファイブスター)>のみんなが喜んで食べている。

 

フィレオンティーナも上品に卵料理をナイフとフォークで食べている。

 

「んんっ・・・、このオムレツ、火加減が絶妙ですわ!」

 

オムレツを絶賛するフィレオンティーナ。

その食事の所作を見ていると、イリーナやルシーナちゃんよりよっぽど貴族の令嬢っぽいんだけど。

 

「それで、ヤーベ様。奥方様は増やされるんですの?」

 

「ブフッ!」

 

フィレオンティーナの問いかけに食後の紅茶を吹いてしまう俺。

 

「いや・・・今の所増える予定はないけど」

 

「う~ん、そうでしょうか? 何か心に引っかかっているものがありますよね?」

 

とても鋭い。さすが占いでゴハンを食べて来ただけはある。

 

「まあ、今は王都での人助けに忙しいから。フィレオンティーナはどうするの?」

 

「もちろんヤーベ様のお傍にずっとおりますわ。お手伝いさせてくださいまし」

 

ありがたい申し出ではあるが、宿泊をコルーナ辺境伯邸に依頼してもいいものかどうか。

 

「<五つ星(ファイブスター)>のみんなはどうするんだ?」

 

「俺たちはタルバーンの街に帰るよ。フィレオンティーナ様に依頼完了のサインを貰ったら、王都の冒険者ギルドで完了確認をしてもらってから戻るさ」

 

「そうか、気を付けてな。俺も王都での用が終わったら戻るから、その途中でタルバーンにも寄るけどな」

 

「戻るってヤーベ殿はどこに住んでいるんだ?」

 

「カソの村って辺境だよ。近くの町はソレナリーニと言ってね。コルーナ辺境伯の領地だよ」

 

「おいおい、ずいぶんと遠くから王都に来たんだな。また何で?」

 

リゲルの何気ない質問に俺は馬鹿正直に答える。

 

「いや、王様に呼ばれてさ」

 

「「「えええっ!?」」」

 

心底驚いたと言った表情の<五つ星(ファイブスター)>のメンバー。

 

「とんでもないとは思っていたが・・・」

「本当にとんでもない奴だったな」

「ヤーベ様は王様に・・・」

「パティ!? ちょっとパティ!? 現実に帰って来なさい!」

 

放心状態の連中をさておき、フィレオンティーナの顔を見る。

 

「フィレオンティーナ。本当に俺について来るのか? 俺はただ旅しているだけで何も展望が無い男だぞ?」

 

その覚悟を問う。

 

「ヤーベ様は何もお気になさらずに。わたくしが貴方のそばにずっといるだけの事ですわ。すでに自宅は売り払って来ましたので、戻る場所もありませんし」

 

覚悟ハンパねぇ!!

 

「・・・そうか。まあ、好きにしてみるといい。きっとすぐに俺のことなど飽きてしまうと思うしな。それに、王都滞在中はかなり忙しいぞ。あまり時間を作ってやれないと思うし」

 

いろいろ言い訳じみたことも言ってみる。

 

「お気になさらずに。わたくしがただ旦那様について行くだけのことですわ」

 

輝くような笑顔で、何の迷いもなくそう宣言される。

 

ヤバイ・・・ちょっと惚れそう。

ふとイリーナやルシーナちゃん、なぜかカッシーナの顔まで浮かんで来たので、俺は両手でほっぺをパンパンして気合を入れなおした。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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