転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第104話 登城の前に経過を整理しよう

精肉屋のジョンの店を出て次の場所へ向かう。

せっかくなので、肉の他にパンも大量に買った。

手作りパンの店マンマミーヤは解決に至ったと思う。

定食屋ポポロも仕入れが改善出来ればとりあえず危機は回避できるだろう。

長期的には料理のメニューなどもアドバイスしないとお店が長続きしないかもしれない。一ヶ月前に行方不明になった母親の情報も探らねばならないが。

そしてリーナとカッシーナ王女もひとまず危機を脱していると思っていいかな。

カッシーナには辛い思いをさせてしまっているのかもしれないが。

 

シスターアンリとマリンちゃんも対策を進めている。

王都警備隊隊長のクレリアにも知り合えた。

 

手付かずなのはハーカナー元男爵夫人の件と、聖堂教会の王都大聖堂で苦労しているアリーという娘の件だな。その内、王都大聖堂は聖女がやっかいという情報がある。どのようにアプローチするか悩むところだ。それにハーカナー元男爵夫人の件もやっかいだ。全く伝手が無いので唐突に男爵邸に伺うわけにもいかない。

 

聖堂教会の対応はシスターアンリに対してかなり酷い状況だった。

そういう意味で行くと、聖堂教会も正面から行って大丈夫かと思うくらいアブナイ場所だと思われる。とくにイリーナを連れて行くのは危険な気がする。万一城塞都市フェルベーンに居た人間が王都に来ていたら致命傷だ。あの喧騒が王都で再燃したら間違いなく今の聖女と全面戦争間違いなしだ。

 

明日は一日王城に出向くことになると思われる。

まるまる一日王都の散策が出来ない。

ヒヨコ達の監視を強化して何かあった時に救出に動けるようにしておかなければ。

 

「少々早いがコルーナ辺境伯邸に戻ってフェンベルク卿と相談でもするか」

 

俺はゆっくりとローガと共に歩いて戻った。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「ただいまですー」

 

執事のグリードさんに玄関を開けてもらって、エントランスホールに入った俺を待ち受ける人たちが。

 

「ヤーベ、お帰り!」

「ヤーベさんお帰りなさい!」

「ヤーベ様、お帰りなさいですわ!」

「ご主人しゃま!おかえりなしゃい!」

 

ずらりと並んでお帰りと挨拶してくれる。

イリーナ、ルシーナ、フィレオンティーナ、リーナの順で並んでいる。

みんな薄い水色のような色味のワンピースを着ている。

全く同じような服だ。

 

「これって・・・みんな御揃い?」

 

「そうなのですわ!皆さんで買い物に出かけた時にみんなで同じ服を着てヤーベ様を待ち受けましょうという事になったのですわ!」

 

フィレオンティーナがなぜかドヤ顔で説明する。

如何にも御揃いのワンピースが似合っているだろうといった感じだ。

・・・もっとも似合っているけどさ。

 

「ふおおっ!ご主人しゃま―――――!!」

 

リーナが突撃して来て、ぴったりと抱きつく。

 

「リーナ、みんなと仲良く出来たか?」

 

俺はリーナに聞いてみる。自分と離れて見て、問題なく過ごせているのか。

 

「ご主人しゃまの奥しゃま方はすごい人たちばかりでしゅ! リーナも奥しゃま方に負けない様に頑張るのでしゅ!」

 

フンスッと両手でゲンコツを握って力を入れる。

あまりの可愛さに頭を高速ナデナデしてやる。

 

「にへへー」

 

「明日は王城に呼ばれているんだ。全員で行ってみようか?」

 

「ふおおっ! リーナもお城に行けるでしゅか!?」

 

俺の腰にガシーンと捕まったまま顔を上げるリーナ。

 

「素晴らしいですわ!我々の存在を王家に見せつけるべきですわ!」

 

フィレオンティーナもお城へ行くことにものすごく前のめりだ。

 

「王城はだいぶ久しぶりだな。変わっていないといいが」

「そんなに変わってないと思うよ?」

 

イリーナとルシーナはさすがに王城へ行った経験があるようだ。

そう言えばイリーナは伯爵家令嬢、ルシーナは辺境伯家令嬢だ。

どう考えても俺には釣り合わないと思うんだけど。

それにしても、イリーナなの実家に挨拶に行かないとな。

まあ、王城が先だと思うけど。

 

 

 

俺は夕食後にフェンベルク卿と情報交換を行った。

俺は早速、非殺傷性の高い捕縛武器「さす又」の情報を提出する。

 

「ほうっ!このアイデアは素晴らしい!」

 

王都警備隊隊長たちにこの武器を奨めたが、金が無い上に、場合によっては鍛冶屋での作業を妨げられるかもしれない。

それだけプレジャー公爵家の力が強いという事だ。

 

「俺も金出しますから、大量に作らせません? 王都警備隊も作ろうとしてますけど、プレジャー公爵家関連で圧力がかかって製作できない可能性もありますし。コルーナ辺境伯のお力ならそんな影響も受けないでしょうし」

 

「俺の力を買ってくれるのはありがたいが、それほどでもないぞ?」

 

「いやいや、全面的に信用していますよ」

 

俺は満面の笑みでフェンベルク卿に語り掛ける。

 

「それに、少し相談したいことがあるのです・・・」

 

俺は、懸念から、想定される危機と対策案についてフェンベルク卿と協議した。

 




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