転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第106話 段取りを聞いてみよう

 

どちらさまかの金髪イケメン親父と王都批判トークで盛り上がっていたら、そこそこ時間が経ったのか、急に「おお、もうこんな時間か」と懐中時計を見て金髪イケメン親父が席を立った。

 

「いや、お主との王都トーク、楽しかったぞ。やはり市井を見て回るという事は大事な事だな。またぜひ話を聞かせてくれ」

 

そう言って握手を求めて来るので、俺も慌てて立ち上がり手を伸ばした。

 

ガッチリ握手をする俺と金髪イケメン親父。

その握った手がずいぶんとしっくりくる。

むむっ・・・このオッサン、デキる!

今流行りの異世界オッサンものだとしたら、間違いなく主役級のオーラがある。

侯爵家の誰か・・・、大臣?宰相?・・・マサカの王様!?

ここまで高く見積もっておいて、ただの騎士団の下っ端とか、普通にモブキャラ有りそうだ。

俺ってそういうモッテナイ系の男だし。

 

金髪イケメン親父が部屋から出て行った後、メイドさんが入って来て俺の服の採寸を行うという事で別室に案内された。

 

 

 

「ふおおっ!ご主人しゃま~~~~~!!」

 

採寸から戻ってくると女性陣の採寸が終わったのか全員が戻って来ていた。

そしてリーナが部屋に戻って来た俺の腰目掛けて真正面から突撃タックルしてくる。

ガシーン!

正面から俺の腰に抱きつくのはやめなさい!

 

ぺいっとリーナを引き剥がしてだっこする。

 

「リーナもドレスの採寸してもらったのか?」

 

「はいなのでしゅ! リーナもご主人しゃまの後ろに立つために、ドレスを採寸(しゃいしゅん)してもらったのでしゅ!」

 

「それはとっても楽しみだなぁ。早くリーナのドレス姿を見たいよ」

 

「ご主人しゃま―――――!!」

 

そう言って顔を俺の顎辺りにすごいぐりぐりしてくる。

可愛い奴め。いつもより多めに頭をナデナデしてやろう。

 

「にへへー」

 

「キィィー!」

 

だがらイリーナよ、なぜに口に咥えたハンカチを引っ張って奇声を上げるのだ。

 

そんなに羨ましかったら夜にでも俺の部屋に突撃タックルしに来なさい。

イリーナなら悪質タックルでも許そう。

 

「ヤーベさんヤーベさん、聞いて聞いて!」

 

「ルシーナちゃんどうしたの?」

 

「フィレオンティーナさん、と~っても綺麗なの! ドレスの似合い方半端ないって!」

 

半端ないって、そんなトレンドワード飛び出るほどすごかったの!?

 

「そんなにすごいの?」

 

「すごいなんてもんじゃないよ? どこかの公爵令嬢かと思ったよ!」

 

「やだ、ルシーナさん、そんなに褒めないでくださいまし。照れてしまいますわ」

 

フィレオンティーナが両手で頬を抑えてクネクネしている。

どうも採寸時にべた褒めされたみたいだな。

まあ、どう見てもフィレオンティーナは貴族の令嬢に見えるよな。

イリーナやルシーナももちろん綺麗で可愛いが、フィレオンティーナは圧倒的に令嬢感がある。フィレオンティーナが怖い顔をしたらラノベでよくある悪役令嬢に転生した主人公級の美しさだ。

 

・・・そう言えば、彼女たちは俺の嫁候補、というか、嫁と言ってはばからない人たちなんだよな。イリーナが正妻でルシーナちゃんが2番目・・・って、伯爵家の令嬢が正妻で、2番目に辺境伯家の令嬢って、大丈夫なのか? それに3番目がフィレオンティーナって贅沢過ぎないか? というか、俺も何故か受け入れ前提で今悩んでたよな?

いいのか、このままズルズル行って。

王様に謁見する前に一度彼女たちと真剣に話し合うか。

 

 

 

コルーナ辺境伯が部屋に戻ってくる。

 

「フェンベルク卿、お疲れ様です」

 

「おお、ヤーベ殿、服の採寸は問題ありませんでしたかな?」

 

「ええ、大丈夫です。それで、当日謁見の流れはどのようになりましょうか?」

 

「うむ、実際の謁見は午後2時からを予定されている。午前10時までには王城に入り、事前打ち合わせと着替えを済ませて、昼は軽食を取る」

 

「午後2時からなのに、準備は早いんだな、やっぱり」

 

俺は若干溜息と共に愚痴っぽく言ってしまった。

 

「まあ、仕方がない。謁見後はそのまま帰宅となる」

 

「よかった、晩餐会だ舞踏会だと言われたらどうしようと思っていたところだよ」

 

「そう言うと思ったよ。打診もあったが断っておいた。そういうのは苦手だろうと思ってね」

 

「ナイス判断!助かったよ」

 

俺はホッと息を吐いた。

ダンスなんてムリゲー間違いなしだ。

 

「事前打ち合わせではこの国の宰相であるルベルク・フォン・ミッタマイヤー殿にお目通り願い、活躍の事実や褒美の話などを確認することになるだろう」

 

「謁見ではすでに確認した事項に沿って進んで行くわけか」

 

「そうだ、謁見ではどんな話をして、どう返事するかも決められる。自由は無い。この事前打ち合わせで確認したことをベースに謁見内容が決められるんだ」

 

「なるほどね。謁見で直接とんでもない報酬求められても困るだろうしね」

 

「そうだ、だから事前交渉で話を詰めておくことが大事なんだ」

 

そりゃそうだよね。何でも事前の下交渉が大事って事だな。

 

「正直莫大なって訳にもいかないそうだが、しっかり報酬の事は考えてくれるらしい。何か欲しい物があれば伝えてみるもの有りかもしれんぞ。何もなければ金貨で報奨金という形だろうけどな」

 

報酬ね・・・何か欲しい物があるか、考えてみるか。

 




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