転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第116話 同衾の意味を考えてみよう

 

魔物により引き起こされた混乱も狼牙族の活躍と王都警備隊、王国騎士団の対応により、夜半には混乱も収集に向かった。

元々ある程度建物の破壊などは仕方ない・・・というか、ある程度建物が壊れて被害が出ないと敵を糾弾しにくいという裏事情もあり、人への被害を優先的に防ぐように狼牙に指示を出してあった。そのため、いくつもの建物が破壊されたりダメージを受けたりして、その片付けや復旧に人手を翌朝から集めるよう指示が出ていた。

 

「まあ、国が復興の資金を出すなら、公共事業の強化につながって雇われる人が増えれば、経済も良くなるか?」

 

俺はある教会の屋根に立って街並みを見下ろしていた。

 

「それにしても・・・聖堂教会が教会を閉め切ってガン無視決め込むとは思わなかったな。魔物が片付いてから教会の扉を開け始めたし。本気で馬鹿にしてるよね。魔物が出てヤバいと思って教会閉めたってコトか?」

 

俺は首を傾げる。

聖堂教会は独自に聖騎士団(クルセイダーズ)を組織していたはず。

だが、こんな時に出撃させずにいつ役に立つと言うのか?

 

「もしかして・・・地上げと人さらい専門とか・・・?」

 

物騒な想像も出て来てしまう。

 

「まあいい。明日は王への謁見がある。それが終われば教会へ行ってみるか・・・」

 

そう言えば、ラノベのお約束の一つに、教会で祈れば神様と意思疎通出来たり、神様の元へ意識が呼ばれたりすることがあるな。

俺も一つ祈ってみるか・・・尤も、いつも「オノレカミメガ」って恨んでるからな・・・。呼ばれないか。

 

明日、朝から王城へ出向き、午後一番からの謁見に向けて準備する予定になっている。

そのため、明日は一日時間が取れないことを考えると、今日一日で確認しておくことは多い。

 

「手作りパンの店マンマミーヤと定食屋ポポロはうまくやれているかどうか見てくればいいか・・・」

 

どちらの店もトラブル自体は解決できたはずだ。後は店をどう切り盛りするか。

 

「ただ、定食屋ポポロの姉妹は、メニューの協力と、母親探しが残っているか」

 

材料の仕入れは改善できたはずだが、このまま二人の姉妹で切り盛り出来るほど飲食店は甘くないだろう。

 

「シスターアンリとマリンちゃんは教会を地上げされない様に対策しないとね・・・」

 

今のところはアンリちゃんに個人的に寄付したお金で切り盛り出来ているようだ。

地上げに躍起なダズグール商会とそこに肩入れしているボンヌ男爵とやらは調査結果待ちになっている。情報が出たら対策を練るとするか。

 

「ハーカナー元男爵夫人は一応救出出来た。王都警備隊隊長のクレリア・スペルシオは現在協力中だし、これからも様子見が必要か・・・」

 

ハーカナー元男爵夫人はその存在を秘匿し死亡に見せかけることで柵から解き放つことが出来た。

クレリアには今現在も協力中だ。後はプレジャー公爵家の圧力をどう処理するか。

 

「後は大聖堂で働くアリーちゃんか」

 

・・・あくまでカッシーナ王女はペンディングだ。

 

「忙しく回ることになりそうだな」

 

俺はぼやきながらコルーナ辺境伯家に戻ることにした。

 

 

 

 

 

「フェンベルク卿、今日午後ルーベンゲルグ伯爵にお目にかかりたいので、先振れをお願いできませんでしょうか?」

 

翌日朝食後、フェンベルク卿に依頼を掛ける。

 

「今日午後かね。明日は朝から王城に出向くことになるが」

 

「わかっております。話の流れにも寄りますが、イリーナは家族との話もあるでしょうから、向こうに宿泊させるつもりです。イリーナだけですと何かあった時に対応が厳しいので、私も泊ってくるつもりです。・・・まあ、どうなるかわかりませんが」

 

俺のセリフに真っ先に反応したのはフィレオンティーナであった。

 

「旦那様!まさか同衾されるのですか!うらやましいですわ!」

 

ちょっと立ち上がってクネりながら言われると、ちょっと困っちゃいますが。

 

「ど、どどど、同衾!? うん、するにゃ」

 

イリーナが真っ赤になって肯定する。同衾するんかい!

 

「同衾ってなんですか?」

 

箱入り娘のルシーナが頭の上にハテナマークを浮かべたので、隣に座る母親のフローラが耳打ちして教える。

すぐに真っ赤になって俯くルシーナ。

 

「羨ましいです・・・私も同衾したいです・・・」

 

「イカン!いかんぞルシーナ!同衾はまだ早い!」

 

「同衾かー、ちょっと恥ずかしいかなぁ」

 

フェンベルク卿が娘を心配するのはわかるが、サリーナよ、同衾はちょっと程度の恥ずかしさでOKなのか!?

 

「ふみゅ?同衾ってなんでしゅか?」

 

リーナもわかっていないようだ。「同衾っていうのはね・・・」とフィレオンティーナがリーナにこしょこしょと耳打ちする。

 

「ふおおっ!一緒の御布団で寝ることでしゅか・・・リーナはいつもご主人しゃまと同衾していましゅ!」

 

右手を真上に突き上げて堂々と宣言するリーナ。

 

「「「!!!」」」

 

いや、マジで、リーナさん。

そう言えば深夜に戻って来ても朝必ずベッドに潜り込んで来て俺の腰にガシーンって合体張りにへばりついているけれども!

それを宣言するのはどうかと思うのですが!

 

「ほぎゃぎゃぎゃぎゃ!」

 

気づけばイリーナがいつの間にか俺の左手を無言で握り潰していた。

 

「ヤーベ様、一体どういうことですか・・・」

 

と言って首を絞めないでルシーナちゃん!

 

「旦那様、少しO・HA・NA・SHIが必要ですわね・・・」

 

フィレオンティーナさん、オハナシにムチは必要ないと思います!

 

サリーナは何か考え込んでいる。

 

「うんっ!みんなで一度同衾してみればいいんじゃない?」

 

まさかのサリーナさんが大爆破発言!?

 

「むうっ、仕方なし。同衾するべし」

 

「イヤ、イリーナよ、何が仕方ないんだ?」

 

「確かに仕方ないですね!みんなで同衾してみましょうか!」

 

なぜかすごくうれしそうにルシーナちゃんが肯定してくる。

 

「ルシーナ!ダメだぞ!同衾ダメ!絶対!」

 

フェンベルク卿魂の絶叫!

 

「ルシーナちゃん、奥の貴賓室使えばみんなでゆっくり寝られるんじゃない?」

 

まさかの母親からの援護射撃!しかも波動砲クラス!

 

「フローラ!何を言っているんだ!」

 

「アナタ?娘もいつか巣立って行くものなのよ?」

 

と言ってフェンベルク卿の耳を引っ張ってリビングを出ていく。

 

「フローラ!フローラ待つんだ!フロ~~~~~ラ!」

 

もはや慟哭とも言うべき叫び声を上げながらフェンベルク卿は奥方に連れられて部屋を出ていく。

 

「今日の夜はイリーナ様のご実家であるルーベンゲルグ伯爵邸に宿泊されるのですわよね・・・であれば、王城から帰って来る明日の夜にみんなで寝る事にしましょう」

 

フィレオンティーナが予定を組み上げてしまう。

 

「じゃあ、みんなで寝間着を買いに行きましょうか?」

 

ルシーナの提案に全員が盛り上がる。

 

「・・・でも、ヤーベと一番最初にちゃんと同衾するのは私だ・・・」

 

イリーナが独り言を呟いたが誰にも聞かれる事は無かった。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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