転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第120話 指摘される朝を乗り切ろう

いつまでも二人で裸のままのんびりしているわけにもいかない。

何せ今日は朝から王城へ出向かなければならないのだ。

コルーナ辺境伯にも朝には戻る旨伝えてきた手前、あまり遅くなるわけにもいかない。

 

「イリーナ、朝はゆっくりしていたいが、早く着替えよう。王城に行く準備をしなくちゃいけないからね」

 

素っ裸の俺はとりあえず着替えの準備をし、イリーナも寝間着のワンピースを着る。

平服に着替えようと一旦自分の部屋に戻ろうとしたイリーナだが、

 

「うぐっ・・・いたひ・・・」

 

見れば、とんでもないガニ股でヘコヘコ歩いている。

 

「ノオ~~~~~!!」

 

俺は頭を抱えた。

 

「いや、そのシテるときはとても幸せで気にならなかったのだが・・・終わった後こんなに痛くて違和感があるとは・・・」

 

「<生命力回復(ヒーリング)>!<生命力回復(ヒーリング)>!<生命力回復(ヒーリング)>!」

 

俺は<生命力回復(ヒーリング)>をかけまくった。

 

「おおっ。だいぶ楽になったぞ、ヤーベ。ありがとう。違和感はあまり消えないが痛みはだいぶ落ち着いたよ」

 

「よかった、じゃあ早速着替えて準備しよう」

 

俺たちは慌てて準備を始めた。

 

 

 

「おはようございます」

 

食堂に降りて行くと、すでにダレン卿と奥方のアンジェラさんが席についていた。

 

「やあ、ヤーベ君おはよう」

「おはようございます、よく眠れました?」

 

ダレン卿の挨拶に奥方はこちらの体調も心配してくれるかのように声を掛けてくれる。

 

「ええ、ぐっすり休ませて頂きました」

 

そこへイリーナも降りてくる。

 

「お父様、お母様、おはようございます」

 

「おはようイリーナ」

「イリーナおはよう、よく眠れた?」

 

奥方はイリーナにも睡眠を聞く。

 

「え、ええ? ええ・・・よく眠れたゾ・・・」

 

なぜか顔を真っ赤にして答えるイリーナ。

なんかヤバイ雰囲気だ。

 

「あ、あの、我々これから王城に出向く準備がありますので、これで失礼しますね」

 

ぺこぺこと頭を下げてイリーナを連れて失礼しようと思ったのだが、

 

「いやいや、朝食くらい食べて行きたまえ」

 

とすばやく回り込まれてしまった。

まるで魔王からは逃げられない!的な?

肩をがっしり掴まれて席に案内される。

 

「いや、本当に朝は急いで・・・」

 

といいつつ、カラカラの喉を潤そうと淹れてもらったコーヒーを一口飲む。

 

「しかしヤーベ君、昨日結婚を申し込んで早々同衾はどうかと思うんだがね?」

 

「ブフォッ!」

 

朝のコーヒーを噴いてしまう。

 

「あ・・・いや・・・その・・・」

 

慌てる俺が面白いのか。奥さんが声を掛ける。

 

「うふふ、イリーナの枕がヤーベ様のお部屋にあったみたいよ?」

 

「うっ・・・!」

 

しまった、イリーナが枕を持って来ていたのに、部屋に戻る時に持っていかなかったんだ。

それにしてもメイドさんの報告早すぎる!

 

「あわわ、それは違うぞお母様!枕は持っていっても使っていない!ヤーベの左腕で寝たわけだし・・・」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「ほほう・・・そのあたり詳しく聞かねばならないようだね・・・」

 

ダレン卿の凍り付くような笑みに俺とイリーナは固まってしまうのであった。

 

 

 

ルーベンゲルグ伯爵邸から、馬車でコルーナ辺境伯邸へ移動する。

 

「いやあ、えらい目にあった」

 

「まったくだ」

 

あれからダレン卿にちくちくちくちく小言の様にいろいろと言われてしまった。

おかげで朝食を頂いたのはいいのだが、何を食べたのか、それすらわからなかった。いわんや味など不明である。

 

「おかえりなさいませ、ヤーベ様、イリーナ様」

 

コルーナ辺境伯邸に着くと、執事さんが出迎えてくれる。

いつもの雰囲気がなんとなく心を落ち着かせてくれる。

 

だが、エントランスに入ると、

 

「ふおおっ!ご主人しゃま―――――!!」

 

いきなり腰にガシーンと突撃合体を繰り出してきたのはリーナ。

 

「おかえりなさいませ、旦那様」

 

フィレオンティーナが優雅に挨拶する。

 

「おかえりなさいヤーベ様」

 

ルシーナちゃんも起きて来ていた。

 

「おはようございます、ヤーベさん」

 

サリーナさんも朝の挨拶をしてくれる。

というか、全員勢ぞろいじゃないですか。

 

「・・・というか。イリーナさん、貴女・・・」

 

「なんだ?どうした?」

 

「旦那様と同衾しましたわね!」

 

 

 

ビシッ! 

 

 

 

フィレオンティーナが指を指して指摘する。

 

「ふえっ!?」

 

あっさりと顔を真っ赤にして肯定してしまうイリーナ。

 

「歩き方に若干の違和感を感じますわ! もしかしてもしかして・・・大人の階段上られましたわね!!」

 

 

 

ビビシッ! 

 

 

 

再びフィレオンティーナが指を指す。

 

「ふわわっ!?」

 

もはや完熟したリンゴかトマトの様に真っ赤になるイリーナ。

 

「ふおっ? ご主人しゃまも大人の階段登ったでしゅか?」

 

リーナが腰に抱きついたまま無邪気に聞いてくる。

 

「えっ!? いや、そうだな・・・登ったかな?」

 

「ふおおっ! うらやましいでしゅ!リーナもご主人しゃまと一緒に大人の階段を上りたいでしゅ!」

 

そう言って顔をぐりぐり押し付けてくる。

ダメだから!違う世界の扉を開いちゃうかもしれないから!

 

「うふふ・・・第一夫人たるイリーナさんといたしたのですから、もう何も気になさる事はないのですわ。今夜は私とも大人の階段を登ってくださいませ・・・」

 

妖艶な笑みを浮かべるフィレオンティーナ。

ていうか、フィレオンティーナはもう十分大人ですからー!

 

「わ、私も大人の階段を登りたいです!」

 

こちらも顔を真っ赤にして元気よく宣言するルシーナちゃん

 

「朝っぱらから何を玄関で騒いでいるんだい? 王城に出かけるから準備を進めてくれないかな?」

 

フェンベルク卿がエントランスまで出て来て俺たちに声を掛ける。

ついに王城で王様と謁見だ。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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