転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第121話 敵の思惑をうまくスルーしよう

 

コルーナ辺境伯家から王城まではかなり近い。

馬車で僅か10分程度の距離にある。

貴族の中でも上級な辺境伯であるフェンベルク卿の邸宅は王城からもかなり近い位置にあった。ちなみに朝のローガ達狼牙族の散歩で王城の外回りを一周したこともあるが、かなりの大きさを誇っている。

 

コルーナ辺境伯家の馬車の中でも最大且つ最も高価な馬車に乗っているため、フェンベルク卿の他に俺、イリーナ、ルシーナ、フィレオンティーナ、サリーナ、リーナが全員乗れている。

 

「王様に会えるでしゅ!王様に会えるでしゅ!」

 

リーナが大変ご機嫌だ。

 

「王様に謁見する事よりも、今日の夜旦那様と同衾する方がドキドキしますわ・・・」

 

フィレオンティーナが頬を染めて遠い目をしている。

なんとなく危険な気がするな。

 

「この前採寸してもらったドレス、着れるんだ~」

 

サリーナは庶民の女の子らしく、王家の用意するドレスを着飾れることが嬉しいみたいだ。

ちなみに、俺も一応採寸して儀礼用の服を誂えてもらっている。

・・・似合っているかどうかは不明だが。

 

 

 

王城内に入って案内される。

以前入った時に案内された応接室よりもより奥へ案内される。

すると、石造りの廊下に真っ赤な絨毯が敷かれる様になり、廊下の端には高価そうな壺などが置かれるようになった。

 

だいたい、こういった壺はどうなんだろう。台座の上に置かれているが、危なくて仕方ないんじゃないだろうか?

掃除中のメイドさんが「あっ」とか言ってお尻で押しちゃって落として割ったりしないのだろうか?

 

「ふおおっ!おっきな壺でしゅ! こっちにはおっきな絵でしゅ!」

 

リーナがきょろきょろしながら歩いている。

 

「こらこらリーナ。ちゃんと前を向いて歩かないと危ないよ?大きな壺にぶつかって壊しちゃったら怒られちゃうから、ちゃんと歩こうね?」

 

そう言ってリーナの手を握ってやる。

 

「はいなのでしゅ!ご主人しゃま!」

 

リーナが満面の笑みで返事をする。

 

「キィィ!」

 

イリーナよ。そんな目に涙を溜めてハンカチを口に噛んで引っ張ってもダメだぞ。

後フィレオンティーナよ、急にふらつき始めても手をつながないぞ。ちゃんと歩きなさい。

 

「ヤーベ様、ヤーベ様はこちらでお着替えをお願い致します」

 

急に声を掛けられたと思ったら、女性陣と別に俺だけ呼ばれる。

 

「ヤーベ殿。私は王の間に貴族として出向かねばならんのでな。先に行く。謁見の流れと所作は再度担当侍従に確認を取っておいてくれ。それでは後でな」

 

そう言ってフェンベルク卿が行ってしまう。

正直すげー不安になって来た。俺ってやっぱりチキン。

 

「そ、それではヤーベ、また後でな」

「ご主人しゃま!また後ででしゅ!」

「旦那様!バシッと決められたお姿楽しみにしておりますわ!」

「ヤーベ様のお姿、楽しみにしております!」

「ヤーベさん頑張って~」

 

「はいはーい!」

 

みんなに手を振ってメイドさんの後をついて俺だけ歩いて行く。

 

「どうぞ、こちらの部屋で準備いたします」

 

そう言って案内された部屋は椅子も机も無い部屋であった。

 

「殺風景ですね」

 

「準備いたしますのでしばらくお待ちください」

 

そう言って出ていくメイドさん。

何もない部屋にポツンと残される。

・・・寂しい。

 

それにしても、椅子すらないこの部屋になぜ俺だけポツンと取り残されているのか。

それは・・・

 

「あー、お宅が救国の英雄とか言われてるヤツか?」

 

「はい?」

 

振り向けど誰もいない。

 

「まあ、お前なんざ物の数にも入りゃしねーけどな」

 

 

 

スパンッ!

 

 

 

「えっ?」

 

一瞬で首を狩られた。自分の首がゆっくりと宙を舞い、床に落ちる。

首からは噴水の様に()()()()()()()()

 

「はっ!この天才殺し屋ベルツリー様にかかればこんなもんだよな、他愛ねえ」

 

首を失った体がゆっくり倒れた。

 

「こんな楽な殺しばっかだったらいいけどなぁ。ダークナイト・・・覚えていろ! 次会ったら必ず殺してやるからな・・・」

 

そう呟いて殺し屋ベルツリーが部屋を出て行った。

 

「・・・・・・」

 

(うーん、謁見前の直前に暗殺とか、相当焦っているのか・・・。それとも謁見前の来客を暗殺されたって事で、王家にダメージを与えられるものなのか・・・?)

 

ぶつぶつと考えながら<気配探知>を使っていると、先ほどのメイドが戻って来たことを感知する。

 

俺は触手を入り口に伸ばしながら、メイドの反応を見る。

 

ガチャリ。

 

メイドが部屋に入って来た。俺が首を切られて血が飛び散っている惨状を確認する。

 

「ふっ、うまく言ったようね」

 

そう言って息を吸い込み、叫び声を上げようとする。

 

「ッ~~~~~!」

 

その瞬間、口を触手で塞いで声を出せないようにする。

 

びっくりして暴れ出すメイドを触手でぐるぐる巻きにして目も覆ってしまう。

拘束出来たところで、首を拾って、赤く飛ばした血飛沫に見立てたスライム細胞も回収する。

 

タネを明かせば、この部屋に連れて来られる前から<気配感知>で動向を探っていた俺は明らかにおかしい部屋に連れて来られたので、暗殺者の襲撃を予知し、首を落とされる事を想定して、血飛沫に見える様に赤く変化させたスライム細胞を体の中に準備していたのだ。

思った通りに首を狩りに来てくれたので、狙った通りに処理してみたが、思いの他うまくいったようだ。

 

体を戻して、ぐるぐる巻きのメイドを触手から亜空間圧縮収納から取り出したロープに替えて捕縛する。

 

「ん~!ん~!」

 

明らかに暗殺の事情を知っていたメイドだ。放してやるわけにはいかない。

後で偉い人に引き渡してハードなゴーモンしてもらおう。

・・・俺にそんな趣味はないけどね!

 

「さて・・・」

 

誰かを呼んで対処をお願いしないといけないが・・・誰に連絡すべきか。

 

メイドさんを置いて廊下に出る。

 

「ヤーベ、元気?」

 

「ぬおっ!?」

 

とりあえず落ち着いたと思って<気配感知>を切ったのがいけなかった。

いきなり声を掛けられてビビったのだが、誰もいない。

 

「んんっ?」

 

キョロキョロすると、上からスタッと降りてきた。

 

「お前・・・「フカシのナツ」!」

 

降りて来たのは俺と同じ時代の日本から転生してきた忍者っぽい子のナツだった。

 

「おお・・覚えててくれた。ちょっと感激」

 

「何が感激だ! 金貨200枚もふんだくっておきながら全然情報も寄越さないで消えやがって! 金返せ!」

 

「むう・・・ヤーベはケチ」

 

「ケチじゃねぇ! 金貨分は働けっての!」

 

「そう思って大事な情報を持ってきた」

 

「おお、どんな?」

 

「ヤーベ気を付けろ。お前は凄腕の暗殺者に狙われているぞ」

 

「おせーんだよ! 今襲われたばっかなんだよ! その情報全く価値ないわ!」

 

「むう・・・10分前だったらものすごく価値のある情報だったのに・・・残念」

 

「で、凄腕の暗殺者って、殺し屋ベルツリーってヤツか?」

 

「む、そこまで知ってる・・・ヤーベ、情報通?」

 

「いや、そいつ俺を殺した時に自分でぺらぺら喋ってたし」

 

「・・・俺を殺した?」

 

「あ、そう思わせたって感じだ」

 

「ふーん、ヤーベは見た目に寄らず腕利き・・・?」

 

「見た目に寄らずは余計だ」

 

「あの殺し屋から生き延びる事はすごく難しい・・・だからヤーベは腕利き」

 

感心したような視線を向けるナツ。この王城で忍者の格好って絶対アウトだと思うんだけど。

 

「それで?殺し屋ベルツリーは()()()()()()()ってことでいいんだよな?」

 

「!」

 

目を見開いてびっくりするナツ。

 

「どうしてそれを・・・」

 

(どうしてそれをって、ベルツリーなんてダセー名前つけるの転生者の鈴木君以外にないだろーよ!)

 

俺は自分の商会を「アローベ」とつけたことを棚に上げて心の中で憤った。

 

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!
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