転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第134話 ゴッデス戦隊プリンセシーズを出動させよう

フィレオンティーナが無双していた頃―――――

 

「さあ、断罪の時間だ」

 

俺はラトリート枢機卿を従え、ドムゲーゾ枢機卿が奴隷を幽閉している部屋へ押し入った。

 

「ななな、なんだ貴様! どうやって牢から脱出したのだ!?」

 

見るからに狼狽するドムゲーゾ枢機卿。

 

「それをお前に説明して何か得でもあるのか?」

 

俺は女性に馬乗りになっているドムゲーゾ枢機卿を殴りつける。

 

ボカッ!

 

「ぐぼぉ!」

 

ドムゲーゾ枢機卿は殴られた勢いで壁まで吹き飛んで激突する。

 

上に乗られていた女性を助け起こし、首輪の一部をスライム細胞で吸収、簡単に千切ったように見せて外してやる。

 

「あ、ありがとうございます!助けて頂けるのですか?」

 

目に涙を溜めて縋りつく女性。

 

「もちろん。ここにいる全員助け出すよ。安心してね」

 

俺は優しく説明する。

 

「ぎ、ぎざまぁ!許さんぞぉ!このワシをコケにしおってぇ!」

 

鼻血を出しながら起き上がって悪態を吐くドムゲーゾ枢機卿。

 

「断罪の時間だって言っただろう?」

 

そう言って起き上がったドムゲーゾ枢機卿を蹴り上げる。

 

「がはっ!」

 

大の字にひっくり返ったドムゲーゾの胸を踏みつける。

 

「ぐぎゃ!」

 

踏みつけながら、この部屋にいる女性たちの首輪を千切る。

 

「ああ・・・助かるのね・・・」

「やっとこの地獄から抜け出せるのね・・・」

「ううう・・・」

 

女性たちが抱き合って泣いている。

きっとここで監禁されている間も励まし合いながら耐え忍んできたのだろう。

本当に許せない男だな。

 

「君たち、そこに鉄の棒が転がっているけど、よかったら使う?」

 

もちろん、そんな鉄の棒など普通には落ちていない。今俺が亜空間圧縮収納から取り出して転がしておいたのだ。ドワーフの鍛冶師、ゴルディンに刺又を依頼した際にいくつか試して欲しい事やアイデアを伝えていた。そのうちの一つがこの鉄パイプで、試作品を何十本と買い取って来ていたのだ。ただの鉄の棒より軽いし、液体を通すこともできるし、何より丈夫だ。

だが、まさかここで鉄パイプが役に立つとは!

 

「・・・ありがとうございます・・・」

 

剣呑な雰囲気を出して一人の女性が立ち上がり、鉄パイプを手にする。

 

「よくも・・・よくも今までいたぶってくれたわね!」

 

そう言うと鉄パイプをドムゲーゾに叩きつける。

 

ボグッ!

 

「うがあ!」

 

その一撃を見た他の女性たちも、今までの恨みを晴らさんと次々に鉄パイプを手にドムゲーゾに襲い掛かる。

 

「ギャアアアアアアア!!」

 

まあ死ななければいいかと俺はその光景をのんびりと眺めた。

 

 

 

 

女性たちにとりあえず服を着せて部屋から出る。

もちろん鎖でぐるぐる巻きにしたドムゲーゾ枢機卿も連れて来ている。

尤も怪我を治していないし、引きずって来ているのだが。

 

「ぐわわっ!き、貴様!もっと丁寧に扱わんか!」

 

「あほか貴様、どう考えても死刑の貴様を丁寧に扱う必要がどこに?」

 

「ばかなっ!なぜワシが死刑なんじゃ!」

 

「それすら理解できないって、もう終わっているな」

 

溜息すら出ないぞ。

 

祈りの間に戻って来ると、フィレオンティーナが先ほど奥さんズを連れて行ったフラメーア枢機卿を引きずって来ていた。

 

「あら旦那様。やっぱり助けに伺わなくても大丈夫でしたわね」

 

そう言ってクスリと笑うフィレオンティーナ。

なぜかイリーナたち他の奥さんズのメンバーが引き気味だ。

フィレオンティーナがやり過ぎたか?

 

「そっちも大丈夫だったみたいだな」

 

(つつが)なく」

 

頼りになるね、フィレオンティーナ。

 

さて、ここには聖堂教会の実質トップを牛耳っていた四人の枢機卿の内、フラメーアとドムゲーゾという二名を捕縛している。そしてラトリート枢機卿。そして後一人は聖堂騎士団(クルセイダーズ)の団長だが、この大聖堂にはいないようだ。多分自分の屋敷に籠っているのだろう。そちらはローガに急襲させている。捕縛に王都警備隊にも連絡済みだ。

 

後、この大聖堂にいるのは、似非聖女と・・・

 

「そこまでよ!この狼藉者ども!」

 

そう言って奥から出てきたのは似非聖女と豪華な神官着を着込んだ人物。

この人物が教皇なのだろう。この教会の最高責任者だ・・・全く管理できていない以上、何の役にも立っていないと言い切ってもいい気がするが。

 

「おお・・・これはどういうことですかな? この教会で暴力を振るうなどと、あってはならぬ事ですぞ」

 

教皇は現状を把握できておらず、二名の枢機卿が捕縛されているのを見て苦言を呈する。

 

「全くだ。全面的に教皇殿の言う通りですよ。教会で暴力を振るうなど、あってはならないことだ。この二人の枢機卿は女性を誘拐して、暴力を振るい尊厳を踏みにじっていたのですよ。決して許されることではない」

 

説明する時につい怒気が漏れる。

 

「なんと・・・何かの間違いでは? 枢機卿たちがそのような事をするはずがありません」

 

心底信じているのか、目の前の状況を信じない教皇。

 

「随分と貴方の目は節穴なのですな。貴方の目にはこのドムゲーゾ枢機卿に尊厳を踏みにじられた女性たちが映っていないのですか?」

 

「本当の事なのですか・・・?」

 

「イヤ! これは罠よ! でっち上げて教会の威信を落とそうとしている卑劣な戦略よ!」

 

似非聖女が喚き出す。

 

「教皇様!このような下賤な連中の排除を国王様に直訴しましょう!」

 

そう言って教皇の手を握るクソ聖女。

 

「ん? お前は足クサ女ではないか、確か自称聖女のシッコ・モラシータだったか?」

 

「誰がシッコ・モラシータよ! それに足クサでも自称でもないわよ!」

 

顔を真っ赤にして怒る自称聖女。

 

「我に直訴? 何を直訴するのかな?」

 

「え・・・?」

 

俺たちがその場所をよけて少し端による。

 

その後ろには大聖堂入口から祈りの間に足を踏み入れたワーレンハイド国王と王妃様、それにカッシーナ王女と王国騎士団たちがずらりと並んでいた。

 

「こっ・・・国王様!?」

「どうしてここに!?」

 

教皇と自称聖女が信じられないと言った表情で俺を見る。

 

「そりゃ呼んだからだよ、()()

 

「よっ・・・呼んだ!? 国王様を!? お前が!?」

 

自称聖女が俺を指さしながら狼狽する。

そう、俺は国王を教会に呼び出せるほどの男だという事だ。

 

「ヤーベ男爵、ご苦労様。叙爵を約束して翌日になかなか切り込めなかった教会の腐敗を一掃してくれるとは、よほど陞爵してカッシーナと結婚したいんだね」

 

少しおどける様に言うワーレンハイド国王。

 

「お、お父様ったら・・・」

 

顔を真っ赤に染めるカッシーナ王女。

 

何してんの、二人とも。

 

「国王様!この者達が教会で理不尽にも枢機卿たちに暴力を振るいました! 厳しい処罰を求めますわ!」

 

自称聖女が国王に喚き立てる。

 

「何を言っているのかな? すでにヤーベ男爵から教会の不正、犯罪にかかわる証拠は上げてもらっているよ。そして、そちらの女性たちの発見及び救出を実行に移すとの報告ももらっているよ」

 

「え・・・?」

 

自称聖女は何を言われているのかわからない、と言った感じだった。

実に頭の悪い女だな。

俺がここに来るという事がどういうことかわかっていないのだろうな。

聖堂教会という巨大組織相手に、俺が乗り込んで来るという事は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事だ。

 

「すでに証拠も含めてお前たちの悪行は調べ尽くされている。観念するんだな」

 

素直にうなだれてくれれば話も早いと思ったのだが、自称聖女は完全に逆切れした。

 

「ふざけるなぁ! 聖堂教会にケンカ売って唯で済むと思うなよ!!」

 

「本当にお前らクズは頭が悪いな。俺は聖堂教会になぞケンカを売っていないさ。聖堂教会はそのままきちんとその組織を残しておくとも。でないと、王都の市民たちがどこで女神様に祈ればいいかわからなくなるじゃないか」

 

「え? じゃあ・・・」

 

キョトンとする自称聖女。だからといって自分がお咎めなしだとでも思っているのかね?

 

「俺が仕留めるのはお前らクズだけだよ。きれいさっぱり消えてもらって新しく真面目に働く神官を枢機卿に据えればいいだけの事じゃないか。聖堂教会という器は何も変わらんよ。お前のようなアホが教会を心配する必要は全くない。安心したまえ」

 

俺の言い分に完全にぷつんときた自称聖女は激高した。

 

「舐め腐りやがって! 駆除隊! 敵を掃討しろ!」

 

何だ、駆除隊って? と思っていたら、わらわらと武器を持った私兵らしき柄の悪い男たちが出て来る。

 

「なんだぁ。今日は相手が多いなぁ」

「それだけ楽しみが増えたってことだろうがよ」

「ちがいねぇ」

 

うわー、こいつら自国の王がいる目の前でチンピラ全開だぜっ!

でもしょうがないのか? 国王の顔なんてなかなか見られないのかな?

しかし、この自称聖女は質が悪すぎる。

ならば、その性根、根本からへし折ってくれようか。

 

「おい、ザコいチンピラ。略してザコチンども。あと足クサシッコ・モラシータ。お前が聖女とか片腹痛い。お前には真の女神より授かった力がどのようなものか見せてやろう」

 

そう言って俺はカッシーナの後ろに立つと、奥さんズを呼ぶ。

 

中央にカッシーナ。右にイリーナ、フィレオンティーナ。左にルシーナ、サリーナ。リーナは俺と一緒にその後ろに並ぶ。

 

「・・・ヤーベ、なぜ私たちが並ばねばならん?」

 

イリーナの質問を無視して、語ろう。

 

「女神に愛された者達の真の力を見よ!」

 

そう言って発動させるは久しぶりのスライム流戦闘術究極奥義<勝利を運ぶもの(ヴィクトル・ブリンガー)>。

 

派手な光のエフェクトをまき散らしながら、五人の奥さんズにスライム触手を絡めて行きその姿を変化させる。

 

「ゴッデス戦隊! プリンセシーズ!」

 

「ぬなっ!」

「きゃあ!」

「まあ!」

「わわっ!」

「これは!」

 

五人が五人とも金色に輝く羽を背負い、それぞれ形の違う鎧を着ているように見せた。

下半身はミニスカートだが、足もスライム被膜でコーティング。いつぞやのおパンツ騒動が再び起こらない様配慮済みだ!

 

「プリンセス・アイン!」

 

そう言ってセンターのカッシーナ王女の体を動かし、ポーズを決める。

 

「体が勝手に?」

 

「プリンセス・ツヴァイ!」

 

今度はイリーナの体を動かして、シャキーンとポーズを決めさせる。

 

「おわっ!」

 

「プリンセス・ドライ!」

 

次はルシーナに可愛いポーズを決めさせる。

 

「わわわっ!」

 

「プリンセス・フィーア!」

 

妖艶にフィレオンティーナのポーズを決めさせる。

 

「ふふふっ!」

 

何故かすごく嬉しそうなフィレオンティーナ。適応能力高し。

 

「プリンセス・フンフ」

 

元気にポーズを決めるサリーナ。ノリノリだ。

 

「とおっ!」

 

「五人揃って、ゴッデス戦隊! プリンセシーズ!」

 

バババ―――――ン!!

 

ド派手なエフェクトを入れて五人ともガッチリポーズを決めさせる。

後ろから神々しい光を照らし出す。

もちろん光の精霊に力を借りているんだけど。

 

「ふみゅう、リーナも入りたいでしゅ・・・」

 

あ、リーナが落ち込んでいる。どうしよう(汗)

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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