転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第135話 奴は四天王最弱よ・・・なら、なぜ四人目を選んでしまったのだろうと疑問を持とう

 

「ふみゅう、リーナも入りたいでしゅ・・・」

 

カッシーナもそろった奥さんズ五人を『ゴッデス戦隊プリンセシーズ』として変身させたので、リーナだけ蚊帳の外になってしまった。

これはイカン!

 

「リーナ、リーナも変身だ!リーナは『ゴッデス戦隊プリンセシーズ』を陰で助ける『エンジェル・リーナ』に変身だ!」

 

そう言ってスライム触手をリーナに巻き付けて変身させる。

小さな羽にドレス、天使の輪っか。

 

「(見た目はドクタース〇ンプあら○ちゃんに出て来るガッ〇ゃんだな)」

 

俺の感想はともかく、リーナは自力で空が飛べたことが嬉しい様だ。

 

「ふおおっ!飛びましゅ飛びましゅ!」

 

なんか懐かしい掛け声でリーナがくるくると飛んでいる。

 

 

 

「何だおめえら」

「変な格好したからって強くなるわけじゃねーんだよ!」

「ねーちゃん達、覚悟しとけや!」

 

わらわらとザコチン(雑魚のチンピラ達の意)たちが迫って来る。

 

もちろん『ゴッデス戦隊プリンセシーズ』が黙って手をこまねいているわけがない。

 

「ゴッデスパワーチャージ!」

 

五人にエネルギー(魔力)が溜まっていく。派手なエフェクト付き。

 

「必殺!プリンセス・ラビングハート・ファイア!」

 

カッシーナ達五人が同じポージングで両手を大きく振ったかと思うと、胸の前でハートを作って突き出す!

 

その手で作ったハートからハートエフェクトのエネルギービームが溢れる様にほとばしる!

 

ぱきゅぱきゅぱきゅーん!

 

「「「「「はきゅ~ん」」」」」

 

ザコチンたちが怪しい叫び声(?)を上げてふにゃふにゃと崩れ落ちていく。

 

「な、何なのよ!コレ!」

 

「説明しよう!『ゴッデス戦隊プリンセシーズ』は女神のパワーをフルチャージすると、必殺技のプリンセス・ラビングハート・ファイアを放つことが出来るのだ! プリンセシーズたちの愛と優しさが詰まったハートビームはどんな敵の悪い心も砕いて優しい人にしてしまうのだ!」

 

「そんなご都合主義の必殺技があるかー!!」

 

俺の丁寧な説明に自称聖女がぶち切れる。

 

「まあ、どちらにしてもお前は逮捕ね」

 

「くっ・・・まだ最後の枢機卿、聖堂騎士団(クルセイダーズ)のロエキーゲ団長がいるわ! アンタ達なんかすぐ打ち破ってくれるわよ! それに聖堂騎士団(クルセイダーズ)には四天王もいるのよ!教会を敵に回した事を後悔させていやるわ!」

 

何故か腕組してドヤ顔して偉そうにする自称聖女。

 

「わふっ!(ボス!お待たせしました)」

 

鳴き声がしたので振り返ってみれば、大聖堂に入って来たのはローガだった。

よく見れば、鎧がボコボコになった男の頭を齧る様にして引きずって来ていた。

頭を振ってポイっと捨てる。

 

よくもここまでボコボコにして死んでませんね、というくらいボッコボコだ。

 

「はえっ?」

 

呆気に取られた表情の自称聖女。

 

『四天王って言ってたから、こっちも四天王で対応してやったのになぁ』

『ああ、瞬殺だったな』

『一人目が瞬殺された後に、「所詮奴は四天王最弱、いい気になるなよ」ってセリフ、ちょっとカッコよかったな』

『俺たちも言ってみたいでやんすな』

『そりゃ、俺たちの誰かがやられないとダメだろ。永遠に言うチャンスないな』

『違いねぇ!』

 

わふわふと笑う狼牙族四天王。風牙、氷牙、雷牙、ガルボの四人がそれぞれ騎士を引きずって来ていた。

 

『というわけで、必然的に雑魚はおでが対応することになっただな』

 

そう言って真っ赤な鎧に身を包んだゲルドンがロープで縛りまくった騎士たちを20人以上引きずって来ていた。

 

「なっ、ななな・・・」

 

自称聖女は泡を吹いて倒れた。

 

 

 

 

 

少し時間は遡る。

 

ヒヨコ十将軍クルセーダーよりローガへ出撃命令が伝えられた。

 

『なんと!我らに出撃命令が!』

 

ローガは感動してウルウルしていた。

 

『教会の騎士たちの館らしいです。悪党ばかりですが、不殺を貫くようとの事です。但し相手は悪党で、人質の女性もたくさんいるとのことで、対応には十分留意するようにとのことです』

 

『了解! ゲルドン殿、一緒に出撃をお願いする。相手は騎士との事。存分にその力を振るわれよ』

 

『わかっただよ。任せてくれだべ』

 

こうしてローガ率いる狼牙族の半数とゲルドンが聖堂騎士団(クルセイダーズ)のロエキーゲ団長の屋敷を急襲した。

 

 

 

屋敷に着いたローガ達。

 

『屋敷入口に人の気配は?』

 

『ありません。奥に騎士の何名かが詰めていますが、敵は地下室にいます』

 

ローガの質問に屋敷の調査を済ませたヒヨコたちが回答する。

 

『了解した』

 

屋敷の玄関前に陣取ったローガ。

 

『引き裂け!大気に宿る真空の刃!<真空断頭刃(スライズン)>』」

 

 

ゾバァァァ!

 

 

玄関の大扉を壁ごと切り裂いて突入するローガ達。

 

『突入せよ!』

 

『『『『ははっ!』』』』

 

エントランスに入ると、奥から騎士団に所属する者達が武器を片手に飛び出てきた。

 

「なんだっ!?」

「敵襲だ!」

「バカめ!このお屋敷が聖堂騎士団(クルセイダーズ)のロエキーゲ団長のお屋敷と知らぬか!」

 

10人以上出てきた騎士たちに、ゲルドンがハルバードを構えて一歩前に出る。

 

『先に行くだよ。ここはおでが抑えるだ。早く捕まっている可哀そうな女性たちを助け出してやってくれだで』

 

『うむ、先に行くぞ!』

 

ローガがクルセーダーの案内で屋敷の奥へ向かう。

 

『ゲルドン!必ずお前も後から来るんだぞ!』

『俺たちはお前をずっと待っているからな!』

『ゲルドン!再び相まみえようぞ!その時は一杯おごろうぞ!』

『・・・明らかにボスの言う「フラグ」ってヤツを無理矢理立てようとしてるでやんす・・・』

 

ゲルドンは苦笑した。

 

『ヤーベ殿の使役獣は頭がいいだなぁ。ヘタをするとおで負けているかもしれんだで』

 

頭脳で狼に負けるのはいささか思うところもあるが、思えば今の自分はオークだったと思い直し、四天王が豪快にブッ立てて行ったフラグをへし折って後を追う事に決めた。

 

「なんだ、この赤鎧?」

「囲んで突き倒せ!」

 

一度に五人が掛かって来るが、ゲルドンはハルバードを一閃!

 

ドガガガガッ!

 

「「「「「ぐわわわわっ!」」」」」

 

たった一振りで五人もの騎士が吹き飛ばされて気を失う。

 

「バ・・・バケモノだ・・・」

 

誰かがぼそりと呟く。

聖堂騎士団(クルセイダーズ)に所属する者達にとって、悪夢の館襲撃が始まったのであった。

 

 

 

 

「止まれ!」

 

そこには四人の騎士が並んでいた。聖堂騎士団(クルセイダーズ)の四天王と呼ばれるトップフォーである。

 

『先に行くぞ』

 

ローガが消えるほどの動きで四人の騎士を置き去りにする。

 

「む?狼が一匹減ってないか?」

 

抜かれたことも気がつけない騎士団の四天王。

 

「ふっ、俺が聖堂騎士団(クルセイダーズ)四天王が一人、ビッグホーンだ」

 

一人の騎士が歩み出て来る。

 

『ならば俺たちも四天王の一人が当たるべきだな。四天王が一人、雷牙だ』

 

にらみ合うビッグホーンと雷牙。

 

「うおおおおっ!」

 

ロングソードをブンブンと振り回し雷牙を攻撃してくるビッグホーン。

 

『・・・ん?』

 

雷牙はひょいひょいと剣を躱しながら様子を見ていたのだが・・・

 

『弱くね?』

 

雷牙は「これで騎士団の四天王?」と不思議だったのだが、ヒマな身でもないため、あっさり一撃入れてビッグホーンを沈める。

 

「ばかなっ!」

 

他の四天王の一人が声を上げるが、別の一人が落ち着き払ってこう言った。

 

「所詮奴は四天王最弱よ。驚くことではない」

 

雷牙は思った。四天王内でそんなに実力差があるのであれば、無理に四天王などと言って四人目を選ばなければ良かったのでは・・・と。

 

「次は誰が行く?」

「お前が行けば?」

「いや、まずはお前だろ?」

 

二番手を決めるのにもめ出す四天王残り三人。

 

『・・・もしかして』

『もしかしなくても雑魚なのでは?』

『さっさと片付けるか』

 

残りの三人も瞬殺された。

実際に息の根は止めていないのだが。

 

 

 

ドカンッ!

 

鉄の扉をけ破り部屋の中に踊り込むローガ。

ヒヨコ十将軍クルセーダーの「ここです!」という指示に、全く躊躇せずローガは突入する。

 

「グハハハハッ! 今日もたっぷり可愛がってやるとするかぁ!」

 

首輪を嵌められ鎖につながれた女性たちがたくさんいる部屋の中でパンイチの筋肉ダルマが下種な雄たけびを上げていた。

 

『おい、お前が聖堂騎士団(クルセイダーズ)の団長ロエキーゲか?』

 

ローガは一応話しかけてみたのだが、ロエキーゲは全く反応せず、パンイチの姿のまま、女性の鎖を引っ張って襲い掛かろうとしていた。

 

『おい、一回我の話を聞いたらどうなんだ?』

 

ローガは段々機嫌が悪くなり唸り出すが、それでもロエキーゲは反応しない。

 

「今日はお前からだぁ。ヒイヒイ言わせてやるわぁ!」

 

ブチッ!

 

ローガは前足でロエキーゲの後頭部を思いっきり叩いた。

 

『一旦話を聞かんか!』

 

「ぐっはぁぁぁ!」

 

もんどりうって倒れるロエキーゲ。

 

「な、なんじゃ!?」

 

振り返ればそこには体長3mを超える大きな狼牙が。

 

「ひえええええ!?」

 

『おい、お前が聖堂騎士団(クルセイダーズ)の団長ロエキーゲだな? 覚悟は良いか?』

 

明らかに剣呑な雰囲気を出して威嚇するローガ。

 

「貴様っ!? ワシとやる気か! ちょっとまっておれ、聖騎士の鎧を装着したら戦ってやろう!」

 

そう言って大きな収納棚を掛けて鎧を取り出して身に付けようとしていく。

 

「あれ? これがこっちで・・・」

 

もたもたしながらなんとか鎧を着ていくロエキーゲ。

その間にローガは全ての女性の首輪をかみ切り、鎖を引き千切り自由を確保した。

 

「待たせたな!さあ邪悪な狼めが!ワシが退治してやるとするか!」

 

振り返れば捕まえていた女性たちは全て首輪と鎖を切られ、自由になっていた。

 

「貴様許さんぞ!」

 

『・・・それはこっちのセリフだ!』

 

女たちの扱いを見て相当に頭に来ていたローガ。

 

ズドドドドドドッ!!

 

ローガは前足の張り手連打でロエキーゲを鎧ごとボッコボコに瞬殺するのであった。

 

 

 

 

『・・・そんなわけで、騎士たちは全てボコボコにして捕縛、捕らわれていた女性たちはすべて助け出してきました。資料などはヒヨコたちに任せております』

 

「ご苦労さん」

 

そう言ってローガの頭を撫でてやる。

尻尾が超ぶんぶんと振られている。

 

『あ、リーダーだけボスに撫でられてズルイ!』

『四天王もちゃんと仕事しましたよ!ご褒美は平等に!』

『次は私目を!』

『今、平等にって言った瞬間に出し抜こうとか、世知辛過ぎないでやんすか?』

 

ローガ達は久々の活躍にボスであるヤーベからの報酬(なでなで)をがっつり頂こうと待ち構えている。

 

「それはコルーナ辺境伯の屋敷に帰ってからね・・・。捕縛した連中はすべて牢へ押し込んで、早く教会の人事を進めないと、祈りに来る人達に迷惑が掛かりますよ?」

 

俺は国王に直接教会の人事を早く決めるよう促すのだった。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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