転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第145話 敵を殲滅して王都を防衛しよう(イリーナ、ルシーナ、サリーナ編)

イリーナたちはヤーベに出張用ボス封印バージョンを受け取ると馬車で王都西門へ向かっていた。

 

コルーナ辺境伯家の馬車ではなくフィレオンティーナが乗ってきたタルバリ伯爵家の馬車である。コルーナ辺境伯家の馬車は王都に2台あるが、一台は辺境伯自身が移動するように、もう1台を予備としている。その予備の馬車をフィレオンティーナとゲルドンが乗っていったので、預けてあったタルバリ伯爵家の馬車を乗り出したのである。

なぜタルバリ伯爵家の馬車をフィレオンティーナ自身が乗っていかなかったかといえば、出立の順番が早く、準備されていたコルーナ辺境伯家の馬車にすぐ乗って北門に出かけて行ったからであった。

 

王都バーロンにおいて王城と貴族街はどちらかというと東寄りだ。

そのため、王都西門が距離的に一番遠かった。

したがって徒歩では時間がかかりすぎるため、馬車を準備してもらう依頼をしたところ、すでにフィレオンティーナとゲルドンが予備の馬車で出立した後だったため、保管されていたタルバリ伯爵家の馬車を乗り出してきたのだ。

 

西門ではすでに警備兵や商人たちが大騒ぎしていた。

城壁よりはるかに大きい巨人がこちらに近づいてくるのだ。

恐怖以外の何物でもない。

イリーナたちは城門の内側に到着すると、馬車を降りて門番に近づく。

 

「私たちはヤーベ子爵の妻だ。夫からあの巨人を倒してくるよう指示をもらったのでな。悪いが城門を開けて外に出してくれ」

 

イリーナがストレートに警備兵に伝える。

 

「ええっ!? あ、あの巨人を倒す!? そんなことができるんですか?」

 

顎が外れそうなほど驚く警備兵。

 

「うむ、夫より必殺のアイテムを授かってきている。大丈夫だ」

 

「し、信じますから、助けてくださいね!」

 

通常であれば、こんなに簡単に通さなかったであろう。

だが、未曽有の危機は目の前に迫っている。

比喩でもなんでもなく、本当に目の前に迫っているのだ。

そして、ここで、彼女たちの申し出を断っても事態は何も好転しないことは想像に難くなかった。なにせ20メートル近くもある巨人である。城門を閉じっぱなしにしていたところで、守り切れるわけもなかった。

 

「うむ、期待に応えられるよう頑張るとしよう」

 

イリーナはにっこり笑うと城門の外へ出た。ルシーナとサリーナが続く。

 

「『救国の英雄』ヤーベ子爵の奥様方・・・この王都バーロンをお救いください・・・」

 

警備兵は神に祈るがごとくイリーナたちに祈った。

 

 

 

 

 

「うわー、でっかいね~」

 

サリーナが王城を初めて見た時と同じような感想を述べる。

この娘にも何事にも物おじしない胆力がついてきたのか、反応が何気にのんきである。

 

「うむ・・・、あまりにも巨大な体つきのくせに、足は短足で上半身に比べひ弱に見える。どう考えても膝のお皿が耐えられないのではないか?」

 

なぜかイリーナはギガンテスの膝の皿を心配した。

 

「と、とにかくヤーベ様より預かりましたその出張用ヤーベ様から、あの巨人を倒すことができるヤーベ様分身ボディを出してくださいませ」

 

ルシーナが早く対処しようと声をかける。

王都に近すぎて、戦闘の余波が影響を及ぼしてもいけないのだ。

 

「う、うむ・・・それでは早速封印を解くことにしよう」

 

そう言ってイリーナは出張用ボス封印バージョンを頭上に掲げる。

 

「出でよっ!我らが求めし愛と勇気を守る戦士よ!今ここにその姿を現し、正義の鉄拳制裁を行使せよ!はにゃ~ん!」

 

「なにそれ!?」

「はにゃ~んって?」

 

イリーナの掛け声に総ツッコミを入れるルシーナとサリーナ。

 

「ししし、知らん! ヤーベがこう言えって言ったんだ!」

 

顔を真っ赤にして文句を言うイリーナ。

そしてイリーナの掲げた出張用ボス封印バージョンが光り輝く。

 

「「「わわわっ!」」」

 

そしてその姿を現したのは――――

 

 

 

ちょいーん。

 

 

 

まん丸の体に短い手足をくっつけた、やっぱりまん丸の頭の姿。

その大きさはわずか1m程度。ギガンテスに比べれば20分の1であり、イリーナたちよりも小さかった。

 

「な、なんだこれ?」

「も、もしかして私たち・・・」

「ペッチャンコ?」

 

三人がお互いを抱き合い震えだす。

 

「ゴアアアアアァァァァァァ!!」

 

ついに巨人が咆哮し、巨大な棍棒を振り上げる!

 

「「「ひいいっ!!!」」」

 

涙がちょちょぎれる三人。

 

だが、ヤーベがワンパンマンと名付けた、わずか1メートル程度のまん丸のスライムゴーレムが光り輝く。

その瞬間、なんと20メートル位の大きさに膨らんだのである。

 

「「「ひええっ!!!」」」

 

いきなりギガンテスの目の前に現れたスライムゴーレム。

 

「ゴアアアアアァァァァァァ!!」

 

ギガンテスは攻撃目標を目の前に現れたスライムゴーレムに切り替え、その棍棒を再度振り上げる。

だが、それより早く、スライムゴーレムは右腕を後ろに引き絞り、アッパー気味にギガンテスのボディにその一撃を突き刺す。

 

 

 

ズムッッッッッッッッッッ!!!!!!

 

 

 

「ウボロロロロロ~~~~~!!」

 

内臓をえぐりこんだボディブローが突き刺さったギガンテスは出してはいけないものを吐き出しながらくの字に折れ曲がり膝をついて突っ伏す。

 

「「「キャ―――――!!!」」」

 

出てはいけないものがまき散らされ、逃げ惑う三人。

 

そしてスライムゴーレムはギガンテスと、出てはいけないものを包み込んで吸収する。あっという間に敵は殲滅され、静寂が戻る。

そしてスライムゴーレムはしゅるしゅると縮み、1メートル位にまで戻る。

 

「あ、もう終わり?」

 

イリーナがぽかんとしたままつぶやくと、1メートル」位になったスライムゴーレムは再び光り輝き、元の出張用ボス封印バージョンにまで戻った。

ヤーベにワンパンマンと名付けられたスライムゴーレムはその名の通りワンパン一撃で相手を沈めてしまった。

 

「え、えっと・・・これを回収してヤーベに依頼されたお仕事は完了・・・。本当に簡単な仕事だったな」

 

ヤーベの事を信頼していないわけではなかったが、こんなに簡単に20メートル級の巨人を仕留められるとは思っていなかったイリーナは改めてヤーベの規格外の能力に感心するのであった。

 

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