転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第148話 アローベ商会の目玉商品のために素材を確保しよう

 

俺は後顧の憂いを断つため、王国に不安の種を残さぬため、俺は三頭黄金竜

スリーヘッドゴールデンドラゴン

を仕留めると明言した。

もちろん、それだけが理由ではないが。

 

「はははっ、使役獣もいない貴様があの三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)に勝てるとでも思っているのか! 身の程を知れ!」

 

「「「ギャ―――――ス!!!」」」

 

首が三つあるのでそれぞれが叫び声を上げる。

 

それぞれの首が鎌首をもたげる様に振りかぶる。

ブレスの予兆動作だ。

 

ゴウッ!!

 

三つの首からそれぞれブレスが吐き出される。

 

「うわっ!」

「ヤバイッ!」

 

<細胞防御>(セル・ディフェンド)

 

ブレスの前に俺のスライム細胞を防御壁として展開する。

ぐるぐるエネルギーを高め、ブレスエネルギーを吸収する。

 

「さて、ここに居る皆様方。私は先日「アローベ商会」という商会を立ち上げました。そこで、せっかくですので目玉の商品を販売したいと思います」

 

「えっ?」

「なに?」

「アローベ商会?」

 

俺が何を言っているのかわからないと言った感じでざわざわが広がって行く。

 

「ヤーベ子爵・・・一体何を言っておられるのですか・・・?」

 

リヴァンダ王妃が首を傾げる。

 

「あの、三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)の素晴らしい皮を剥ぎ取り、ハンドバッグを製作して売り出します。超強力な防御能力と黄金の輝きを持つバッグになります。きっと奥様への素晴らしいプレゼントになるでしょう。完全限定販売となりますので、お早めに予約をお願い致します」

 

そう言って俺は優雅に礼をする。

そう、あの三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)、素晴らしい素材が取れそうなんだ。なので、仕留めて素材を回収し、アローベ商会に専用で商品を作って販売すれば大儲けできると考えたのだ。

 

「は、ハンドバック!? あの三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)の皮で!?」

 

リヴァンダ王妃が驚く。

 

「一つ予約をいいかな?」

 

ワーレンハイド国王がウインクしながら人差し指を立てる。

 

「あ、あなた!」

 

ワーレンハイド国王の軽口にリヴァンダ王妃が慌てる。だがちょっぴり嬉しそうでもある。

 

「後、超強力な防御力を誇る三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)の盾を製作しますので、こちらもご予約をお願いします」

 

「お、それはマジですごいな。予約させてもらっていいか?」

 

タルバリ伯爵が前のめりで欲しがってくる。

 

「ふざけるな!いい加減にしろ! そんな出来もしない妄想見苦しいんだよ!」

 

ゴルドスターが足元で騒ぐ。

 

「コルーナ辺境伯、このアホの拘束をお願いします」

 

そう言って俺は飛び上がる。

 

「<高速飛翔(フライハイ)>」

 

「と、飛んだっ!」

 

ドライセン公爵は俺が空を飛んだので驚いたようだ。

 

「さあ、ここからモンハン(モンスターハントの意)させてもらおうかぁ! 行くぞキングギ〇ラ!」

 

俺は三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)の真正面に位置取りする。

ブレスを吐こうとするキングギ〇ラに攻撃する。

 

「トルネーディア・マグナム六連!!」

 

ドゴゴゴッ!!

 

三つ首に2発ずつコークスクリューパンチを喰らわす。

ぐらついた三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)にさらに追撃を喰らわす。

 

「<風撃圧殺衝(ストームボルテックス)>!」

 

両の手の平を合わせ、風の力を圧縮して目標に突き出した手のひらから解放する技だ。

気分はまさにカメ〇メ波!

超強力な風の圧力を受けて三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)が王都の外まで飛んでいく。

 

「王都で暴れられると被害が出ちゃうんで、外で戦って来ますね。早めに首を狩って戻って来ます。それまでこの連中をよろしくお願いしますね」

 

そう言って俺は自分で飛ばした三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)を追った。

 

 

 

吹き飛ばされた三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)は王都の城壁を超え、平地に墜落した。

 

「さて、三つ首竜なのか、それともヒドラなのか。ラノベではヒドラは圧倒的な再生能力があり、厄介なイメージがあるが・・・」

 

暴れる三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)の首攻撃を華麗に躱し、その首の一つに狙いを定める。

 

「<真空斬波(エアストレイド)>」

 

俺は右腕に風の刃を纏わせ、首をめがけて振り下ろす。

 

ザンッ!

 

三つ首の一つを切り落とす。

 

「ギイヤァァァァァ!!」

 

「近くだと叫び声がやかましいな!」

 

どさりと首の1本が落ちるが、その首が再生する感じはない。

 

「残念、再生するなら無限に素材が取れると思ったのに」

 

ラノベによく出てくるヒドラだったら強力な再生能力があるはずだ。何度も頭が生えて来るなら、牙や首周りの皮が取り放題だと思ったのに。

 

そう、言うならばスーパーマ〇オの裏技、無限1UPみたいな。

 

「<風刃斬撃(エアロスライダー)>」

 

先ほどの<真空斬波(エアストレイド)>と違い、少し距離が離れたので中距離の風魔法で首を狙う。

 

ザンッ!

 

さらに一本が落ちる。

 

「ギャ――――ス!!」

 

それにしても、この三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)、ブレス以外に攻撃能力がないのか? 前足が凄く短いし、動きも鈍重だ。皮が黄金色に輝いているから、非常に高級に見えるけど。ブランドバッグとして製作しよう。多分高く売れる。

 

さて、最後の首を落としても絶命しない気がしてきた。大丈夫か?

それに、皮は本体の方が圧倒的に多い。仕留めるのに雷撃や炎など皮に傷が付きそうな魔法は避けたい。

氷の魔法は仕留めた後の処理が大変だ。何せカチカチに凍り付くからな。

 

となると、やはり風か。

 

「シルフィー。かなりパワー借りたいけど、いいかな?」

 

「いいよ~、ボクの力はすべてヤーベの物だって言ってるじゃないか」

 

後ろに顕現して抱きついてくる風の精霊シルフィー。

 

「じゃあ、六等分に輪切りにするか」

 

「わお、容赦ないね、ヤーベ」

 

「うん、綺麗に切らないとね! あの皮を剥いでバックにして売るんだ」

 

「ヤーベは商魂たくましいね」

 

首に抱きつきながらシルフィーが笑う。

 

「しっかり稼いで、シルフィーたちにもおいしい御馳走をプレゼントしないとね!」

 

「ヤーベ大好き!」

 

ギュギュッとまるで締め付ける様に抱きしめる力を強くするシルフィー。

俺は右手の平を上に向け、天高くつき上げる。

 

「<真空断頭刃(スライズン)>」

 

右手を振り下ろすと極限まで圧縮された空気の刃が指先に沿って放たれる。

 

ゾバンッ!

 

五本の指から放たれた真空の刃が三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)の胴体を六等分に切り裂く。

 

「一丁上がり!」

 

切り裂かれた三頭黄金竜(スリーヘッドゴールデンドラゴン)を亜空間圧縮収納に回収すると、王城を目指して再び空に舞い上がった。

 


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