転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第156話 みんなの希望を聞いてみよう

「ヤーベ殿!見事な活躍だったな!」

 

いつもより一段と豪華な食事が並ぶ中、コルーナ辺境伯が飲み物を持って声を掛ける。

何せ王国簒奪を謀ったプレジャー公爵一味の放った圧倒的な戦力の魔物達を(ことごと)く俺の身内だけで撃退したのだ。活躍と言えばこれ以上の活躍はない。

 

・・・おかげで明日の王城での謁見で伯爵に陞爵だよ!

わずか四日で伯爵様だよ!どーなってるのバルバロイ王国。

ちらって聞いたけど、伯爵だと、王都に別宅用意して拠点を設けないといけないんだって。地元(カソの村の北にある泉の畔のマイホーム)にもほとんど滞在していないのに、もう別宅!? 

金は・・・あるな、多分。だけど、家っていくらするかわからんし。

猫の額ほどの庭があるこじんまりとした家でいいよ。どうせやること終わったらカソの村の北の森に帰るんだからな。なんならハーカナー男爵跡地に掘っ立て小屋を建てて、ヤーベ伯爵邸って木の看板を立てておけばなんとかなるか?

 

気が付けばコルーナ辺境伯だけではなく、奥さんのフローラさんも、奥さんズの面々もドリンクを持っている。

 

「ヤーベ殿の伯爵への陞爵と英雄としての栄達を祝して、乾杯!」

 

「かんぱ~い!!」

 

「どうせ明日にはまた陞爵パーティするんだろうけどね」

 

フェンベルク卿が苦笑する。

 

「またグリードに立食パーティの準備を伝えておかないといけませんわね」

 

「また、大勢集まってしまうのですね・・・」

 

「いや、君の陞爵を祝いに来てるんだし」

 

つい俺が溜息を吐いてしまうと、フェンベルク卿からツッコミが入る。

 

「あ、そう言えば、私のためにパーティを開いて頂いてるわけですよね? 食費とか、費用をお支払いしないと!」

 

というか、コルーナ辺境伯家にずっと居候している形になっているんだ。

最初は賓客として持てなされているが、全面的におんぶにだっこでは具合が悪いだろう。まだ詳しく聞いていないが、貴族になれば給料的な物が王国から出ると聞いているしな。

 

「おいおい、君は一応叙爵して貴族になったとはいえ、まだウチの賓客でもあるんだよ。気にすることは無いさ。ただ、伯爵になると、王都に別宅が必要になるから、そちらに移ったら、立食パーティは私が訪問することになるかな」

 

笑いながらフェンベルク卿が説明してくれる。

 

「そうですか、であれば、王都に別宅を手に入れたら真っ先にお呼び致しますよ」

 

「そうか、それは楽しみだね」

 

改めてフェンベルク卿とグラスを会わせて乾杯する。

 

家か~、カソの村の北の森は気がついたらログハウス風神殿になってしまっていたからな。奥さんズの面々とのんびりできるような広さと間取り、でもやたら豪邸とかいらないし、絶妙なサイズのお家が見つかればいいのだけれど。

・・・王都で土地から見つけて、一から建てるのはちょっと敷居が高いしね。

 

 

 

 

 

さて、おいしい食事に舌鼓を打った後、大きな客間で俺と奥さんズとリーナが集まっている。

食後の自由時間を三十分ずつ区切ってそれぞれ俺とのツーショットタイムを楽しむことにした。それぞれその時間に何をしたいか聞いてみる事にしよう。

 

「で、まずは第一夫人のイリーナから聞いて行くか?」

 

「え、え、私!? にゃ、にゃにをしてもらうきゃ、決めてにゃいにゃ」

 

急に振られて顔を真っ赤にして慌てるイリーナ。

 

「決まってないなら、次。じゃあルシーナちゃん」

 

「ふえっ!?」

 

イリーナが自分を飛ばされたことに衝撃を受けているのをスルーしてルシーナに目を向ける。

 

「はいっ! ルシーナはもう決まっています!」

 

ものすごく元気よく右手を真っ直ぐ上げるルシーナ。

 

「じゃあルシーナちゃん発表」

 

俺がルシーナを指す。

 

「はいっ! 抱いてください!」

 

「ぶふぉっ!」

 

折角執事のグリードさんが入れてくれた紅茶を思いっきり噴いた。

 

「だだだ、抱くの?三十分?ちょっと早くない?」

 

俺が慌てると、ルシーナもどんな意味で捉えられたのか気がついたのか顔を真っ赤にして、

 

「ちちち、違いますぅ! ギュッとハグしたままのんびりしたいんですぅ!」

 

と全力で訂正した。

 

「ああ、そうね、ギュッとハグしてのんびりね。良いんじゃないかな?」

 

わたわたとカップを置いて、姿勢を正す。いや、抱いて欲しいって・・・。うふ。

 

「ああ、そうですわね、わたくしも抱いて欲しいとお願いするつもりだったのですが、確かに三十分では余りにも短いですわ」

 

うんうんと力強く頷くフィレオンティーナ。

フィレオンティーナ嬢は何分ご希望でしょうか?

 

「私は一緒に錬金して欲しいな~。素材の混ぜ合わせとか相談に乗って欲しいかな」

 

コレコレ!こーいうのだよ、ヘヴィじゃないやつね!

 

「ああ、良いよ。アドバイスできることがあるかわからないけど、一緒にやってみようか」

 

「うん!」

 

俺の言葉にすごく嬉しそうにサリーナが微笑む。

そしてフィレオンティーナも頬に手を当てて考えている。いや、ホントに三十分で抱いてくれって言うつもりだったんかい!?

 

「はいはいはいっ!」

 

視線を下に向ければ、リーナがぴょんぴょんと飛びながら手を上げている。

 

「リーナは何か希望が決まっているのか?」

 

「はいなのでしゅ!」

 

「そうか、何が良いんだ?」

 

「リーナはご主人しゃまとお風呂に入りたいでしゅ!」

 

「ぬなっ!?」

 

俺は慌てる。一緒にお風呂! 確かにラノベのハーレムネタに確実にあるシチュエーションだ。だが、このハッピーニューヨーク(幸せ入浴の意)に対して俺は若干の戸惑いを持っていた。

 

実は俺・・・風呂場ではデローン初期型に戻っている事が多いのだ!

 

デローン初期型って何かって?

デローンMr.Ⅱが三角タイプのボディなのに対して、デローン初期型はもっと平べったく広がっている。言うなれば国民的伝説のPRGゲーム「ドラ〇ンクエスト」に出て来る、「バブルス〇イム」や「はぐれメ〇ル」のようにデローンと崩れているのだ。もっと言えばぺしゃんと潰れて水たまりにでもなっている?ような感じだ。

その状態で風呂に浮いているのが凄く気持ちいいのだ。

 

だから、みんなと風呂に入りたいという欲望はあれども、一人でデローン初期型で湯船に浮かんでいたいという気持ちもあるのだ。

 

「なんとっ! リーナは神か! それは素晴らしいアイデアだ!」

「は、恥ずかしいけど、みんなとなら・・・」

「あら、ならば善は急げと申しますわ!」

 

そう言って俺を風呂場へ押し始めるフィレオンティーナ。

 

え、次回奥さんズと初めてのお風呂!? こうご期待!?

 




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