転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第157話 レッツゴウ!ハッピーニューヨーク(幸せ入浴)しよう 前編

カポーン。

 

今、俺様は脱衣所にいる。

ちなみに、今、口でカポーン、って言ってみた。

お風呂場のシーンって、カポーンって音しない?

何がカポーンって鳴っているかわからないけどさ。

 

とりあえず服を脱いでいく。

すぐ後ろでは奥さんズとリーナがワイワイと服を脱いで混浴の準備中だ。

 

ラノベにあるハーレムものでは絶対外せない、お風呂シーン。

だいたい、日本から転生した主人公は異常な風呂好きだ。こだわったりチート能力のある主人公だったりすると、ヒノキの風呂とか作っちゃったりするんだよな。実に羨ましい。

 

・・・だが、実は俺、それほど風呂好きというわけではない。どちらかと言えば不衛生と言う程ではないが、風呂は面倒臭いという気持ちの方が強かった。シャワーならすぐ浴びて済ますことが出来るが、風呂は溜めている時間も入っている時間もシャワーより長い。その分余分な時間がかかる。仕事で忙しい日々の中、ラノベを読み込む時間を確保するためには早飯早便早シャワーは鉄則と言えば鉄則だった。だから、ラノベの主人公のような異様な風呂への執着がない分、奥さんズとの混浴にも目を向けなかったのは俺の落ち度と言えよう。ぶっちゃけワクワクが止まらない。

尤も温泉は好きだったのだ。露天風呂なんかも大好きだ。そう言う意味では混浴にもっと早くから気が付いてトライしても良かったのではないか、と思わなくもない。

まあ、自分が二十八年間もヘタレ賢者だったのだ。早々にハーレムイベントなど思いつくはずも無いか。

 

それにしても、以前奥さんズと同衾した時はブチ切れてほぼ記憶がない。そんなわけで奥さんズの面々の裸体をまじまじと見たことは一度もない。

 

・・・語弊があったな。イリーナはまじまじ見ている。その裸体の全て、隅々まで余すことなく。ちなみにリーナも治療の時に正面だけ見ている。うむ、ノーパンでしがみつかれて寝ていた時に見たプリンとしたお尻はノーカウントだ。

ルシーナ、サリーナ、フィレオンティーナは艶っぽい事は一度もないので、正直ドキドキが止まらない。

 

・・・ここにはいないがカッシーナ王女も治療のため、正面だけ見ている。王女なのに見てしまっている。それは致し方のない事である。治療のためなのだから。大事な事だから二度言おう。

 

「準備出来たでしゅ!」

 

多分スポーンと脱いだリーナが一番最初にすっぽんぽんになったので準備が出来たのだろう。

 

「リーナよ、早いな。ちょっと待ってくれ」

「イリーナちゃん、タオルどこだっけ?」

「あ、ルシーナさんここにありますよ」

「髪の毛は縛ってあげておいた方がいいですわね」

 

・・・うん、先に行こう。心が持たない。

 

 

 

 

カポーン。

 

心を落ち着けるためにもう一度言おう。カポーン。

 

俺はジャバジャバと掛け湯をすると、とりあえず湯船にザブンと浸かった。

 

「ああ~~~~~」

 

肩まで湯船につかるとおっさん臭い声が出る。

かろうじて「あ」に濁点が付かない声だったことは自分を褒めてやりたい。

でも、このままデローン初期型になって湯船に浮かんだら「あ」に濁点が付いてしまうかもしれないな。

 

「ふおおっ! ご主人しゃま―――――!!」

 

スタタタタッと小走りで走って来たのはリーナ。

おいおい、風呂場の洗い場を走ると転ぶぞ?

 

あげく、掛け湯も無しに俺に飛び掛かって来た。

擬音を付けるなら、ピョーン、だ。

 

「こらっ!掛け湯もせずに湯船に入るんじゃありません!」

 

俺は湯船から上半身を出し、リーナを空中でキャッチ。くるんと回して衝撃を吸収。湯船の縁に座らせる。

 

「ふおおっ!?」

 

俺は一度湯船から出て、洗い場にある腰掛を持ってきて、リーナを改めて座らせる。

そのリーナの頭から桶で湯船のお湯をすくい、掛けてやる。

 

「ふおっ!暖かいでしゅ」

 

そのままお湯で髪をすくように洗ってやる。その後、石鹸を頑張って泡立ててリーナの体を洗ってやる。この世界でも石鹸があったのは僥倖だった。尤もボディソープの様にフワフワの泡が立つほどの品質ではない。そのため、頑張って超高速でこすって泡を立てまくる。

 

「ふおおっ!くすぐったいでしゅ!」

 

背中から洗って体を泡塗れにしてやるのだが、途中でくすぐったいのか、暴れ出す。

逃げない様に背中から抱きしめる様に片腕を回し、抑える様にして洗っていく。

 

「あー! リーナちゃんを襲ってる!」

 

「失敬な!」

 

ルシーナの誤解満載の指摘を全力で否定する。

見ればぞろぞろと風呂場へ奥さんズが入って来る。

ルシーナ、サリーナがタオルで体を巻いてから入って来たのに対し、イリーナはタオルで前を抑えて入って来た。フィレオンティーナに至ってはタオルで前を隠しているものの、いろんなところがギリギリである。

 

「あら、リーナちゃんを洗って差し上げていたのですか?旦那様お手ずから洗って頂けるなんて・・・わたくしもお願いしてよろしいのでしょうか?」

 

「え・・・ヤーベ様に体を洗って頂くのですか・・・」

 

「ちょっと恥ずかしいですね・・・」

 

フィレオンティーナの申し出にルシーナ、サリーナが顔を真っ赤にする。

 

「あ、ヤーベ、私も出来れば洗って欲しいぞ」

 

イリーナも笑顔で希望する。

 

「じゃあ、イリーナとフィレオンティーナは俺が洗おうか」

 

とりあえずリーナの泡を落とすため、湯船のお湯を桶ですくい掛けながら、努めて何でもないことの様に言う。

フィレオンティーナの爆乳をあ、洗うだと・・・!?

いいのか、そんなパラダイス的な事をしても?

イリーナに関しては、まあその全てを見ているとはいえ、素晴らしい事に違いはない。いたわる意味も兼ねて心を込めて洗ってあげよう。

 

「はい、リーナはとりあえずこれでピカピカだよ。ゆっくり湯船に浸かって暖まりな。但し、熱くなったら湯船からでて、縁に座ったりして体を冷ますようにな。半身浴と言って、上半身だけお湯から出して覚ましながら下半身の足だけ温めるのも有効だよ」

 

「はいなのでしゅ!ご主人しゃまは物知りなのでしゅ!」

 

そう言ってドポンと湯船に飛び込むリーナ。

 

「こらこらリーナ、湯船にはそっと入って飛沫が飛ばない様に気を付けなさい」

 

「あ、ごめんなしゃいなのでしゅ」

 

シュンとするリーナの頭を撫でてゆっくりお風呂に浸かるように言う。

 

その間にルシーナ、サリーナがタオルを体に巻いたまま掛け湯をしている。

 

「イリーナ、先に体を洗おうか。フィレオンティーナは掛け湯をして少し湯船で体を温めておいてくれ。それからルシーナにサリーナ。湯船に浸かる時はタオルを外して湯船にタオルを浸けないようにな」

 

「ひょえっ!」

「た、タオルだめなのですか・・・?」

 

真っ赤な顔をしてプルプルしながら俺に聞いてくるルシーナとサリーナ。だが俺は心を鬼にする。日本人の心を忘れるわけにはいかぬ!日本人の心は大事なのだ。大事な事だから二度言おう。

 

「うむ、ダメだ。お風呂マナーとして、タオルを湯船に浸けてはいけないというのがあるのだ」

 

「あわわ・・・」

「て、照れますね・・・」

「大丈夫なのでしゅ!リーナはタオルを縁に置きましゅた!」

 

ゆでだこのようなルシーナ、サリーナを見ながらリーナが自分のタオルを縁に置いて自分は万全だとアピールする。

 

「ふふふ・・・リーナちゃんはお風呂のマナーをもうマスターしたのですね」

 

そう言って掛け湯を終えたフィレオンティーナが自分のタオルを畳んで縁に置き、湯船に入る。ちらりと後姿を目で追えば、湯船に浸かるその時、とてつもない山が湯船に浮かんだ気がした。まるで戦艦大和と戦艦武蔵が並んで出航して行くような・・・尤も戦艦に全く詳しくない俺のイメージが合っているかなど知る由もないが。

 

掛け湯を終えたルシーナ、サリーナが顔を真っ赤にしながらその体に巻いたタオルに手をかけ、イリーナもタオルを外し、腰掛に座って髪をかき上げ、うなじと背中を無防備に晒しながら、「ヤーベ、それでは頼む」などと宣ってくる。

 

ここに、俺のハーレムニューヨーク(入浴)の本番が切って落とされた。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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