転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第161話 結婚式について検討しておこう

「傘下に入れって・・・貴方も商会を運営しているのか・・・?」

 

サラはしりもちをついたまま、俺の方を見る。

 

「ああ、これでもアローベ商会の会頭でな」

 

「あ、あのアローベ商会って今注目度ナンバーワンの商会じゃないか!」

 

「アローベ商会って今注目度ナンバーワンなんだ?」

 

「商会の会頭様がなぜ知らないんだ・・・?」

 

「まあ、運営はお任せで商品のアイデアとかを出すことを中心に対応してるから」

 

俺はアローベ商会の運営方法について詳しくないからねぇ。

 

「さ、傘下に入るって、どうすればいいんだ? 私は亡くなった父から継いだこのリーマン商会の看板を無くしたくないのだ・・・」

 

そう言って俯くサラ。

なるほど。自分の実力が付く前に父親をいきなり亡くしてしまって会頭に立たねばならなくなってしまったわけか。

その後、何とかしなくちゃ、という気負いが空回りした感じだね。

自分の実力が全然足りないのを見せたくなくて、強がったり高圧的になったりするパターンだな。

その場合、まず間違いなく孤立して、その上で結果が出ないと周りは離反して行く。

社会人として四年間ブラック企業で社畜の様に働きまくった俺だ。こういった機微は感じ取ることが出来る。

 

「お前さん、どうも商売に向いてない気がする。商人としての基本的な対応も出来ていないように見える。どうしても商人としてやっていきたいなら基本から学びなおした方がいいんじゃない? 知ってる商会に口きいてやるから、しっかり働いてみれば?」

 

「し、知っている商会って・・・どこなのだ?」

 

「ん? スペルシオ商会だけど?」

 

「そうか、スペルシオ商会か・・・え?ス、スペルシオ商会!? 王都ナンバーワンの、あのスペルシオ商会なのか!」

 

「あの、が実際どれ指しているのか知らんけど、スペルシオ商会だな。それなりに貸しがあるから、多分丁稚奉公くらい受け入れてくれると思うんだが」

 

「ぜ、ぜひお願いしたい・・・。すでに部下もほとんどやめて、もうどうしていいかわからなくなっていたところなんだ・・・」

 

おうっ、これは思った以上に追い詰められていたんだな・・・。さっきのチンピラたちから助けられてよかったな。

下手すりゃ、首括ったりしかねないほど追い詰められた町工場の社長のような雰囲気があったぞ。

 

これが、バルバロイの黄金の翼、と呼ばれるほどの大商人となるサラ・リーマンの転機となった邂逅であった・・・

 

とか、ラノベだと結構未来の情報を小出しに教えてくれたりするよね。

まあ、サラがこの先大成するかはわからんけどさ。

 

 

 

 

「ふおおっ!ご主人しゃま―――――!!」

 

ズドムッ!

 

朝の散歩を終えてコルーナ辺境伯家に戻って来て玄関に入って一秒。

我がストマックに魚雷突撃を敢行してきたのはリーナであった。

いつもより起きるのが早いね~。

 

「ヤーベおかえり、そしておはよう。朝の散歩に行くなら誘ってくれればよかったのに」

 

そう言ってイリーナも俺を出迎えてくれる。

俺はリーナを持ち上げて肩に乗せてやる。

 

「ふおおっ!高いでしゅ!」

 

はっはっは、今はリーナが一番高いぞ。

 

それにしても、朝の散歩で時間を使いすぎたわけではない。今の時間、ちょうど起きて来るころかな、とは思うが、決して遅い時間ではないのだ。

そういう意味ではリーナもイリーナも早起きしたのだろう。と思ったのだが。

 

「旦那様、朝の散歩でしたらわたくしもご一緒したかったですわ」

 

フィレオンティーナも起きていて俺を出迎えてくれた。

 

「あ、ヤーベさんお帰りなさい! グリードさんにヤーベさんが帰って来た事を伝えておきますね」

 

多分朝食の準備を指示しているのだろう、玄関を開けた時にいつもいる筆頭執事のグリードさんがいなかったのだが、サリーナが俺の帰宅を伝えてくれるようだ。

ルシーナだけは起きていないようだが、ルシーナは自分の部屋があるしな。まだゆっくり寝ているのかもしれない。

 

「ついに伯爵へ陞爵になりますわね」

 

フィレオンティーナが俺に微笑みかけながら言った。

 

「まったく持って望んでないけどね」

 

「ですが、カッシーナ王女を娶るためには致し方のない事では?」

 

そう言いながらとても素敵な笑みを向けて来るフィレオンティーナ。さすが売れっ子占い師、手ごわい。

 

「・・・まあ、そうだけどね」

 

「でもこれでリヴァンダ王妃がおっしゃられた降嫁条件が整いましたわ。きっとカッシーナ王女も伯爵に陞爵されたヤーベ様にすぐ結婚を申し込んでくるのではないでしょうか?」

 

結婚か・・・。そう言えばすでにイリーナとはイタしているわけだし、両親に結婚の挨拶にも行っているな。

ルシーナはフェンベルク卿にちゃんと話をしに行かないといけないだろう。

・・・話そうとするとすぐに逃げられているけど。

 

フィレオンティーナのご両親は健在なのだろうか?自宅まで処分して俺について行くと言ってくれたんだ。ご存命ならば挨拶に伺いたいところだ。

サリーナはザイーデル婆さんによろしく言われているからな。嫁に貰うと言えば喜んでくれるだろう。

リーナは・・・うん、まだ妹枠で。だけど、リーナの家族とか、そういった話をいつ聞けばいいだろうか。思い出したくもない辛い記憶なら、無理に聞かないほうがいいのかもしれない。

 

「結婚式・・・すごく楽しみですわ、旦那様」

 

フィレオンティーナがうっとりした表情で頬に手を当てる。

 

「え・・・結婚式?」

 

「そうですわ、結婚式ですわ、旦那様。カッシーナ王女と合同で出来れば言うことないのですが・・・さすがに第二王女様ですから、わたくしたちとの結婚式は王女との結婚式が終わってから・・・と言う事になりますでしょうか。きっと規模もだいぶ違うのでしょうが、わたくしは旦那様と式を挙げられるなら、たとえ村の小さな教会でもなんの不満もございませんわ」

 

キラキラと輝くような笑顔で思いを語るフィレオンティーナを見ながら俺の意識が空の彼方に飛んで行こうとするのをかろうじて繋ぎ止める。

 

けっ、結婚式・・・やるんだよね、そりゃ。

 

なんだかすごくみんな楽しみにしてる感じだもんね~。でも俺、そう言う式系、苦手なんすよね~!

できればやりたくない!

あんなかたっ苦しい式、長時間座って晒し者なんて・・・

あ、でもこっちの世界の結婚式がそうだとは限らないな。ちょっといろいろ聞いてみれば、もしかしてさらっと終わる簡易的な式が主流だったりするかも!

 

「結婚式か~、その後の披露宴も含めて、三日三晩は行わなければなるまいな」

「すごいですね!村では大体式と披露宴で一日、翌日は村全体でお祭りになるので二日くらいです」

 

長げーよ! 何だよ三日三晩って! イリーナの三日三晩も長いが、あのド田舎のカソの村でも二日間もやるの?サリーナよ!

 

「場所も大変ですわね・・・わたくしはともかく、イリーナさんにルシーナさんはお呼びしなければならない人たちも多いでしょう。カッシーナ王女ともなれば相手は王家ですから、より大変ですけどね。サリーナさんは、王都で式を挙げる場合、ご家族を王都までお呼びするのも大変ですわよね」

 

「あ~、お婆ちゃんや両親に結婚する姿を見てもらいたいけど、それは無理かな。カソの村に帰った時にヤーベさんと一緒に報告すればいいかな。きっと村ではお祭り騒ぎになると思うし」

 

そう言って笑うサリーナの笑顔に少しだけ寂しさを感じてしまう。

出来るなら何とかしてやりたい。

・・・いや、俺は式とか嫌いなわけで。だが、奥さんズの面々がこれほど楽しみにしているのにそれを無下にするほど甲斐性が無いわけではない。男の甲斐性はここぞという時に奮い立たせるものである。

 

「やあ、ヤーベ殿、おはよう」

 

「あ、フェンベルク卿おはようございます」

 

「いい加減家名を登録しないとまずいぞ? 何せ本日伯爵へ陞爵されることになるんだ。多分家名も同時に発表になるんじゃないかな? きっと王城に行けば聞かれると思うぞ?」

 

「え~、アレ、二週間くらい猶予があったと思いましたけど」

 

「わずか四日で伯爵に陞爵するとは向こうも思ってないだろうからね。伯爵は領地を下賜されるし、王都に屋敷も必要になる。そんな伯爵が家名決まってないってマズイに決まってるじゃないか」

 

「うわ~、頭痛い。だいたい領地とか無理だし」

 

「とりあえず領地は先延ばしだって言ってたけどね。それから、今日の謁見はヤーベ殿の伯爵への陞爵の他に、フィレオンティーナ殿とゲルドン殿、それからイリーナ殿とサリーナ殿とウチのルシーナも謁見に呼ばれているから」

 

「ええっ!?」

 

「そりゃ、君がプレジャー公爵を捕まえる時にワーレンハイド国王の前で随分と身内自慢をしたからね。活躍した身内の人たちにも褒賞を、ということらしいよ」

 

「そりゃすごいね・・・すでにフィレオンティーナは一代限りの騎士爵貰ってなかったっけ?そういやすでにお貴族様なんだよね、フィレオンティーナは」

 

「あら、嫌ですわ旦那様。そういう旦那様はすでに子爵でありますよ? 今日の午後には伯爵様でありますが」

 

フィレオンティーナが笑いながら口に手を当てる。本当に貴族令嬢っぽい。でも貴族当主扱いなんだよね。すごいね。

 

「・・・正直、私が褒賞を貰ってもいい物か微妙なところだが」

「ですよね~」

 

イリーナとサリーナがあははと苦笑いしながら見つめ合う。

俺の分身を持って行って、コトが済んだら回収して戻って来ただけだしな。

 

「君たちも胸を張るといい。聞いた話では、ヤーベ殿のゴーレムを使ったとのことだが、ヤーベ殿を信じてあの巨大なギガンテスに立ち向かい、その目の前まで行ったのだ。他の者にそのような事を頼んでも、ヤーベ殿を信じていない者ならばとてもではないがギガンテスの前に立つことなどできなかったであろう。それだけでもすごい事だという事だ」

 

フェンベルク卿がイリーナたちの活躍を認めてくれる。うれしいことだ。

 

「ほっほっほ、未来輝かしいお話は興味が尽きませぬが、まずは目の前の腹ごしらえですぞ? 朝食の準備出来ましたのでどうぞ食堂の方へ」

 

筆頭執事のグリードさんがエントランスで話し込む俺たちを朝食に呼びに来てくれた。

早速朝食を頂いて朝の活力を付けるとしよう。

 




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