転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!? 作:西園寺卓也
館の二階には大きなバルコニーがあり、館正面の庭を見渡すことが出来た。
「うわー広いバルコニーだな」
「ここでお酒とツマミを嗜むのもいいな」
「なかなか贅沢な感じですわね、旦那様」
イリーナの感想に飲みで回答する俺。フィレオンティーナも賛成のようだ。
後、館は三階と、一階奥の廊下を伝っていく離れの建物、地下がある。
地下室は大浴場と広い物置だと聞いているが・・・。
「一階の俺の執務室、応接室、調理場と食堂、倉庫と宝物庫みたいな部屋は予定通りそのまま使うから。調度品とか、多少の模様替えだけでいいよ」
「わかりました」
俺の説明に頷く宰相ルベルク殿。
「二階も来客用の寝室四部屋と個室十二部屋を整えてもらって、後は大寝室ね」
「了解です」
「三階は後でゆっくり見るとして、地下室だな。錬金部屋も地下に作るつもりだけど、サリーナはそれでいいかい?」
「あ、専用の錬金部屋を用意してもらえるんですか!うれしいです!」
サリーナが笑顔で万歳する。
「みんなで地下のお風呂を見に行こうか」
「「「はーい!」」」
さてさて、地下にやって来た俺たち。
お風呂に入るわけじゃないけど、ちょっとドキドキするのは何故だろう。
「ここが脱衣所だね。かなり広いね・・・って、この小部屋は何?」
俺は脱衣所の横にある小部屋に気が付いた。
「ここはたぶん湯守の待機室ではないかと」
ルベルク殿が教えてくれる。
「湯守?」
「お風呂の管理者ですな。あと、主人の背中を流すなどの作業をする者もいるとか」
「あー、ウチではいらないな。身内でのんびり入るだけだから」
「はっはっは、羨ましい限りですな」
ルベルク殿が快活に笑った。
「だけど、湯船は大改造がいるかな」
俺は湯船を見てそう言った。
「どのように?」
「湯船が浅いな。手前をベンチの様に腰かけられるように浅くして段を作ったら、奥はもう一段低く、底に座ったら肩まで沈むくらいの深さが欲しい」
「なるほど」
羊皮紙らしき物にメモを取るルベルク殿。
「材質は検討を任せるが、大理石のような石とか、檜のような水に強く香りのいい木材での製作でもいい」
「大理石・・・ですか? それにヒノキ?」
「まあ、材料は職人に尋ねてみてくれ、磨いた石かよい香りのする木材が良いという事だ」
「なるほど」
「後、排水はどうなってる?」
「王都の貴族街は排水管がつながっております。問題ありません。ただ、供給は魔石を使う必要があります」
「なるほど。じゃあ、ライオンの顔をした石造りの水供給口を作って欲しいな。目の部分に水の魔石と火の魔石を入れれば温水が出るって事だよな」
「ライオン・・・ですか?」
「うーむ、説明するとだな・・・、竜とか獅子とかの顔を石で掘って、口から水や湯が出るイメージだな」
「ああ、なるほど。何となくイメージが付きましたぞ。といいますか、なかなか豪快なデザインですな」
「だろ?迫力あると思うんだ」
「なんだ、ヤーベ。竜の口からお湯が出るようになるのか?」
「まあ、そんなもんだ」
イリーナの問いかけに適当に回答する。出来てからのお楽しみの方がいいだろう。
それに何度かに一度は俺が奇跡の泉の水を使って風呂を準備するつもりだ。
きっと奥さんズもツルツルスベスベ肌になる事だろう。
「後、洗い場も水やお湯を使えるようにしておいてね。後、腰掛も五つくらい準備して」
「はい」
「で、横の倉庫ぶち抜きで、もう一つ湯船を作ってくれ。排水管もつないでね」
「わかりました」
もう一つの湯船は温泉成分とか、入浴剤の研究が進めば試して見たいと思ったので頼んでおく。
俺たちは風呂場を離れて別の地下室を見に行った。
「・・・なんか、嫌な感じだねえ」
やけにだだっ広い倉庫。だが、しっかりとした掃除した後が見える。
壁には何故かいくつも穴が開いている。まるで、鎖でもつなぐ鉄柱の輪が刺さっていたようなイメージだ。ろくでもない事が行われたことを少しだけ想像してしまう。だが、その事を口にしない方がいいだろう。奥さんズのメンバーにも気を使わせてしまってはいけない。
「ここは時間をかけてもいいから、壁も天井も石作りから変更して明るい色でやり直してくれ。それから、この倉庫は廊下から四つに分けて個室にするから。そのうちの一つは錬金部屋にするから、規格に合う様にしてもらえるか?」
「わかりましたぞ」
「後は離れの部屋も一通り見直してくれ。今のメイドや職人たちの個室もきちんと用意できるようにね」
「了解ですぞ」
「とりあえず今日はそんなところか? いつからこの屋敷を使える?」
「実質の所有権利はまだ王国側にありますが、使って頂く分には問題ないですぞ。ただ、結構工事が入りますからな。もうしばらく待っていただいた方がよろしいかと」
「そりゃそうだよね。工事頼んでいるのに家主がのんびりうろうろして邪魔してちゃ進むものも進まないか」
「楽しみは先に取っておくほうがいいだろう」
イリーナが急に真面目な事を言う。珍しい。
「なんだ? 私の顔に何かついているか?」
「いや、イリーナは可愛いなと思って」
「にゃ!? にゃにゃにゃにうぉ!?」
イリーナの顔が急に真っ赤になってカミカミになった。
「まあまあ、そろそろ夕飯時か? バーベキューの準備はどうなっているか見に行こうか」
俺はみんなを連れて庭に向かった。
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