転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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投稿を初めてついに200回を迎えることが出来ました。(本編+閑話合計)
これもひとえに皆様にお読みいただいているおかげです!
折角の記念ですので今回はある一人の女の子に焦点を当ててみたいと思います。


投稿200話達成記念 リーナの成長日記その① リーナ、クッキー作りに挑戦する

これは、王都に魔物が襲来し、ヤーベが奥さん達とその迎撃に出た日のお話――――

 

 

「ふみゅう~~~ふみゅう~~~ふみゅう~~~」

 

パタパタパタ

 

「ふみゅ?」

 

あれれ? ご主人しゃまに抱きついてオネムネムしていたのに、手で探ってもいつの間にかご主人しゃまの感触が無いでしゅ・・・?

 

パタパタパタ

 

目を瞑ったまま、お布団の中をゴロゴロしてご主人しゃまをさがしますが、どこにもいないでしゅ。

 

「ふみゅ~~~」

 

まだ少し眠いですが、ご主人しゃまがいないととても悲しいので目を開けましゅ。

 

パチパチパチ。

 

目をパチパチして周りをよく見ましゅ。

ご主人しゃまのお部屋でしゅ。昨日もこっそりご主人しゃまのお布団に潜り込んだでしゅ。

寝る前は奥しゃまたちと一緒にご主人しゃまの触手で暴れていたでしゅ。

なんとなく大変だったでしゅ。

 

リーナは慌ててお布団から出ましゅ。

ご主人しゃまにおパンツを穿いて寝なしゃいと怒られたので、いつもイリーナお姉しゃんに寝る前に新しいおパンツをもらうでしゅ。だから万全なのでしゅ。

 

早速ご主人しゃまを探しに行きましゅ。

きっと奥しゃま達の誰かのお部屋に行っているでしゅ。

昨日の触手だけでは足りなかったのかもしれないでしゅ。

 

まずはイリーナお姉しゃんのお部屋に行くでしゅ・・・。

 

 

あれれ?あれれ?

 

 

イリーナお姉しゃんもルシーナお姉しゃんもサリーナお姉しゃんも、フィレオンティーナお姉しゃんもいないでしゅ・・・。

 

ご主人しゃまもお姉しゃん達も誰もいないでしゅ・・・。

 

もしかして・・・もしかして。リーナを置いてみんなでどこかへ行ってしまったでしゅか?

もうリーナはいらない子でしゅか?

 

「ふえ・・・ふえええええ~~~~~」

 

廊下で泣いてしまいましゅた。泣く子はきっとご主人しゃまに嫌われてしまうでしゅ。でもご主人しゃまに会えないと思うと、勝手に涙しゃんが目から出て来てしまうでしゅ・・・。

 

「あらあら、リーナちゃんどうしたの?」

 

誰かがリーナに声を掛けてくれたでしゅ。

 

「あ、メーリングお姉しゃん!」

 

メーリングお姉しゃんはご主人しゃまがお世話(しぇわ)になっていましゅコルーナ辺境伯家のメイド長という、とっても偉い人なのでしゅ!

たまにこっそりご主人しゃまにナイショでリーナにクッキーをくれるとっても優しい人なのでしゅ!

 

目をゴシゴシと擦って涙を拭いて、朝の挨拶をしなくちゃいけないでしゅ!

 

「おはようごじゃいましゅ!」

 

ぺこりと頭を下げましゅ。

 

「はい、おはようございます。リーナちゃんはちゃんと朝の挨拶が出来てえらいですね~」

 

そう言ってリーナの頭を撫でてくれましゅ。えへへ。

 

「それで、どうしたの? 廊下で泣いてたみたいだけど?」

 

はうっ! そうでしゅた。 リーナは・・・リーナは・・・ご主人しゃまに捨てられてしまったでしゅ・・・

 

「ふえ・・・ふえええええ~~~~~」

 

また勝手に涙しゃんが目から出てしまいましゅ。ご主人しゃまに会えなくなると思うと全然止まってくれないでしゅ。

 

「あらあら、どうしたのリーナちゃん?」

 

そう言ってメーリングお姉しゃんはリーナをぎゅっと抱きしめてくれたでしゅ。とっても温かくて安心するでしゅ。

 

「朝起きたら、ご主人しゃまもお姉しゃまたちも誰もいなくなってたでしゅ・・・。きっとリーナがお寝坊したから、もうリーナはいらない子で置いていかれたでしゅ・・・捨てられたでしゅ・・・」

 

メーリングお姉しゃんにぎゅっとされながら、メソメソしてしまうでしゅ。

しっかりしなきゃと思うけど、ご主人しゃまがいないと悲しくて元気が出ないでしゅ。

 

「何言ってるの。大丈夫よリーナちゃん。ヤーベ様がリーナちゃんを置いてどこかへ行っちゃうなんてあるわけないじゃない」

 

「ふみゅ?」

 

「ヤーベ様はリーナちゃんがだーい好きなんだから」

 

「ふおっ! 本当でしゅか!?」

 

「本当本当、ヤーベ様はリーナちゃんの事をとっても大事にしてるのよ? 今日もリーナちゃんが気持ちよさそうに寝てたから、ヤーベ様はリーナちゃんを起こさない様にそっと起きてお仕事に出かけたのよ?」

 

「ご主人しゃまが・・・リーナの事を大切

たいしぇつ

に・・・」

 

「そうそう、それにヤーベ様や奥様方もきっとすぐに帰って来るわよ。だから、お姉さんと一緒にクッキーを作って待ってようか?」

 

「ふおおっ! クッキーでしゅか! 頑張って作ってご主人しゃまにプレゼントするでしゅ!」

 

ふんすっと力を入れるでしゅ!

涙しゃんを目から出している場合じゃないでしゅ!

ご主人しゃまのためにおいしいクッキーを作るでしゅ!

 

早速メーリングお姉しゃんと手をつないで調理場へお出かけでしゅ!

 

 

 

 

「そうそう、クッキーの生地は作ってあるから、コレをコネコネしてね」

 

「はいなのでしゅ!」

 

おっきなボールの中にクッキーの生地が入っているでしゅ。これをクッキーのカタチにする前にコネコネするでしゅ。

 

「えいっ!」

 

びちょっ!

 

「ふみゅう・・・かかってしまったでしゅ」

 

「あらあら、リーナちゃん力を入れ過ぎよ?」

 

「ついついご主人しゃまのためにと思うと力が入ってしまうでしゅ」

 

「なら、ヤーベ様のお手手を優しく握るつもりで生地を捏ねてみたら?」

 

「ご主人しゃまのおてて・・・ぎゅって強く握ったら痛いかもしれないでしゅ。優しくそおっと握るでしゅ・・・コネコネ・・・」

 

ゆっくりコネコネしていくでしゅ。

 

「出来たでしゅ!」

 

「すごいね!完璧だよ! じゃあ、この型抜きでクッキーの形を作ろうか?」

 

見ると、いろいろな型があるでしゅ。

 

「真ん丸でしゅ・・・お星しゃまでしゅ・・・お花でしゅ・・・あ、ハートでしゅ!可愛いでしゅ! ハートを作るでしゅ! ハートのクッキーを作ってご主人しゃまにプレゼントでしゅ!」

 

「きっとヤーベ様も喜んでくれるよ?」

 

「頑張って作るでしゅ!」

 

コネコネした生地をメーリングお姉しゃんと一緒に丸い棒で伸ばして平たくしていくでしゅ。平たくした生地に型を押し付けて生地をくり抜くと、クッキーの生地が型の形になるでしゅ! ハートを一杯作ってご主人しゃまにプレゼントするでしゅ!

 

「いっぱいハートが出来たでしゅ!」

 

「頑張ったね、リーナちゃん。じゃあ早速焼いてみようか?」

 

「ハイなのでしゅ!」

 

 

 

「魔道オーブンを使って焼くのよ? トレイに綺麗に並べてね」

 

「頑張って並べるでしゅ!」

 

トレイに一枚一枚並べていくでしゅ。ご主人しゃまのためにハートを一杯作ったでしゅ。おいしく焼けるといいでしゅ。

 

「あら? 魔道オーブンの魔石が切れてるわね。予備はどこかしら?」

 

メーリングお姉しゃんが何かを探していましゅ。どうしたでしゅか?

 

「魔石に蓄えられた魔力が空になっているから、魔道オーブンが温かくならないの。新しい、魔石を探してくるから、ちょっと待っててね」

 

魔力・・・でしゅか? 確かご主人しゃまがリーナには魔力があるって言っていたでしゅ!

 

「リーナには魔力があるってご主人しゃまに言ってもらったでしゅ。クッキーをご主人しゃまにプレゼントするためにも、リーナが魔力を注ぐでしゅ」

 

ペトッと魔道コンロの魔石に手を置いてみるでしゅ。

 

「リーナちゃん、だいじょうぶぅぅぅぅ!」

 

ゴッ!!

 

なんだかすごい力が湧いた気がするでしゅ。

 

ボンッ!? 

 

「ふええっ!?」

 

魔道オーブンが爆発したでしゅ・・・。

 

「大丈夫!? リーナちゃん怪我はない!?」

 

メーリングお姉しゃんがリーナを心配してくれましゅ。

 

「大丈夫じゃないでしゅ・・・ご主人しゃまのために作ったクッキーがバラバラになってしまったでしゅ・・・グスッ」

 

たくさん作ったハートは・・・バラバラでしゅ。クッキーもかなり焦げてしまったでしゅ・・・。

 

「リーナちゃんの体が大丈夫なら、ヤーベ様も怒らないから大丈夫よ? もしリーナちゃんが怪我してたら、きっとお尻ぺんぺんだよ? 心配させて悪い子だーって」

 

ふおおっ!? ご主人しゃまからお尻ぺんぺんされたら・・・リーナは、リーナは・・・。

お尻が真っ赤になって夜寝られなくなるでしゅ!恐ろしいでしゅ・・・。

 

「ほら、ばらばらでも、あんまり焦げてないクッキーもあるよ? 集めて形を見て見よう?」

 

メーリングお姉しゃんがまだ大丈夫なクッキーを拾ってくれるでしゅ。リーナも頑張るでしゅ。

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「これはこれは、お帰りなさいませ、ヤーベ様」

 

「やあ、グリードさんお疲れ様」

 

「問題は解決ですかな?」

 

「グリードさんには隠し事は出来ないなぁ」

 

「ところで、リーナ様が留守番をしながらメイドのメーリングにクッキーの作り方を習っておりまして、ヤーベ様に頑張って食べさせるのだと張り切っておりましたよ」

 

「お、そうなんだ。リーナの手作りクッキーか、それは贅沢だなぁ」

 

「ですが、魔道オーブンに魔力を込め過ぎて、オーブンが爆発してクッキーが粉々に・・・」

 

「えっ!? リーナは無事なの?」

 

「もちろんですよ、怪我一つありません。ただ、頑張ってハートの形のクッキーを一杯作ってヤーベ様にプレゼントする、と張り切っておりましたので・・・」

 

「そうか・・・」

 

 

 

「あ、ご主人しゃま・・・」

 

ご主人しゃまが帰って来てくれたでしゅ! ご主人しゃまが帰って来てくれたでしゅ!

よかったでしゅ・・・、あ、また涙しゃんが勝手に出てきたでしゅ。

ご主人しゃまがいなくなって涙しゃんが出て来るのに、ご主人しゃまが戻って来てくれてもまた涙しゃんが出て来るなんて、本当に涙しゃんは勝手でしゅ。

 

「リーナ、お留守番お疲れ様。俺がいない間、しっかりお留守番できてえらいね」

 

そう言ってご主人しゃまがリーナの頭を撫でてくれましゅ。

えへへ、とっても嬉しいはずなのに涙しゃんがどんどん出て来るでしゅ。

 

「リーナは、リーナはご主人しゃまにいっぱい、いっぱい喜んでもらおうと、ハートのクッキーをいっぱい作ったでしゅ。でも、オーブンが爆発してハートのクッキーが粉々になってしまったでしゅ・・・」

 

メーリングお姉しゃんと一緒に頑張ってあまり焦げてないクッキーを集めてトレイに並べてきたでしゅ。う・・・涙しゃんが出て来るのを止められないでしゅ。

 

「リーナはすごいな、こんなにたくさんクッキーを作ったんだね。ほら、ここをこうして・・・こっちをこういう風に置いたら・・・出来たよ、おっきなハートさんだ」

 

ふおおっ!? ご主人しゃまが粉々のクッキーを並べて行くと、おっきなハート型になったでしゅ! そして、クッキーの欠片を一つ食べてくれたでしゅ。

 

「うん、おいしいよリーナ。よく頑張ったね」

 

「う・・・うぇぇぇぇぇぇん!! ご主人しゃまー!ご主人しゃまー!」

 

トレイを放り出してご主人しゃまに抱きついてしまったので、慌ててご主人しゃまがトレイを受け取ってくれたでしゅ。でも、リーナはご主人しゃまに抱きつくという大切な使命があるのでしゅ!

 

「ご主人しゃまー!ご主人しゃまー!」

 

涙しゃんがどんどん出て来るでしゅが、それでもいいでしゅ。リーナはご主人しゃまのそばにいるだけで心がポカポカしてくるでしゅ。

 

「どうしたんだ、リーナ? 今日はやけに泣き虫さんだぞ?」

 

「リーナちゃんは朝起きたらヤーベ様も奥様方も誰もいらっしゃらなかったので、自分が置いていかれて捨てられたのでは、と心配していたのですよ」

 

「ええ? バカだなぁ。俺がリーナを捨てるなんてこと、あるわけないじゃないか。リーナはとってもとっても大事な子なんだぞ? リーナが「もうイヤだー」って言ってもリーナを離してやらないぞ?」

 

ご主人しゃまが、リーナを離さないって言ってくれてるでしゅ。ぎゅうっと抱きしめてくれるでしゅ。

 

「リーナも絶対絶対ご主人しゃまから離れないでしゅ! ずっとずっと一緒でしゅ!」

 

ご主人しゃまをぎゅぎゅっと抱きしめるでしゅ。絶対離さないでしゅ。

今日は朝起きたらご主人しゃまがいなくてとても寂しかったでしゅが、ご主人しゃまが帰って来てくれて、リーナの事大切って言ってくれたでしゅ。離さないって言ってくれたでしゅ。

 

リーナはとってもとっても幸せでしゅ!

 




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