転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第180話 ダンジョンをぶっ潰す許可をもらいに行こう

グスッグスッと泣くチェーダを落ち着かせるように抱きしめる。

 

「ヤーベさん・・・いえ、ヤーベ様」

 

「ん?」

 

誰かに声を掛けられた。

 

「私、パナメーラと申します。ヤーベ様は本当にお強いんですね・・・」

 

美しい銀髪が腰まで伸びたボボン・キュッ・ボボンのお姉さまだ。

見ればパナメーラの後ろにもたくさんのミノタウロスハーフの少女たちが戻って来ていた。

 

「本当に私たちを守ってくださるのですね・・・」

「ヤーベ様なら、本当に私たち幸せになれるのかも・・・」

「毎日お腹いっぱいご飯食べられるかなぁ!」

 

希望にあふれた会話をするミノタウロスハーフの少女たち。

そうだよ、こういう表情こそが彼女たちに似合うんだよ。

 

「あの、チェーダがお妾様になるとのことでしたが・・・」

 

パナメーラがじっと俺を見つめてくる。

 

「え?」

 

あ、言ったな、そんなこと。チェーダがあまりにも遠慮して飯食べないもんだから、お妾さんになるんだから、お前には食べる権利があるって、納得させるために言っただけなんだが。

 

「ああ、その事なら無理に妾になってくれなくても・・・」

 

「ダメか!ダメなのか!? ヤーベ!オレじゃダメなのか?」

 

縋りつくようにしながら俺に抱き着くチェーダ。いや、君の方が大きいから。

急に眼に涙をまた浮かべてぎゅうぎゅう締め付けてこられても。やめてください。潰れて死んでしまいます。スライムだけど。

 

「いや、ダメっていうか、その、無理にお妾さんにならなくても、ちゃんと君たちは全員面倒見るし、食事も住む場所ももっといいものをだな・・・」

 

「無理じゃない!オレはヤーベのそばにいたいんだ。お妾さんにしてくれ!」

 

「ええっ?」

 

「ヤーベ様、では私もお妾様に立候補してよろしいでしょうか?」

 

見ればさっきまでぐったりしていたはずのミーアが復活して戻って来ていた。

 

「あら、ミーア。今までどうしてたの?マカンは大丈夫なの?」

 

「マカンはヤーベ様にお乳を搾ってもらって幸せすぎて寝てるわよ。エイカもそうね。私も絞ってもらったんだけど、とっても気持ちよくって・・・」

 

パナメーラの問いに、ミーアが頬を染めて答えた。

なんですって!という表情で高速振り向きにて俺をガン見するパナメーラさん。

 

「ぜひっ! 是非とも私にもしてくださいませ!」

「私も!私も!」

「あ、ずるいぞ!それならオレだってヤーベにしてもらえるならなんだってOKなんだからな!」

 

わらわらとミノタウロスハーフの少女たちに囲まれる俺様。

 

もうやるっきゃないね! 搾乳ワッショ――――イ!!

 

 

 

 

 

「ヤーベ様はタイゾー様と同じく、遠い国からやってこられたのでしょう?」

 

ミーアが俺の方を向きながら問いかけてくる。

 

あれから俺は30名近いミノタウロスハーフの少女たちの搾乳を行った。

酒樽が濃厚ミルクでいくつ一杯になったかもうわからん。

地球時代の握力なら即パンパンに手が腫れてダウンしているだろう。

だが我が触手はぐるぐるエネルギーでコントロールするのだ。スライムボディーに内包する魔力(ぐるぐる)エネルギーは相当なモノになっている。どれだけ搾乳してもへっちゃらだ。この世界に来た時、池の畔でやることないからぐるぐるエネルギーを鍛え上げることに集中していた自分を褒めてやりたい。

 

それに、亜空間圧縮収納に保管しているから、搾乳したての新鮮な状態を保てるのは素晴らしいことだ。たくさんスイーツが作れるようになるし、定期的に手に入れられるなら、アローベ商会で販売してもいいかもしれん。それについては彼女たちとしっかり話し合ってからの方がいいだろう。

 

「そうだね、俺はタイゾーのオッサンと同じ国からやってきたんだ」

 

さすがにタイゾーのオッサンも異世界という言い方はしていないようだけど。

 

「ヤーベ様も最初に私たちの事を全然知らない感じでしたから・・・」

 

ミーアが俺を見ながら微笑む。

 

「タイゾー様もそんな感じでいらしたんですよ。私たちを、まるで普通の人間と変わらないように接してくださって・・・。ヤーベ様も同じような感じだったので嬉しくて」

 

パナメーラも嬉しそうに話す。

 

「そうだね、俺もみんなが普通の人間とそんなに変わらないって思うよ。なんなら普通の人間より美人でグラマーだよ」

 

キャ――――っと歓声が上がる。俺に褒められてみんななんだか嬉しそうだ。

 

「そう言えば、タイゾーさんもヤーベ様のようにお強いのでしょうか?」

 

「どうかな?人それぞれだから。タイゾーのオッサンは料理人だって言ってたな。さっき食べた「トン汁」もタイゾーのオッサンから買い取った調味料で味付けしているんだよ」

 

「そうなのですね・・・」

 

ミーアが俺の方を見つめながら呟く。

 

ミノタウロスを吸収して片付けてから、俺たちは再び広場に集まってお茶をしている。

今度は魔導ホットプレートに死ぬほど作り置きしてあるホットケーキの生地を取り出す。魅惑のデザートタイムと行こう。

リューナちゃんに教えてもらったコーヒーの淹れ方とコーヒーポット、それに木を削って作ったコーヒーカップも取り出す。

 

なぜが俺の左手を自分の胸に抱えるようにチェーダがくっついているため、右手の他にサポート用の触手も大盤振る舞いして出している。

 

俺の能力ってことであっさり納得してくれるあたり、人間と違って、いわゆるミノタウロスハーフのような亜人種の方が嫌悪感少ないのかもね。

 

「さあ、ヤーベ特製ホットケーキだぞ~、たっぷりバタールと蜂蜜を縫って食べるんだぞ~、熱いから気を付けるんだぞ~」

 

「「「「「わ――――い!!」」」」」

 

子供たちに木皿に取り分けたホットケーキを渡していく。

 

「「「「「おいし――――!! 甘――――い!!」」」」」

 

子供たちの喜びようにミーアやパナメーラといった他の少女たちも目を輝かせる。やはり女性には甘いものがいいようだ。

 

「ヤーベ様!ぜひ私にも!」

「私も食べたいっ!」

 

次々と手が上がるので、どんどんホットケーキを焼いていく。

 

「「「「「おかわり――――!!」」」」」

 

「こら、あんたたち!」

 

子供たちに調子乗りすぎと注意するミーア。だけど、今日は腹いっぱい食べていいぞ?

 

「たくさんあるから、今日は特別だ!デザートも腹いっぱい食べていいぞ!全員の分もちゃんとあるぞ!」

 

「「「「「わ――――!!」」」」」

 

 

 

「グスッ、こんなうまいものがあるなんて・・・ミル姉さんにも食わせてやりたかった・・・」

 

チェーダがホットケーキを口にしながら、「ミル姉さん」と口にする。

 

「ミル姉さん? お姉さんがいたのか?」

 

「あ・・・いや・・・」

 

口ごもるチェーダの代わりにミーアが話を引き取る。

 

「実は、はっきりとどれくらい前かわからないのですが、ミルさんという一番のお姉さんが居たのですが、ミノタウロスの襲撃の時に、私たちを逃がすためにミノタウロスに連れて行かれてしまって・・・」

 

「なんだって!?」

 

なんてことだ、すぐ助けないと・・・。でもどれくらい前なのか、どこに連れて行かれたのか・・・。

 

「なんでも岩山の山腹に<迷宮(ダンジョン)>があって、ミノタウロスたちはそこに住んでいるらしいんだ。たまに<迷宮(ダンジョン)>から出てきては女を攫って行くみたいなんだ」

 

さっきのミノタウロスもその<迷宮(ダンジョン)>から出てきたやつらか。

なら話は早いな。

 

「それなら、話は早い」

 

「えっ?」

 

「その<迷宮(ダンジョン)>をぶっ潰せば、もう二度とミノタウロスに攫われる心配はなくなるだろ」

 

俺はニッコリと笑った。

 

「ええっ!?」

 

チェーダは目を点にしている。

 

「そ、そんなことが・・・」

 

パナメーラたちは信じられないという表情を俺に向けている。

 

「とりあえず<迷宮(ダンジョン)>ぶっ潰す許可をもらってくる。ちょっと待ってて」

 

そう言ってすぐ出かけようとして、気が付いた。俺が居ない間、またミノタウロスなんぞが来ても困る。チェーダたちがピンチにならない様にしないとな。

 

「<大地の従者(アースサーバント)>」

 

俺の魔法でずんぐりむっくりな土のゴーレムが20体召喚される。

 

「わあっ!」

「な、なにコレ?」

 

「「「「「わ~~~~~!」」」」」

 

子供達にはすぐに懐かれ、よじ登ったりされている・・・、まあいいか。

 

「お前たち、この少女たちを守れ。ここを襲う魔獣どもは殲滅しろ。人間は敵対するものは追い返せ」

 

ビシッッッッ!!

 

声は発せないものの、敬礼ポーズでこちらの命令を受諾した旨を示すゴーレムたち。

・・・一部子供たちによじ登られて子供たちが危なくなるので敬礼できないヤツもいるが。

 

「任せた」

 

そして俺は<高速飛翔(フライハイ)>で城塞都市フェルベーンに向かった。

 

 

 

 

 

とりあえず城門受付が並んでいるので、そのまま飛んで冒険者ギルドまで行ってしまおう。

一応ギルドの場所は覚えているのだが、この城塞都市フェルベーンの冒険者ギルドには一度も顔を出していない。

 

 

 

カランコロン

 

どこに行っても音の鳴る扉を開けて冒険者ギルドの中に入る。

 

さすがに城塞都市フェルベーンだ。建物も大きいと感じたが、その中も広く作られており、冒険者たちの人数も多い。併設された酒場は多くの冒険者たちでにぎわっており、受付カウンターにもたくさんの冒険者が並んでいる。

 

丁寧な対応を心がけるべきだとは思う。だが、チェーダたちは今もミノタウロスに襲われるかもしれない危険と隣り合わせであり、ミル姉さんと呼ばれる人はすでに連れ去れてかなり時間が経っているという。一刻も無駄にしたくはない。

 

「ギルドマスター殿はおられるかっっっっっ!!!」

 

とてつもない大声でギルドマスターを呼ぶ。

 

「北の岩山にあるというミノタウロスが住み着いている<迷宮(ダンジョン)>をぶっ潰してもよいか、確認を取りに来たっっっっっ!!」

 

いきなり大声でぶち上げた俺に酒場で飲んでいた奴らからは大声で笑い声が上がる。

空のジョッキを振り回して馬鹿笑いしてるやつもいるな。

 

カウンターで並んでいた冒険者も振り返り、俺を胡散臭そうな表情で見る。

そしてカウンターの後ろから受付嬢らしき女性が出てきた。

 

「何なんです、あなた!いきなり大声で!」

 

「不躾で済まない、無礼は承知の上なんだ。急いでいるので、ギルドマスターにミノタウロスが住み着いているという<迷宮(ダンジョン)>を潰してしまっていいかどうかの確認をお願いしたいのだが」

 

俺が確認にこだわっている理由、それは冒険者たちの生活だ。

迷宮(ダンジョン)>に潜って魔獣を討伐し、日銭を稼いでいたり、宝箱とかあるかどうか知らないが、<迷宮(ダンジョン)>でお宝を手に入れようとする連中がいるとすれば、勝手に<迷宮(ダンジョン)>を消滅させてしまったら生活に困る連中が出てくるかもしれない。その確認だけに来たのだ。逆に特に問題無ければさっさと<迷宮(ダンジョン)>に向かいたい。俺は暇ではないのだから。

 

「貴方、冒険者の人? 冒険者プレートは?」

 

冒険者プレート? ああ、ソレナリーニの町でゾリアに作ってもらったヤツだな。ほとんど使ってないぞ。

 

「ああ、えっと、コレだな」

 

胸元に手を入れ、亜空間圧縮収納から冒険者プレートを取り出す。

 

「エ、Fランク!?」

 

その言葉に、一気にギルド内が爆笑の渦に包まれる。

 

「ギャ―――――ッハッハッ! ハラ痛ェ!」

「エ、Fランクが<迷宮(ダンジョン)>ぶっ潰すってよぉ!」

「Fランクのボーヤがミノタウロスなんざ相手にしたら即ぶっ殺されるぞぉ」

「悪いことは言わねぇ、ゴブリンにしときなって」

 

酒場で飲んでいる冒険者たちが口々に笑いながら心配してくれる。

心配してくれるとしておこう。でないと俺の精神がもたん。

 

「貴方、Fランクの身でありながら、ふざけているんですか? そこの依頼ボードを見てごらんなさい。ミノタウロスの討伐はBランク依頼です。まして岩山にあるミノタウロスの<迷宮(ダンジョン)>だなんて、死にに行くようなものです!」

 

ふむ、岩山にあるのはミノタウロスの<迷宮(ダンジョン)>で間違いないようだな。

後はそれが無くなってもいいかどうか許可を取るだけだな。

 

「岩山にミノタウロスの<迷宮(ダンジョン)>があるのは理解した。で、その<迷宮(ダンジョン)>が無くなっても問題ないか?」

 

「はっ?」

 

受付嬢の顔が段々般若に見えてきた。

 

「だから、そのミノタウロスが住み着いている<迷宮(ダンジョン)>が無くなってしまっても問題ないか聞いているのだが?」

 

再度爆笑の渦が吹き荒れる。別にいいけども。

 

「はっはっは、おもしれーガキだなぁ」

 

ハゲた筋肉ダルマが奥から出てきた。まさか、これギルドマスターなのか?

いつぞやぶっ倒したDランクパーティ<鬼殺し(オーガキラー)>のリーダーに似てるな。上位互換だな。ギルドマスターなら少なくともDランクパーティのリーダーよりは強いだろう。

 

「岩山のミノタウロスが住み着いている<迷宮(ダンジョン)>を潰すってか?」

 

「ああ、それで冒険者たちの生活が困ったりしないか確認に来たんだ。そこをメインに稼いでいる連中にとっては死活問題だろう?」

 

ギルドマスターのドーリアは驚いた。

単なるガキの戯言かと出てくれば、まさか<迷宮(ダンジョン)>に潜る連中の生活を心配しての確認だという。この小僧が本気で<迷宮(ダンジョン)>を潰しにいくのかと信じかけてしまった。

 

「あの迷宮はミノタウロス以外に大した魔物もいないし、お宝もあまり出ている形跡がないから、あそこをメインに活動している冒険者はいねーな。たまにミノタウロスが<迷宮(ダンジョン)>から出て徘徊するから、近隣の村から討伐依頼がかかるくらいだな。今もそこにあるだろ、Bランクの討伐依頼書が」

 

「ああ、そこの受付嬢さんにも教えてもらったよ」

 

「ミノタウロスの討伐は単独でもBランク冒険者からの受理だ。まして<迷宮(ダンジョン)>なんてとんでもないぜ? 悪いことは言わん、やめておけ」

 

ギルドマスターは俺にそう説明してくれた。

だが、その説明があれば俺には十分だ。

 

「<迷宮(ダンジョン)>が無くなっても困らないならそれでいい。ミノタウロスの討伐依頼を受ける気もない。俺はミノタウロスが根城ごと処理できればそれでいいからな」

 

堂々と言い切ってやる。

はっはっは、どうせ魔物の買取はソレナリーニの町に出すしな。この城塞都市フェルベーンの冒険者ギルドにそれほど用はない。

 

「じゃ、俺はこれで」

 

「ちょっと待て、お前名前は?」

 

ギルドマスターが俺の名を聞いた。

 

「俺はヤーベだ。冒険者なら、家名は不要だよな?」

 

振り返り、ちょっとだけニヤリとして、俺は冒険者ギルドを後にした。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!
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