転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第207話 ギルドカウンターにその成果を積み上げてみよう

やっと落ち着いてくれたケモミミ三人娘たち。

 

「改めて自己紹介しようか。俺は新米冒険者のヤーベだ。君たちは?」

 

「Fランク冒険者のコーヴィルなのです。犬人族なのです」

「誇り高き狼人族のサーシャよ!」

「猫人族のミミなのにゃ!」

 

犬耳娘に狼耳娘に猫耳娘か・・・。

ラノベのお約束の一つ、ケモミミ少女は美少女限定! だが、これは真実だったようだ。今元の世界に帰れるとしたら、ラノベ学で論文が一本書けそうだ。

 

「それで、おにーさんは私たちに薬草をくれるにゃ?」

 

「ああ、そうだな。いいよ、あげるよ」

 

「それで・・・見返りは何を要望されるのです?」

 

俺の方を見ながら油断ならないような視線を向けるコーヴィル。

 

犬耳の可愛いこの子が一番いろいろなことをしっかり考えているように見える。

最も現状そう見えるだけでなんの確証もないけど。

 

俺がすぐに答えなかったことで、狼人族のサーシャが俺の前にずいっと歩み出る。

 

「し、仕方ないわね~、このアタシの太もも、触らせてあげるわ! でもちょっとよ!ちょっとだけよ!」

 

ニョキッとミニスカートから覗く健康的な太ももを見せつける。

 

「アホか!何がちょっとだけよ、だ! お前はカトちゃんか!」

 

俺は思わず異世界で全く通用しないツッコミを放ってしまう。

 

「ええっ!? ちょっとだけじゃ物足らないっていうの! なんて欲望に忠実な男なの! これだから人間の男は・・・」

 

「こら~! 人間の男をひとまとめにしてエロい目で見るな! 君の太ももは素敵だし触りたいけど! だからと言って薬草あげるから太もも触らせろって、人としてダメな奴だから! 今回は薬草たくさん持ってるから、タダであげるから!」

 

「ええっ!? タダでいいの!」

「ホントにゃ!? ウソじゃないにゃ!?」

 

狼と猫が食いついてくる。

 

「ウソじゃないって! 本当だって!」

 

「それはすごくありがたいのですが・・・でも、タダでもらっても、私たちには返せるものなんて何にもないのです。あなたの得になる事なんて、一つもないのです」

 

なんだかすごく落ち込む犬っこちゃん。

 

「じゃあ、冒険者仲間になろうよ。こうして知り合えたわけだし。俺もいつも冒険に出られるわけじゃないけどさ」

 

「冒険者・・・仲間・・・です?」

 

コテンと首をかしげるコーヴィル。犬耳かわいい。撫でたい。ワシワシしたい。

 

「はうっ・・・撫でてはダメなのです。犬耳族の耳と尻尾を撫でていいのはご主人様だけなのです・・・」

 

ノォォ!心の声が漏れちゃってた!?

 

「ご、ゴメンゴメン、そういう事なら無理に触ったりしないから安心してね。ふさふさして可愛いと思っただけだから」

 

「はうう・・・です。可愛いって言われたです・・・」

 

真っ赤になるコーヴィル。

 

「ちなみに、アタシの耳と尻尾もダメだからね! 狼人族は誇り高いのよ!」

 

「その割にお前太ももはちょっとだけならいいのかよ」

 

「しょ、しょうがないでしょ! 薬草がないと冒険者資格が停止になっちゃうんだから!」

 

狼人族のサーシャは顔を真っ赤にして捲し立てる。まあいい、種族間の違いというやつはしっかりと学んで行かねばならぬ。

 

「サーシャはちょっとだけなら太ももOK・・・と」

 

「何メモしてんのよっ!変態!」

 

サーシャが顔を真っ赤にして怒っている。

 

「お前がちょっとだけならいいって言ったんじゃねーか!」

 

「薬草で困っていたからよ!もう薬草貰ったから太もも触ったらダメだからねっ!!」

 

「むうっ! じゃあ次の依頼の時にがんばったらでいいよ」

 

「ななな、何でがんばったら私の太ももを触る前提でいるの!おかしいわよっ!」

 

顔から湯気が出そうなほど真っ赤になって怒るサーシャ。

 

「でも、このままだと薬草を貰っても何も返せないです。サーシャの太ももで済むならばそれが一番お金がかからないです」

 

まさかの一番真面目そうなコーヴィルが太ももにGOサインを出す。

 

「コーヴィル! あんたアタシを売る気!」

 

「自分で言ってたです。太ももちょっとならいいって」

 

コーヴィルとサーシャが睨み合ってしまったので、俺が助け舟を出す。

 

「まあまあ、とにかく冒険者仲間の記念だ。今回の薬草はタダでプレゼントする。もし何か困ったことがあったら助けてくれよ?」

 

「わかったわ!狼人族の誇りにかけて誓うわよ!」

「私も犬人族の誇りにかけて誓うです」

「ミミも誓うにゃ!」

 

俺の提案に元気よく返事をする三人娘たち。

 

それぞれが手を出して、「お――――!」と元気よく掛け声をかけあった。

とりあえずどうなる事かと思ったが、冒険者の知り合いもできたことだし、まずまずのスタートかな?俺はそう考えていた。

この後ケモミミ三人娘の言っていた『仲間』という意味の相違に気がつかずに。

 

 

 

 

とりあえず俺だけ飛んで帰るのも気が引けるので、ケモミミ三人娘と歩いて王都バーロンへ帰還する。今からでも日が暮れる前には何とか到着できるだろう。

 

・・・あれ?何か重要なことを忘れている気がする。なんだろう?

 

「ああ―――――!?」

 

「うわっ!」

「なんにゃ!?」

「ど、どうしたです?」

 

ケモミミ三人娘が一斉に俺を見る。

 

あかんやん!Sランクに強制的にアンクアップされた俺が、薬草カウンターに積み上げても、誰も驚かないやん!俺が驚き過ぎて関西弁だよ!

ラノベのお約束は、Fランクのぺーぺー初心者が驚くほどの量を持ってくるから驚かれるんだよ!もう俺じゃ意味ないじゃん!

 

その場でがっくり膝をつき倒れ込む俺。

 

「どうしたです?具合わるいです?」

「ちょっと!しっかりしなさいよ!アンタが倒れたらアタシの薬草はどうなるのよ?」

 

おいサーシャよ、心配するのはそこかい。

 

ところで、別な案を閃いたぞ。

 

「・・・君たちは確か、Fランクの薬草採取を二度失敗しているって話だったね?」

 

「そうなのです。後がないのです」

 

暗い表情で俯きながら呟くコーヴィル。

確認するが、やはり成功していないようだ。

 

「他の依頼も受けたことがないから、()()()()()()()()()()()()()()ってことだよね?」

 

「そうよ!悪い? でもアンタが薬草をくれるんだから、初めての依頼達成よ・・・って!まさか、初めての達成だからって、特別ボーナスでやっぱり太もも触らせろって言うんじゃ・・・」

 

そう言って俺をジトッと睨んでくるサーシャ。俺がどんだけ太ももフェチだと思ってるの?

 

「いや、俺の集めた薬草を全部君たちにあげるよ!たくさん採取したからね、これでギルドのみんなを驚かそう!」

 

そうなのだ、俺がSランクになってしまい、薬草を山ほど積んでも驚かれなくなったのならば、()()()()()()()()()()()()()()()のだ。間接的にも味わおうではないか!甘い甘い蜜の味(チートさくれつ)を!

 

俺はサーシャのリュックを受け取ると、中の荷物を取り出す。

 

「ちょ、ちょちょちょっと!何するのよ!アタシのパンツ出さないでよ!」

 

ん?下着とかまで持って来ていたのか?とりあえず荷物を亜空間圧縮収納へ預かる。

 

「<擬態変身(メタモルフォーゼ)>」

 

そして俺はリュックにちょうど入るようなティアドロップ型のスライムに変身する。

・・・元の姿に戻るとも言うが。

 

「にゃ!? かわいいにゃ!」

 

そう言って俺のボディをつんつんするミミ。やめれ!

 

「へ、変身の魔法ですか・・・?もしかしてあなた高位の魔術師様ですか・・・?」

 

コーヴィルの質問をあえてスルーして俺はリュックに入り込む。

 

「さ、サーシャ背負ってくれ。早く王都に戻ろうよ。初めての依頼達成なんだ。乾杯しようじゃないか」

 

「て、なんでアタシがアンタを背負わなくっちゃいけないのよ!」

 

「え?太ももの方がいい?」

 

「ばっ!わ、わかったわよ!その代わりアンタが採取した薬草全部だからね!」

 

「はいはい、()()()()()()()()()()は全部あげるから」

 

俺たちはとにもかくにも王都バーロンへ向かった。

 

 

 

 

 

カランコロン

 

冒険者ギルドの大扉を開けると、やはりカウンター前には多くの冒険者たちが列を成して報告の順番を待っている状態だった。

 

「やっぱりこの時間は込み合っているです」

「でも仕方ないわね。報告して依頼達成料を貰わないと宿にも泊まれないから」

 

コーヴィルのボヤキに切実な状態を説明して列に並ぶサーシャ。

余裕のある冒険者たちは明日の報告でもいいんだろうけどな。

 

列に並んでいると、ケモミミ三人娘に声を掛けてくる連中がいる。

 

「ようサーシャ!俺の女になる覚悟はできたか?」

 

むさくるしい筋肉質の男がそんなことをサーシャに行ってきた。

 

「他の二人も俺たちのパーティに入れば面倒見てやるぜ?」

 

別の剣士らしい男も口をはさんでくる。

 

「寝言は一昨日言いやがれっての! アタシたちはバッチリ依頼達成して帰ってきたんだからな! 今日は大通りのいい宿でゆっくり泊まって上手い飯を食べるんだから!」

「そうなのにゃ!」

 

サーシャのドヤ顔にミミも便乗する。だが、男たちはその二人を笑いものにした。

 

「ギャーッハッハ! Fランクの薬草採取でお前ら三人が豪遊できるような依頼達成料がもらえるとでも思ってんのかよ!」

 

他の男たちも馬鹿にしたようにケモミミ三人娘を笑う。

 

「実はその男たちの言う通りなのです。今回の薬草採取依頼では三人でいつもの安宿になんとか一泊宿泊できるくらいの金額しかもらえないです」

 

コーヴィルが小さな声で説明する。やっぱりこの子が一番しっかりしているか。後の二人は薬草の採取予定量と達成金をあまり把握していなかったようだ。

 

「うっ・・・」

 

泣きそうになってうつむいてしまうサーシャと落ち込むミミ。

だが、コーヴィルよ。冒険者ギルドは依頼書に予定納付量と達成金額を書いてくれているが、だからと言って()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだぞ?

 

そして俺たちの番がやってくる。

 

「あ、先に登録をお願いする。ヤーベ、冒険者タグを出してくれ」

 

そう言って背中に背負ったリュックに手を突っ込んでくるサーシャ。

おおう、びっくりした、冒険者タグね。ハイハイ。

 

「はいこれ。アタシたち三人と合わせて()()()()()()()()()ね」

 

「わかりました」

 

さらりとタグを受け取って処理を進めていく受付嬢。

 

ハレ? 今サーシャは何と言った?()()()()()()()()()だと!?

 

「あ、ちょっと待って・・・」

 

「では、依頼の薬草をお納めください」

 

「よし!薬草出すぞ!ヤーベ頼むぞ!」

 

そう言ってサーシャがリュックの蓋を開けようとする。

ええい、仕方ない!先に連中の度肝を抜いてやるわ!

 

ドサドサドサドサ!!

 

「うわわわわっ!」

「にゃああ!」

「わふうっ!?」

 

カウンターにはとんでもない量の薬草が積みあがった。

 

「一体・・・どこからこんな山のような量の薬草が・・・」

 

驚くギルド受付嬢。そりゃそうか。

 

「リュリュリュ、リュックにギュ―――ッて詰め込んであったのよっ!」

 

とんでもない言い訳をするサーシャ。自分でも薬草の量に驚いて耳と尻尾がピンピンに逆立っているけど。

 

見れば馬鹿にして笑っていた男たちも顎が外れんばかりに驚いている。

 

ふっふっふ、特別依頼ではない、通常の常時依頼書なら、需要があれば多くても買い取ってくれるはずだ。

別に馬鹿正直にその数だけを納品する必要はない。たくさん取れればたくさん納品すればいいのだ。

これだけあれば大通りの宿でいい部屋に宿泊できるだろう。それにね・・・()()()()()()()

 

「こ、この量・・・ちょっと査定にお時間を頂きたく・・・、先輩!手を貸していただけますか?」

 

「なーに、もうわからない事出ちゃったの? 王都のギルド本部に栄転してきたといっても、まだまだ新人さんだね~」

 

なんて軽口叩いて出てきたベテランっぽい受付嬢はカウンターに山と積まれた薬草の束に腰を抜かした。

 

「ななな、なんなのこれ!?」

 

「こちらの新人冒険者さんたちが採取してきたんですが・・・」

 

「新人冒険者?」

 

「こちらの方たちです」

 

サーシャ、コーヴィル、ミミを見るベテラン受付嬢。

 

「あ、貴方たちがこれだけの薬草を・・・?」

 

「そ、そそそそうよ!」

「ミミ達頑張ったのにゃ!えっへん!」

「・・・です」

 

若干怪しい雰囲気を出すケモミミ三人娘。

 

「ちょっと、薬草の確認に手を貸してちょうだい!」

 

その声にさらに二人の職員が確認作業に現れる。

 

ふふふ、見て驚くがいい。

 

「ちょ・・・コレ! ベラドンナの葉ですよ!信じられない!」

 

「ウソ!それ今じゃ幻って言われてる、あのベラドンナ?」

 

「この薬草採取の依頼って常時依頼で出てるマルーンの葉の依頼でしょ?」

 

「そ、そうなんですけど・・・」

 

「こ、これ!なかなか手に入らないベラベラの葉もありますよ!」

 

「こっちには薬に加工できる毒草のキシロトキシンですよ!」

 

「あんたたち、すごい貴重な薬草も見つけてきたのね・・・」

 

職員たちが信じられたいと言った表情で三人娘を見る。

 

「あ、あははは・・・運が良かったのかな!?」

「そ、そうにゃそうにゃ! たまたま見つけたにゃ」

「う、運がよかった・・・です」

 

ケモミミ三人娘は目を泳がせながら答えている。

 

「ちょっと待ってて・・・こんな希少な薬草を含んで、しかもこれだけの量でしょ・・・査定に少し時間がかかるから、そっちで座って待ってて頂戴」

 

ベテラン受付嬢に促されて、受付カウンターの横にある酒場のテーブルに座って待つことにした。

 

「ようお前ら、すごい活躍だったなぁ!」

「今度薬草の見分け方教えてね!」

 

同じような若い冒険者たちが声を掛けて来る。

 

照れながらもサーシャやミミが応対している。コーヴィルだけは少し真剣な表情で何かを考えているようだ。

 

さっきまでサーシャたちを馬鹿にしていた連中は居心地が悪そうにしている。

 

「サーシャちゃん達、お待たせ」

 

ベテラン受付嬢に呼ばれて、再度カウンターへ行く。

 

ドシャリ! 大きい袋と小さい袋の二つがカウンターに置かれる。

 

「どうせいろいろ支払いあるでしょう? 金貨で三十枚はコッチ。大きい方は銀貨五十枚と銅貨三百五十枚ね」

 

「「「えええっ!?」」」

 

元々、マルーンの葉五枚で銅貨八枚の依頼だった。三人が五枚ずつ採取したとしても銅貨二十四枚。銀貨二枚と銅貨四枚にしかならないはずだった。

そこを、俺が採取した希少薬草を含む大量の薬草を出したので、相当な金額になったようだ。よかったよかった。

 

「そそそ・・・そんなにもらえるの?」

 

サーシャが信じられないといった表情で受付嬢に確認する。

 

「ベラドンナの葉はもはや幻とも言われるほど手に入らない貴重な品なの。希少なポーションや病気に聞く薬の材料として有名な素材なのよ。これが結構な量あったから、それだけで金貨20枚分はあるわ」

 

「すごいにゃ!」

 

「マルーンの葉は状態の良い物が文字通り山の様にあったし、他にもそこそこ希少な薬草があったから、高値で買い取らせてもらったわよ。ギルドの貢献ポイントも色つけておくって」

 

「やった!」

「よかったにゃ!」

 

お気楽に二人が喜んでいるがコーヴィルは気づいているようだ。やっぱり賢い子かな?

大金を貰ってホクホクしながらギルドを出るケモミミ三人娘。

チラリと後ろを見て、俺は溜息を吐く。

そんなラノベのお約束はいらないんだが・・・。

このままではこの子たちは宿屋に無事たどり着けないだろう。

一肌脱ぐとしようか。

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!
よろしければしおりや評価よろしくお願い致します。
大変励みになります(^0^)
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