転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第212話 行方不明のケモミミ三人娘を探しに行こう

「えっ? まだ帰って来ていない?」

 

俺は冒険者ギルドのカウンターで人気受付嬢のラープちゃんからまだケモミミ三人娘が返って来ていないことを告げられた。

 

「夕方日が暮れる前に帰って来いって言ったのに」

 

「まあまあ、まだ日が沈むまでには幾分時間がありますよ。そのうち戻られるのでは?」

 

ぷりぷりして文句を言う俺に、にこやかな顔をしながら言葉をくれるラープちゃん。新米指導員が心配しているのを気にしてくれているのか、ありがたいね。

 

「しょうがない奴らだね」

 

俺は苦笑しながら隣の酒場のテーブルに座る。

もちろんカウンターに一番近い位置に座ってケモミミ三人娘が戻ってくるのを待つ。

 

「親父さんエール一つ」

 

「あいよ、しかし指導員たぁ、大変だねぇ」

 

木でできたエールのジョッキを俺のテーブルに置きながら笑う酒場の親父さん。この人も元冒険者らしい。一応Cランクまで上がったらしいが、年も年だし、引退を考えていたところでギルドマスターから声を掛けてもらったらしい。

冒険者の第二の人生もサポートできるとは、冒険者ギルドもなかなかやるな。

 

だが、エールを飲み干しても、お替りを飲み干しても、乾きもののおつまみを食べても一向に戻ってこない。

時刻はとうに夕飯時間を過ぎている。

受付嬢のラープちゃんも「お先に失礼します」と仕事を上がるときに声を掛けてくれた。「まだ、戻らないのですか・・・ちょっと心配ですが、きっとどこかで休んでいるのかもしれませんね」と気づかってくれた。

 

そして時刻は深夜。もうすぐ日が変わる。

 

明らかに何かあったとしか考えられない。

心構えとして、食料や水については余分を持つことを教えてあるから、予定通り帰ってこないからと言ってすぐ困る事は無いはずだ。だが、何かしら戻って来れない状況にあるから予定時刻に帰り着いていないのだ。

 

 

「・・・何かあったか・・・」

 

『ヒヨコ隊長、部下からの報告は?』

 

俺は念話でヒヨコ隊長に報告を求める。

 

『・・・申し訳ありません、まだ何の報告もございません。念話の届く範囲の部下に確認しておりますが、護衛担当からの報告を受けたものはおりません』

 

『・・・ローガ、お前の方はどうだ?』

 

俺はローガにも念話を飛ばす。夕方冒険者ギルドに出向くときに、散歩がてらローガも連れてきており、今はギルドの建物の横にある馬車を止めるスペースでくつろいでいた。馬車につながれた馬たちはそろって失禁して震えていたらしいが。

 

『はっ! 今回のボスの護衛依頼は万全の体制を期すべく、四天王の一角、雷牙を派遣しております。護衛に失敗することはまず考えられません。ですが現在まで報告は入っておりません』

 

実は、ケモミミ三人娘に何かあっても困るので、陰ながら見守る護衛を派遣している。

先日のイリーナ誘拐事件から、大事な存在には護衛をきっちりつけて必要に応じて報告をさせるようにしている。今回のケモミミ三人娘もその実力は心配だらけな連中だし、命だけは助けられるように護衛を派遣したのだ。今回はヒヨコ隊と雷牙だ。さすがに狼牙族は何匹もついて行くと身を隠すのが大変なので雷牙だけに任せている。

 

『ヒヨコと狼牙たちを念話が届く距離まで捜索に行かせろ。しばらくしたら俺も出る』

 

『『ははっ!』』

 

とりあえず先行でヒヨコと狼牙たちに探しに行ってもらうとしよう。

ある程度捜索結果が出ればその情報をもとに自分が動けばいい、そう思っていたのだが、それよりも早く事態は動いた。

 

『ボスッ!大変です!』

 

ヒヨコ隊長から念話が入る。

 

『どうした?』

 

『護衛に出向いていた一匹が戻ってまいりました。報告がありますが状況が状況ですので念話リレーでなく、直接ご報告申し上げるそうです。もうしばらくで冒険者ギルドに到着しますのでその場でお待ちください!』

 

『わかった』

 

念話リレーで話しにくいほど濃い内容の報告があるのか。嫌な予感しかしないが。

 

 

 

ドバンッ! 体当たりでヒヨコがギルドのドアを開け放った。

ちょうど出るところだった冒険者の男が顔面をドアにぶち当てて泣いている。

・・・今度エールでも奢っておこう。

今は深夜遅く日も変わった時間。ギルド内の人はまばらだ。カウンターも夜勤者が1名いるだけだ。だが、俺がここでじっと待っていたためか、先ほどからゾリアとモーヴィンが同じテーブルに来て酒を飲んでいる。なんでだよ。つまみまで用意してきて。

 

『ボスッ!大変です!』

 

ヘロヘロになっているヒヨコが俺に報告する。遅れてヒヨコ隊長やその他ヒヨコも数匹が集まってくる。

 

『で、どうしたんだ?』

 

『実は、崩れた山肌から未知の<迷宮(ダンジョン)>が発見されました!』

 

「ダ、<迷宮(ダンジョン)>!?」

 

それは想定外のさらに外だ。どうして薬草採取に行って未知の<迷宮

ダンジョン

>見つけちゃってるの?

 

「未知の<迷宮(ダンジョン)>か・・・こいつはスゲーな」

「ええ、とんでもないものが見つかりましたね・・・」

 

ゾリアとモーヴィンがワクワクしたように嬉しそうに呟く。

 

「クソー!そんなおいしい発見は俺がしたかったのに!」

 

ドンッ!と木のジョッキをテーブルにたたきつける。あ、イカン、つい本音が。

 

「はっはっは、指導員たるもの、教え子の活躍は褒めねばなりませんよ?」

 

モーヴィンがニヤニヤしながら話す。

 

「褒める以前に、現状行方不明ですから!」

 

笑い事じゃないと俺が文句を言えば、ヒヨコの報告が続く。

 

『はい、現在笑い事ではない状況です』

 

「どういうことだ?」

 

『未知の<迷宮(ダンジョン)>ですが、山肌が崩れ、<迷宮(ダンジョン)>の入り口が開いてしまったところを見つけたため、三人娘が中に入ってしまいました。慌てて雷牙殿とヒヨコ三匹が後を追いましたが、その後さらに山肌が崩れ<迷宮(ダンジョン)>の入り口が完全にふさがれてしまいました』

 

「なんだとっ!」

 

『私のみが外に取り残された形となってしまいまして、周りを調査しても他に入口が見つからず、いくら念話で呼びかけても反応もないため、王都のボスへ報告に戻ってまいりました』

 

「モーヴィン、地図出せるか?」

 

「わかった」

 

そう言ってギルド職員に持ってこさせた地図を皆で見る。

 

「どのあたりだ?」

 

『たぶんこのあたりかと・・・』

 

ヒヨコの翼が指した場所は薬草採取予定の場所からかなり山深く入ったところだった。

 

「随分奥まで行ったな」

 

『最初は予定通りの採取地点で作業をしていたのですが、もっと奥に希少な薬草を見つけたようで・・・』

 

ガーン!俺のせいか!?俺のせいなのか!? 

確かに希少な薬草は通常採取依頼の薬草よりも高値で買い取ってくれる。

だから、ついでに採取できるならば採取して損はない。

だが、最初から希少な薬草を探してしまうとなると話が変わってくる。希少な薬草は山奥深く、危険な場所に生息することが多いからなかなか採取に行けず希少価値があるのだ。それをわざわざ自分たちから探しに行ったら、それはすでにFランクの薬草採取依頼で

はなくなっている。

 

「しまった・・・希少な薬草の資料データもつけたのが仇になったか!」

 

俺は唇を噛む。明らかに俺の失態か。彼女たちに持たせる資料としてはオーバースペックだったか。あくまでFランクの薬草採取のついで、と割り切って通りすがりの希少価値のある薬草を逃すことなく採取させるつもりが、完全に今回の目的を見失って採取目標を切り替えてしまうとは・・・。

 

俺には理解できないが、「依頼を達成する」という目的よりも「希少な薬草をたくさん採取して報酬を増やす」方に重点を置いたという事だろうか。

俺の指導が甘かったという事だろうな。厳しく目的達成のために今何をすべきなのか取捨選択できるように教え込まねばならなかったのだ。

 

それにしても、護衛だからと雷牙に出張用ボスを預けなかったのは痛かった。カメラ機能で様子を伺ったり、転移の門を開いて救出に行くことが出来ない。

雷牙に出張用ボスを預けると護衛そっちのけで狩りをしそうで若干心配になったのが仇になった。

もはや直接救出に行くしかない。

 

 

「俺が出る。その未知の<迷宮(ダンジョン)>まで案内してくれ」

 

『ははっ!』

 

「疲れているだろうがすまんな。俺の頭の上で休んでいていいぞ」

 

『光栄であります!』

 

見ればヒヨコ隊長他数匹のヒヨコがうらやましそうに頭の上に乗るヒヨコを見ている。

・・・そんなにいいもんかねぇ、俺の頭の上って。

 

「おい、ヤーベ」

 

「なんだ、ゾリア?」

 

「未知の<迷宮(ダンジョン)>の調査報告よろしく頼むぜ」

 

ニヤリとして俺にそう伝えるゾリア。

俺は無言で手を出す。

 

「なんだ?」

 

「調査依頼だろ?報酬くれ」

 

「お前金には困ってねーだろ!」

 

「それとこれとは別だ!」

 

俺はあくまでも冒険者だぞ!

 

「ですが、指導員として教え子の調査は行って頂きませんと・・・」

 

申し訳なさそうにモーヴィンが伝えてくる。

 

ぐぐっ!そう言われると行かねばならないのは必須事項だ。

まあ、いいんだけど。

 

「でも、未知の<迷宮(ダンジョン)>で有益な情報があれば報奨金を出しますから」

 

そう言っていいネタがあればタダ働きにならないよと教えてくれる。

 

「じゃあ、軽率なおバカ三人娘の回収ついでに未知の<迷宮(ダンジョン)>の情報を持ってくることにするよ」

 

そう言って早速冒険者ギルドを飛び出るとローガにまたがり、<高速飛翔(フライハイ)>で空に舞い上がった。

 

『こ、これがボスの空中飛翔呪文ですか・・・感激ですな!』

 

ローガが興奮している。そうなんだよね、俺がローガにまたがった状態で<高速飛翔(フライハイ)>の呪文対象をローガまで含むようにイメージして唱えると、まるでローガが空中を駆けるように飛ぶことが出来た。最も俺が呪文のコントロールをしているんだけどね。

 

とにもかくにも、俺はその未知の<迷宮(ダンジョン)>へ向かった。

 




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