転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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一月も更新が止まってしまい申し訳ありません。
また、前回更新後丁度ハーメルン様で連載1年が過ぎましたが、まさかの更新停止中でした。自分で何をしているのかと自己嫌悪です。
また再開いたしますのでどうぞよろしくお願い致します。


第213話 未知のダンジョンのシリアス戦闘シーンを華麗にスルーしよう

『クッ・・・マズイな・・・』

 

 

雷牙がごちる。

 

 

目の前には雲霞の如くゴーレムが次から次へと溢れ出ていた。

 

 

『チッ・・・』

 

 

雷牙が舌打ちする。

 

余りにも軽率なあのケモミミ三人娘をしかりつけてやりたい気持ちをぐっと抑えて三人の前に立つ。

 

 

 

雷牙は目の前に次々と溢れ出て来るゴーレムを見つめながら、ここまでの流れを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

手にした資料を見ながら、どんどん森の奥へ進んで行くケモミミ三人娘。

 

「護衛」と指示を受けた以上、彼女たちの行動に口を出すわけにはいかない。

 

だが、どうにも強そうに見えないケモミミ三人娘がどんどん森の奥に進んで行く事に一抹の不安を覚えていた。

 

 

 

『雷牙殿、大丈夫でしょうか?』

 

 

 

ヒヨコの一匹が尋ねてくる。

 

 

 

『魔獣の気配はないが・・・我々は護衛だ、連中に帰れとは言えぬ』

 

 

 

『・・・はっ』

 

 

 

森をどんどんと奥へ進み、山の麓をさらに奥へ進んで行くケモミミ三人娘。

 

 

 

「またあったわよ!希少な薬草!」

 

「お宝お宝たくさんにゃ!」

 

「ヤーベさんに貰った資料はすごいです!」

 

 

 

ウキウキと薬草を見つけてはリュックに採取した薬草を詰め込んで行くケモミミ三人娘。

 

 

 

『それにしても随分と山奥へ入って来たな・・・こやつら、分かっているのか?』

 

 

 

『不安ですね・・・』

 

 

 

雷牙もヒヨコたちもかなり不安になって来る。

 

 

 

その時だ。

 

 

 

ガラガラ、ドサササッ!

 

 

 

「なんだっ!?」

 

「どうしたです?」

 

「あ、あそこ! 山が崩れて穴が開いてるにゃ!」

 

 

 

ケモミミ三人娘は山肌が崩れて穴が開いているのを見つけた。

 

 

 

『あれは・・・まさか、<迷宮(ダンジョン)>か!』

 

 

 

雷牙が崩れて穴が開いた遺跡らしい入口を見て声を上げる。

 

 

 

だが、考える間もなく、ケモミミ三人娘が開いた入口に飛び込んで行く。

 

 

 

「きっとお宝が眠っているわよ!」

 

「お宝見つけたら大金持ちにゃ!」

 

「ちょ、ちょっと待つです!」

 

 

 

『な!? なんの調査もせず全員で飛び込むのか!?』

 

 

 

雷牙は驚愕する。あまりの無鉄砲さに。

 

 

 

『雷牙殿、どうします!?』

 

 

 

『追うぞっ! 護衛対象から離れるわけにはいかん!』

 

 

 

『ははっ!』

 

 

 

雷牙とヒヨコたちもケモミミ三人娘が飛び込んだ遺跡の入口へ飛び込んで行く。

 

だが、その後再び山が揺れ、飛び込んだ遺跡の入口が塞がれてしまった。

 

 

 

『くっ・・・退路が塞がれたか!』

 

 

 

雷牙は飛び込んだ遺跡の入口が再び土砂で埋まったのを見ながら毒づく。

 

 

 

だが、雷牙が後ろを向いている間にもケモミミ三人娘がドンドンと<迷宮(ダンジョン)>内を進んで行く。

 

 

 

『いや、こんな怪しい遺跡をなんでどんどんと進んで・・・』

 

 

 

ボコオッ!!

 

 

 

急にケモミミ三人娘の足元が崩れる。

 

 

 

「きゃあ!」

 

「にゃあ!」

 

「わふぅ!」

 

 

 

穴に吸い込まれていくケモミミ三人娘。

 

 

 

『チッ!』

 

 

 

空を切り裂く稲妻の如く駆ける雷牙。穴の壁を走りながら、崩落した穴の底へ先に着くと、上から落ちて来るケモミミ三人娘を背中で受け止める。

 

 

 

ボスンボスンボスン!

 

 

 

「ふぁあ! おっきな狼さんの背中に落ちたから怪我が無かったにゃ!」

 

「ええっ!? これって狼牙・・・? でもこんなおっきい狼牙なんて・・・」

 

「すごいリッパです・・・」

 

 

 

見れば迷宮の奥からゴーレムがガシャガシャと湧き出て来る。

 

 

 

『チッ!』

 

 

 

前足に雷の力を纏い、鋭い爪の斬撃を見舞う。

 

 

 

ガギッ!

 

 

 

石のゴーレムが切り裂かれ崩れ落ちる。

 

 

 

『グッ・・・硬い!』

 

 

 

雷の魔力を纏わせた爪の斬撃でやっと切れるほどの相手。それが続々と奥から湧き出て来るのだ。

 

 

 

『<雷撃衝(ライトニングショット)>!!』

 

 

 

雷牙の口から雷の魔力弾が発射される。

 

 

 

ドゴォォォォン!!

 

 

 

ゴーレムの数体が破壊されるが、石で出来たゴーレムに雷の魔力は相性が悪い。

 

まして<迷宮(ダンジョン)>内では天空から呼び寄せる大規模な雷の魔法が使えないのだ。あまりに状況は雷牙に不利であった。

 

 

「狼さんが私たちを守ってくれているです・・・?」

 

「そうかも!急いでついていこう!」

 

「了解にゃ!」

 

 

ゴーレムの群れの一部を雷牙がなぎ倒す。その隙を狙ってケモミミ三人娘たちが狼牙の後をついて脱出を図った。

 

 

 

 

 

 

 

迷宮(ダンジョン)>の上層部に向かう道が見当たらず、ゴーレムを躱しながら進める道は最下層へ向かっているようだった。

 

ゴーレムに追われるようにして階段を下って行った先に、大きな水晶で出来た柱のような物が立っている。

 

 

 

『・・・これは?』

 

『なんでしょう・・・? クリスタルの中に何かが閉じ込められているようですが』

 

 

 

雷牙もヒヨコたちも目の前の水晶の柱(クリスタル・ピラー)を見上げる。

 

 

 

「ふぁあ! なんだろうこれ?」

 

「何か水晶の中に閉じ込められているにゃ!」

 

「何かの生き物・・・です?」

 

 

 

だが、ゆっくりと水晶の柱(クリスタル・ピラー)を見つめている余裕はなかった。

 

水晶の柱(クリスタル・ピラー)の後ろから大型のゴーレムが部下ゴーレムを引き連れてわんさとやって来たのだ。

 

 

 

『チッ・・・』

 

 

 

狼牙は舌打ちしながら周りを見回す。

 

部下ゴーレムにすっかり取り囲まれている。ヒヨコたちの火力では部下ゴーレムすら破壊できない。雷牙自身は<迷宮(ダンジョン)>内では広範囲な雷魔法を行使できない。

 

石のゴーレム軍団に対して有効な打撃を与える攻撃手段がない。絶体絶命だった。

 

 

 

「ゴーレムに取り囲まれてるにゃ!」

 

「だだだ、大丈夫よっ!あの狼牙が助けてくれるから!」

 

「サーシャは狼さんに頼り過ぎなのです」

 

 

 

どことなく絶体絶命感の薄い三人娘だった。

 

 

 

 

 

 

 

ドガガガガガッ!!

 

 

 

ふと、小刻みな振動と派手な破壊音が聞こえてくる。

 

 

 

「無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァァァァ!!!!」

 

 

 

『こ、この声は!?』

 

『まさか!?』

 

 

 

雷牙とヒヨコたちがキョロキョロと周りを見回す。

 

 

 

「な、何の音にゃ!?」

 

「く、崩れるのかしら!?」

 

「上から聞こえてくるです!」

 

 

 

ケモミミ三人娘がお互いを抱きしめ合って震えている。

 

 

 

「ゴーレムごときが俺様に追いつけるかーッ!お前らはこの俺様にとってのモンキーなんだよォォォーーーッ!!」

 

 

 

天井をぶち抜いてバラバラになったゴーレムと共に飛び出してきたのは、デローンMk.Ⅱの全身をドリルのように変形したヤーベだった。




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