転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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皆様、明けましておめでとうございます。
作者の西園寺でございます。
2020年9月1日更新より約四か月停止しておりました「まさスラ」の更新を再開させて頂きます。
コロナ禍において日常が変わらざるを得ない方々も多くいらっしゃると思いますが、また少しでも皆様の日常においてわずかでもひと時の憩いとなれるような作品になることができればと思っております。
よろしければ今後ともどうぞお付き合いの程よろしくお願いいたします。


第230話 戦争の止め方を考えてみよう

「それで? そこの小物君はこれからどうするんだ?」

 

俺は<スライム的捕獲網(スライキャッチャー)>で捕まってぐるぐる巻きになっているドラゴニア王国のバーゼル国王に視線を向ける。

 

「き、貴様ふざけるなよっ!我を愚弄してタダで済むと思うかっ!」

 

小物が叫んでいるが、ぐるぐる巻きのままだし、説得力ゼロだな。

 

「別に愚弄しているつもりはないな。事実だ」

 

「き、ききき貴様ッ!」

 

「あー、キャンキャン喚くのもうるさいけど、自分で買った怨みだし、自分で処理するか?」

 

「へ?」

 

俺の言ったセリフが理解できないのかキョトンとするバーゼル。

 

「ほほう、お主わかっておるのう。小物!ワシを魔導具で無理矢理操ってくれたのじゃ。覚悟は出来ておろうの?」

 

ベキベキ!バキボキ!と両手で拳を握り派手な音を鳴らすミーティア。

 

お前はどこぞの北斗のケンシ〇ウか。

きっとあの小物には夜空に浮かぶ北斗七星の横に浮かぶ死の星が見えるだろう。今は昼だけど。

 

 

「ひ・・・ひぃっ!」

 

 

ぐるぐる巻きのバーゼルが腰を抜かしたのか地面に転がる。

 

 

「あー、待てミーティア。少々確認したいことがある」

 

 

「む、何じゃ?お主の要望なら聞こうではないか」

 

 

イモムシの様に地面に転がっているバーゼルが顔を上げる。

 

 

「な、何だ・・・」

 

 

「お前の国、今頃グランスィード帝国に乗っ取られていると思うんだが、これからどうするね?」

 

「・・・はっ?」

 

首をコテンと傾けて、俺の言っている意味が全く分からないといった表情のバーゼル。

 

 

「お前、グランスィード帝国からサーレン王女を娶ったから、攻めてこないとでも思っていたのか?おめでたい奴だな。すでに帝国側の五つの村のほとんどはグランスィード帝国に占拠されているぞ。総勢約三万の帝国騎士団がお前の国の王都に向かっている。もうすぐ王都に到着する事だろうな」

 

 

「ははっ!ばかばかしい。俺はサーレンの夫だぞ!帝国がサーレンのいる我が国を攻めるはずがないだろう!」

 

 

おお、これほど蒙昧だと憐れむ気持ちすら薄れゆくな。かわいそうなのはコイツの国の一般市民だよな。

 

その時、バーゼルの胸元からピーピーと警報音が鳴った。

 

俺は<スライム的捕獲網(スライキャッチャー)>の一部を解除し、右手が使えるようにしてやる。

 

バーゼルが胸元から取り出したのは魔導通信機の様だった。だが、バルバロイ王国の物の様に映像は出ずに、声だけが通信できる様だ。まるで携帯電話だな。

 

 

「どうした!」

 

 

『バーゼル陛下!大変です!グランスィード帝国が裏切りました!』

 

 

「ななな!なんだとぉ!」

 

 

魔導通信機で現状を伝えられ、やっと現実を受け入れたのか顔面蒼白になるバーゼル。

 

 

『サーレン王女は、自分には人質としての価値はない、などと口走っております!短気な連中はサーレン王女の首を取って帝国に叩きつけてやる、などと憤る者も出ております!』

 

 

声がデカいからか、周りにいる人たちにも内容が聞こえている。

 

 

「それは悪手だよなぁ。サーレン王女の首なんかとったら、何といってもグランスィード帝国に大義名分が出来ちまうし」

 

 

俺がデカい声で呟いた独り言を聞いてバーゼルの顔がさらに青ざめる。

 

 

「なんだとぉ!ダメだダメだダメだ!サーレンの首なんて叩きつけたら、帝国に攻める理由をわざわざやる様なもんだ!絶対ダメだ!」

 

 

『なるほど!確かにその通りですな!さすがバーゼル陛下!早速止めてまいりますぞ!』

 

 

魔導通信機が切れる。

 

 

「まあ、止めたからと言って今のままでは王都が陥落してドラゴニア王国が乗っ取られるのは確定なんだが」

 

 

「そ、そんな!なんとか、なんとかしてくれ!」

 

 

「え?いや、なんでお前を助けてやらなきゃいかんの? 大体お前宣戦布告して戦争吹っ掛けてきた野郎だよな? 普通捕まったら打ち首じゃね?」

 

 

「なんとか!そこをなんとか!」

 

 

「いや~、普通は何ともならないだろうけどね」

 

 

振り向けばワーレンハイド国王がやって来ていた。

 

 

 

「さすがはヤーベ卿だね。まさか<古代竜(エンシェントドラゴン)>が使役されてしまうとはね」

 

 

あ、傍から見るとそんな様に見えるのかな?

 

 

「誰が使役されておるのじゃ!ワシを舐めると・・・」

 

 

文句を言いだしたミーティアに俺の頭の上の二匹が反応する。

 

目がピカリと光り、口からエネルギーが放たれる。

 

ピ――――!

 

 

 

ドーン!

 

 

 

「ぽげらぱ!」

 

 

またもプスプスと焦げて口から煙を吐く羽目になったミーティア。大人しくしていればよかったのに。

 

 

さてさて、どうしたものか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時はしばらく遡る―――――

 

 

 

ドラゴニア王国、王都辺境の村、ランズ。

 

 

 

「ヒャッハ―――――! お前らぁ!男は殺せ!女は犯せ!いくぞぉ―――――!」

 

 

 

グランスィード帝国第二師団、「狂犬」の異名を持つ将軍ヤンバルカーンは自身の兵士たちに号令をかける。総指揮官である大元帥ゴルゴダ・ヤーンより一般市民に手を出すな、の命令を完全に無視してランズの村に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・これで現実と認められよう」

 

 

 

ランズの村、村長は迫りくる鎧の騎士団を見つめながら、その隣にいる大きな狼が人間の言葉を喋っている現状を受け入れられずにいた。

 

 

 

「こんな・・・ことが・・・」

 

 

 

村長は思考回路が完全に停止していた。

 

 

 

「わ、私は誓います!ヤーベ様に忠誠を!」

 

 

 

一人の女性が声高らかに叫ぶ。それにつられて、他の村民たちも次々に声を上げる。

 

 

 

「お、俺もヤーベ伯爵に忠誠を誓う!」

 

「お、俺もだ!」

 

「私も!」

 

「ヤーベ伯爵バンザイ!」

 

 

 

何せ、どこからどう見ても恐ろしい騎士の格好をした者達が殺せ、犯せと村へ迫ってくるのだ。

 

藁でもなんでも縋りたいところであろう。

 

 

 

狼牙族のハンゾウと雷牙率いる部隊は、王都周辺の村で一般市民に被害が出そうなら食い止めろとヤーベより指示を受けていた。五つの村のうち、四つまでは無血占領されているが、この第二師団は女帝ノーワロディの指示を守らないだろうとハンゾウは睨んでいた。その通りの対応にハンゾウは満足そうに頷く。

 

止めろと指示を受けただけなのに、敵からの護衛を条件にヤーベ様に忠誠を誓う事、ととんでもない斜め上の条件を勝手に提示したハンゾウ。もちろんヤーベは知る由もない。

 

 

 

「そうか、お前たちがヤーベ伯爵様に忠誠を誓うのであればヤーベ伯爵領に住む住人と認められよう。ならば我らが村民を守るのは義務である。雷牙殿、存分にその爪と牙を奮って頂きたい」

 

 

 

そう告げると、自身もその姿をカスミの様に消すハンゾウ。

 

 

 

「フン・・・言われるまでも無い。お前達・・・あれは盗賊だ。盗賊は・・・殲滅せよ」

 

 

 

「「「ははっ!!」」」

 

 

 

狼牙達は一陣の風が吹くが如く消えた。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャッハ―――!まずはお前を頂くぜぇ!」

 

 

 

村に逃げ遅れた少女に圧し掛かり襲い掛かるヤンバルカーン。

 

 

 

だが、その背後にはすでに雷牙の姿が浮かんでいた。

 

 

 

「賊は殲滅する。貴様に兵士たる資格はない。<雷爪撃(ライトニングネイル)>」

 

 

 

ザンッ!

 

 

 

雷を纏う雷牙の前足の一撃。あっさりと首が落ちるヤンバルカーン。

 

その一撃を皮切りに次々と狩られていく賊と認定されたグランスィード帝国第二師団。

 

わずか数分後には五千の兵団に生き残っている者はいなかった。

 

 




今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!
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