転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第237話 ドラゴニア王国の実情を鑑みよう

 

俺は今、王城を出て冒険者ギルドに向かって歩いている。

 

屋敷を出る時、執事長のセバスチュラが馬車を用意すると言っていたのだが、大して遠くも無いし歩きたかったので断った。

 

と、言うわけで、帰りも歩きだ。

 

 

 

ヒヨコ十将軍序列二位のクルセーダーから連絡があった。

 

冒険者ギルドでケモミミ三人娘が待っているらしい。そう言えば新たなメンバーの入団テスト?をやるから見て欲しいとか言ってたっけ。

 

 

 

ちなみに、会議は今捕らえているドラゴニア王国、国王バーゼルを含め、ドラゴニア王国への対応をどうするのかを今日一日検討しあって草案をまとめることになった。

 

俺はもちろん抜けてきたけど。国同士の関係なんてよくわからんし。お任せだ。

 

 

 

ちなみに、

 

 

 

最も優しい・・・バーゼル国王無条件解放

 

 

 

最も厳しい・・・バーゼル国王首チョンパ

 

 

 

だろうか。

 

元々ドラゴニア王国のワイバーン軍団と守り神であった<古代竜(エンシェントドラゴン)>はすでに俺の手の内にある。ドラゴニア王国の主力は壊滅したのと同じだ。

 

それを国王であるバーゼルはどう理解するか。

 

 

 

そんなわけで、今会議室では文官を中心に草案の意見調整中なのだが、先んじて俺は先ほど軟禁状態にあるバーゼル国王の元を訪れてきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、国王サマ」

 

 

 

ドア越しに話すのも面倒なので、部屋の扉前に立っていた兵士に鍵を開けてもらい中に入った。もちろん普通はダメなのだが、「まあまあ」で押し通った。

 

 

 

「き、貴様!あの時の!」

 

 

 

どうやらぐるぐる巻きになって捕まっている間、<古代竜(エンシェントドラゴン)>のミーティアが俺の元へ来ることになったいきさつを目にしたようだ。

 

 

 

「だいたい、俺はお前の命の恩人なはずだが?」

 

 

 

支配の王錫とやらが壊れて、<古代竜(エンシェントドラゴン)>ミーティアの支配が解除されてしまい、あっさり振り落とされて死ぬ直前だったバーゼルを助けたのは俺なのだ。

 

 

 

「むぐぐ・・・!」

 

 

 

悔しそうに黙り込むバーゼル。

 

しかしよく見れば軟禁状態とはいえ、隣国の国王だからだろうか、豪勢な部屋でいい物を食べているようだ。

 

 

 

「宣戦布告しておいて戦争吹っ掛けてきたうえに盛大に負けたんだ。通常なら大通りで打ち首だろ」

 

 

 

「むがっ!」

 

 

 

顔を真っ赤にして何か言おうとするが、言葉が出ないバーゼル。

 

 

 

「お前、何がしたいの?」

 

 

 

唐突な俺の質問に怪訝な顔をするバーゼル。

 

 

 

「お前、自国の民はどうなってもいいのか? 国民の生活を守り、その生活を支えて行くのがお前の役割じゃないのか? 他国を攻めて領土拡大が自国の国民の幸せになるのか? お前の自己満足に過ぎないんじゃないのか?」

 

 

 

「お、お前に何がわかる! 高地で農業も限られた作物しか育たず、食料事情の改善には他国へ攻め入るしかないんだよ!」

 

 

 

俺の質問に絶叫するように心の内を吐露するバーゼル。

 

 

 

「馬鹿じゃないのか。無いから他人から奪うのか。お前と盗賊は何が違うんだ。外交で情報交換しながらお互いウィンウィンになる方法を模索する方法だってあるだろう。相手のある事だから、その全てが望むように行くことは無いかもしれないが、少なくとも自助努力をしない人間なぞ、どうして力を貸してやろうと思うんだ。相手が信用できないと不安になったり疑心暗鬼に陥ったりすることもあるかもしれないが、それでも前に進むしかない。コミュニケーションを取る前に敵と決めたら、もうお前の周りには敵しか存在しなくなるだろうよ」

 

 

 

首を竦めながら、みんなが幸せになれるように一歩を踏み出さなかったバーゼルをジッと見つめる。

 

 

 

「も、もし・・・もしお主に相談できていたら、結果は変わったのだろうか・・・?」

 

 

 

縋る様な目で俺を見るバーゼル。

 

 

 

「そんなの当たり前だろー。ワイバーンの飼育方法の改善とかも指導してやれるし、<古代竜(エンシェントドラゴン)>のミーティアともコミュニケーション取れただろうし、農業の改善も相談乗ったし、お前んところの国の特産を聞いて、バルバロイ王国ウチの特産と貿易したりするのを打ち合わせできるし、国民への娯楽なら、今王都バーロンでも大人気の娯楽遊具を輸出してやることだって出来たのに」

 

 

 

つらつらと述べる俺。

 

 

 

「ア、アニキ―――――!!」

 

 

 

いきなり泣き出しながら俺に抱きつくバーゼル。

 

 

 

「な、なんだなんだ!? 男に抱きつかれる趣味はないわ!」

 

 

 

「アニキッ! 俺はアニキについて行くぜ! 俺はどうなってもいいから、国民たちを救ってくれ!!」

 

 

 

「うおいっ!」

 

 

 

涙だけではなく鼻水も噴射する勢いで垂れ流しながら俺にしがみつくバーゼル。

 

どうやら、コイツはコイツで国民の事をいろいろと考えているヤツだったようだ。

 

 

 

「国民たちは飢えと寒さを凌ぐのに必死で・・・、我も何とか、何とかしようと・・・」

 

 

 

ぐちゃぐちゃの顔を俺に押し付けて訴えて来るバーゼル。

 

ふーむ、比較的高地にある国だったはずだが、それほど食料事情が悪いとはな。

 

確かにグランスィード帝国から防衛したランズの村も、それほど裕福な感じではなかったと言う報告がヒヨコ達から上がっていたな。

 

 

 

・・・そう言えば、ランズの村の住人たちがなぜか・・・俺に忠誠を誓うと言う話になっているらしく、食料援助などの施しを行ってその実を固めましょうなどとハンゾウから連絡が来ていたから、出張用ボスを砕牙に持たせて食料を運搬している。

 

 

 

運ぶだけでは改善にはならんからな、高地でも実る野菜の栽培は必須だし、土が硬いならベルヒアねーさんに相談して土壌改善と行くか。

 

・・・おっと、もうドラゴニア王国改善に乗り出そうとしてしまったぜ。

 

それを決めるのは今ワーレンハイド国王達が行っている会議の結果によるところだ。

 

尤も、バーゼルの内心が知れた今はコイツに力を貸してやってもいいとは思っているが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、バーゼルの心の内を確認した旨、ヒヨコにその報告書を持たせてワーレンハイド国王に渡すよう指示しているし、酷い対応にはならないだろう。

 

バーゼル自体がバルバロイ王国と協力して国を立て直していく意思を見せてくれれば、後はこちらから力を貸すだけだ。

 

 

 

ふらふらと通りを歩きながら今までの事を頭の中で整理する。

 

 

 

『ボス、三人娘がまだボスが来ないと騒ぎ始めております。特にサーシャの機嫌が悪くなっておりますよ』

 

 

 

見ればヒヨコのクルセーダーが俺の到着をまだかと迎えに来てくれたようだ。

 

 

 

「すまんすまん、考え事をしながら歩いて来たので、思ったよりゆっくりになってしまったな」

 

 

 

『すでに入団希望のテスト希望者も到着しております』

 

 

 

そうだったそうだった。ケモミーズに新たに戦力が入るかどうか大事なテストだったな。

 

俺はどんな人物がパーティに参加希望なのか、出来ればサーシャたちを引っ張っていくほどの元気な奴だといいなと思いながら冒険者ギルドに向かった。

 

 




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