転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!? 作:西園寺卓也
俺の名はゾリア。現役時代は双剣のゾリアと呼ばれたAランク冒険者だった。
今はソレナリーニの町の冒険者ギルドにてギルドマスターを賜っている。
この町は今まさに発展途上にある。辺境にあるこのソレナリーニの町だが、北には迷宮があり、辺境の町の中では交通の要所にもなる場所にある。この先この町は間違いなく発展して行くだろう。この町の冒険者ギルドを任される事は誉れでもある。
そんなある日の事、ギルドの看板受付嬢でもあるラムがギルドマスター室に駆け込んで来た。
「ギルドマスター大変です。衛兵の詰所より連絡があり、<
あのバカども!最近Dランクに昇格してからというもの、態度はデカいわ、他の連中にケンカを売るわ、ロクでもない対応ばかりでギルドマスターとしても制裁発動を検討していたところだ。ただ、冒険者同士の諍いだし、ギルドが表立って出ることはないか。
「その上、<
「バカがっ!」
俺はすぐさま席を立ち、ギルドを後にする。
さすがに決闘などとばかげたことは止めないと。まして相手はFランクの女性冒険者一人。
・・・Fランクの女性冒険者一人だと? まさか・・・先日登録したばかりのポンコツそうな女騎士っぽいヤツか!?
大通りを走って行くと、そこにはすでにぶっ倒されていたドンガが。そして衛兵と話していた一人の女性冒険者。
衛兵が話しかけて来るが、半分も耳に入ってこない。
まさか、こんなひ弱そうな女騎士っぽいやつが
ドンガを倒す?戦闘力だけならCランクにも届こうかといったヤツだぞ!?
「うむ、それでかまわぬ」
とにかくギルドに戻って話を聞かない事には埒があかぬ。
ギルドに入ってからもきょろきょろと落ち着かない女性冒険者に、明らかに不審なものを感じる。とにかくカウンターに座ってもらい話を聞くことにしよう。
「フム・・・、イリーナ。Fランク冒険者か・・・」
やはりこの前登録したばかりのやつじゃないか。
どう考えても<
騒ぎの理由を聞けば、<
「なるほど・・・あの連中には厳しい措置が必要だな。それにしても君一人でよくあの五人を退けられたな。特に三人を相手にしたのもそうだが、<
「まあ、なんとかなったかな」
目を泳がせながら言うイリーナ嬢。どうかしてるぜ、この娘。
「どうなんとかなったのだ?」
突っ込んで聞いてみたのだが、討伐した魔物の買い取りなどと抜かしてきおった。リュックにどれほどの討伐部位があるのか知らんが、見てやろうじゃないか・・・と思ったのだが、出るわ出るわ、まさかの収納魔法から山のような魔物が出てくる。この辺境の町周りでは最強クラスのCランクモンスターまで。しかもとんでもない量だ。この女、どんな魔力をしているんだ!?もともと収納魔法の使い手など、ほとんどお目にかかれない。そして、収納魔法の要領は魔力量に比例するはず。とすれば・・・。
「というか、これ全てお前が倒したのか!?」
「え、ああ、倒した?かな」
「なぜに疑問形!?」
やっぱりこの女、ヘンだ。しまいには師匠の使いだとか言い始める。たとえモンスターを師匠とやらが討伐していたとしても、<
ここは俺の切り札を使おう。
俺には冒険者時代を支えた虎の子のスキルがある。
それが<
我が<
そして、あからさまに怪しいリュックを背負った女を<
「ぐわわっ! 目がぁ!目がぁぁぁぁぁ!」
あまりの眩しさに目が眩むどころか、潰れるかと思った。
一体どれほどの魔力があればあれほどの輝きになるのか!?
以前この国の宮廷魔術師を<
「ど、どうしたのだ?」
イリーナという女冒険者が心配したのか俺に声を掛ける。どーなってんだよ!お前のリュックは!
「ぐうう・・・、なんだかとんでもねーな、ちくしょう」
こうなったら<
ということで<
「ブフォッ!」
鼻血が噴き出す!
「ご、ごごご53万だと・・・?」
じょろろろろ~
まさかの下半身がコントロール不能だ。ちくしょう!
我がスキル<
ちなみに目の前のイリーナ嬢は魔力数5だ。
魔術師のように魔力を常にフルで使用するような職業はさらに魔力が高い者がいる。30~50程度を示す者もいる。それ以上となると、そうざらにはいない。
過去100を超える者を確認したのは二名だけだ。
最高値は134、この王国の宮廷魔術師だ。
それがどうだ、このイリーナ嬢が背負っているリュックから感じられる魔力数は「53万」である。私は体の震えが止まらず、鼻血を吹き出し、下半身は粗相してしまった。
53万だぞ・・・、確認できた最高の宮廷魔術師ですら134なのに・・・。
一体何倍なのだ! 53万って! 凄すぎてピンとすら来ぬわ! 規格外にも程があるだろう!?程が!
一体、リュックの中に何を隠しているんだ!?コイツ・・・一体何を企む?
「師匠と言ったな・・・?本当に師匠がいるのか? 自分の力を隠しておきたいがための嘘ではないのか?」
このイリーナという女本人の力がまるでないように感じられる。そしてリュックからの化け物じみた魔力。一体何を隠しているのか?
ともすれば体の力という力が抜け落ちて倒れそうだが、倒れてしまうわけにはいかない。
「とんでもない!本当に師匠のヤーベ殿は実在している! 理由あって町にはなかなか来られない方だが、本当にすごい人なんだ!」
何だよ師匠って?何の設定なんだ? それともそのリュックの中に師匠とやらがいるのか? いっそリュックの中を見せろと言うか・・・、いや、それはヤバすぎる気がする。長年生き抜いて来たギルドマスターとしてのカンが囁いている!あのリュックの中身はヤバいと!
「・・・ならば連れてこい!今すぐだ!師匠とやらを連れてくれば信用してやる!できなかったときはお前の秘密を喋ってもらうぞ!」
どうせ明かせないからこそ、師匠という架空の存在をアピールしているのだろう。
ギルドを飛び出て行くイリーナ嬢を見送りながら、俺は心を落ち着けるように深呼吸を繰り返した。
今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!