転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!? 作:西園寺卓也
「フゥーハハハ! 見ろ!敵がゴミのようだ!」
俺は<
・・・いかん、テンション上げ過ぎてどこかの大佐の様になってしまった。
見れば、奥さんズの面々もあきれ顔だ。
それにしても、ローガたちの一撃はすさまじいな。
それぞれ最強の一撃を放っているようだったな。敵が数万の大群だから容赦しなくていいとは言ったけど、ホントに容赦なかったな。
ちなみに、ローガ、風牙、雷牙、氷牙の四匹に部下を率いさせている。
ガルボは念のため屋敷の警護を命じた。
この一大戦闘イベントに留守番となった形だ。
・・・ガルボのヤツ、絶望の表情を浮かべていたからな。帰ったらオークキングの肉でバーベキュー大会でもやって労うとしよう。
バルコニーに転移してきた奥さんズの面々がその状況を確認しようと周りを伺う。
「・・・ヤーベは何をテンション上げているのだ?あんな口調は普段使わないのに」
「敵が数万だからね~。無理に強がってるんじゃない?」
イリーナの言葉にしれっと俺が小心者だとディスるサリーナ。ほっとけ。
「それで、こちらが女王様かな?」
「・・・帝国ですので、女帝さんでは?」
サリーナの問いにフィレオンティーナが訂正を入れる。
「ふおおっ!ご主人しゃまカッコイイのでしゅ!」
「キュキュ―――――!!」
「ズゴズゴ―――――!!」
<
なぜかリーナまで来ているのだが、その頭にはジョージとジンベーの二匹も鎮座している。俺が戦闘で忙しいので待っているように伝えたら、なぜかリーナの頭に鎮座した。
「な、何なのあなたたち・・・」
女帝ノーワロディは突如現れた奥さんズに戸惑っている。
その隣にいる白い髭の爺さんがヤンバル・カーン大元帥か。
そして、俺を信じて待っていてくれたアナスタシア。
彼女たちを助けるために転移して魔物を食い止める作戦を展開すると説明したら、自分たちも行くと言い出した。
・・・どうもアナスタシアの存在を感じ取っているようだ。うまく仲良くなってくれるとありがたいが。
「皆さま、ヤーベ様の奥方様でいらっしゃいますか?」
妖艶なドレスに身を包んだ魔族の女性が祈りの姿勢から立ち上がり振り返った。
「そうだが・・・貴女は?」
「私はアナスタシアと申します。グランスィード帝国、女帝ノーワロディの母親になります」
「ひ、人妻!!」
イリーナの問いに自己紹介したアナスタシアに驚愕するルシーナ。
「つ・・・ついにヤーベ様は人妻にも手を出して・・・」
「NTRは禁止事項に抵触するよ!」
ルシーナの絶望するかのような呟きに、サリーナがトンデモツッコミを実施する。
「ご安心を・・・、わたくし望まぬ形で無理矢理攫われて来ましたので、結婚はしておりません。それに、あの子の父親はあの子自身の手で首を落とされております」
「え・・・」
絶句するイリーナ。
自身の父親を自身の手で殺す。その事実をすぐ認識することが出来なかった。
「帝国の状況や貴女の救出をドラスティックに対応するためには仕方のなかったことなのでしょうね・・・」
少し遠い目をしてフィレオンティーナが呟く。
「ふおおっ!おねーさんは悲しかったでしゅか? でももう大丈夫でしゅよ! ご主人しゃまはとーってもしゅごい人でしゅから!」
「キュキュ―――――!!」
「ズゴズゴ―――――!!」
何故かリーナがドヤ顔でアナスタシアに言い放つ。
「お嬢さんありがとう」
リーナの前に跪いて目線を合わせるアナスタシアの頭をナデナデするリーナ。
ついでにジョージとジンベーの神獣コンビもヒレでペチペチとアナスタシアの頭を撫でる。
「ご主人しゃまのところに来れば、とっても幸せしあわしぇになれましゅよ!」
「・・・何故かリーナがヤーベへの嫁入りを認めているが」
「ああ見えてリーナちゃん本当にヤーベさんの事見てますからね・・・」
イリーナとルシーナが複雑そうな表情を浮かべている。
「よろしくお願いしますね」
「ちょっと!お母さん!」
ノリノリのアナスタシアに焦るノーワロディ。
「ロディちゃん!
「しないわよっ!!」
「・・・ルシーナよ、何かヤバイ人が仲間になりそうな気がするが?」
「奇遇ですね、私もです」
「ぷるぷる、ヤーベさんもそんな特殊な性癖身に着けない様にして欲しいよ~」
イリーナ、ルシーナ、サリーナが新たな脅威に心配をしていた。
そして、ルシーナとサリーナはアナスタシアの爆乳にも視線を向けていた。
「・・・脅威です」
「胸囲だけに?」
サリーナの言葉にルシーナはジトッと視線を向けた。
「奥さんズの面々もなんだが良くなったことだし」
俺は強制的にそう思い込むと、ローガ達の一撃で第一波が崩壊した魔物の群れを見つめる。
そして次に来る第二波。
「次は俺の出番だろ」
まだまだ雲霞の如く押し寄せる魔物の群れを見ながら呟く。
『主殿はどうやって攻撃するのじゃ?ブレスでも吐くかの?』
「いや、新しい技で敵を一掃する! ・・・お前の力を借りるけど」
最後の方は小さめに呟く。
『ぬっ?我が力ならばいくらでも貸すが・・・?』
「じゃあ行こう」
俺は魔力ぐるぐるエネルギーを充填して行く。尤もこれは呼び水とするためのもの。自分のパワーとこれから取り込むパワーの融合が圧倒的な相乗効果を生むはずだ。
ズオンッ!!
以前、この世界から魔力を集めて取り込もうとしたらシルフィーたち精霊が集まって来てメチャ怒られた。
世界から強制的にエネルギーを集める事が危険な事だとしても
帝国に住む大勢の人々を助けるためだ。うん、人助けならいいよね?
そんなわけで早速試して見よう。
ズズズズズッ!!
『ぬおっ!?』
そう、<
『あ・・・主殿!? ちょっとパワーを持って行きすぎなのじゃ!このままでは飛べなくなるのじゃ!』
ミーティアが何か言っているが、新しい魔法構築中のため集中しているから聞こえない。聞こえないったらない。大事な事だから二度言おう。
「喰らえっ! <
ギュオオオオオオオオッ!!!
極限まで混ぜて圧縮したエネルギーを解き放つ!
ズガガガガガガガ―――――ン!!
雲霞の如く押し寄せた魔物の群れが吹き飛ばされていく。
「ふっ!決まったな!」
『主殿!落ちる――――!落ちるのじゃあ!!』
いつの間にか俺たちは墜落していた。
ズドン。