転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!? 作:西園寺卓也
「わ~~~、こちらもステキですね!」
「次はこちらをお試しになりましょう!」
俺は先ほどからまるで着せ替え人形の如くとっかえひっかえ礼服を着させられては鏡でチェックしている。
・・・なんでこんなことをしているかって?
そりゃ、明後日に控えたカッシーナとの婚礼の儀及び王都のパレードで着る礼服の最終チェックをされているからなんだが。
先日グランスィード帝国を大規模な<
なんとついにバルバロイ王国、ドラゴニア王国そしてグランスィード帝国の西方三国が友誼を結ぶことになった。その名も『西方三国同盟』だ。こいつは東の国々に衝撃が走ることになるらしい。下手をすると軍事行動を触発する可能性もあるとのことで、できる限り温和にできることを協力して豊かな生活を目指そう、的な温かいイメージの同盟だという事を東の国々にも伝わるよう工夫を凝らしている。
その一環が俺とカッシーナの婚姻だ。
・・・もはやこの結婚式は前座みたいな感じになってしまったが。
ちょっとカッシーナに申し訳ない気もするが、式の変更を嫌がったのは他でもないカッシーナだった。
俺とカッシーナの婚姻の儀、結婚パレードを行った翌日には『西方三国同盟』の各首脳が集まり、調印式が行われることになった。
グランスィード帝国からの移動は当然間に合わないのでワイバーン便で対応する。
ドラゴニア王国は友誼の調印後特急で結婚式に贈り物を間に合わせるよう馬車が出立していた。そこに友誼の調印時に参加していなかった大臣たちが追加でやってくるらしい。
・・・ドラゴニア王国の王都、空っぽになってないか?大丈夫なのだろうか。
ちなみに、西方三国同盟調印のあとは、俺個人としてはプレオープン状態だった『アローベ商会』を大々的にオープンする予定になっている。先行で遊具や野菜やハチミツなどの取り扱いをアピールしたが、客が殺到していた。そこで、商店を大きな建物で構え、御用聞きも対応できるように準備を進めている。スペリオル商会の全面バックアップもあってかなり立派な建物が出来上がっているからな。オープン初日はすでに販売してるある物の発表がある。実に楽しみなことだ。
自領地の開拓はカソの村の北側起点にスタートさせた。グランスィード帝国で捕まえた、というか、仲間になった、というか、ペットになった、というか・・・ファイアードラゴンのレッドが大活躍中だ。固い地面も何のそので掘り返してくれるタフガイ野郎だ。
野郎と呼ぶのはレッドがオスだとわかっているからだ。<
個人以外だと、ワーレンハイド国王からガーデンバール王国への外遊を依頼されているな。なんでも『救国の英雄』たる俺とその妻となったカッシーナを招いてバルバロイ王国との友好を諸外国にアピールしておきたいらしい。ガーデンバール王国の東には小国がいくつか集まっており、そのさらに東には列国最大の軍事力を誇る巨大な帝国がある。それらの国々への牽制の意味があるだろう。
・・・俺とカッシーナがニコニコして出かけるだけでどれほどの効果があるかはしらんけどな。
それにしてもカッシーナはともかく、奥さんズの面々もリーナも神獣のジョージもジンベーも姿を見せない。なんでも奥さんとなるカッシーナに会えるのは当日結婚の儀となるらしいので、今日はもとより、明日も会えないことになる。なんでも純潔を守って大聖堂の専用部屋で前日は過ごすとか。今日行われている衣装合わせの最終チェックが終われば、身支度を整えて大聖堂に移動するらしい。
結婚の儀が始まるまで会えないというのはさみしい気もするが・・・だからと言って奥さんズがここへ来ないのは些か疑問が残る。俺のこの着せ替え人形的な姿を見たいと思ってくれるだろうし、ミーティアなら指をさして笑いそうだしな。
・・・誰も来ないと寂しいものだ。
「やはりこちらの白を基調とした礼服がよろしいかと」
「内に着るベストは銀色をチョイス致しましょう」
「ワンポイントのハンカチーフは青ですね!」
「ヤーベ様は『白銀の竜騎士ドラゴンナイト』と御呼ばれになっているとか」
「ならば、この礼服はまさにぴったりですわね!」
メイドたちや衣装係たちのはしゃぐ声が耳に響く。
ちょっと格好つけすぎたか・・・俺は心の中で若干反省する。
アナスタシアたちを助けに行くのに、<
まあ、真っ白なフルプレートに白いロングソードと白いシールド。どこぞの儀礼騎士だよって感じのきらびやかな鎧と盾と剣だった。
・・・尤も喜び勇んで着込んでいそいそと出かけた俺にも非があることは承知している。
「英雄様のご結婚、大変おめでとうございます」
改めてメイドの一人が俺に声を掛けてくれた。
「どうもありがとう」
「これで伯爵様も奥様をお構えになられますのですね」
なんとなく怪しい目つきで俺を見るメイドさん。
「・・・エエソウデスネ」
「それでは次は第二夫人様やお妾様のご準備ですね!」
なぜかとてもうれしそうにメイドさんたちが話す。
そこは年貢の納め時、とか言うところではないのだろうか?
俺がそんな話をすると・・・
「何をおっしゃられているのですか。伯爵様ともなれば、これからがスタートですよ!」
「そうですそうです。伯爵様のカイショーというものを世間にもお見せせねば!」
「その通りです!どれだけ人数をそろえられるか、これはある意味戦いでもあります!」
いや、そんなこと聞いたことないですけど。後、戦いって何と戦うの?
だいたい、すでに第五夫人まで決まっているんだよね。
カッシーナを第一夫人とすると、第二夫人にイリーナ、第三夫人にルシーナ、第四夫人にフィレオンティーナ、第五夫人がサリーナだ。後、妾にチェーダがいる。なぜかパナメーラやマカン、エイカたちも数に入っているらしいけど。
そんなわけで、数だけでももう結構いますけど、何か?
俺はキャピキャピはしゃぐメイドさんたちに気づかれないようそっと溜息をついた。
・・・もしかして、マリッジブルー?
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