転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第254話 大々的にアローベ商会をオープンしよう

婚姻の儀とパレード、結婚披露宴パーティーと極めて自分に似合わないイベントをこなした翌日は、西方三国同盟締結の儀を執り行った。そんな大事なイベント、国の偉い人たちだけでやってくれよと思ったのだが、なぜか俺の同席が必須らしい。解せぬ。

 

 

 

だが、俺が同席した効果があったかどうか定かではないが、無事に西方三国同盟は締結した。お互いの不可侵、共通の敵への相互協力、農業の技術提携、万一、一国がこの同盟を破棄、侵略に出る場合、残り二国が協力して迎撃に当たる等、いくつかの決め事を行い、それぞれの国のトップが確認の上サインを行った。

 

 

 

ここに、例え一時期の物であったとしても、三国間での戦争が凍結され、平和が訪れたのだ。この意味は非常に大きい。

 

逆に東の国に与える影響も大きい様だ。

 

俺はただ戦争が無くなって平和が続けばいいと思っているだけなのに、この同盟締結を東へ戦力を集中するための攻めの同盟だととらえる連中もいるのだとか。

 

どれだけひねくれてんだよって話だよね。そんなに戦争したいかね? 天下統一―――!!とか?もっと現実見てくれよって話だよな。

 

 

 

・・・え? 新婚初夜はどうしたって?

 

いやあ、朝日ってあんなに黄色いんだな。地球時代じゃ何度も見た徹夜明けのやるせない視線が捕らえる黄色い太陽を、まさか異世界でも見るとは思ってもみなかったよ・・・。

 

 

 

それはそうと、翌日登城して締結の儀に参加したわけだけど、王女であるカッシーナも参加した。その後、俺と一緒に屋敷に帰るのかと思ったら、メイドさんに拉致されていった。

 

なんでも結婚後に俺の屋敷に住むための家財道具やらドレスなどの着る服やらの一切合切を準備していなかったらしい。まあ、俺も別に新しいの買えば?とでも思っていたのだが、王家の娘を降嫁させるわけで、それなりの貢ぎ物?を持たせなければカッコが付かないらしい。そんなもん先にやっとけばよかったのに。

 

泣きながら俺の名前を呼ぶカッシーナがメイドさんたちにズルズルと引きずられていく様はある意味シュールだったな。

 

準備に何日かかかるらしいので、俺の屋敷でカッシーナが暮らし始めるのはまだ先のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおー、想像以上だなぁ」

 

 

 

一等地から少し外れた場所。そこに俺の「アローベ商会一号店」をオープンした。

 

アローベ商会の倉庫兼事務所はスペルシオ商会の近くに場所を抑えてもらったのだが、店自体は大きいスペースが欲しかったので、大通りから一本入った裏通りの場所を紹介してもらって建物を建てた。

 

この店舗には俺のアイデアグッズやカソの村の野菜、ミノ娘たちのミルクなどを販売する予定だ。尤もミルクは数が少ないし、目玉の蜂蜜はすでに半年先まで予約でいっぱいだ。何せ販売量が少ないからな。

 

 そんなわけで、名前を売るために俺はひとアイデア捻ったわけだ。

 

 

 

「押さないでください! 押さないでください! 宝くじの当選番号はこれから番号決定になります。当選確定番号を順に店舗前に張り出しますので、そちらをご確認下さい!」

 

 

 

ウチのスタッフが声を張り上げている。

 

そうなのだ!俺はこの異世界で宝くじを販売したのだ!

 

宝くじ一等は何と「ハチミツ」だ。量を少なめにしてあるが、金貨十枚の価値がある。

 

ちなみに宝くじ一枚は銅貨五枚。一般市民でも問題なく買える値段にした。

 

一応千枚用意したのだが、瞬く間に売り切れた。ちょっと驚きだ。

 

三桁で決着できるように番号は「000」から「999」までの数字を掘った木の札を宝くじにした。

 

 

 

「それではこれから当選番号を決定いたします!まずは一等の「ハチミツ」の当選番号からです!」

 

 

 

「「「うおお―――――!」」」

 

「ハチミツは俺のものだ!」

 

「いや、俺だ!」

 

 

 

店の前に二百人以上集まってるな。

 

当選番号は、弓矢で番号ルーレットを射抜く方法を考えていたのだが、弓矢の達人はルーレットの数字を狙い打てることが判明。異世界マジハンパないな。

 

そんなわけで、クロスボウを開発。ちょっと非力なかわいこちゃんスタッフが引き金を引いたら矢が飛び出る。そして数字の書いてあるルーレットに突き刺さる。

 

 

 

「569! 一等のハチミツ当選は569番です!」

 

 

 

「やったぁ!お母さんにハチミツ食べさせてあげられる!」

 

 

 

何だか小さな女の子が泣いて喜んでるな。お母さんにハチミツを食べさせたかったのか。いい子だな。後で不埒な悪党どもが悪さしない様ヒヨコたちに守らせておこう。

 

ドエリャとか、部下にも並ばせて宝くじ買ってたし、スイーツ好きのコンデンス伯爵も屋敷のメイド全員に並ばせたって言ってたしな~。

 

ワーレンハイド国王も宝くじを買いたいと我儘を言っていたが、宰相のルベルグ殿が諫めていたな。国王に宝くじを買いに来られても気まずいし、助かったな。

 

 

 

今回は当たりの全てを食料にした。一般市民や、子供たちにも楽しんでもらいたくて試して見たが、中々好評のようだ。

 

 

 

次々にクロスボウを発射して二等以降も当選番号を次々決定して行く。

 

決定した番号はどんどん店舗前に張り出す。

 

 

 

「おいっ!俺の宝くじは当たっているだろ!」

 

 

 

お? 揉め事か?

 

見れば、木で出来た宝くじの数字をどうやら彫り込んで数字を変えたようだな。

 

だが、そんな不正見逃すわけないだろうが。

 

宝くじの木片には、側面に小さい穴を開けてある。

 

三桁なので、一桁目、二桁目、三桁目の数字に対応した数の穴をチクチクと開けてあるのだ。

 

ぱっと見わからないレベルだからな。でも説明しちゃったら次からどうしようか。

 

四等、五等と決定して行き、第七等まで進んだ。第七等はカソの村の奇跡の野菜ハンパものセット。結構大人気だ。そして第八等、第九等と発表して行く。

 

 

 

「これ以降は第十等となります。アローベ商会特製クッキー五つ入りの袋と交換になりま~す!」

 

 

 

所謂外れが十等になる。普通の宝くじと違って、俺様の作った宝くじは空くじ無しだ。

 

水晶の庭(クリスタルガーデン)>のリューナちゃん監修特製クッキーだ。ミノ娘たちのミルクをふんだんに使ったしっとりクッキーで、マジうまなのに、原価ほとんどかかってないという優れものだ。

 

 

 

多くの人たちが宝くじの木片とクッキーを交換して行く。

 

 

 

俺が自分の店に入らず、外から眺めていると、店の前にひと際豪華な馬車が止まる。

 

 

 

「んん?」

 

 

 

豪華な馬車からは帽子を深々と被り、白い髭がもじゃもじゃした男が降りてきた。

 

手に持った宝くじの木片の数字を見て、店舗の前に張り出された当たりの数字を食い入るように見つめる。

 

 

 

「・・・ワーレンハイド国王様、一体何をしているんです?」

 

 

 

俺は謎のひげもじゃ男の肩を手で掴む。

 

 

 

「うおうっ! ヤーベ卿、後生だ! 見逃してくれ! ワシもどうしても宝くじの興奮を味わいたいのだ!」

 

 

 

「いや、国王様が町でフラフラしちゃダメでしょ」

 

 

 

すぐに王国騎士団が馬で駆け付けて来る。

 

 

 

「国王様!勝手に城を抜けられては困ります!」

 

「後生じゃ~~~!」

 

 

 

ワーレンハイド国王が何か喚いているが、結局騎士たちに連れて帰られた。

 

ちなみにワーレンハイド国王の宝くじは外れていた。後でクッキー差し入れしておこう。




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