転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第268話 合従軍への対策を説明しよう

 

「・・・ヤーベ卿、君の説明はよく分かった・・・」

 

 

 

シンと静まった軍議の場。

 

セルジア国王が俺を見ながら口を開く。

 

 

 

「君の予測ではラードスリブ王国が裏で糸を引いているという事だが、彼らの狙いがどこにあるのかわかるかね?」

 

 

 

俺は目をつぶり、腕を組んで僅か一時だが、考えを巡らせる。

 

 

 

「貴様っ! 国王が質問しているだろうが! 無礼だぞ!」

 

 

 

貴族の一人がテーブルをバンッと両手で叩き、いきり立つ。

 

俺は自分の席を立つといきり立った貴族の前に歩みを進める。

 

 

 

「な、なんじゃ無礼者が!」

 

 

 

俺はその貴族の襟首をつかみ立たせると、俺の方を強引に向かせた。

 

 

 

「ヒイッ!」

 

 

 

俺がギロリと睨むと震えだす貴族。

 

 

 

「ならお前が三万を超える敵軍を止めて来いよ」

 

 

 

「な、なっ・・・」

 

 

 

「偉そうに喚き散らすだけの無能が、少しは自分の能力を弁えろ。お前がこのガーデンバール王国でどれだけ偉い貴族か知らんが、今このガーデンバール王国は滅亡の危機に瀕している。ここでかじ取りを間違えれば間違いなくこの国は亡くなり、多くの国民は蹂躙される運命になる。お前はそれをわかって騒いでいるんだろうな?」

 

 

 

「あ、あうう・・・」

 

 

 

ドサリ。

 

放してやると力無く椅子に座り込む貴族。

 

 

 

「ここにいる各々方もよく考えて頂きたい。すでに敵軍は越境してこの王都ログリアを目指して進軍を進めている。今一時一秒も無駄にできぬ状況だ。すでに国境近くの村々に住む多くの国民は敵軍に蹂躙されている可能性が高いのだ」

 

 

 

室内にうめき声や歯ぎしりが聞こえる。誰もが悔しいのだ。平和に油断し、情報を確保せずに過ごしてきた事を。

 

 

 

「北のタレリア、南のコラーンの住人は万一に備えてこの王都ログリアに避難させた方がいいでしょう。王都より東の町への避難も検討したほうがいいでしょう」

 

 

 

「すぐに手を打つ。内務卿、軍務卿、指示を出してくれ」

 

 

 

「「ははっ!」」

 

 

 

そう言って二人は控えている部下に細かく指示を出していく。

 

 

 

「王都より東の町からは食料を王都へ念のため運ばせて、一応籠城にでられるよう準備だけは進めておきましょう」

 

 

 

「それもすぐに対応しよう」

 

 

 

再び内務卿、軍務卿が指示を出していく。

 

 

 

「それで・・・敵軍への対応はどうすべきでしょうか・・・」

 

 

 

セルシオ王太子が不安そうな顔で俺を見つめてくる。

 

 

 

「もし、この国を救って頂くことが出来るなら、この私の出来る限りにおいてヤーベ卿へ便宜を図りましょう。この国を代表する事は出来ないのですが・・・」

 

 

 

そう落ち込むセルシオ王太子の肩にポンと隣に座っていたセルジア国王が手を置いた。

 

 

 

「ヤーベ卿。このガーデンバール王国国王であるセルジアもこの国難を救ってくれるとあらば、出来る限りの便宜を図ろう。バルバロイ王国の伯爵である貴殿に爵位を渡すことは出来ぬが・・・金貨や魔道具など、国宝のいくつかは見繕っても良い」

 

 

 

「他国の貴族位にある者でも、名誉貴族の称号ならば授けられますぞ」

 

 

 

法務卿を司どる大臣が発言する。

 

 

 

「そうだな、それも良いか。国難を救ってくださった場合は一体いくらの金貨を褒賞に出さねばならぬか想像もつかぬ。月ごとに爵位の額で褒賞を分割してもらうとありがたいの」

 

 

 

少し笑顔を見せるセルジア国王。

 

 

 

「褒賞の話は後からお願いします。今は一刻を争う状況ですので」

 

 

 

そう言って俺は席を立つ。

 

 

 

「そ、それで、どのような対応をされるのですか?」

 

 

 

「ガレン将軍の説明にある見識は見事だったと思います。私も合従軍を止めるためにはポルポタの丘を先に占拠して迎え撃つ以外にないと思います」

 

 

 

「し、しかし・・・それは絶対に間に合わないと・・・」

 

 

 

セルシオ王太子が弱り切った表情を俺に向ける。

 

 

 

「その通りです。通常の軍備を行い、大軍を展開しようとすれば間に合わないでしょう」

 

 

 

俺のさらりとした説明で軍議の場に静寂が訪れる。

 

 

 

「え・・・、それではまさか・・・」

 

 

 

「ええ、私だけが先行してポルポタの丘へ向かい敵を足止めします」

 

 

 

俺の説明に神妙にしていた貴族たちが爆笑しだす。

 

 

 

「わっはっはっは!バルバロイの英雄殿は一人で三万からの軍を足止めするとおっしゃるか」

 

「いや、神のごとき戦人ですな!」

 

「しかししかり!」

 

「して、お一人様でどうやって戦うのです?」

 

 

 

一斉に笑い出して小馬鹿にしたように問いかける貴族たちを無視して、ガレン将軍に視線を向ける。

 

 

 

「ガレン将軍。念のため、この王都ログリアに厳戒態勢を引いてください。軍兵は籠城の準備だけ行い、決して出撃なさらぬように」

 

 

 

「なっ・・・! 貴殿は今ポルポタの丘へ足止めを行いに行くと言ったばかりですぞ!後詰に我らの軍が間に合うように足止めいただけるのでは・・・?」

 

 

 

驚いた表情のガレン将軍に指示を出しておく。

 

 

 

「こちらからポルポタの丘の状況を使役獣のヒヨコに手紙を持たせて連絡します。うまく終結出来そうなら、100騎程度の小隊で、バドル三国の軍事責任者に顔が通じる偉い人を何人か連れて来てください。そこで状況を説明させるようにしましょう」

 

 

 

「え・・・、説明させましょう・・・って・・・」

 

 

 

セルシオ王太子が汗を垂らす。

 

 

 

「ええ、まあ出来るだけ殺さない様にはするつもりですので」

 

 

 

俺の発言にまたも爆笑する貴族たち。

 

俺はそれを無視して再度指示を繰り返す。

 

 

 

「もう一度言いますが、こちらから使役獣の使役を飛ばし、手紙を送ります。それが届くまでは籠城の準備のみを行い、軍兵を動かさない様にお願い致します。もちろん他国の私が信じられないという話はあるでしょう。ですので、密偵を放ち、敵の軍勢の状況や、ポルポタの丘の状況をそちらでも把握するようにしてください」

 

 

 

「いえ、ヤーベ卿を信じないなんてことは・・・」

 

 

 

助けてくれと頼んでおいて信用できないとは言えないのか、セルシオ王太子が口ごもる。

 

貴族たちはそうだそうだと情報を取る様にガレン将軍に詰め寄っている。

 

 

 

「それでは」

 

 

 

セルジア国王とセルシオ王太子に礼をすると、席を立ち俺は部屋を出ようとした。

 

 

 

「あの・・・、どのように敵を止めるのでしょうか?」

 

 

 

余りに真剣な目を俺に向けるセルシオ王太子に、俺は秘策を答えた。

 

 

 

「一夜城です」

 

 

 

「・・・イチヤジョウ・・・ですか?」

 

 

 

「そうです、ポルポタの丘に一時的に敵の侵攻を防ぐ城を築きます。まあ、仮のものですので、合従軍を止めたら片付けますけどね」

 

 

 

ま、尤も今の俺なら、一夜もいらんがな。魔力ぐるぐるパワーでソッコーよ。

 

 

 

「し、城を建てるですとっ!?」

 

「ギャハハハ!」

 

「英雄殿はジョークも一流のようだ!」

 

 

 

またまた偉そうにしていた貴族たちが騒ぎ出している。

 

コイツらわかっているのかな? 俺がしくじったらアンタら滅亡の一途を辿る羽目になるんだが?

 

俺は貴族たちのバカ笑い声を背に、部屋を後にした。

 

 

 

 




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