転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第30話 部下と精霊にハバられたので泣いてみよう

 

ソレナリーニの町でギルド登録して身分証を手に入れた俺。

魔物もそれなりに換金して金貨を手に入れた。

・・・ほとんど使っちゃったけど。

屋台の料理はおいしい物ばかりだったからな。致し方ない。

 

血涙が流れ切ったのか、お座りしながら干からび気味だったローガに串焼きを与えて復活させた後、帰路についた。

帰りにカソの村に寄って来たので、というわけでもないが、泉に着いたのは夜になった。

疲れたので着いてすぐ寝た。

 

 

・・・・・・

 

 

翌朝俺はのんびり起きた。うーん、良く寝た。

え? スライムは睡眠不要じゃなかったかって?

そうなんだけどね。

ずっと夜も起きてるとヒマでヒマで。

精神的にも休まらないし。

ボーッとしてるのも辛いので、休む方法を考えてみました!

そしたら、いつものエネルギーぐるぐる(笑)というか、魔力循環を弱めてやると、とてもリラックスして休めることが分かったんだねー。

交感神経と副交感神経見たいな?違うか。

 

そんなわけで、朝になったからゆっくり起きてみたのだが・・・

 

なぜか目の前には精霊四娘とヒヨコたちが。

 

「かわいー!」

『『『ぴよぴよ~』』』

「人懐っこいですわね~」

「ボクの手に乗ったよ!見て見て!」

『『『ぴよぴよぴよ~』』』

「なかなか愛嬌のあるヤツラじゃねーか」

 

え~、俺様を差し置いて何で精霊四娘とヒヨコたちが仲良くしてるの?

てか、俺精霊召喚してないけど?

 

「君たち、何をしてるのかな?」

 

俺は四娘の前に移動して問いかける。

 

「あ、ヤーベ見て見て! ヒヨコたちがこんなに懐いてるよ!」

 

ボクッ娘ウィンティアの手のひらや肩や頭にもヒヨコたちが群がっている。

 

「わあっ、すごいや、はははっ!ちょっとくすぐったいよ」

 

すごく楽しそうだ・・・

 

「このヒヨコさんたち、とっても可愛いですね!」

 

シルフィーもヒヨコに囲まれてご満悦のようだ。

 

「あらあら~私にもいっぱい寄って来てくれるのね~」

 

ベルヒアお姉さんにもヒヨコたちが群がっている。

 

「くっ・・・可愛いじゃねーかチクショー!」

 

まさかのフレイアにも懐くだと!? 恐るべしヒヨコ!

 

ものすごい疎外感を感じた俺は、とりあえず散歩に出かけた。

いいんだチクショー。俺は孤高の戦士さ。

 

 

次の日・・・

 

 

「おはよー、今日もいい天気だね~」

 

誰ともなく挨拶してみる。だいたいイリーナは朝弱いからなかなか起きてこないし。

 

そして、衝撃の光景が。

 

昨日は精霊四娘とヒヨコたちが仲睦まじく遊んでいたのだが、今日は何と狼牙族までいるではないか。一昨日ソレナリーニの町からの帰り、カソの村に寄った際に三日後に迫った「開村祭」の協力を改めて依頼されたから、ローガ達に獲物を仕留めて来るべく狩りに出かけてもらっていたのだが。

 

 

 

「キミ、すごくモフモフだね~!」

 

ボクッ娘ウィンティアに抱きつかれているのはローガだ。

 

『はっはっは、我の自慢の毛皮はいつでもフサフサよ!』

 

ローガよ、えらく自慢げではないか。

 

「本当にモフモフで素敵ですね!」

 

『で、がんしょ? 毛皮にはいっぱし自信があるでやんすよ』

 

シルフィに撫でられているお前。だから誰だよ! ローガよ説明プリーズ!

 

「モフモフさんたちがいっぱいです~」

 

ベルヒアねーさん。牙狼族とヒヨコたちに囲まれ過ぎでは? もうほとんど顔しか見えませんが。

 

「お前ら、ついてこい!」

 

『『『わふわふっ!』』』

 

フレイヤが狼牙族の一匹にまたがって走っている。その後ろを三匹くらいの狼牙族がわふわふ言いながらついて行った。

・・・楽しそうだ。

 

 

 

ナニコレ。俺以外でみんなめちゃくちゃ仲良くなってる。

いや、仲良くなってることは問題ない・・・と言うか、部下同士のコミュニケーションが取れていて喜ばしい・・・と言いたいが。

 

何故に俺だけ除け者?

 

ローガよ、俺を呼びに来てくれても良いのではないか?

ヒヨコ隊長よ、俺を連れに来てくれても良いのではないか?

 

な、何かすごく悲しくなってきた。

 

「うわ~ん」

 

俺は泣いて走り出した。

 

俺だってモフモフしたいのに~ぴよぴよ戯れたいのに~

 

というわけで(何がというわけなのかは不明だが)、泉より北にある滝に来た。

 

ふう、心頭滅却すれば火もまた涼し!というわけで、滝に打たれて寂しい煩悩を退散させるぞ!

 

・・・よく見たら、打たれる場所ないわ。

そのまま滝壺に落ちてるし。

結構高さあるし。

 

・・・そう言えば、泉では俺の体は沈んだ。でも今はスライム細胞をある程度自由にコントロールできる。

そんなわけで体に空気を取り込んで行くと体がぷくっと膨らむ。さてさて、これで滝壺に入るとどうなるか?

ぷかぷかと浮かぶんですね~

触手をオールの様に平べったくして水をかいていき、滝壺の滝下へ移動して行く。

 

「さあ、滝に打たれて煩悩を吹き飛ばそう!」

 

と、滝下へ近寄ったら、あっさり水の勢いに押されて滝壺の底へ押し込まれた。

 

「うががっ」

 

水の中でぐるぐる回転して錐揉みされて、最後ぷかーっと浮いてみた。

・・・一人どざえもん。

 

なにやってるんだか。

 

「や、ヤーベ殿~!!」

 

急に声がした。イリーナか?どうしてここに?

 

ざぱーん、誰かが飛び込んだ音がした。よく見るとイリーナが飛び込んでこちらに泳いで来て・・・来ているように見えて・・・溺れてるな。

仕方ない、助けるか。

 

ざばざばざば。

 

「おーい、イリーナ。どうした?」

 

「ガボッ、ゲホッ! ヤ、ヤーベ殿が触手で優しく私を助けてくれて・・・くっ犯せ!」

 

「てか、よくわからんが助けに来てくれたのはイリーナの方じゃないのか?」

 

イリーナを連れて滝壺から陸に上がる。

 

するとヒヨコ隊長率いるヒヨコ軍団やローガ率いる狼牙軍団、それに精霊四娘もそろっている。

 

「みんな揃ってどうした?」

 

「どうしたじゃないよ!キミが急に走って行っちゃったって聞いて心配したんだからね!」

 

水の精霊ウィンティアがぷんぷん怒ってますとアピールしながら文句を言う。

 

『何かありましたか?ボス』

 

ローガがお座りしながら聞いてくる。

 

「いや、みんなが俺を除け者にして、盛り上がっていたから、邪魔なのかと・・・」

 

ちょっと触手でイジイジ地面にのの字を書いてみる。

 

『ボ、ボス!何を言っているのです!?』

 

ヒヨコ隊長が狼狽する。

 

『そうですよ!ボスが邪魔なんてありえないじゃないですか!』

 

「どうしてそんな風に思っちゃったのかしら~」

 

ベルヒア姉さんがあらあらまあまあといった雰囲気で頬に手を当てて考える。

 

『我々はボスとイリーナ嬢が町に出かけて戻って来た時にどうもお疲れのようでしたので朝起こさずゆっくりとして頂いていたつもりだったのですが』

 

え、そうだったの?ローガ。

 

『ボスがお休みの間に心配された精霊さんたちが来てくれたので、いろいろ情報交換していたのですよ』

 

ヒヨコ隊長が説明してくれる。なんだ、そうだったのか・・・。

 

「我々は全員がボスの元に集まっているのです。ボスをないがしろにするなどあり得ぬ事ですよ」

 

そう言ってローガはわふわふと笑う。

 

「み、みんなー!!」

 

そう言って俺は連中に飛びつく。

うははっ! なんだ、コイツらこんなにいい奴だったんだな!

 

そう言えば精霊娘たちとは何を話してたの?

 

『カソの村の開村祭で我々が何か出し物をやれないか精霊のお嬢様方に相談に乗って頂いておりました』

 

ローガが報告する。え、何か出し物やるの?

 

獲物を丸焼きにして村人に振る舞う以外にも何かやる気なんだ。

じゃあ、俺も楽しみにしていればいいのかな?

 

ん、ダメ?俺の感想を貰ってからでないと披露できない?律儀だね君たち。

まあいい、それでは明日に迫った開村祭を盛り上げるための準備を進めようか。

 

俺はイリーナをお姫様抱っこしたままローガに股がり、みんなと泉の畔に戻って明日の開村祭に使う獲物の処理を進めることにした。

 

「くっ・・・犯せ・・・」

 

なんか顔を真っ赤にしてイリーナが呟いていたが、スルーしよう。

 





今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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